【車中泊メシ】直火炊飯なのに失敗知らず!? SOTO新作「ITADAKI」を試してみた
新構造の“水蒸気炊飯”を採用! 「スチームライスクッカー ITADAKI」を徹底レビュー車中泊キャンプでの炊飯時、意外と難しいのが直火で1合以下の米を炊く“ソロ炊飯”。少量だからこそ焦げ付きや噴きこぼれが起きやすく、火加減にも気を使います。そんな悩みを解決すると話題なのが、SOTOの新作「スチームライスクッカー ITADAKI」。水蒸気の熱を利用する独自構造で、火力調整不要の炊飯ができるとウワサ。今回は実際に使用してみて、一般的なクッカーとの違いや使い勝手、味まで徹底検証しました。
車中泊メシ、悩みの種は“ソロ炊飯”
SOTO スチームライスクッカー ITADAKI(イタダキ)/ サイズ:直径10.8(鍋底直径9.66)×高さ15.5cm / 収納サイズ:直径10.8(鍋底直径9.66)×高さ13.4cm / 総重量:約250g / 価格:7,480円
車中泊でのごはん、どうしていますか?
家庭用の炊飯器なら車内でごはんを炊けますが、ポータブル電源によってはパワー不足なものも。一方、アクセサリーソケット専用小型炊飯器をエンジン停止状態で使用するのはバッテリー上がりが心配です。
そのため、サブバッテリー搭載車やそれなりのポータブル電源を持っていない場合は、車外でクッカーとバーナーでごはんを炊くのですが、1食・ひとり分の炊飯は、2〜5人分の炊飯よりも火加減が繊細!
この春、アウトドアブランドのSOTOより、失敗知らずの炊飯専用鍋「スチームライスクッカー ITADAKI」が発売されたと聞き、実力を試してみました。
1合以下の直火炊飯はなぜ失敗しやすいのか?
シェラカップでも蓋さえあれば炊飯できるが、噴きこぼれがスゴイ
どんな鍋であっても蓋さえあれば炊飯は可能です。
鍋でごはんを炊く手順&ポイントは次の通り。
1.米を研いだ後、たっぷり浸水時間を取る(夏は30分、冬は1時間)
2.鍋に米と水(米と同量〜1.2倍)を入れる。このとき満水容量が、米+水の容量の約2倍となる鍋を使用する(大きすぎるとムラになりやすく、小さすぎると噴きこぼれる)
3.鍋を中火〜強火にかけ、沸騰したら弱火で約10分。水気がなくなっていたら火から下ろす
4.蓋をして10分蒸らせば完成
炊飯器しか使ったことのない人は「鍋で炊飯=難しい」と思ってしまいますが、案外簡単なのです。
ごはんにこだわる人は「沸騰後、段階的に弱火にしていく」など細やかな火加減をするようですが、沸騰後、すぐに弱火にしても問題ありません。
ただし、ソロ車中泊旅のように1食・ひとり分のごはん(0.5〜0.8合)を炊く際は使用する水が少ないので蒸発しやすく、焦げつく危険が高まるのが悩みの種でもあるのです。
また、米と鍋のバランスによっては盛大に噴きこぼれてしまい、後片付けが大変!
失敗知らずの「水蒸気炊飯」とは? SOTO・ITADAKIの構造をチェック
「スチームライスクッカー ITADAKI」(写真左)とソロ用クッカーで炊飯比較
1合以下でも失敗なくごはんを炊くにはどうすればいいのか……その答えが「水蒸気炊飯」。
バーナーの熱を直接利用するのではなく、水蒸気の熱を利用するので細かな火力調節をしない・焦げ付かない・噴きこぼれないという“3ない”で米が炊き上がる、しかもおいしいと噂のシステムですが、それって本当なのでしょうか?
左が「スチームライスクッカー ITADAKI」(収納時φ108×H134mm、総重量250g)、右は満水容量1000mLと600mLのクッカーセット(φ130×H154mm)
水蒸気炊飯専用鍋「スチームライスクッカー ITADAKI」と普通のアルミクッカーで炊いたごはんで、おいしいのはどちらなのか食べ比べてみました。
「スチームライスクッカー ITADAKI」のセット内容。左より時計まわりにマグ350、マグ650、蓋、スペーサー、リフター
「スチームライスクッカー ITADAKI」は大鍋(マグ650)で湯を沸かし、その熱を用いて小鍋(マグ350)に入っている米を炊きます。
スペーサーを使うことで小鍋と大鍋の間に隙間が生まれる
大鍋と小鍋を単純に2層にするのではなく、蒸気がまわる隙間がポイント。「スチームライスクッカー ITADAKI」は小鍋を包むように蒸気穴がぐるり、蒸籠(せいろう)のようにたっぷりの蒸気が上がってきます。
大鍋にスペーサーを載せてから小鍋をセットする
蒸籠に似ていますが、内側に入れる小鍋が熱湯に浸かるのが蒸籠との違い。高さのある小鍋ですが、熱に包み込まれるのでムラなく加熱でき、米のうまみも逃げません。
小鍋に米と水、大鍋に350mLの水を入れる。今回はカレーに合う少し硬めのごはんにしたかったので、0.5合の米に水90mL
大鍋にいれる水は350mL。
小鍋は0.5合(75g)〜0.8合の米(120g)に対応しています。
小鍋の目盛りは100、200、250で、わかりやすかったのは「100mLまで水を入れ、0.5合の米を投入する」か「0.8合の米に250mLまで水を入れる」でした。
期待以上の炊き上がりに感激! ITADAKIと普通のクッカーを食べ比べ
沸騰まで中火、蒸気が出始めたら蒸気が途切れないよう弱火にする。スペーサーと蓋が樹脂なので、長く強火にかけると鍋から伝わる熱で溶ける危険があるとのこと。注意しよう
バーナーに点火し、沸騰したら弱火にするだけ。細かな火加減は不要です。水蒸気がでるのでスペーサーに水滴がつきますが、噴きこぼれることはなく、テーブルや大鍋が汚れないのはイイ!
