監修=ニューブリッジ総合法律事務所 弁護士・松居英二/イラスト=中井 涼

子供の不用意なドア開け。事故が起きたら運転者の責任?

クルマにまつわるお悩みを解決!

Q.友人の親子を車に同乗させていたら、止まった際に友人の子供が不用意にドアを開けてしまい、自転車とぶつかりそうになりました。事故になっていたら、運転者である私の責任になるのでしょうか?

A.運転者には、同乗者に対して交通に危険を生じさせないように安全確認してドアを開けさせる義務がありますから、ドライバーにも損害賠償責任が生じる可能性があります。

交通事故総合分析センターによると、2020年に「ドア開閉」による事故は全国で963件発生しています。運転免許を持っている人ならドアを開けることの危険性を認識していますが、免許を持たない人や子供の場合、そのような危険性を認識していないので注意が必要です。

同乗者のドア開放や乗降が原因で起こった事故は、運転者にも責任がある

自動車の運行によって人身事故が発生した場合は、自動車の運行供用者(今回の場合、運転者)に自動車損害賠償保障法(自賠法)3条に基づく責任が発生します。同乗者が行うドアの開閉や乗降も自動車の運行にあたるとされていますので、被害者がケガを負った場合には人身損害(治療費、休業補償、慰謝料など)について、運転者に自賠法3条の責任が生じる可能性があります。自賠法は、被害者保護の考えから運行供用者が無過失を立証しない限り責任を負うとしています(同法3条ただし書)。

被害者の損害が自転車の破損など物的損害だけだった場合、運転者の不法行為責任(民法709条)が問題となります。この場合、運転者に事故発生に関する過失の有無が問題になりますが、運転者には次に述べる道交法上の注意義務もあることから、運転者が予見できないような異常な行動でドアを開けた場合でない限り、運転者の過失が認められることになります。今回のような子供が不用意にドアを開けることは運転者に予見できますから、運転者に過失ありとされるでしょう。

なお、ドアを開けた同乗者自身の不法行為責任(民法709条)も問題となります。子供の年齢によって変わってきますが、小学校低学年の子供だった場合、子供には責任能力(自分の行為の責任を理解する能力)がないため、監督義務者である親に責任が生じます(民法714条1項)。この場合の親と運転者は、被害者に対して連帯責任を負うことになります。

「同乗者のドア開閉」は、道交法でも安全確認等の義務あり

道路交通法の第71条は「運転者の遵守事項」を規程し、その第4号の3には「ドアを開ける場合の安全確認」義務が定められています。具体的には、安全確認せずにドアを開けたり、降車してはならないとされています。そこでは、運転者に同乗者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするための必要な措置を講ずる義務も負わせています。

安全確認せずドアを開放等すること、同乗者にさせることは、この義務違反として5万円以下の罰金、1点(安全不確認ドア開放等)の違反点、6,000円(普通車)の反則金が科されます。注意をしても従えないような幼い子供を乗せる場合には、下の写真のように車内からドアを不用意に開けないよう、チャイルドロックを使うといいでしょう。

後席ドアの側面に付く「チャイルドロック」

通常、運転者の自動車保険の支払い対象になる

同乗者のドア開放や乗降が原因で起きた事故により運転者が責任を負う場合には、自動車保険の支払い対象となります。被害者の人身損害については自賠責保険及び対人賠償責任保険が、物的損害については対物賠償責任保険の支払いの対象になります。自賠責保険しか加入していない場合には、保険金の支払い限度額(傷害に関して120万円など)があり、相手の物的損害には支払われませんので注意が必要です。

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