ジバンシィ、スター・ウォーズ、あゆ… 異業種コラボ特別仕様車、一挙紹介!
コラボ特別仕様車の世界 前編自動車業界では数十年前から、異なる分野の企業や個人と自動車メーカーがコラボし、さまざまな特別仕様車を販売してきました。一部はカタログモデルとして販売されることも。ここでは、そんな特別仕様車の歴史を振り返ります。
意外と長い、コラボ特別仕様車の歴史
「コラボ」という言葉をあちこちで見かけるようになった。スーパーやコンビニエンスストアでは、マンガやアニメ作品のキャラクターを描いたお菓子が並んでいたり、YouTubeでは、ユーチューバーがほかのユーチューバーと一緒に出演していたりもする。異なる分野の会社や個人がタッグを組むことで新しい価値観を生み出すのが、コラボの真骨頂とも言える。
車の世界に目を向けると、特別仕様車として有名人や異業種とコラボする例が以前から存在する。日本では、1980年頃からCMに登場するタレントの名前を冠した特別仕様車が増えてきた。
スズキ カルタス・タチバージョン。「オレ・タチ、カルタス。」というダジャレめいたコピーも話題になった。
たとえば、1984年に発売されたスズキ カルタスのカルタス・タチバージョンは、CMのキャラクターを務めた俳優の舘ひろし(敬称略・以下同)とコラボ。人気を受けてか、複数回にわたって販売されている。
日産は、ローレル ジバンシィ・バージョンを1982年と翌83年にリリース。オートクチュール界の巨匠デザイナー、ユベール・ド・ジバンシィがデザインを担当した。ボンネットのフードマスコットやラジエータグリル、車内外のあちこちに4つのGをかたどったジバンシィのエンブレムが輝いていた。
京都市内にある大丸ヴィラのガレージに長く眠っていた、日産 ローレル ジバンシィ・バージョン。2022年、日産にヘリテージコレクションとして寄贈された。
写真のローレル ジバンシィ・バージョンは、百貨店・大丸(当時)の社長、下村正太郎(12代)が所有していた個体で、1983年にユベール・ド・ジバンシィの創作活動30周年記念イベントが開催されるにあたり、イベントの名誉会長を務めた俳優のオードリー・ヘップバーンとともに来日したジバンシィの移動車としても使われた。
写真は、1991年に登場した、ミラ・パルコ キャンバストップ。
1980年代半ばからは、異業種の企業とコラボした車が増えてきた。
ダイハツが1985年に発売したのがミラ・パルコ。西武百貨店が中核となるセゾングループに属していた当時のパルコは、DCブランド(日本発祥の高級ファッションブランドの総称)が揃(そろ)うファッションビルとして、若者の支持を得ていた。当時のドライバーは、パルコのロゴが入ったシートを通して、バブル華やかなりし頃のセゾン文化に触れていたのかもしれない。
パルコと同じセゾングループに属した雑貨店・ロフトとコラボしたのはスズキだ。1993年に発売されたワゴンR ロフトは、ロフトのロゴをイメージしたストライプのサイドステッカーが目を引いた。
トヨタは1999年、5つの異業種企業合同でプロジェクト『WiLL』を立ち上げ、当時の20~30歳代にマッチした新たな消費スタイルを提案した。トヨタはデザインを重視したコンパクトカーの WiLL Viを発売。アサヒビールはビール「WiLL BEER」を、松下電器産業(当時)は、パソコン「WiLL PC」を売り出している。
馬車を連想させるようなWiLL Viの外観。トヨタはほかにもVSとCYPHA(サイファ)をWiLLブランドで販売した。
2000年以降、映画やアニメ、キャラクターといったポップカルチャーとコラボした特別仕様車も生まれた。メルセデス・ベンツは2017年に、映画『スター・ウォーズ』の作品公開から40周年を記念した特別仕様車、CLA 180 STAR WARS™ Editionを発売。トヨタは2013年と15年にアニメ『機動戦士ガンダム』とコラボした真っ赤なシャア専用オーリスを販売している。
CLA 180 STAR WARS™ Editionの外観。ボディーカラーはストームトルーパーをイメージしたカルサイトホワイトと、ダース・ベイダーをモチーフにしたナイトブラックの2色が設定された。
専用のサンシェードも付属する。ドライブレコーダーやフロアマットにも専用品が設けられた。
世の中の流れに合わせるように、さまざまに形を変えてきたコラボ特別仕様車の世界。これからも、私たちをあっと驚かせるような組み合わせの車が出てくるはずだ。
この後は、国内外の自動車メーカーがこれまでコラボして販売してきた車のうち、一部を紹介します。
ファッションブランドとのコラボ車
日産 ラングレー renoma X elan(1986)
ラングレー renoma X elanの外観。
renoma X elanの内装。ストライプのシート地が目を引く。
モーリス・レノマがフランスで立ち上げ、1980年代に日本で大ブームとなったブランドrenoma(レノマ)とコラボした特別仕様車。レノマのブラックとグレーのストライプシートが専用装備となるほか、フロントグリルやフロアマットなどにレノマのロゴがあしらわれている。
トヨタ アバロン コーチエディション(1995)
トヨタ アバロン コーチエディションの外観。
革製のバッグで知られるコーチ社とのコラボで生まれた特別仕様車で、シートなどにコーチ社製のレザーを使用している。2000年にはトヨタ ウィンダムにもコーチエディションが設定された。
MINI ポール・スミス エディション(1998)
ポール・スミス エディションと、デザインを手がけたポール・スミス。
イギリスのファッションデザイナー、ポール・スミスが初代ミニに特別仕様を施した。ボディーカラーはポール・スミス・ブルーなど3色で、トランクやグローブボックスはアクセントとしてシトラスグリーンに塗られている。1,800台限定生産で、うち1,500台が日本に輸入された。
