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日本初のナンバープレートからご当地ナンバーの最新事情まで、ナンバープレートの歴史と変遷を探る

いつから付いた? 日本の「ナンバープレート」はじめて物語

2024.04.04

構成=リノクリエイティブ/文=御堀直嗣

2024.04.04

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子供の頃の家族ドライブでの定番車内遊びといえば、ナンバープレートの数字遊び。前を走るクルマのナンバープレートに並ぶ数字を足したり、引いたり、はたまた語呂合わせをしたりと、一度はそんな遊びをしたことでしょう。付いていることが当たり前のナンバープレートですが、その歴史はご存じですか? また、改めてナンバープレートを見てみると、今ではさまざまな種類があることに気づかされます。今回はそんなナンバープレートにまつわるアレコレを、一般社団法人 全国自動車標板協議会(以下、標板協)に聞いてみました。

そもそも、日本ではいつからナンバープレートが付いた?

標板協:実はかなり古く、117年も前の明治40(1907)年です。

今日のナンバープレートに相当する標識板のルーツは、19世紀のアメリカで、馬車の所有者を明らかにするため取り付けられたと伝えられています。しかし、明治時代になるまで日本に馬車の時代はなく、国内でナンバープレートが登場するのは20世紀になってから。

標板協:「明治40年に警視庁が公布した自動車取締規則(明治40年2月19日)で、指定した車両番号を車体に描くか、長方形の板に描いて車体に固定するか、いずれかの方法によって表示することが定められました。これが始まりと言えそうです」

明治40(1907)年といえば、今から117年前になります。実施は東京府(当時)限定で、表記はアラビア数字4桁のみでした。ちなみに、日本で初めて走ったガソリンエンジン自動車は、フランス商人が輸入したパナール・ルバッソールと言われ、それは明治31 (1898)年でした。

大正3(1914)年の自動車

大正3(1914)年に撮影された当時の自動車の写真。車両前方に「615」の数字が確認できる(写真=ジャパンアーカイブズ)

全国的にナンバープレートが広まったのはいつ頃?

標板協:大正時代に全国で装着が義務化されました。

ナンバープレートが日本全国で義務化されたのは、大正8(1919)年のことです。

標板協:「自動車取締令として内務省令第1号(大正8年1月11日公布、同年2月15日施行)によって、車両番号は、車両の前面および後面の見やすい箇所に表示するよう定められました」

背景にあるのは、自動車の全国的な普及と考えられます。そしてナンバープレートの表記は統一され、地名を漢字の最初の文字で表すことが定められます。というのも、大正元(1912)年に500台ほどであったとされる国内の自動車保有台数が、10年間で万の単位に拡大します。そうした時代の流れのなか、県をまたいで移動する自動車が現れ、ナンバープレートに地名を表す必要が出たと言われています。

昭和6(1931)年の大阪乗合自動車の乗り合いバス

写真は昭和6(1931)年の大阪乗合自動車の乗り合いバス。車両前方のナンバープレートに大阪を示す「大」の文字が確認できる(写真=ジャパンアーカイブズ)

これまでにさまざまなナンバープレートがありました!

昭和26(1951)年以前のナンバープレートの一例

自動車登録制度が始まる前(道路運送車両法施行前)のもので、「.」は小数点ではなくピリオド。数字の上の赤い部分には「東京都自動車鑑札」と書かれている

東京都の自家用車で使われたナンバープレート

道路運送車両法施行規則(昭和26年運輸省令第74号)の施行以降、自家用車のナンバープレートは文字が緑色になった。こちらは東京都の自家用車で、地名表記が省略されている

群馬県の自家用車に使われたナンバープレート

同時期に群馬県で使用された自家用車のナンバープレート。「群」の文字が表記され、この時に登録府県名の最初の文字、分類番号等を横一列に表示することが確立された

昭和26(1951)年以降のナンバープレートの一例

同じく昭和26(1951)年に施行された運輸省令第74号のもので、外国軍人軍属用ナンバープレート

昭和26(1951)年以降のナンバープレートの一例

同時期のナンバープレートで、こちらも外国軍人軍属用で、形状や数字の桁数が異なる

現在のナンバープレートのルーツはいつ?

