おみやげ土産バナシ

ラーメンの脇役と思ってあなどるなかれ。福岡天神の名店・吉兜の「辛子高菜」

福岡県 酒場店主・岸本とも子のおみやげ土産バナシ 2品目

2023.11.15

文=瀬谷薫子 / イラスト=山田将志

2023.11.15

文=瀬谷薫子 / イラスト=山田将志

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

福岡でとんこつラーメンのトッピングとして愛される「辛子高菜」。ふだんは“名脇役”ですが、今回の土産ものは、主役級のおいしさを誇る辛子高菜だとか。福岡市中央区にある、とあるラーメン屋で作られる知られざる逸品です。

旅の目的のひとつ、お土産。この連載では日本各地のローカルプレイヤーに、ここに来たら持ち帰るべし、というおすすめのお土産を伺います 。今回のレコメンダーは、福岡は天神でお酒の飲める惣菜店「デリカテッセン三月の水」を営む岸本とも子さん。7年前に東京から福岡へ移住したという彼女に、東京とは違う食文化への驚きや楽しさを交えながら、お酒好きはもちろん、そうでなくともきっと喜ばれるローカルなおいしいお土産4品について伺いました。

2品目
辛子高菜の概念が変わる。脇役じゃなく主役で食べたい、ラーメン屋の手作り「からしたかな」

吉兜「からしたかな」(1パック・600円)

▲吉兜「からしたかな」(1パック・600円)

「『辛子高菜』は九州ではおなじみですが、東京だとあまり見かけないものですよね。高菜漬けに唐辛子を利かせたもので、ピリッと辛くて後を引きます。
福岡ではとんこつラーメン屋に行くと卓上によく置いてあり、トッピングとして食べるのが常。ですが、この辛子高菜はトッピングではもったいないような一品です。

私の店の近所で、天神にあるラーメン屋さん『吉兜(よしかぶと)』で作られている『からしたかな』。その味が評判になって、今ではこれに特化して製造を行っているほどです。

友人から差し入れでもらったのがきっかけで食べ、最初は『何これ⁉ おいしい』と驚いて。それまで辛子高菜に興味を向けたことがなかったのですが、一気にハマってしまいました。

以来折を見て買いに行っていますが、小さなお店であまり量産もできないのでしょう、予約は必須です。オンラインショップなどはなく、電話で注文を受けているので、少しハードルは高いですが、だからこそありがたみが増します」

どんな料理も、これを添えれば “福岡風” に

「味は辛すぎずしょっぱすぎず、ちょうどいい塩加減。ほんのり酸味もあって、これだけで立派なつまみになります。あとはおにぎりの具にしても絶品です。

贈るなら食通の友人に。お酒好きはもちろん、ごはんのお供にもいいので辛いものが大丈夫なら誰でも喜ばれると思います。パッケージも気取らない印象で、お値段が手頃なのも嬉しいところ。

以前、『三月の水』でルーローハンを出したことがあり、その時はこの辛子高菜と紅生姜、青ネギをのせて"博多風ルーローハン"としていました。普通の高菜とは違って、辛子高菜をのせるとなぜか博多風の味わいになるから不思議。福岡のソウルフードを支える縁の下の力持ち的な存在ですね」

吉兜(よしかぶと)

https://www.facebook.com/yoshikabuto/?locale=ja_JP

レコメンダーの岸本朋子さん

きしもと・ともこ 東京でデザイナーとして活動したのち、飲食の世界へ。湯島「MUSIC BAR 道」の店長を経て、2016年福岡へ移住。デリカテッセン「三月の水 」をオープンし、現在は、店舗は週末限定で運営をしながら、自社の食品ブランド「滋味めし」の開発、販売を行っている。

吉兜の場所を地図で見る

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