フィアット 500 バイ グッチ(2011)
フィアット 500 バイ グッチの外観。緑と赤のおなじみのストライプがボディーに走る。
フィアットとグッチ。イタリアの2つのブランドが手を組んで世に出した特別仕様車がフィアット 500 バイ グッチだ。ボディー側面やシートベルトにはおなじみの緑、赤、緑のストライプが引かれ、ヘッドレストにはグッチのブランドロゴが描かれている。
異業種とのコラボ特別仕様車
スバル インプレッサBEAMS EDITION(2007)
インプレッサ BEAMS EDITIONの外観。
セレクトショップとして知られるBEAMSと協業した特別仕様車で、BEAMSのブランドカラーでもあるオレンジをイメージした「アクティブオレンジ・パール」など3色の外装色に合わせてコーディネートしたオリジナル本革シートを装備。メーターパネルなど各所にBEAMSのロゴがあしらわれている。
フォルクスワーゲン ザ・ビートル・フェンダー・エディション(2013)
ザ・ビートル・フェンダー・エディションの外観。フロントフェンダーには専用エンブレムが付く。
ザ・ビートル・フェンダー・エディションのダッシュボード。フェンダーのギターやベースに使われる、サンバーストのカラーが印象的だ。
2011年開催の東京モーターショーに参考出品された「ザ・ビートル フェンダー」の市販バージョン。ギターやアンプメーカーとして有名なフェンダーとコラボし、専用のサウンドシステムを搭載するほか、内外装に特別装備を施した。
DSオートモビル DS 7 CROSSBACK LOUVRE BlueHDi(2022)
DS 7 CROSSBACK LOUVRE Blue(クロスバック ルーヴル ブルー)HDiの外観。
ルーヴル・ピラミッドのデザインを取り入れたというドアミラー。
モナ・リザやミロのヴィーナス像を収蔵するフランスのルーブル美術館とコラボした。メインエントランスのルーヴル・ピラミッドをモチーフにしたドアミラーを採用。エンジンフードやドアサイドなどにルーブルの名前が入る。
キャラクターとのコラボ
ダイハツ ミラジーノ ハローキティ(2001)
ミラジーノ ハローキティの外観。ボンネッ卜フードのマークにもハローキティが入る。
こちらはサンリオとのコラボによって生まれた一台。アルミホイールセンターキャップ、左右のサイドデカールに 「ハローキティ」をデザインした専用装備を採用している。
三菱 パジェロミニ スヌーピー・エディション(2000)
パジェロミニ スヌーピー・エディションの外観。ボディーのあちこちにステッカーが貼られている。
パジェロミニ スヌーピー・エディションのメーターまわり。スヌーピーのイラストが控えめに入っている。
スヌーピーも登場するチャールズ・M・シュルツのコミック「ピーナッツ」の生誕50周年記念キャンペーンで投入されたモデル。外観は、「SNOOPY(フライング・エース)」デカール付きスペアタイヤケースなど8か所に、内装は3か所にスヌーピーが入るなど特別な仕様となっている。
三菱 ミラージュ ハローキティ 40thアニバーサリー パッケージ(2013)
ミラージュ ハローキティ 40thアニバーサリー パッケージの外観。
ハローキティのリボンをあしらったフルホイールカバー。
サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」の40周年を記念したモデルで、内装では「ハローキティ」柄のシートカバーを全席に装備し、「大人かわいい」世界観を表現した。
俳優・スポーツ選手とのコラボ
スズキ アルト 麻美フェミナ(1984)
アルト 麻美フェミナの外観。パステル調の内外装を採用した。
俳優・小林麻美がCMキャラクターを務めていた縁で生まれた特別仕様車。CMでは運転席のシートがドアのほうに回転し、乗り降りしやすくする仕組みも紹介されていた。
マツダ デミオ スターダストピンク(2003・04)
デミオ スターダストピンクの外観。内外装ともにピンクがテーマカラー。
CMキャラクターを務めた俳優・伊東美咲の意見を取り入れ、コズミックローズメタリックという特別色を採用した。内装にもピンク色が取り入れられている。
ホンダ ゼスト スパーク Aスタイルパッケージ(2010)
ゼスト スパーク Aスタイルパッケージの外観。
ゼスト スパーク Aスタイルパッケージの専用インテリアパネル。
歌手の浜崎あゆみとコラボレーションしたゼスト スパークの純正アクセサリー。ホンダの子会社で純正用品メーカーのホンダアクセスが開発し、ゴールドの煌(きら)めきをあしらった専用ステッカーや専用エンブレムなど4点をセットにして販売した。期間限定かつ新車購入時のみ装備可能だった。
日産 GT-R 大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデル(2019)
大坂なおみ選手 日産ブランドアンバサダー就任記念モデルの外観。
2018年に日産のブランドアンバサダーに就任した、プロテニスプレイヤーの大坂なおみの着想を取り入れた記念モデル。ボディーカラーは3色、内装も3色から自由に組み合わせられた。
コラム
- マツダのボディーカラーとカープのヘルメット、実はコラボしています
プロ野球・広島東洋カープ(以下カープ)のヘルメットは、2013年からマツダのボディーカラー「ソウルレッドプレミアムメタリック」をイメージした特別色が使われている。
マツダ、日本ペイントが共同で特別色を開発し、カープに提供したもので、世界で最もエモーショナルな赤を追求したマツダのソウルレッドプレミアムメタリックと、情熱や闘志を表すカープのチームカラーである赤のイメージが一致したことから、コラボが実現した。
タレント・異業種 コラボ車クイズ【コラボ特別仕様車の世界 後編】
CMに登場した有名人などとコラボした車を、クイズ形式で紹介。