標板協:昭和30(1955)年になると現代に近いナンバーになります。

現在のナンバープレートの表示に通じる、地名+ひらがなが表示されるようになったのは、道路運送車両法施行規則となる運輸省令第7号(昭和30年3月28日公布、同日施行)からです。

標板協:「自動車登録番号標の様式が改正され、上段に府県名の最初の文字(ただし、宮城、愛媛、大分、山梨、福島、福井、長崎の7県は二文字の表示で、北海道は陸運事務所の最初の文字、東京都は表示を省略)と、分類番号が表示されました。下段には、事業区分のひらがなと、4桁の一連番号が表示されます(ただし、4桁以下の場合は0を表示)」

その後、昭和36(1961)年には東京都でも地名を表示することが決定し、同37(1962)年には4桁の数字の2桁の間にハイフンが入ります。同39(1964)年には、地名が陸運事務所等の所在地になりました。

昭和34(1959)年に撮影された個人タクシー

写真は昭和34(1959)年に撮影された個人タクシーのもの。上段に分類番号、下段にひらがなと一連番号が表示されている(写真=ジャパンアーカイブズ)

昭和30(1955)年以降のナンバープレート

昭和30(1955)年、ひらがな文字の使用開始

昭和30(1955)年に使用されていた自家用車のナンバープレート。ひらがなが使用され、上下2段表示となった。これは東京都のもので、まだ地名表記はない

ひらがな文字が使われているナンバープレート

こちらも昭和30(1955)年に東京都で使用されていたナンバープレート。黄色地は軽自動車ではなく、事業用。ちなみに軽自動車の黄色ナンバーは昭和50(1975)年から

東京都に地名表記を導入したナンバープレート

昭和36(1961)年の運輸省令第61号(昭和37年施行)で東京都にも地域名を導入。品(川)、足(立)、練(馬)、多(摩)の文字が使用された

現在とほぼ同じ表示になったナンバープレート

昭和37(1962)年の運輸省令第20号で4桁の数字の中央にハイフン(-)が使われるようになる。また、この時に事業用が緑地になった

地域名フルネーム化と分類番号2桁化されたナンバープレート

昭和39(1964)年には地域名が最初の文字からフルネーム化され、昭和42(1967)年に車種別分類番号が2桁表示になった

あの特徴的なフォント(書体)はなぜ?

標板協:その秘密は生産工程と技術にあります。

「いつから使われているか」という明確な時期はわかっていませんが、背景にあるのはナンバープレートの材質の問題のようです。

標板協:「金属板で作られるナンバープレートは、当初は材質が鉄板でした。ナンバープレートの表示は、雄型・雌型(おがた・めがた)を使い、プレスして凹凸のある浮き彫り加工(エンボス加工)をします。そして出っ張った文字の部分に塗装を施し、出来上がりです。鉄板を使っていた時代は材質の硬さにより細かな加工が難しく、略字を使う場合がありました。また、字体の角が丸くなっているほうが塗装のムラがないというのも理由のひとつです。現在はアルミ板を使っているので、略字にしなくても加工できます」

ナンバープレートの材質がアルミになったことにより、表記する文字などの加工がしやすくなっただけでなく、錆などによる劣化が起こりにくくなりました。

古くから文字は特徴的だった昭和37(1962)年当時のナンバープレート

写真は昭和37(1962)年のナンバープレートで、多摩の「多」や数字も独特な書体となっている。また、他の掲載写真と見比べると、文字や数字が少しずつ変化しているのがわかる

【ナンバープレート豆知識】同じ漢字でもデザインが違う!

ナンバープレートの地名の書体は、所轄地域によって漢字の表記が微妙に違う場合があります。たとえば、「山」という漢字を例にあげると、山梨の「山」は、両脇の縦線の下が、横線より下に出ています(写真参照)。一方、山形の「山」は、縦線の、下の線からのはみ出しはありません。標板協によれば、「地域名の文字として並べた場合に、全体的なバランスによって決めているので、微妙な字形の違いや大きさの違いが出ています」とのことです。また、山形の場合は「形」の文字も右側のつくりの線が真横の表記となり、独特な字体となっています。

ナンバープレートの「山」の文字の比較

同じ漢字でも微妙にデザインが異なる。「山」以外でもデザインが違う漢字があるので、探してみるのも面白いかも!

平成11(1999)年に登場した希望番号制度。地域によって特色がある?

標板協:語呂合わせで地域色のある番号があるようです。

標板協:「自分が希望する番号をナンバープレートにしたいとの要望は以前からありましたが、自動車登録検査業務電子情報処理システムの制約で、登録順に一連番号を付与せざるを得ませんでした。平成8(1996)年1月に、種別および用途による分類番号を3桁に対応できるようシステムを全面変更し、ナンバープレートの払い出し能力が10倍に増大され、これによって希望ナンバーを導入する前提条件が整いました」

これにより、平成10(1998)年5月から先行して26地域、平成11(1999)年5月より全国での展開がはじまります。軽自動車は、平成17(2005)年1月から全国で開始です。個人の好みに加え、地域色のある語呂合わせを使った番号があり、たとえば、大阪の728(ナニワ)、鹿児島の3153(西郷さん)、あるいは全国的に温泉地で多い1126(いい風呂)など多彩です。

人気のある希望ナンバー

「1」や「7」などの1桁数字をはじめ「・123」などの連番が好まれることが多いが、「1122(いいブーブ)」といった語呂合わせも人気

【ナンバープレート豆知識】最近ではアルファベットも使われている!?

