大型バイクで山頂の展望台へ! 悪路の果てに、下る気力を失う……
2019年夏、宮崎県の田中徹さんは、念願の北海道ツーリングを敢行。苫小牧から納沙布岬、知床半島と大型バイクを走らせ、サロマ湖へ向かう途中、湖を見下ろせる展望台の存在を思い出した。ナビに目的地を入力して走ると、上り坂は次第に道が細くなり、予想外の悪路に。400kg超えの重量車がUターンできる状況ではない中、苦闘の末に展望台にたどり着いたが、再び悪路を下る体力と気力は残っていなかった……。
展望台への道は途中から未舗装で、狭いうえに深い轍があるなど非常に険しく、4輪車の落輪でもよく救援要請がある場所です。救援現場周辺までは、車両積載車と4WD車のサービスカーで到着しましたが、展望台へは4WD車だけで向かいました。
田中様と合流すると、転倒したわけではないのでバイクは無傷ですが、不安そうな表情をされていたので、まずは笑顔で安全に下る方法を提案しました。森優人隊員の4WD車が先導し、その後を田中様がゆっくり走り、車体がふらついたら、後ろについた私がサポートするというものです。
午後4時を過ぎていたので、上ってくる車はなく、転倒しても車体を起こせる人員がいることの安心感からか、田中様はリラックスしてバイクに乗られて、無事に湖畔の道まで戻ることができました。田中様はツーリングを再開され、後日、「65歳を記念した北海道ツーリングを完遂できました」と、丁寧なお便りをいただきました。
今回は展望台という目印がありましたが、北海道は救援現場がわかりにくい場所が多くあります。JAFアプリでの救援要請なら、GPS機能が使えるので現場への到着がスムーズです。ぜひご利用ください。(越智隊員)
JAF Mate 2020年8・9月号掲載
JAF RESCUE TRIVIA
バイクで転倒後、車体を引き起こせない場合は…
道の下り方向や、狭くてうまく体を使えない場所で転倒すると、バイクの引き起こしが困難になります。車両重量が300kgを超えるような重量車ではなおさらです。そんなときは無理をせず、JAFに救援要請してください。引き起こしだけでなく、転倒後の車両点検も入念に行います。