福岡・筑前町の知られざる柑橘「木酢」は、おいしいもの好きを虜にする幻の果物
福岡県 酒場店主・岸本とも子のおみやげ土産バナシ 3品目温暖な気候なので、柑橘が豊富に採れる福岡県。今回の土産ものは、そんな中でも幻の柑橘とされている「木酢」。筑前町というエリアでメインに作られていて、秋から冬の初めまでしか出回らない貴重な味です。 旅の目的のひとつ、お土産。この連載では日本各地のローカルプレイヤーに、ここに来たら持ち帰るべし、というおすすめのお土産を聞きます。今回のレコメンダーは、福岡は天神でお酒の飲める惣菜店「デリカテッセン三月の水」を営む岸本とも子さん。7年前に東京から福岡へ移住したという彼女に、東京とは違う食文化への驚きや楽しさを交えながら、お酒好きにもそうじゃなくてもきっと喜ばれるローカルなおいしいお土産4品について伺いました。
3品目
出回るのは一瞬! みんなに配りたい、幻の柑橘「木酢」
▲「木酢」(筑前町の道の駅界隈で販売・時価)
「福岡に住んで知ったことのひとつが、九州には珍しい柑橘類がいろいろあること。温暖な地域だから、たくさん育つんですね。中でもこの『木酢(きず)』は、福岡市内でもほとんど出回っていなくて、幻の柑橘と言われています。
だいたい9月下旬頃から出回るのですが、最初のうちは青緑色でフレッシュな青みかんのよう。だんだんに熟してゆずのようになっていきます。
以前友人にお裾分けしてもらったことがあり、フレッシュで爽やかな香りの虜(とりこ)になりました。三月の水で柑橘系のサワーにしたらおいしいだろうなと思い、以来この時季になると買い求めています」
手に入るかソワソワするのも、毎年のお楽しみ
「とはいえ福岡市内では本当に手に入らないので、私は筑前町(ちくぜんまち)という木酢の産地にある道の駅『筑前みなみの里』まで買いに行っています。天神から車で50分くらいですかね。特に東京へ帰省するタイミングで箱ごと買って、行く先々で会う人に配ったり、飲みに行ったお店でカウンターの店主さんにちょっとプレゼントしたりしています。
お酒に入れるのはもちろん、焼き魚にかけるのもいいですし、白身の刺身にもよく合います。クセのつよい柑橘ではないので、どんな料理にも合わせやすく、けれど不思議な個性のある風味。
一瞬しか出回らないので、この時期がくるとちょっとソワソワしてしまう。特別な柑橘です、今年も手に入るといいのですが……!」
筑前町 木酢
https://www.town.chikuzen.fukuoka.jp/S029/020/010/030/20180113101842.html
- 岸本とも子
きしもと・ともこ 東京でデザイナーとして活動したのち、飲食の世界へ。湯島「MUSIC BAR 道」の店長を経て、2016年福岡へ移住。デリカテッセン「三月の水 」をオープンし、現在は週末限定で店舗を運営をしながら、自社の食品ブランド「滋味めし」の開発・販売を行っている。
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