燃費を考えているイメージ

「朝に給油するとたくさん入る」は都市伝説⁉ 燃費向上テク8選をプロがガチ判定!

アルミテープ、添加剤に高級プラグ…これって有効?モータージャーナリストが徹底解説
菰田 潔(モータージャーナリスト)

「燃費向上」は、全ドライバーの願い! 前回の「走行テクニック編」に続き、今回もJAF会員から集まったリアルな燃費節約術をご紹介。これまでにも、タイヤの空気圧管理や適切なメンテナンスが燃費改善に不可欠であることをお伝えしてきましたが、読者アンケートの回答をさらに深く読み進めていくと……日常の運転を飛び越えて、実にバラエティー豊かなアイデアが集まっていました。

今回はメンテナンスや、燃費向上グッズなど「走行前」のテクニックをご紹介。モータージャーナリストの菰田潔さんにガチ判定していただきました。

目次

1.「燃費向上添加剤」その効果は?→判定「△」

車種、年式によって効果は変動。メーカー保証に影響することも

  • 「エンジンオイル添加剤を入れてエンジンの回転負荷を軽減している」(岩手県・40歳代)
  • 「気休めかもしれませんが、燃費が良くなるという添加剤等を使用しています」(熊本県・40歳代)

菰田さんの回答:良い製品もあるかもしれませんが、カーメーカーは市販のオイル添加剤を投入することをおすすめしていません。どんな材料を使っているのか不明だからです。

そしてエンジン内部は非常に高温、高圧になり、その材料がどんなものに化学変化するかわかりません。非常に硬質なものになってシリンダー内を傷つけたり、排気管の途中にある触媒と反応して機能しなくなったりということもあります。カーメーカーの保証に影響する場合もありますから、注意が必要です。

燃費向上に効果があるとされる添加剤には、ガソリンタンクに入れる「燃料添加剤」と、エンジンオイルに加える「オイル添加剤」などがあります。効果は車種や年式、エンジンの状態によって変わります。使用する場合は、取扱説明書やメーカーの注意事項を確認し、キャッチフレーズだけで判断しないことが大切です。

2.暖機運転は燃費向上に有効?→判定「×」

→今のクルマはほぼ必要なし。走り出しは穏やかに

  • 「水温、油温が適温になるまで暖機してから車両を動かす。オールシーズンにおいて、プラグのかぶりはなくなりブローバイも減少。エンジンのコンディションと燃費のバランスがとれるようになったと感じる」(青森県・50歳代)
  • 「スタ-ト時の暖機運転時間を短縮し、アクセル操作を緩やかに行う」(群馬県・70歳代)

菰田さんの回答:エンジンの燃料噴射装置がキャブレターから電子制御に変わってからは、止まったままの暖機運転は不要になりました。エンジン温度、外気温度、アクセルペダルの踏み込み量を見て最適な点火と燃料噴射をしてくれるからです。走り出しのまだ水温が低いうちは、高回転まで回さないように走ればいいのです。

あるクルマの取扱説明書には「エンジンを長持ちさせたければ、エンジンをかけたら直ちに発進してください。エンジンが長持ちするのはエンジンが最適運転温度のときです」とあります。止まったままの暖機運転は温まるのが遅いです。もし車内を暖めるために暖機するなら、EVかPHEVで家から電気をつないでエンジンをかけずに車内を暖める方法もあります。

かつてのクルマは、エンジンをかけてから「クルマが暖まるのを待つ」時間が必要なケースもありました。しかし現在の乗用車では、極寒冷地など特別な状況を除き、止まったままの暖機運転は基本的に不要とされています。走り出し直後はエンジンが冷えているため、急加速や高回転を避け、穏やかに走りながら暖めるのが現実的です。

3.燃費向上アルミテープの効果は?→判定「◯〜△」

→理屈としては効果あり。体感できるかは条件次第かも

  • 「アルミテープをバンパーほか車体周りおよびエンジン吸気管に貼る。向かい風での空気抵抗が減るのは確か。エンジン吸気系の抵抗も減っている気がする」(石川県・50歳代)

菰田さんの回答:クルマに帯電している静電気は、いろいろな悪さをしているようです。特にプラスチックパーツに帯電しやすく、その静電気を空気中に放電するのがアルミテープです。

特許も取っていますから、それなりの効果はあるのでしょう。ただし一般の方がすぐにわかるほど明確な差が表れるか、となると難しいと思います。空気抵抗が減るのはボディー表面の空気の乱れがなくなりきれいに流れるからのようですが、高いスピードのほうが差は出やすいです。

車体にアルミ製のテープを貼ることで静電気を逃がし、空気の流れを整えるのは、特許にも見られる技術です。ただし、どこに貼っても同じ効果が出るわけではないため、一般のドライバーが燃費向上として明確な差を体感できるかは、車種や貼る位置、走行環境によって大きく変わると考えられます。

4.朝に給油したらたくさん入る?→判定「×」

それは都市伝説! 外気温は影響なし

  • 「給油は朝にする。気温が低い方が、体積が小さいのでおトクだから」(茨城県・60歳代)

菰田さんの回答:『気温が高い日にガソリンを入れると、熱膨張によってガソリンの体積が大きくなっているから給油メーターの値より少なく給油される』という都市伝説があるようですが、これは誤り。

日本のほとんどのガソリンスタンドはタンクが地中にあり、外気温度の影響は受けにくいです。気温による体積の違いを感じることはないと思います

液体の体積が温度で変わるという理屈自体は間違いではありませんが、給油所の地下タンクでは外気温の影響を受けにくいため、朝に入れたから目に見えて得をする、というほどの差は期待しにくいようです。

5.プラグを燃費向上タイプに変更→判定「△」

効果はあるかも。ただし費用対効果で考えると…?