ナンバープレートの上段にある分類番号(5ナンバーとか3ナンバーなどを示す)の部分に、アルファベット表記が使われているナンバーを見かけることがあります。あれってなんなのでしょうか? その答えについて標板協は、「希望番号の普及によって、ナンバープレートの番号が枯渇しつつあります。そこで、自動車の種別、および用途による分類を表示する分類番号にローマ字を追加することが、平成29(2017)年1月1日より施行になりました。全国が対象ですが、ローマ字の導入状況は確認していません」と説明しています。アルファベットが加わったナンバープレートは、それだけ人気の高い番号の並びであると推察する一助になるかもしれません。

分類番号にアルファベットが使われたナンバー

現在、導入されているアルファベットはA、C、F、H、K、L、M、P、X、Yの10文字。これで希望ナンバーの枯渇が大きく改善された

「ご当地ナンバー」3択クイズ!

令和6(2024)年2月末現在、「ご当地ナンバー」はいくつあるでしょうか?

答えは右の①②③のうちどれ? ①38種類   ②46種類   ③52種類

答え:②46種類

地域名を使った「ご当地ナンバー」

「富士山」をはじめ、全国各地で地域名を表示するナンバープレートが広まっている

ご当地ナンバープレートとは、新たな地域名表示ナンバープレートの通称です。

標板協:「地域振興や観光振興などの観点から、運輸支局や自動車検査登録事務所の新設にかかわらず、募集に基づいて新たな地域名表示のナンバープレートを、平成18(2006)年10月10日から第一弾として、全国17地域で交付することが開始されました」

その後、平成19(2007)年と20(2008)年に追加交付がなされました。令和6(2024)年2月末時点で、ご当地ナンバープレートは、46種類。このうち、「知床」ナンバーは、北海道内の釧路運輸支局と北見運輸支局、また、「富士山」ナンバーは、山梨運輸支局と静岡運輸支局沼津自動車検査登録事務所で交付され、富士山ナンバーの場合は県をまたいでのご当地ナンバーとなります。

カラフルなナンバープレートって何?

標板協:ナンバープレートは走る広告塔なのです。

近年、図柄が入ったナンバープレートを目にすることが増えています。ちなみにアメリカでは、州単位でナンバープレートの色や図柄が違います。

標板協:「国土交通省が、走る広告塔としてナンバープレートに着目し、イベントの開催機運の盛り上げや、地域の活性化を図るため、ラグビーワールドカップ特別仕様、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会特別仕様、地方版図柄入り、全国版図柄入り、大阪・関西万博特別仕様といったナンバープレートを導入してきました。令和6(2024)年1月現在、地方版図柄入りナンバープレートは68種類(ただし、長崎と佐世保は同じデザイン)、全国共通図柄入りナンバープレートについては、全国版図柄入りナンバープレートと大阪・関西万博特別仕様のナンバープレートがあります

2025年大阪・関西万博の特別仕様ナンバープレート

図柄入りナンバープレートは大きく分けて「全国版」「地方版」「特別仕様」の3つがあり、写真は2025年大阪・関西万博の特別仕様。また、上の富士山ナンバーは全国版の図柄となる

ナンバープレートも時代に合わせて変化している!

当たり前すぎて普段は気に留めることもないナンバープレート。ですが、長い歴史のなかでいろいろな変化があり、さらに現代では希望ナンバーやご当地ナンバー、図柄入りナンバーが出てきて発展しているのです。ドライブ中にちょっと気にして見てみると、新たな発見があるかも。特徴的な書体で書かれた地名のイチオシを見つけるのも面白いですよ!

御堀直嗣

御堀直嗣さんの顔写真

みほり・なおつぐ 大学卒業後はレースでも活躍し、その後1984年からフリーのモータージャーナリストに。自動車の趣味性や、工業製品としての側面を語るだけではなく、自動車社会・文化・経済を総合的に捉える丁寧かつ的確な解説に定評がある。

<全国自動車標板協議会>
自動車登録番号標の交付代行および車両番号標の頒布に関する事業の公正かつ健全な運営の確保を図ることを目的とした一般社団法人。昨年開催されたジャパンモビリティショーではナンバープレート展を開催するなど、自動車登録制度の広報、啓発活動を行っている。

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