特集

車中泊やアウトドアで楽しみたい、現地調達! 青空グルメ

人気割烹の料理人直伝、絶品アウトドアレシピ

2023.07.04

構成・編集=ダズ(霜田奈緒)/写真=伊勢馬場建次

2023.07.04

構成・編集=ダズ(霜田奈緒)/写真=伊勢馬場建次

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

アウトドアの大きな楽しみのひとつが、青空の下で食べる食事だ。それが簡単で、見た目にも華やかさを伴う料理ならば、楽しさも倍増! 目的地までのドライブを楽しみながら、朝市や道の駅で鮮度バツグンの食材を現地調達し、家族や気の合う仲間たちとおいしく食べながら、幸せな時間を過ごすのはどうだろうか。今回はそんなテーマの下、素材を生かした手軽で最高においしいレシピを、大阪で人気の自然派割烹「貴瀬(たかせ)」の店主、前川貴志氏に教えてもらった。

ドライブを楽しみながら、グッとくる食材を求めて。

走行中の車

有田みかん海道は絶景のドライブルート。晴れていれば遠く四国まで見渡せる。

出先で料理ができる場所は、古民家の一棟借りや貸し別荘、グランピング施設、オートキャンプ場など。豊富な選択肢から、クルマ旅の目的や人数に合わせて好みの場所を選んでおこう。今回の舞台として選んだのは、和歌山県有田(ありだ)市のキャンプ場。海も山もある自然豊かな地形ゆえに、地場の鮮魚や野菜を販売しているお店も多い。ドライブを楽しみながら、訪れたのは紀伊水道の海の幸や地場野菜を豊富に揃える「産直市場よってって」。朝どれの魚介類や新鮮野菜がズラリと並び、見ているだけでもワクワクしてくる。しかもリーズナブル! 手に入れたのは真鯛と真鰺、新鮮な地場野菜などなど。これらで作る青空グルメ。どんなことになるのか。

鮮度のいい真鰺

産直市場よってって狐島店
和歌山県和歌山市狐島607-1
☎073-453-4741
https://www.yottette.jp

地場の野菜も盛りだくさん

魚介のみならず、地場産の新鮮な野菜なども豊富に並んでいて、買い物するのが楽しい。

料理前の食材

今回購入した食材はコチラ。真鯛、真鰺、玉ねぎ、ベビーコーン、アスパラガス、キノコ類など、鮮度抜群の食材ばかり。

有田BLUEキャンプ場

調理の舞台は「有田BLUEキャンプ場」。有田みかん海道の頂上付近に位置し、紀伊水道を一望できる。
有田BLUEキャンプ場
和歌山県有田市宮崎町1225-59
https://aridabluecamp.com

ひと鍋で魚も野菜も楽しめる
真鯛のしゃぶしゃぶ風鍋

真鯛のしゃぶしゃぶ風鍋

新鮮な鯛が入手できたら、出汁が効いた鍋仕立てに。ソイやイサキなど、ほかの白身魚でもOK。その季節やその地域の旬の魚でお試しを。

材料(2〜3人分)

作り方

3枚おろしの鯛

1. 真鯛は購入店舗でさばいてもらうのがおすすめ。三枚におろし、兜割りの頭と中骨、身の部分に分ける。

魚の骨をしっかりと炙る

2. 兜割りにした頭と中骨の部分は塩をひとつまみ振り、時間をかけて弱火でこんがりと焼く。焼いた頭のひとつはこの後の炊き込みご飯用に取っておく。

だしを取る様子

3. 焼いた鯛の頭と中骨、水を鍋に入れ、アクを取りながら、汁に色が出るまで15〜20分煮込む。

野菜を投入する様子

4. しっかりと出汁が出たら骨は取り除き、酒とみりんを加え、アルコールが飛んだら最後に薄口醤油を。割合は水15:酒3:みりん1:薄口醤油1。味が調ったら玉ねぎ、舞茸、油揚げを投入。

