高速道路特別体験会でわかった!幅広い安全対策と、知っておくべき緊急時の対処法
高速道路で普通乗用車は最高速度100km(一部区間では120km)というスピードで走行するため、道路の安全管理が不可欠。そこで今回、高速道路の安全・安心を守るためにどんな対策が実施されているかを探るべく、去る8月6日(火)、NEXCO東日本 関東支社が開催した小学生対象の「高速道路特別体験会 in 高崎」に同行させていただきました。
高速道路の管理技術を磨く施設が高崎市に!
関東以北、長野・新潟から北海道まで延べ3,943km(令和6年8月1日現在の営業延長)の高速道路を管理しているNEXCO東日本では、舗装や構造物などの日々の点検・補修だけでなく、高速道路の経年や環境条件による劣化に迅速に対応すべく、新たな技術の習得も欠かせないとのこと。そんな管理技術を磨く施設、ネクスコ東日本エンジニアリング「テクニカル・トレーニングセンター(以下「TTC」)」が群馬県高崎市にあります。
今回の高速道路特別体験会では、未来の高速道路ユーザーである小学生と保護者の方、計23組が参加し、JR高崎駅から貸切バスでTTCへ。TTCに近づくと、住宅に面した敷地内に、高速道路の案内板や遮音板などが設置されているのが見えます。ほかにもETC設備や水噴霧設備など実物があり、これを使って点検やメンテナンスなどの実践的なトレーニングを行っているそうです。
トンネル内で火災への備えをリアル体験
到着すると、まずはTTCでどんな研修が行われているか、概要の説明がありました。そしていよいよ体験スタート。トンネル内設備では、消火栓を使った放水体験と水噴霧体験をしました。参加者はMRゴーグルを付けて、火災発生時に水噴霧設備がどのように動作するかを3Dホログラムでリアルに体験。水噴霧設備はスプリンクラーよりも水の粒が細かい、霧状の水を放出するそうです。参加者は傘をさして、水の粒の細かさと勢いも体感しました。
水噴霧設備は、トンネル延長と交通量によって設置が決められていて、NEXCO東日本管内では14ヵ所(令和6年8月1日現在)のトンネルに設置されています。ほかにも安全を確保するために、火災検知器やトンネル内の煙を排出するジェットファン、押しボタン式通報装置、非常電話、誘導表示設備などの非常用設備があります。
実物のETC設備で開閉バーに触って、その工夫を知る
ETC設備の仕組みについての解説では、ETC設備を車両が通過する際、ETCレーンのアンテナとの情報のやりとりによって通信を自動的に行い、料金所でクルマを停めずにスムーズに通過できるということを、小学生にもわかりやすく映像とともに説明してくれました。
仕組みがわかったところで、ETC設備の実物を見学。車両が通過するときに開閉する開閉バーはそばで見ると意外に大きく頑丈そうに見えますが、触ってみるとやわらかい! これは、もしもクルマと接触してしまった場合でも、バーが破損したりクルマを傷つけたりしないように、空気の入ったチューブやウレタンなどやわらかい素材で作られているとのこと。参加者は、開閉バーを押してみたりして、通信を自動的に行う技術のほかにもさまざまな工夫があることを実感しました。
高速道路の安全・安心を守るために“はたらくクルマ”
次に、高崎ICそばのNEXCO東日本高崎管理事務所へ。ここには、高速道路のパトロールや点検、補修のために“はたらくクルマ”が常駐しています。トンネル内設備の点検や清掃、補修などに使用するリフト車に子供たちはヘルメットやフルハーネスを装着して乗り、およそ5mの高さまで上昇しました。道路に積もった雪を一気に押し出す除雪車では除雪板を折りたたんだり広げたりの操作、標識車ではLED標識の操作を体験できました。
道路の安全を守る交通管理隊のパトロール車両、群馬県警の⾼速道路交通警察隊の警察車両に乗った子供たちは、サイレンやマイクなどの体験もできて大満足の様子でした。
交通管理隊は、24時間・365日、道路を巡回して安全確認をしたり、落下物の回収や事故処理を行ったりするのがおもな仕事。NEXCO東日本の交通管理隊が1年間に高速道路を走る総距離は、およそ2,400万km。なんと、地球と月を32往復もする距離だそうです! 車両後部には三角コーンや矢印板をはじめ、どんなトラブルにも対応できるようにさまざまな道具を積んでいます。日々、警察車両と連携しながら道路の安全を守っているそうです。
全国で数台しかない「Road Eye®」(道路性状測定車)
会場では、「Road Eye®️」と呼ばれる道路性状測定車も見ることができました。これは、ネクスコ東日本エンジニアリングが開発した1台2役のハイテクマシン! 時速100kmで走行しながら、路面性状調査もトンネル覆工面調査もできる優れものです。舗装路面のひび割れやわだち掘れ、平坦性をレーザー照射や3Dカメラによって測定。さらにトンネル覆工面を撮影してひび割れを検出することができます。これにより交通規制が不要になるほか、従来よりも高精度の測定ができるようになりました。
トンネル内で火災が発生したらどうする?
特別体験会を通して、高速道路の安全を守るために日々の点検を怠らず、そのための研修をし、さらに技術開発を進めていることがわかりました。ドライバーの皆さんも安全対策の裏側を知ることで、安心して高速道路を運転したり、いざというときに落ち着いて行動したりできるのではないかと思います。そこで最後に、万一トンネル内で火災が発生したらどのように行動したらよいかを確認しましょう。動画もありますので、ぜひご覧ください。
●トンネルに入ってから、トンネル内の火災を知ったら
- トンネル内のスピーカーやラジオ再放送設備から流れる情報や誘導に従い、速やかに安全な場所へ避難してください
- ①緊急車両が通れるように左に寄せて停車
- ②サイドブレーキをかけ、エンジンを止める
- ③キーは残したまま、ドアロックはしない
- ④煙にまかれないないよう、煙の流れを見てどの非常口から出るか方向を確認
●火災が起きた直後だったら
- ①押しボタン式通報装置(50m間隔で設置)か、非常電話(200m間隔で設置)で通報
- お持ちの携帯電話でも道路緊急ダイヤル(#9910)で通報できます
- ②安全を確保しながら消火器(50m間隔で2本ずつ設置)や消火栓(一部のトンネルに50m間隔で設置)で初期消火
動画「トンネル内で火災発生を知ったら?」(再生時間3分17秒)
その他、緊急時の対処方法や安全に走行するためのポイントがわかりやすくまとめられたパンフレットがあり、下記リンクよりPDFでご覧いただけます。高速道路ではさまざまな安全対策が行われていることがわかりましたが、緊急事態においてはドライバーの皆さんの落ち着いた行動がご自身の安全を守り、被害を最小限に抑えるために必要です。この機会に、高速道路の安全について再確認をしておきましょう。
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