高速道路の逆走は2日に1回の割合で、年間では平均190件も発生している!
新たな「逆走検知システム」も試行2029年までに「高速道路の逆走による重大事故ゼロ」を目指す国土交通省は、これまで実施してきた逆走対策の効果を検証。2023年7月11日には「高速道路での逆走対策に関する有識者委員会(第6回)」を開催し、新たな対策の検討や試行を始めた。
なんと高速道路の逆走は2日に1回起きている!
高速道路の逆走は、「2日に1回起きている身近な問題(NEXCO西日本)」といわれる。国土交通省によると、逆走事案は2017年~2022年の平均で年間約190件発生。そのうち約2割が事故につながり、負傷者や死者が出る重大事故も毎年起こっている。
逆走の理由は「一般道から高速道路に誤進入し、本来のルートへ復帰するために逆走した」、「高速道路の出口に誤って侵入した」などが多く、故意・過失をあわせて「道間違い」が全体の約6割を占める。「目的の出口を通り過ぎたあと本線をUターンした」や、「カーナビの案内を誤認した」などの動機もしばしば見られる。
逆走の発生場所はIC・JCTが半数以上
逆走事故の発生場所としては本線が約6割と最も多く、次いでIC(インターチェンジ)やJCT(ジャンクション)が約4割だったが、逆走車が発生する場所はIC・JCTが半数以上の53%、高速走路本線が23%、SA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)が7%、不明が17%となっている。逆走事故者の年齢は30~65歳未満が34%、75歳以上は32%、65~75歳未満は19%、30歳未満は13%。高齢ドライバーだけでなく、中年層も多いことがわかる。
逆走が発生しやすい場所と発生ケースの一例
ICやJCTは逆走が最も多く発生する場所で、全体の53%を占める。目的の出口を間違えてUターンすることで逆走となるケースも発生している(出典=NEXCO西日本 )。
逆走対策を実施しているが全体では横ばい状況
高速道路会社では、逆走対策として逆走を開始する地点で集中的に対策を進めてきた。ICやJCT周辺でのラバーポールや大型矢印路面標示の設置、誤進入を起こしやすい地点での音と光による注意喚起などが代表例で、物理的・視覚的対策を実施している。すでに管理区間の逆走対策はほぼ終了し、対策を終えた分合流部や料金所周辺では、一時的に逆走事案が減少した。しかし、全体では横ばいが続いており、今回の有識者委員会でも、逆走による重大事故ゼロに向けては、より効果的な追加対策の検討が不可欠とされた。
逆走事故発生件数の推移と逆走事故の運転者の年齢
対策による一時的な減少も見られるが、逆走事故の発生件数は全体としては横ばいの状況が続いている(国土交通省調べ)。
本四高速で新たな「逆走検知システム」を試行
実際に新たな取り組みも始まっている。本州四国連絡高速道路では、2023年7月から一部区間で「逆走検知システム」の試験運用がスタート。逆走車を検知すると「逆走です」と繰り返しスピーカーで警告し、サイレンや回転灯、電光表示を連動して運転者に逆走を伝える。順行車にも「逆走車あり」とスピーカーで情報を伝え、サイレンや回転灯、電光表示で注意喚起を行う。
本州四国連絡高速道路の「逆走検知システム」
逆走を検知すると、サイレンや回転灯、電光掲示板で運転者に逆走していることを伝え、順行車にも逆走車の存在を知らせる(出典=本州四国連絡高速道路㈱ )
逆走を発見、逆走してしまった場合の対処は?
では、逆走車の情報を見聞きしたときは、どう対処するのか。NEXCO西日本によると、①速度を落とし、車間距離をとって走行、②逆走車を前方に発見したら追突を避けるよう注意して走行、③同乗者が110番、あるいは最寄りのサービスエリアなどの非常電話から通報する。追突事故や衝突事故の原因となるので、急ブレーキや急ハンドルは避けるようにも呼びかけている。
自分が逆走してしまったときは、①近くの安全な場所に停車し、ハザードランプを点灯、②車内にとどまらず、ガードレールの外側など安全な場所に避難、③110番や非常電話で通報する。自身と周囲の安全を確保することが、なによりも大切だ。お盆の帰省や夏休みのレジャーなどで高速道路を利用する機会も増えるため、普段走り慣れていない道を走る際には注意しよう。
- ※出典:NEXCO西日本