ネコネコごよみ 1月
津軽の漁港に暮らすネコ冊子JAF Mateで好評の「ネコネコごよみ」が、JAF Mate Onlineでも毎月連載となりました!! 動物写真の第一人者、岩合光昭さんが撮影したネコたちが、季節の風景とともに登場します。
雪はほぼ毎日、降ります。ネコたちもほぼ毎日、新雪をかき分け、優しいヒトを待ちます。
©Mitsuaki Iwago ※2012年撮影
豪雪地帯、青森。津軽には七つの雪があると、太宰治が書いています。こな雪、つぶ雪、わた雪、みず雪、かた雪、ざらめ雪、こおり雪。
漁港の作業小屋で暮らすネコたちに会いに行きます。冬の港は雪かきで集めた雪を、海へと投げる場所。思っていた以上に、車が行き来します。雪が降っているので、ネコは小屋から出てこないだろうと思っていたのですが、午後になると、たくましく雪をかき分けて、海のそばまでやってきました。優しいヒトがくる時間。小屋の中で、せめて小屋の前で待っていればいいのに、駐車場から見えやすい海のそばまできて、降雪の中、待つのです。港で羽を休めるハクチョウたちも、同じヒトを待っていました。
優しいヒトは、ハクチョウが食べてもいいサカナ屑(くず)などを、台所から持ってきてくれるのです。ネコたちにはキャットフードを。優しいヒトが近づいてきたことを、ネコが気づき、ハクチョウが気づきます。そのあと、僕が気づきます。ネコたちはお腹が満たされると、優しいヒトに甘えます。ゆっくりと、心を満たす時間です。
岩合光昭
いわごう・みつあき 地球上のあらゆる地域をフィールドに活躍する動物写真家。身近なネコを半世紀以上ライフワークとして撮り続けている。NHK BSP『岩合光昭の世界ネコ歩き』が好評放送中。©︎Iwago Photographic Office オフィシャルサイト 【岩合光昭】 official site