JAFとトヨタが共同開発! 世界初となる移動式給水素トラックを公開
脱炭素社会へ向けた新たな取り組み脱炭素社会の実現に向け、BEV(電気自動車)へのシフトが世界的に加速している。日本では2035年までに新車販売で電動車100%を目標としている(ハイブリッド車や燃料電池車も含む)。こうした動きを見据え、JAFとトヨタ自動車が共同で移動式給水素トラックのプロトタイプを開発し、9月2日に公開した。
電欠は年間約750件、水素欠も年間約20件発生している!
JAFによると、電気自動車の電欠(電池切れ)による救援要請は、2022年度で年間約750件発生しているという。さらに現状ではまだ普及が進んでいないFCEV(燃料電池車)でも、年間約20件の水素欠(燃料切れ)が発生しているとのこと。
こうした状況を踏まえ、JAFでは2023年8月1日より、電気自動車の電欠に対しその場で充電する「EV充電サービス」の試験運用を開始した(東京・神奈川・愛知・大阪で開始し順次全国に拡大予定)。給水素トラックは、さらにその先を見据えた開発といえる。
今回公開のプロトタイプは給水素モジュールを2台搭載しており、MIRAI約20台が100Km程度走行するのに必要な量を給水素することが可能。また、給水素が行えるだけではなく、パンク修理やバッテリー上がり、キー閉じ込みなどのJAFへの救援要請の多い基本的なトラブルに対応可能な装備も備えているのも特徴。水素欠専用車両ではなく、汎用性を持たせることで、さまざまなロードサービスが行えるよう配慮されている。
プロトタイプには給水素モジュールを2台搭載しており、MIRAI約20台が100Km程度走行するのに必要な量を給水素することが可能。
給水素以外にもパンク修理やバッテリー上がりなど救援要請の多い通常のロードサービス業務を行える装備も搭載している。
給水素トラックを実際に導入するには法整備が必要
公開時に行われた給水素作業のデモンストレーションでは、約7分の充填で150㎞程度を走行できる給水素が完了した(充填時間は車種や状況によって変動)。ユーザーとしては十分納得できる作業時間ではあるが、高圧の水素ガスを扱うため、現状では給水素を実施できる場所や離隔距離、運搬に関わる資格などに規制があり、路上での給水素サービスを行うのは困難な状況だ。実際にロードサービスを行うには規制緩和が不可欠となる。
こうした状況についてJAFの四宮副会長は、「法整備などの見直しに関しては、自動車メーカーのトヨタ、そしてJAFという多方面からの働きかけが積み重なることにより、社会実装が進んでいくことが大切だと思っています」と、給水素トラックの導入に向けた考えを述べた。また、トヨタ自動車の中嶋副社長は、「FCEVへの給水素だけではなく、家庭用の水素発電ユニットにも給水素が可能なため、さまざまな可能性が広がる」と、脱炭素社会での必要性についても語った。
デモンストレーションでは7分程度で充填が完了。時間的には問題ないといえるが、実際にロードサービスを行うには作業方法などに関する規制緩和が必要になる。
冒頭の挨拶でJAF四宮副会長(写真右)は、「ロードサービスを通じて安全と安心をサポートするのがJAFの使命。車や環境が変わっても新たな取り組みにチャレンジし、車社会の発展に寄与したい」と述べた。
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