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日本のトンネル技術が勝利! 長野県飯田市から静岡県浜松市に至る青崩峠トンネル(仮称)が貫通

長野と静岡を結ぶ三遠南信道の一部として開通予定

2023.06.07

写真提供=国土交通省飯田国道事務所(以下同)

2023.06.07

写真提供=国土交通省飯田国道事務所(以下同)

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国土交通省飯田国道事務所は、長野県と静岡県を結ぶ三遠南信自動車道の青崩峠トンネル(仮称)が、2023年5月26日に貫通したと発表した。青崩峠はかつて、昭文社発行の「ツーリングマップル」に「あまりの崩落の激しさに日本のトンネル技術が敗退」と記されたほど難工事とされる。そんな青崩峠を貫く道路の開通に、見通しが立った。

青崩峠は、中央構造線の影響によって地盤がもろい

青崩峠は、飯田市のウェブサイトによると、信州・諏訪と遠州・秋葉山などを結ぶ秋葉街道にある標高1,082mの峠で、1572年に武田信玄が遠江の徳川家康を侵攻する際、この峠を通過したともいわれている。近くを南北に走る中央構造線の圧力によって地盤がもろくなっており、青色の岩盤が崩れていることが青崩峠という名称の由来だ。現代の秋葉街道たる国道152号は、その地盤のもろさが災いして青崩峠のサミット手前から長く不通区間となっており、同市ウェブサイトにはハイキングのため、車で青崩峠を訪れる際の注意事項として「落石によるパンクやガス欠にご注意ください」と記載するほどの“酷道”だ。

1983年の事業化から40年、2019年の着工から4年で貫通

青崩峠にトンネルを建設する計画は1983年に事業化し、以降地質調査などが行われてきた。2005年には中央構造線の西側を掘り進める現ルートに決定し、2019年4月に着工。しかし、中央構造線で発生する力で押され、トンネルの断面にゆがみが生じることも。コンクリートで固めて圧力を抑え込み、力が落ち着くのを待ちつつ慎重に作業を進め、今回の貫通となった。

青崩峠トンネルの、長野側の坑口

青崩峠トンネルの、長野側の坑口。

青崩峠トンネルの、静岡側の坑口

青崩峠トンネルの、静岡側の坑口。

開通によって所要時間は25分の短縮に

貫通時の写真

長野・静岡両県の坑口から掘り進め、2023年5月26日に貫通した青崩峠トンネル。トンネル技術が勝利した歴史的な瞬間だ。

青崩峠トンネルの延長は4,998m。9.5mの幅員に2車線の道路が整備される。同事務所によると、開通時期は未定ながらトンネル内の覆工コンクリートや路面舗装、照明などの工事を順次進めていく予定だ。トンネルを含む青崩峠道路が開通すると、道幅が狭く、法面の崩壊がひんぱんに発生する市道を迂回する必要がなくなり、約30分かかるところが約5分で通過できるようになるという。

青崩峠トンネルの開通は、日本のトンネル技術が勝利した証であるのかもしれない。

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