完成した料理

5. 水菜、薄めに切った真鯛を入れたら完成。新鮮な真鯛は、しゃぶしゃぶのようにさっと出汁にくぐらせて食べると絶品。味変好きなら、柚子胡椒(ゆずこしょう)を添えて。

極上の鯛出汁を残さず満喫
真鯛の炊き込みご飯

真鯛の炊き込みご飯

材料(2〜3人分)

作り方

炊き込み前

1. 鍋の残り出汁に洗った米を入れ、出汁が足りないようであれば水を足す。水分量の目安は手の甲の半分が水に浸かる程度。
炊く前に味見をして、薄い場合はうす口醤油を足す。ほのかに塩っぽさを感じるくらいがベスト。焼いた鯛兜の1つと切り身を加えて火に掛ける。

完成した炊き込みご飯

2. 目安は15~20分。水気がなくなってきたら、火から下ろして10分ほど蒸らし、食べる直前に三つ葉を散らす。ひと鍋のまま作ることができ、片付けも楽。

蒸し・焼き・生で食感多彩
新鮮野菜のサラダ

新鮮野菜のサラダ

今回紹介した野菜は、あくまで一例。旬の野菜や地域特有の野菜が手に入ったら気軽に楽しんでみて。

材料(2〜3人分)

作り方

ベビーコーンを焼く様子

1. アスパラガスは網の上で焼き色が付く程度に焼き、いんげんはアルミホイルに包んで蒸し焼きに。共に3cm程度に切る。ベビーコーンは、皮が付いたまま蒸し焼きにし、火が通ったら皮をむいて同じく切る。

野菜を切る様子

2. みょうが、かいわれ大根は小さめに、ミニトマトは半分か1/4程度に切り、リーフレタスは適当な大きさに手でちぎる。

3. ごまドレッシングは、みりんと酒を鍋に入れて煮切り、他の材料を合わせる。すべての野菜を彩りよくボウルに盛り、ごまドレッシングをかければ完成。ドレッシングをあらかじめ作っておけば、今回紹介した以外にも、現地調達したお好みの野菜で手軽に楽しめる。

短時間でもうまみが凝縮
自家製干物

こちらも、今回は真鰺を使用したが、幅広い種類の魚で応用可能。自身で海釣りした魚でもOK。

作り方

真鰺を干している様子

新鮮な真鰺は、購入店で腹開きにしてもらい、3~5%程度の塩水に30分~1時間程度浸けてから水気を取り、風当たりの良い日陰に吊るす。一夜干しでも、十分にうまみが凝縮され、塩味が効いてふんわりと柔らかい身が堪能できる。気温が高すぎず、風のある日に挑戦してみよう。

現地調達グルメQ&A

Q.現地で手軽に料理ができる加熱器具は?

A.貸し別荘などの宿泊施設であれば、キッチンが備え付けられている場合が多い。グランピング施設やキャンプ場の場合、手っ取り早いのは持ち運び便利なカセットコンロ。できれば外で使うことを想定した、風防がついてるものがベスト。

Q.魚を扱う際の注意点は?

A.野外で魚をさばくのは、温度管理に加えて、調理場所を衛生的に保つのが難しい。購入店で三枚おろしや開きなど、加熱などの調理をする前の段階まで加工してもらうのがおすすめ。その後持ち運ぶ際にも、クーラーボックスなどに入れて、しっかりと温度管理を。

Q.用意しておきたい調理道具は?

A.最低限用意しておきたいのは、まな板、包丁、各種調味料、そして汚れを洗い流すための水。オートキャンプ場などではレンタルが可能な場合もあるので、事前に下調べを。

左:貴瀬外観 右:前川貴志氏

前川貴志
まえかわ・たかし 自然派割烹「料理屋 貴瀬」店主。20代の頃から料理の道に進み、模索の末自然派の和食にたどり着く。2021年にオープンした同店では、自ら市場に出向き素材を厳選した料理を提供している。
「料理屋 貴瀬」大阪府大阪市中央区高津3-16-30 1F ☎090-3492-3974
https://www.instagram.com/ryouriya_takase

この記事のキーワード
この記事をシェア

この記事はいかがでしたか?

関連する記事Related Articles