  • 「燃焼効率を良くするイリジウムプラグの導入」(兵庫県・40歳代)

菰田さんの回答:非常に高価なイリジウムスパークプラグは燃費向上、パワーアップに効果があるかもしれません。しかし高価なプラグの分だけ燃費が良くなって、最終的にトクになるかどうかは緻密に計算する必要があります。

走行距離が延びた近年のクルマの場合は、バランスが取れた純正品でも新品に替えるだけで、それなりの効果はあります。

スパークプラグは、エンジンを動かす際に、燃料と空気が混ざった「混合気」に火花を飛ばすパーツ。スパークが良好なら、混合気が効率よく燃焼しやすく、劣化したプラグは燃費や始動性に影響する可能性があります。ただし、高価なプラグに交換した分を燃料代で取り戻せるかは、走行距離や車両の状態によって変わります。まずは取扱説明書に沿った定期点検・交換を基本に考えるのがよさそうです。

6.エンジンオイルを粘度の低いものにする→判定「△~×」

→愛車への影響を考えて、長い目で見て経済的なのは?

  • 「エンジンオイル交換を自分でするようにしているので、エンジンに負担の少ない化学合成オイルを使用している」(埼玉県・60歳代)
  • 「エンジンオイルを粘度の低いものにする」(兵庫県・50歳代)

菰田さんの回答:確かに粘度が低いエンジンオイルを使えば燃費には有利になります。ただし、粘度はカーメーカーが指定したものがおすすめです。エンジンの特性、負荷、温度などを考慮して設定された粘度だからです。

マルチグレードは温度が低いときの粘度と温度が高いときの粘度により表示が異なります。もしも粘度の低いオイルを使っていて、酷暑の夏に渋滞に巻き込まれた! なんていう事態になったらエンジンが焼き付きなどのダメージを受ける危険性もあります。

オイル粘度は、エンジン内部の潤滑や保護に関わる重要な要素です。粘度が低いオイルは抵抗が少なく、燃費面で有利に働く場合もありますが、メーカー指定より極端に低い粘度を選ぶと、高温時や高負荷時に十分な保護性能を発揮できないおそれも。燃費だけを見て選ぶのではなく、取扱説明書に記載された指定粘度を守ることが、結果的にはエンジンにもお財布にもやさしい選択と言えそうです。

7.タイヤの空気圧を高めに調整→判定「×」

低すぎも高すぎもNG。指定空気圧をこまめに確認

  • 「タイヤの空気圧を定期的にチェックし指定よりも若干高めにしている」(神奈川県・60歳代)
  • 「タイヤ空気圧を15%ほど高めにする」(愛知県・60歳代)

菰田さんの回答:タイヤの空気圧は乗り心地、安定性、操縦性、グリップ、耐久性、騒音などさまざまな影響があります。車両指定空気圧より高めにセットすると確かに転がり抵抗は小さくなり燃費には有利になります。

しかしタイヤの接地面の中央部分が早く減り、タイヤ交換のタイミングが早くなってしまいます。ガソリン代よりタイヤ代の方が出費は大きそうです。

タイヤの空気圧は、燃費に直結すると言っても過言ではありません。低い空気圧のまま走行を続けると、タイヤの性能や寿命の低下を招くばかりか、タイヤ側面が過度にたわんで内部温度が上昇し、最悪の場合、バーストして大事故につながる危険性も。しかし高すぎると、菰田さんが説明するとおり、リスクが大きいです。燃費と安全の両面から、車両指定空気圧を基準に、少なくとも月に1回はチェックする習慣をつけましょう。

8.ガソリンは同一ブランドを使用する→判定「△」

→レギュラーガソリンの品質はほぼ均一。ハイオクは個性アリ

  • 「同じメーカーのガソリンを入れる」(富山県・60歳代)
  • 「燃料の安売り店を選択するが、ノーブランドのスタンドは混ぜ物が心配なので使用しない」(福岡県・60歳代)

菰田さんの回答:レギュラーガソリンの場合、流通のロスを減らすため、その地域の元売りが一括して各ブランドのガソリンを配送しているケースが多いです。つまりどのブランドも同じものだと考えて良いです。

ハイオクに関しては、各ブランドが独自のオクタン価や清浄剤を入れて個性を出していますから、違うものだと考えて良いでしょう。その違いを感じるかどうかは別です。ガソリンスタンドにより価格は異なりますが、家の近所でスタンドを決めて会員になると安く入れられることもあります。

レギュラーガソリンは、一定の品質規格を満たして販売されているため、ブランドを固定したからといって燃費が大きく変わるとは考えにくいでしょう。一方、ハイオクはブランドごとの特徴が打ち出されることもあります。ただし、それも「燃費が必ず良くなる」というより、車両の指定燃料やエンジン特性に合わせて選ぶもの。燃費だけでなく、価格、立地、会員割引、給油のしやすさも含めて選ぶのが現実的でしょう。


「ちょっと試してみたいかも……」と思うテクニックが並んだ今回の「走行前編」ですが、大切なのは“自己流で攻めすぎない”こと。クルマにはメーカーが想定した適正な使い方があり、燃費だけを追いかけると、安全性やメンテナンス費用の面でマイナスになることも。

走り方にまつわる“燃費向上ワザ”については、前編の「運転操作編」でも詳しく検証。また、低燃費運転の基本をもう一度おさらいしたい方は、JAF Mate Onlineの「ガソリン代を節約したい! 低燃費運転の重要ポイント7選」をぜひ参考にしてみてください。

燃費向上の近道は、意外な裏ワザよりも、日々の点検と無理のない安全運転。まずは今日も安全に!クルマにもお財布にもやさしいエコドライブを心がけましょう。

菰田 潔

こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。

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