特集

2000年代プレイバックJAF Mate③ エコの時代がやってきた

JAF Mateを振り返る

2022.03.26

2007年5月号、第1回目のエコ川柳記事

2022.03.26

2007年5月号、第1回目のエコ川柳記事

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

「JAF Mate」は、前身の「JAFニュース」から数えると今年で60年、「JAF Mate」に改題してから45年という節目を迎えます。2022年は、そのWeb版にあたる「JAF Mate Online」がお目見えしました。そんな「JAF Mate」の歴史を3回にわたって振り返り、当時の車社会に思いを馳せます。今回は、ハイブリッドカーが普及しはじめ、エコにかつてない関心が集まった2000年代以降を振り返ります。

1977〜1989年の振り返り記事はこちら
1990年代の振り返り記事はこちら

21世紀の訪れとともに、エコへの関心高まる

2001年1・2月号

2001年1・2月号

「21世紀に間に合いました」というキャッチフレーズで初代トヨタ・プリウスがデビューしたのが1997年。しかし、21世紀に入ってすぐの頃はハイブリッドを搭載した車種は一部に限られ、エコカーの存在を遠くに感じていたドライバーも多かったのではないでしょうか。

21世紀最初の「JAF MATE」となった2001年1・2月号では「クルマ新世代」というテーマで、次世代のエコカーがどのように進化していくかを予想しています。車社会が今後直面する問題として石油資源枯渇による石油価格の上昇、排ガスによる環境汚染や温暖化を挙げ、次世代を担うエコカーとして燃料電池自動車(FCEV)を本命視。ダイムラークライスラー(当時)は「2020年にはバスなどの商用車は100%FCEVになる」と予測するほど、FCEVに期待が寄せられていました。FCEVが普及するまではガソリン車やディーゼル車、電気自動車(EV)、ハイブリッド車が一緒に走る時代がしばらく続きそうだ、と論じています。

また、2004年1・2月号では、ハイブリッド車の特集を掲載。効率のいいモーターとエンジンを組み合わせ、ブレーキ時には発電機を回して電力を回収すること、アイドリングストップと相性がいいことなどから、燃費の向上につながっていることを説明しています。この特集では、一般道と高速道路を200km走行し、ハイブリッド車(2車種のセダン・ミニバン)とガソリン車(セダン)との燃費比較も試みました。最もすぐれた燃費のハイブリッド車は24.6km/Lだったのに対し、ガソリン車の燃費は12.1km/L。燃費の差は2倍以上に達したのです。

2004年1・2月号

2004年1・2月号

記事では、ハイブリッド車の起動について「マッチ箱のような鍵(というか箱)をスロットに差し込み、パソコンの起動スイッチのようなスタートボタンを押す。まさに未来的な演出だ」と記しています。今ではあたりまえとなったスタートボタンによる起動が、新しさを感じさせるものとしてとらえられていたのでしょう。

それから約20年がたち、ハイブリッド車は販売される乗用車の約半数を占めるなど、エコカーとして不動の地位を保っています。その間にEVやFCEVといった「本命」次世代車も登場はしているものの、商用車が100%FCEVになるという予想は外れました。エコカーの進化はまだまだ道半ばと言えそうです。

エコ意識の高まりを受け、2006年に始まった「JAFみんなのエコ川柳」。「JAF Mate」は初回から区切りとなった第15回まで、その入選作品を発表しました。子供から大人まで、広く川柳を募ったことから、集まった川柳はエコドライブに留まらず、日常生活から生まれたものも少なくありませんでした。

ここでは、入選作品の一部を紹介します。

木を植えて 鼻毛がのびない 通学路!!(第1回 中学生部門賞 清水麻美さん)
ダイエット 私も容器も 包装も(第3回大賞 北谷澪さん)
アクセルの 加減で決めた 今の彼(第8回レッドECO賞 名村昭蔵さん)
姉妹では 昔お下がり 今はシェア(第10回 ECO大賞 赤松沙織さん)
肩書きを なくした父に エコ部長(第12回 スマートECO賞 板垣光行さん)

時に楽しく、ある時は悲哀の込もったエコにまつわる川柳が誌面を飾りました。

※2002年6月号のリニューアルの際、デザインの視認性を高める目的でタイトルを「JAF MATE」から「JAF Mate」変更しました。この号以降の表記については、「JAF Mate」で表記します。

昔も今も変わらない、あおり運転

テレビ報道などであおり運転のニュースを目にすることが増え、2020年6月には「妨害運転罪」が創設されるなど社会問題となっています。

2001年4月号

2001年4月号

2001年4月号では、「ハンドルを握ると性格が変わるヒト」という特集を掲載しました。掲載に先がけて実施した読者アンケートでは、会社では性格温厚との評価がある人が仕事帰りに同僚を車に乗せると「『離陸しそう』といわれる」といった投稿が掲載されています。運転中に性格が豹変(ひょうへん)するという問題は、昔も今も変わらず存在していることがわかります。

ちなみに、この特集では、「攻撃的ドライバー」への5つの心がけとして、運転の際に攻撃的になる人に下記のようなアドバイスをしています。

JAFユーザーテスト

1980年代の振り返り記事で前述したように、「JAF Mate」で最も長く続いている連載が「JAFユーザーテスト」です。その内容を見ていくと、当時の車社会がどのような課題を抱えていたのかが見て取れます。2000年代に掲載したJAFユーザーテストの一部を紹介します。

