車のシートはどれだけ汚れているのか調査してみました!
車に関するさまざまなことを調査してみる「JMO特命調査団」。第2回目は車のシートがどれだけ汚れているのかを調査してみました! 布製品を水洗いできるクリーナーと、水の濁り具合を測る濁度計、水分中の有機物に反応する水質測定キットを使って、いざ調査開始です!
気づかないふりをしてきた「シートの汚れ問題」を何とかしたい!
普段から車に乗っている人なら、うすうす気づいてはいるものの目を背け続けている「ある事実」があるはずです。それは「車のシートって、絶対汚れてるよね⁉」ということ。車の外装はコイン洗車などで比較的簡単に洗えますが、内装、特に布製のシートともなると、せいぜい拭き取りや掃除機でチリを吸い取るのが精一杯。そんな掃除されない箇所のわりに、服に付いた土ぼこりや泥、お菓子の食べかすなどがたまって染みついていく部分なので、汚れていないはずがない。
「シートが汚れているのはわかっているけど、どうやって掃除すればいいかわからない……。どうせ何もできないなら、気が付かなかったことにしてしまおう」という考えから、人々はこの事実から目をそらし続けてしまうのでしょう。
この問題に目を付けたのが我々特命調査団。「車のシートがどれだけ汚れているのか、目をそらせないほど圧倒的な事実を明らかにしよう! そして皆さんがシートの汚れに向き合い、きれいな車で快適なカーライフを送れるよう手助けしようじゃないか‼」と今回の調査に挑んだのであります。
今回使う道具は、
・布製品を水洗いできるクリーナー
・水がどのくらい濁っているかを数値で測れる濁度計
・水分中のたんぱく質や油脂類といった有機物の量を測定する水質測定キット
の3つ。
クリーナーはタンクにためた水を布製品にスプレー噴射し、汚れが溶け込んだ水ごとノズルで吸引する仕組み。吸引された汚水は別のタンクにたまるため、その濁り具合や有機物の量でシートの汚れをチェックします。
なお、今回は「濁りの数値」が高く、「有機物の量」が多ければ多いほど、「汚れている」と判断します。一部のハウスダストなど透明な「汚れ」は今回のテストでの検証外なのでご了承ください。
クリーナー。向かって右側のタンクにきれいな水をため、左側には汚水がたまっていく。
濁度計。付属の瓶にサンプルを入れ、機器にセットして使う。
水質測定キット。ビニール製の筒の中に液体を吸入すると薬剤が反応し、有機物量に応じて色が変わる。
調査するのは編集部員の自家用車
今回調査に使うのは編集部員が普段使いしている自家用車。おや? 内装がテーマなのに外装もけっこう汚れてるような……。本人曰(いわ)く「日常感が出るように最近はあえて洗車をしませんでしたよ!」とのこと。買い物や外出などに使うのはもちろん、サッカー帰りの子供もよく乗せるそう。掃除のしがいがありそうです!
ちなみにシートはこんな感じ。一般的な布製シートですね。十分キレイに見えますが、この「一見汚れてなさそうな感じ」こそ、人々がこの事実から目をそらしてしまう要因なのです。
それではいよいよ調査開始です!
実際にクリーナーを使っている様子はぜひ動画でご覧ください!
自家用車に日頃の感謝を込めながら掃除します。
水を噴射し、浮き出た汚れを先端のヘラのような部分で掻き出しながら、水とともに吸い取ります。
汚れがたまりやすいシートのくぼみも念入りに掃除していきます。
運転席も忘れずに。帽子にはさりげなく特命調査団オリジナル缶バッジが光ります。
水はこれだけ濁ってました!
それでは掃除後、どのくらい汚水がたまったのか見てみましょう!
見事に茶色く濁った汚水ができ上がりました! いやはや、ここまで濁るとは本人も思ってなかったそう。色が泥っぽく見えるのは、サッカー帰りの子供の体や服に付いていた土や砂が原因でしょうか?
想像以上にしっかり汚れが取れたことに感動したので、機材車として持ってきていた社用車も掃除してみました!
自家用車と変わらぬ丁寧な手つきで掃除します。
自家用車よりは薄い気がするものの、しっかりと濁っていました。
クリーナーをかけた面積や時間が同じではないので比較はできませんが、自家用車と社用車だと年式や利用シーンが違うからか、汚れ具合も違ってきそうです。
濁り具合を測ってみる!
クリーナーにたまった汚水の濁り具合を、濁度計と水質測定キットを使って測定していきます。今回は、
・自家用車の汚水
・社用車の汚水
のほか、比較のため、
・精製水
も測定しました。
まずは濁度計での計測のため、瓶に水を入れていきます。
左から順に精製水、自家用車、社用車なのですが、並べてみると一目瞭然! やっぱり真ん中の自家用車が一番濁っていて、かつ色も茶色です。社用車はどちらかというとねずみ色。社用車はシートの色がグレーの部分にクリーナーをかけたので、もしかするとシートの毛の色も関係あるのかもしれません。
まずは精製水を濁度計にセット。
結果は……。
不純物が入ってない精製水なのですから、当然の0.00NTUです。ちなみにNTUというのは濁度を示す単位の一つで、数値が上がれば上がるほど濁りが強いことを意味します。
お次は社用車の汚れが入った水。こちらも同じようにセットし……。
結果は605NTU! 精製水から一気に跳ね上がりましたね。ちなみに市販の緑茶でも測定してみたのですが、濁度はわずか24.4NTUでした。恐るべし車のシート、そして恐るべしクリーナーです。
いよいよ本命の自家用車で測定してみましょう。
果たして結果は……。
767NTUという数値が出ました! 記録更新です! やはり見た目通り、自家用車の水が一番濁っています。
最後に水分中の有機物の量を示す水質測定キットの結果も見ておきましょう。薬剤に反応して変化した水の色を、判定用紙にある色と見比べて有機物の量を判断します。
ゼロを示すピンクから色が黄色になるにつれて有機物の量が多いことを示しているのですが、結果はこの通り。お察しの通り、左から精製水、社用車、自家用車の順で並んでいます。濁度だけでなく、有機物量でも自家用車の完全勝利(?)です!
一見汚れていないように見えるシートも実は汚い!
皆さんがいままで見て見ぬふりをしていたシートの汚れを、今回は濁度と有機物量というものさしで明らかにしてしまいました。生活の手段として普段から乗られている車はもちろん、趣味で休日にしか動かさない車も、大なり小なり車のシートは汚れています。この事実と向き合い対処して、きれいで快適なカーライフを手に入れましょう!
ちなみに「シートの汚れがこんなに取れるなんて!」と驚いた編集部員は、テスト終了後にクリーナーを家に持ち帰り、車はもちろん家中の布製品を掃除したそうです。よっぽど衝撃的だったんでしょうね。