完成! 粒立ちがよくうま味を感じられる
炊いたのはブランド米ではありませんが、粒立ちがよくしっかり米の甘さ、風味を感じられます。
鍋と米のバランスが悪いと味に差が出るので、クッカーでは米1合で炊飯
「ITADAKIのほうが粒感があり、ツヤもあっておいしく感じました。これ、好きかも」(中里カメラマン)
「シャバシャバ系レトルトカレーを用意したので、少し硬めのごはんを目指し、水分量を少し減らしました。パサつくことはなくふっくら。これは期待以上です」(ライター大森)
「思った以上においしく炊けてますね。ムラもないし、お米の味がしっかりします。底まで焦げ付くことなく、手入れ簡単なのもいいですね」(スタッフ横山)
標高の高い高原のRVパークで役立ちそう
クッカーのほうは表面が柔らかめだったので最後に少し火力を上げたところ焦げてしまった。この程度なら香ばしく食べられるが油断大敵
一般に標高が高い地点は沸点が低く、鍋で炊飯するとごはんに芯が残りやすいと言われています。車中泊施設のRVパークでは標高1000〜1500mがトップクラスの標高で、水の沸点は100℃ではなく約95〜97℃。
夏旅の定番、高原のRVパークで活躍しそう
炊飯では98℃以上を維持する必要があり、標高1500mを超えるような場所では芯飯リスクがグッと高まるのです。
そのため「夏でも1時間ほど浸水。やや多めの水を注ぎ、加熱時間を長めにしたり蓋に重しを載せて圧力をかけたりすることで芯飯を回避する」というのが炊飯TIPS。
ですが初心者にはこの「長めの加熱時間」「多めの水」のさじ加減がわかりません。この点でも、水蒸気炊飯は有利なのです。
また、火から下ろして蒸らす際も、熱湯に包まれているので冷めにくく、さらにおいしい炊飯の条件(98℃以上を20分維持)に近づくことも見逃せないポイント。
浅型飯盒・蒸籠・ポリ袋炊飯とどう違う?
2021〜2022年にヒットした戦闘飯盒2型
ところで「水蒸気炊飯」ができるのはなにも「スチームライスクッカー ITADAKI」だけではありません。浅型の2合炊き飯盒(はんごう/戦闘飯盒2型)だって水蒸気炊飯ができるのですから。
浅型の飯盒はソロキャンパーに大ヒットしたアイテムで、「スチームライスクッカー ITADAKI」に比べてやや大きいのですが、その分、炊飯とともにスープなど煮込み料理との同時調理ができると人気を博しています。
また、水蒸気炊飯とは異なりますが、焦げ付かず失敗しない炊飯方法としては、米を蒸し上げる蒸籠や、湯煎(ゆせん)するポリ袋炊飯も密かなライバル。
ポリ袋炊飯に必要なのはクッカーとポリ袋、鍋肌に袋が触れないためのアルミホイルやザルで非常に軽量。防災的に覚えておきたい知恵でもあります。
そして蒸籠は2段にして蒸し物と同時に調理するのは十八番。サイズ展開が豊富で手持ちクッカーと合わせやすいこともポイントです。
ただし、どちらも火にかける時間が長い(30分)ので時間的な余裕が必要。
スタッキングも計算されている
「スチームライスクッカー ITADAKI」はもともと登山用に開発されているのでコンパクト収納、総重量でリードしています。
飯盒や蒸籠のような同時調理はできませんが、大鍋で沸かした湯はスープやコーヒーに利用OK。
また、小鍋にワインや牛乳を入れて湯煎できるのは「スチームライスクッカー ITADAKI」ならでは。寝る前のくつろぎ時間に活躍します。
満水容量1Lのクッカーに、燃料とともに入れて持ち運ぶのも手
もっとも、車中泊ではそこまで軽さにこだわる必要がないので、料理にもそこそここだわりたいなら、一回り大きなソロ用クッカーとともに持ち運ぶほうが自然。そうなると総重量は約500g。
浅型の飯盒とほぼ同等になりますが、底が小さいので小さなシングルバーナーに載せても安定するし、全体にムラなく火が回ります。
軽バンでの車中泊やオートバイでのキャンプ旅のように積載量が限られていて小型のバーナーを使っているなら「スチームライスクッカー ITADAKI」が有利。
ソロの車中泊旅でもカセットコンロやツーバーナーを使うなら飯盒や蒸籠、というふうに使い分けるといいでしょう。
“水蒸気炊飯”で、手間なくおいしい車中泊メシが完成
水蒸気でごはんを炊くと、ふっくらつややか。
食材を切る・こねるなどほかの作業をしているとつい火加減の調整がおろそかになるものですが、水蒸気炊飯なら火加減の繊細なコントロールは不要。高原でも失敗しづらく、もし芯が残っても簡単にリカバーできます。
“おこげ好き”には物足りないかもしれませんが、焦げ付かない・噴きこぼれないため片付けだって楽ちんです。
鍋での炊飯に自信がない人、おいしいごはんを食べたいけれど炊飯に手間をかけたくない人は試す価値ありです。
SOTOウェブサイト
大森弘恵
おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R
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