プロ厳選! 冬の車中泊必須の保温アイテム5選! 電気に頼りすぎず暖かく快適に過ごす方法
アウトドアのプロに聞く冬車中泊の寒さ対策ドライブ中は体をホカホカに温めてくれるカーエアコンやシートヒーターですが、車中泊時にエンジンをかけっぱなしにするのは基本的にNG。とくに降雪時は命の危険も……。せっかくの快適装備を使用できないのが車中泊のツラいところ。では安全・快適に暖かく車中泊するには何を用意すればいいのでしょう。15年以上、車中泊をしながらアウトドアを楽しんでいるアルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店の中濱恭平さんに、冬の車中泊に持っていくべき5つの小物を選んでもらいました。
冬の車中泊はポータブル電源に頼りすぎない過ごし方を考える
早朝スキー場に到着し、リフトオープンまでの5時間でサイドシル(ドアの下の縁)を超える積雪があることも
冬の車中泊は寒いというけれど、エンジンをかけたままクルマのエアコンを使えば暖かいでしょ? というのは大間違い。
そもそもRVパークやキャンプ場では夜間のアイドリングは基本的に禁止。それでも周囲に民家もほかの利用者もいないからと自己判断でエンジンを掛けたまま寝てしまった場合、いつの間にか雪でマフラーの排気口が塞がれて排ガスが車内に入り込む危険があるのです。そうなると一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがあり、最悪、死に至ることも……。
駐車中はエンジンを切り、カーエアコンを使わないことが大前提。
電気毛布の定格消費電力はホットカーペットより断然少ない50〜80W。800Whのポータブル電源なら変換時のロスを見込んで8時間ほど使える計算だが、寒いともっと短くなる場合がある
近年はポータブル電源の価格がこなれ、また防災アイテムとしても役立つため、比較的容量の大きな800〜1000Whクラスのポータブル電源を車中泊に取り入れる人が増えています。
電気毛布があればカーエアコンなしでも暖かく車中泊ができそうに思いますが、寝袋と組み合わせた場合、なにか不具合はあるのでしょうか。
「化繊綿とダウン、どちらのタイプの寝袋でも電気毛布と組み合わせて大丈夫。私の場合は寝袋に入る2時間前にスイッチを入れています」と教えてくれたのは、自身も車中泊をしつつアウトドアアクティビティを楽しむ中濱恭平さん。
アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店の中濱恭平さんは15年以上、車中泊をしながらアウトドアを楽しんでおり知識が豊富
電気毛布と冬用寝袋を併用している中濱さんですが、寒い場所ではポータブル電源から取り出せる電気の量が少なくなるため「早いうちから電気毛布を使っていると一番冷え込む夜明け前に電池が切れてしまいます」とも忠告してくれました。
冬の車中泊では電気毛布をフルで使うのではなく、あくまで補助と位置づけ、計画を立てるのが正解なのです。
電気に頼らないからといって屋外用ヒーターの車内利用は絶対にNG。限られた車内空間では一酸化炭素中毒ややけど、火災の危険が高まる
気化した燃料がプラチナ触媒に触れて発熱するカイロ
FFヒーター(※)非搭載のクルマで、カーエアコンを使わず電気毛布にも頼りすぎないで寒さを克服するなんて。いったい何をどうすればいいのでしょう。
「車内で豆炭あんかやカセットガスを燃料とするヒーターで暖を取ったり、ガスバーナーで調理したりするのは危険です。通常の燃焼とは異なるプラチナ触媒を利用するカイロは安全性が高いのですが、長時間使用は低温やけどの危険があるので就寝中は使わないほうがいいでしょう」とも警告してくれた中濱さんに、安全な保温術を教えてもらいました。
※FFヒーター=エンジンを停止しても使用できる燃焼式ヒーター
1.湯たんぽで寝袋の足もとを温める
金属製湯たんぽはこぼれにくい
車内で安心して使える暖房器具として、最初に思い浮かべるのが湯たんぽ。
大きさも素材もいろいろな種類があります。車外で湯沸かしが可能な場合、金属製なら熱湯を注ぎ入れやすく、なかにはそのまま火にかけられるものもあります。もちろん車内の電気ケトルで湯を沸かし、注いでもOK。ただし熱湯を注いだあとはカバーなしで持つとやけどします。
樹脂製は熱湯を注いだ直後でも短時間なら触れても大丈夫。ソフトタイプは丸められるし肌に優しいのですが、キャップがきちんと閉まっていないまま押すと漏れる危険があります」(中濱さん)
湯たんぽ(使用時はカバー必須)は寝袋の足もとに入れて温めておくのが中濱流
湯たんぽはおなかに抱えればいいのでしょうか。それとももっと効果的な使い方がある?
