CO2排出ゼロ! 世界初のフル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT eGR250N」登場!
1台あたり年間約27tのCO2削減効果が見込める!普及が進む電気自動車(EV)は、CO2の排出抑制のためにも期待されている。さまざまな分野のEVが開発される中、世界初となるフル電動クレーンが登場した。電動化には課題が多いといわれる「働く車」だが、ゼロエミッションへの取り組みの現状は…?
走行もクレーン作業もフル電動で行えるのは世界初!
建設用クレーンや高所作業車などを製造販売する株式会社タダノ(香川県高松市)は、フル電動ラフテレーンクレーン「EVOLT(エボルト)eGR-250N」を2023年12月8日に発売した。フル電動での実用化は世界初。販売価格は1億4,800万円(税別)で、年間20台の販売を目指す。
ラフテレーンクレーンとは、ひとつの運転席で走行とクレーンの操作ができる自走式クレーンのこと。コンパクトで機動性に優れ、都市部の工事現場で多く活躍している。EVOLT eGR-250Nは、日本国内で最も台数が多い吊り下げ性能25tクラスのラフテレーンクレーン。走行とクレーン作業の両方で、バッテリーを動力源にしたモーターを使用する。
リチウムイオンバッテリーを前後に搭載し、中央部に前軸用と後軸用のモーターを2基搭載。充電ポートは車両後方に配置されている。
最高速度は時速49㎞、最大クレーン容量は国内で需要の多い25t。操作系は安全性も考慮し従来のディーゼル車とほぼ同様としている。
年間約27tのCO2を削減! エンジンの騒音もない!
電動化のメリットは、CO2(二酸化炭素)の排出量をゼロにできること。走ってもクレーンを動かしても、CO2を一切出さない。ちなみに同クラスのディーゼルエンジン搭載車「GR-250N」は、1台当たりの年間約27tのCO2を排出するという。
騒音面も大きく改善した。走行性能やクレーン性能は従来のディーゼルエンジン車と同等で力強いが、ディーゼル特有の響きわたるエンジン音は一切なく、クレーンの動きも静か。住宅地付近など騒音にシビアな現場での使用にも適している。
充電時間は急速充電で約2.5時間。満充電状態で平均的な1日分のクレーン作業ができ、走行だけなら約70㎞の移動が可能。プラグイン状態でのクレーン作業もできる。
急速充電はCHAdeMOを採用(充電時間は約2.5時間)。満充電で平均的な1日のクレーン作業と走行が可能。
「働く車」ゼロエミッション化も着実に進んでいる
同社は、フル電動化によってCO2排出量をゼロにするだけでなく、快適な走行、メンテナンス性の向上、大きく改善した静粛性など、これまでにないラフテレーンクレーンの新しい付加価値を国内外に提供していくとコメント。今後もCO2削減が難しい分野で常識を変える開発を進める予定だ。
バッテリーの高性能化、充電機器の拡充、設備や車両の高額化など、作業現場で活躍する「働く車」のEV化には乗用車に比べて困難な課題が多いが、ゼロエミッションへ向けた取り組みは着実に進んでいる。