「見られるためのライト・オン 点灯のタイミングは?」(2002年5月号)
「小さな車は内輪差も小さい?」(2002年8・9月号)
「チャイルドシート しっかり取り付け、正しく座らせる。それが安全の条件。」(2003年6月号)
「バックカメラの画面と実際の状況には違いがあるのか?」(2004年10月号)
「運転中の通話 ハンズフリーなら安全か?」(2005年5月号)
「静かなエコカーが増加中 聞こえますか? HV(ハイブリッドカー)やEV(電気自動車)の走行音」(2010年11月号)

2005年5月号

2005年5月号

携帯電話などを手に持っての運転中の通話に罰則規定が設けられたのは2004年6月のこと。手に持たなくても通話ができるハンズフリー装置を使えば違反にはならないものの、2005年6月号のユーザーテストでは、運転シミュレータを操作中、ハンズフリーを使って通話している際は、ブレーキなどの反応速度が遅くなることを指摘しました。

当時、携帯電話はその名の通り通話が主な使用方法でしたが、スマートフォン(スマホ)が増えてくると運転中のスマホ画面の注視も問題となり、2019年には運転中のながらスマホの罰則が大きく引き上げられました。運転中に通信機器を使用してしまうということは、今でも変わらない問題です。

2002年8・9月号

2002年8・9月号

2002年8・9月号のユーザーテストでは、2Lセダンと軽自動車の内輪差の大きさを比較。軽自動車の方が内輪差が大きく、後輪が縁石に乗り上げやすいことなどを明らかにしました。初代トヨタ・ヴィッツが登場したのが1999年、初代ホンダ・フィットは2001年に発売になるなど、当時は新車販売の中心がセダンからコンパクトカーに移行しはじめた時期でした。このテストは、大きな車からコンパクトカーへ乗り換える際の注意喚起が目的だったのではないでしょうか。

SA・PAが目的地に? ハイウェイオアシス

以前は目的地への立ち寄りポイントだった高速道路のSA(サービス・エリア)・PA(パーキング・エリア)。そんなSA・PAが旅の目的地になりうることを証明したのが、SA・PAから直接遊園地や大規模公園にアクセスできるハイウェイオアシスです。「JAF Mate」2005年1・2月号ではそんなハイウェイオアシスを特集。スキー場(上信越道・佐久平ハイウェイオアシス)や海水浴場(北陸道・徳光ハイウェイオアシス)、天然温泉(伊勢湾岸道・松山道・石鎚山ハイウェイオアシスなど)、豪華トイレ(刈谷ハイウェイオアシス)といった、ハイウェイオアシスのユニークな施設を紹介しました。

2005年1・2月合併号

2005年1・2月合併号

掲載当時オープンしたばかりだった刈谷ハイウェイオアシスは今でも人気の観光施設で、「2020年観光レクリエーション利用者統計」によると、愛知県内の観光施設では名古屋市の熱田神宮に次ぐ2位の利用者数を誇るそうです。なお、豪華トイレ(デラックストイレ)は2022年4月17日(予定)まで改装工事中。もう少しすると、トイレとは思えないほどの落ち着ける空間が再び楽しめるようになるでしょう。

「JAF Mate」になってから約四半世紀で、2輪車の記事スタート

「JAF Mate」はかつて、2輪車について触れることがほとんどありませんでした。それが変わったのは2005年のこと。その年の4月からJAFによる2輪車ロードサービスが始まり、JAF会員が2輪車ユーザーにも広がったことから、「JAF Mate」でも2輪車に関する記事を掲載するようになったのです。

2005年4月号

2005年4月号

2輪車に関する記事の第1回目にあたるのが「JAF Mate」2005年4月号で掲載した「この春、バイクに乗ってみませんか?」。免許の種類と運転できる車種の一覧、ヘルメットの種類、4輪ユーザーでもすぐに乗れる原付バイクの乗りこなし術を紹介。それ以来、バイク向けの危険予知を掲載するなど、2輪車ユーザーを対象にした交通安全の記事を掲載しています。

2002年、最少になった交通事故死者数。その後さらに減少し、当時の1/3に

1995年は10,684人とそれまで増加傾向にあった交通事故死者数は、翌96年から減少傾向に転じ、「JAF Mate」2003年3月号では2002年中の死者数が8,326人と、1970年の16,765人からついに半減した、というニュースについてページを割いています。減少した理由として、2002年6月に改正道路交通法等が施行され、酒気帯び運転の基準が厳しくなり、罰則が強化されたことなどによるものと指摘されています。

2003年3月号

2003年3月号

それから約20年。交通事故死者数はさらに減り続け、2021年は2,636人と2003(平成15)年の約3割まで減少しました。ただし、死者数に占める高齢者(65歳以上)の割合は増える傾向にあり、今後は高齢者の交通事故対策が死者数を減らすカギになりそうです。

東日本大震災が2011年に発生。誌面で被災地の支援も

2011(平成23)年3月11日、巨大な地震が日本列島を襲いました。JAFは被災地にJAFロードサービス特別支援隊を派遣、被災した車両の撤去作業に従事しました。また、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う警戒区域に残された車両のもち出しにも協力しました。JAF MateではこのようなJAFの活動や被災地向けのサービスについて会員にお知らせするとともに、2011年11月号では「東北応援特集 東北の温泉さ、来てけさいん」を掲載。東北の温泉を紹介することで復興のお手伝いをしました。

2011年11月号

2011年11月号

2017年5月号

東日本大震災発生から3年を迎えた2014(平成26)年3月号では、被災した6県の3年後を編集部員が訪れ、復興の様子をレポート。そのレポートはWebサイトでも公開しました。2017年5月号では、「希望のグルメ」と題して、岩手・宮城・福島3県の沿岸のおいしいものをめぐる特集を掲載。食で被災地を応援しました。

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