高速道路から道の駅に立ち寄れるシステムとは?
クルマにまつわるお悩みを解決!Q.友人から「高速道路の途中で一般道の道の駅に立ち寄っても、高速料金が変わらない」という話を聞きましたが、そんなことができるのですか?
A.高速道路からの一時退出を可能とする社会実験が行われており、全国23か所の道の駅が対象になっています(2022年8月現在)。
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※モータージャーナリストの清水草一さんがお答えします。
高速道路をドライブしていれば、飲食やトイレ休憩を取りたくなるものです。そんな時に利用するのが、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)。しかし、SAやPAなどの休憩施設の間隔が約25㎞以上離れている休憩施設の「空白区間」が、全国で100か所ほど存在しています。
社会実験は高速道路の休憩施設不足の解消が目的
そんな空白地帯を一般道にある道の駅で埋めるための社会実験が、国土交通省によって行われています。社会実験のメリットはいったん高速道路を降りて道の駅に寄ってから高速道路に入り直しても、目的地まで高速道路を降りずに利用した場合と同じ料金で済む点です(下図参照)。
出典=国土交通省資料
通常、高速道路を一時退出して再度高速道路に入り直すと、初乗り料金(150円+消費税)がかかりますが、これが加算されません。ETCの長距離割引や夜間割引も、継続して適用されます。
つまり、これまで料金を気にして途中で降りてまで寄ることがなかった道の駅にも気軽に立ち寄ることができるのです。2022年8月現在、社会実験の対象となる道の駅は23か所で、今後さらに6か所追加される予定です(下表参照)。ただ、現状の23か所中、本当の意味で「空白地帯を埋める」役割を果たしそうな道の駅は半分程度にとどまっています。レストランなどの設備を持つSAやPAがほとんどない北海道や沖縄には、現在のところ設置ゼロ。東北地方も3か所しかありません。今後増えていく可能性はありますが、まだ所期の目的を果たすのは困難な状況です。
一時退出は、ETC2.0搭載車でないとダメ
また、このサービスはETC2.0搭載車に限定したもので、ETCを装着していない車や通常のETC搭載車では利用できないのも残念なところ。ちなみにETC2.0とは、高速道路や有料道路に設置されたITSスポット(路側無線装置)から送られてくる広域の道路交通情報を利用できるもの。
これまでの自動料金収受機能だけでなく、渋滞回避支援や安全運転支援などのサービスが受けられます。また、地域限定ではあるものの、圏央道の料金は通常のETCより約2割引となります。
ただ、ETC2.0の車載器は通常のETCに比べ、1万円程度割高です。その差額を「一時退出」のサービスで取り返すには、数十回程度利用する必要があり、あまり現実的ではありません。あくまで、ETC2.0搭載車に対する、一部サービスと考えたほうがいいでしょう。
道の駅に寄れる時間は、移動時間を含めて2時間以内!?
一時退出のサービスは、対象となっているICにおいて、順方向への乗り直しだけが対象で、逆方向に戻る場合は対象外になります。かつ、対象の道の駅に必ず立ち寄る必要があり、ICを一時退出後、2時間以内に乗り直す必要もあります。
このように条件が厳しいのは、あくまで「高速道路上のSA・PAの代替としての利用」に限定しているからです。非常に限定されたサービスなので、受ける場合は、場所や時間などをあらかじめ確認し、ドライブプランを検討しておくといいでしょう。
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清水草一
しみず・そういち モータージャーナリスト、日本文藝家協会会員。 1962年東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手出版社で漫画家の池沢早人師氏の担当編集者を務め、スーパーカー、とくにフェラーリに惚れ込む。その魅力を世に広める活動に取り組む。代表作『そのフェラーリください!』のほか、お笑いフェラーリ文学、自動車読み物を単行本や雑誌に多数執筆。『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。