今週のクルマお悩み相談

飲酒後、仮眠すればお酒は抜ける?

クルマにまつわるお悩みを解決!

2022.08.06

監修=独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター名誉院長・樋口 進

2022.08.06

監修=独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター名誉院長・樋口 進

この記事のキーワード
この記事をシェア
1年点検を受けると、だれにでもチャンス

Q.休日に友人と河原でバーベキューをする予定です。友人は「飲んでも仮眠すれば大丈夫」と、運転して帰るつもりですが、仮眠すればお酒は抜けるのでしょうか?

A.飲む量や体質にもよりますが、仮眠をした程度ではアルコールは分解されないので、飲酒運転の危険があります。

河原でのバーベキューやキャンプでビールを飲むのを楽しみにしている人は多いものですが、車を運転する必要がある人は飲酒運転の危険があるので十分注意しないといけません。ご友人のように、お酒を飲んでも仮眠したり、大量の水を飲めばアルコールが抜けると思っている人が少なくありませんが、これは大きな間違いです。

体質や体調で異なる、アルコールの分解(消失)速度

アルコールは肝臓に続いて、筋肉や心臓でも分解されます。分解(消失)できる量は、性別や体質、体調によって大きく異なるため、あくまでも目安にはなりますが、日本アルコール関連問題学会では、1時間に分解(消失)できるアルコール量を4g※と規定しています。そこから5時間で分解できる量をお酒の種類別に表したのが下図です。アルコール度5%のビールなら500mL。つまり、ロング缶1本を分解するのに5時間は必要になります。

  • 松本博志「アルコールの基礎知識」(日本アルコール・薬物医学会雑誌46より)


酒類別、5時間で分解できる酒量の目安※

酒類別、5時間で分解できる酒量の目安

仮眠したり大量の水を飲めば、お酒は抜ける?

では、ロング缶1本のビールなら、5時間仮眠すればアルコールは抜けて運転できると思いがちですが、それは間違いです。睡眠中は起きているときよりアルコールの消失速度が大幅に遅くなるからです。また、「飲酒後に大量の水を飲めば大丈夫」と考える人もいますが、それも間違い。人間の体の約7割は水でできており、飲んだアルコールは体中に満遍なく溶け込むので、一時的に大量の水を飲んだくらいではアルコールは消失しません。時間をかけて、肝臓や筋肉、心臓で分解するしかないのです。

酔いを自覚しない“酒気(しゅき)残り”による事故に注意!

なお、道路交通法の酒気帯び運転の基準値は「呼気1Lあたりのアルコール濃度が0.15mg以上」。実は、その基準値以下でも飲酒による事故が発生しています。基準値以下でもアルコールの影響が残っている状態は「酒気残り」と呼ばれ、警察庁が調べた「飲酒状況別交通事故件数(右グラフ)」では、酒気残りに該当する割合が、全体の約2割を占めています。酒気残りが厄介なのは、本人に酔いの自覚がない点。感覚的にお酒が抜けたからと安易に運転するのは危険です。前述したようにお酒による影響には個人差があるので、酒量や仮眠の有無などにかかわらず、飲酒後に車を運転することはやめましょう。

飲酒状況別、交通事故件数[%]

この記事のキーワード
この記事をシェア

この記事はいかがでしたか?

関連する記事Related Articles