【第11回】2月更新 トラブル事例から定期点検の大切さを学ぶ!『定期点検を正しく理解しよう!』
愛車の点検と整備、きちんとできていますか? 連載11回目は、実際に起きたクルマのトラブル事例をもとに、定期点検の重要性について解説します。
点検整備未実施が招く身近な危険
「転ばぬ先の杖」ということわざがあります。前もって準備をしておくことは大切という意味ですが、それはクルマでも同じ。出かけた先で不具合や故障が発生しないように、定期的に整備工場で点検を行うことが大切です。クルマの部品の劣化や摩耗具合をチェックし、不具合等が発生する前に整備することは、まさに転ばぬ先の杖を用意しておくこと。予防整備の実施で安全安心なカーライフを実現しましょう。
さて今回は、実際に起きたクルマのトラブル事例をもとに、定期点検の重要性について解説します。どうすればトラブル回避ができるのか、一緒に考えてみましょう!
<事例1>雨の日の突然のスリップ!
朝から雨の中でのお出掛け。ところが走行中に突然スリップして、あわやガードレールに激突! 事なきを得たが冷や汗ものだった。
スリップした原因は? → タイヤの溝の深さが不足
タイヤの溝が少なくなると、雨の日に路面の水を排水しきれずスリップしやすくなるため大変危険です。タイヤにはスリップサインというタイヤの使用限度を示した目安があり、タイヤ溝が使用限度(1.6mm)に達するとタイヤの接地面上に現れます。スリップサインが現れる前にタイヤを交換しましょう。
赤枠線内の溝の奥が盛り上がった箇所がスリップサイン。
また、タイヤの摩耗は装着位置により異なりますが、定期的なタイヤローテーション(位置交換)をしてタイヤの摩耗を均等にすることで長持ちさせることが可能です。タイヤ交換作業が不安という人は整備工場に依頼しましょう。タイヤの点検は「1年定期点検」の項目にも入っていますが、「日常点検」でもチェックすることを心掛けましょう。
<事例2>ブレーキをかけると異音が発生!
ブレーキをかけるとクルマから異音が発生する。しばらく放置していたが、効きも甘くなってきたような気がしたので不安になり、整備工場に点検を依頼することに。
手に持っているものがブレーキパッド。
異音の原因は? → ブレーキパッドの摩耗
ブレーキの重要な役割はクルマを止めること。ブレーキトラブルの前兆は異音、踏み応えや効き具合の変化に現れることがあります。今回の異音の原因は、ブレーキパッドが摩耗しきってしまい、それに伴ってディクスローター(※)も損傷してしまったことで発生していた、という事でした。結果的に修理にかかる費用も時間もかさんでしまいました。「定期点検」では、ブレーキパッドやブレーキシューの厚みを測って残量を確認します。ブレーキパッドの残量が摩耗限度に達すると、ブレーキパッドについている金属板がディスクローターと接触して警告音を出します。ブレーキパッドは消耗品です! 定期点検を確実に実施し、摩耗状況を把握して適切な時期に交換しましょう。
※ディスクローター
ディスクブレーキを構成する部品のひとつ。車輪と一緒に回転する金属の円盤をブレーキパッドで両側から挟み込んで摩擦により制動します。ブレーキパッドほどではありませんが、通常の使用をしていても徐々にすり減ります。
<事例3>エンジンがストップした!
走行中にメーター内のオイルランプが点灯。そのまま放置していたらエンジンが突然ストップ! 目的地に行くことができなかった。
トラブルを知らせる点灯したオイルランプ
エンジンが停まった原因は? → 警告灯を無視し続けた
オイルランプの点灯は、エンジンオイル系統のトラブルを知らせるもので、緊急性の高いものです。目的地に辿り着けないだけでなく、エンジンが焼き付いて高額の修理代がかかったり、廃車になる場合もあります。さらに車両火災の危険性もあるので、このランプが点灯したらすぐに安全な場所に止めてエンジンを切りましょう。
オイルランプが点灯する原因は、オイル量やオイル圧力の低下です。オイルの量と汚れ具合は、整備工場に依頼する定期点検時だけでなく日頃からチェックしましょう。オイルが汚れていたり(黒いだけでなく、ドロドロしたり異物が混じっているなど)、オイル量の減りが急激な場合は不具合の可能性があるので、整備工場ですぐに点検してもらいましょう。また適切な定期点検を行うことで、無用のトラブルを防げる可能性が高くなります。
定期点検の実施はユーザーの義務です
定期点検(予防整備)の実施は、クルマの不具合や故障を未然に防ぐだけでなく、クルマの燃費・環境性能の維持等によって環境保護にも貢献するメリットがあります。最近のクルマは構造・装置が複雑になってきており、その性能を維持するために、国が定める定期点検項目以外の点検・整備が必要な場合もあります。大切な愛車に長く乗り続けられるよう、整備工場での定期点検の実施を心掛けましょう。
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