「寝る1〜2時間前に準備をして、寝袋の足もとに入れておきます」(中濱さん)
冷たい寝袋に足を突っ込むとしばらくの間震えてしまいますが、最初から温かいので素早くリラックスできるのです。おなかあたりでもよさそうに思えますが、足先は寝袋の中綿が温かくなりにくいので、足もとに置く方が効果的というわけ。
湯たんぽだけでなく、使い捨てカイロでも同じ使い方ができそうです。
アルペンオリジナルのコタツ布団と天板(幅110cm)のセット。中に湯たんぽを入れて使う
幅80cm程度の小型のテーブルであれば、湯たんぽとコタツ布団でコタツ化するという手もあります。
足・腰だけ寝袋に入るのと似ていますが、コタツのほうが脚を動かしやすくて圧迫感がありません。寝るときはコタツ布団をマットの上に敷けば背中の保温力アップに役立ちます。ソロであれば寝袋ごとコタツ布団にくるまるという手もあります。
2.寝袋+ブランケットは組み合わせ方もポイント
ブランケットの起毛が空気を溜め込み暖かい
布団の上に毛布を掛けるほうが、布団の中に毛布を入れるよりも暖かいと言いますが、寝袋の場合もブランケットを掛けるほうがいいのでしょうか?
「シングルサイズ(幅100cm程度)のブランケットを掛けると、いつの間にか寝袋から滑り落ちてしまいます。だからブランケットを寝袋の中に入れるのをおすすめしています」(中濱さん)
体の上にかけると起きるときがラク
おなかの上にブランケットを掛けた状態で寝袋に潜り込みます。これなら朝、起きるときにファスナーを開けてもすぐには冷気が入ってきません。着替えまでの間にワンクッションあるので、寒さを感じにくいというわけ。
クリップやトグルが装備され、肩掛けできるタイプもある
シングルサイズなら夏の肌掛け、それよりも小ぶりのものなら焚き火のひざ掛けに重宝します。中綿入りでクッション性のあるブランケットなら寝袋の下に敷くのも手。
さまざまなサイズ、厚みのものがありますが「肩掛けができる、敷物になるなどマルチ使いできるものが人気」(中濱さん)なんだとか。
店頭でブランケットの肌触りや厚みを確かめれば使い方のイメージが広がるので、オンラインショップよりも実店舗で選ぶ方が後悔しません。
3.3つの首と頭をカバーして保温力をプラス
ネックウォーマー、レッグウォーマー、ニットキャップ。これらをプラスするだけでもポカポカ
寝袋は肩や顔まわりのドローコードを絞ることで保温力を高められますが「結構苦しいのでドローコードを絞るかわりにネックウォーマーとニットキャップを被って代用しています。でも無意識にニットキャップを外していることも多いですね」(中濱さん)。
起きているときは手首を保温する指なしのグローブやアームカバー、足首を温めるレッグウォーマーも欲しいところです。
ちなみに中濱さんにとって冬の車中泊に欠かせないアイテムを聞いたところ「腹巻きです。寒い日の車中泊はトイレに行くのも大変なので、おなかが冷えないよう必ず腹巻きをしています」と教えてくれました。
4.自宅でも活躍する中綿入りソックス
底冷えを低減してくれる中綿入りのソックス
中綿入りのソックスなら寝袋に入らなくても足先の冷えを低減してくれます。底に滑り止めが付いているものであれば、フローリングでも歩きやすく日常使いもできます。
5.真空断熱ボトルを用意して体を内側から温める
長時間温度をキープする真空断熱ボトルは安定感のあるものがマスト。蓋付きであれば熱湯をこぼす心配もない
保温力の高いポットに熱湯を詰めておき、必要な量だけダブルウォールマグに注げば、燃料を無駄にせず熱々の飲み物が手に入ります。さまざまな保温マグやポットがありますが、保温性の高さで選ぶなら二重になっていて間が真空になっている"真空断熱"タイプがベストです。
電気ケトルを使えば車外に出ずとも湯沸かしができる。飲み物や調理、湯たんぽなど幅広く活用できる
燃焼系のバーナーは車内では使えませんが、ポータブル電源があれば電気ケトルやIHでちょっとした湯沸かしが可能。
ポータブル電源がない場合も、車外でたっぷりの湯を沸かしてポットに入れておけば寒い思いをする時間は短くてすみます。
ショウガは体を温める効果が期待できる
「ショウガを使った料理は体を内側から温めます」(中濱さん)
車内でも調理しやすいスープやラーメンにショウガを加える、寝る前にショウガ湯を飲むといった具合。広口の真空断熱マグを食器がわりに使ってもよさそう。
なお、ニンニクも体を温める効果がありますが、車内に臭いが付きやすいので注意が必要です。
冬車中泊は電気が尽きても安心な装備を
少し薄い寝袋でも電気毛布を併用すればなんとかなりますが、万一、途中で電気が尽きたら悲惨です。これはヒーター入りのベストでも同じこと。冬の車中泊では電気を使えなくなっても対応できるように備えておきましょう。
中濱恭平さんプロフィール
アウトドア専門店・アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店のキャンプフロア担当。学生時代は、朝一番のスキー場を目指して車中で仮眠。現在はハイエースをカスタムして車中泊+アウトドアアクティビティを楽しんでいる。北海道出身。
中濱さんの愛車のハイエース。エクステリアは塗装している
車内はキャンピングカー仕様にDIY
アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店
2019年にオープン。売り場面積は約2,300坪、取り扱いブランドは約450、商品点数10万点以上が並ぶ世界最大級のアウトドアショップ。展示している商品はすべて試着・体験可能。ゆとりのある店内スペースではテントの試し張りまでできるので、使用感などを実際に試すことができます。
住所:千葉県柏市風早1-6-1
電話:04-7192-3671(店舗代表)
営業時間:10:00~21:00
アルペンアウトドアーズフラッグシップストア 柏店ウェブサイト
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