信号無視や一時停止を守らない自転車に反則金!? 自転車も対象に拡大する「青切符」とは?
今後適用される違反や対象について説明警察庁の有識者会議「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会」が2023年12月にまとめた中間報告書によると、今後、自転車の交通違反に対して、現在の指導警告や、より悪質・危険な行為に対して適用され、罰金など刑事処分の対象となる「赤切符」に加えて、より効果的な対応として「青切符」を適用することが検討されている。
自転車の重大事故が多発…青切符を自転車にも適用する意味
青切符とは、通常の刑事手続によらず交通違反を簡易迅速に処理するため、違反者に反則金を納付するよう促す「交通反則通告制度」に基づき、取り締まり現場において警察官が違反者に対して渡す「交通反則切符」のことを指している。
この反則金の納付については任意だが、自動車における納付率は約98%に達しており、実質的なペナルティとして機能している。ちなみに、反則金を納付しない場合は、刑事手続きに移行することになる。
これまで自転車に適用されてこなかった青切符であるが、現在、自転車対歩行者事故などの自転車関連事故件数が増加傾向にあり、自転車が当事者となった死亡・重傷事故件数の多くに自転車側に何らかの法令違反が認められることから、自転車の交通ルール遵守をさらに認識させる必要が生じている。
一方、すでに適用が始まっている赤切符については、犯罪行為として例外なく刑事手続の対象とされることから、制度として重すぎる面がある一方、自転車の交通違反の場合は不起訴となることが多いという問題点がある。
そのため、より簡易な制度である青切符によって、自転車の交通違反に対して実効性のあるペナルティ(反則金)を科すことができるという、わかりやすい仕組みが求められたようだ。
2022年における自転車乗用中の死亡・重傷事故における自転車側の法令違反件数(警察庁資料より作成)
ながらスマホや傘さし運転は? 自転車で青切符の対象となる違反
今回、有識者会議において検討されている青切符の対象となる違反行為について、下記にその一部を示す。
- 信号無視
- 指定場所一時不停止
- 通行区分違反(右側通行、歩道通行等)
- 通行禁止違反
- 遮断踏切立ち入り
- 歩道における通行方法違反(徐行義務違反等)
この他、ブレーキがない自転車に乗ったり、傘をさして自転車に乗ったりする行為も青切符の対象となる。また、携帯電話を使用しながら自転車に乗る、いわゆる「ながら運転」については、青切符の対象となることに加え、より悪質・危険な場合は赤切符が適用される。自転車の酒酔い運転や酒気帯び運転についても同様に赤切符の対象だ。
違反=青切符とはならないものの、交通ルールの遵守を
こうした青切符の対象となる違反については、ただちにペナルティとしての反則金を支払うことになるのだろうか。有識者会議では、こうした違反に該当するものの、「他の交通への迷惑性・危険性」が低いものについては、従来通りの指導警告にとどめるという案を示している。
また、青切符の対象となる自転車運転者の年齢については16歳以上とし、16歳未満については指導警告や交通安全教育によって交通ルール遵守を促していくという方針。
自転車の違反による事故が増加しているという現状をよく理解したうえで、免許不要で誰でも気軽に乗ることができる便利な乗り物という自転車のメリットを損なわないよう、自転車運転者が一層交通ルールの遵守を自覚することが大切だ。