横断歩道を渡る女の子

信号機のない横断歩道で止まらないクルマ、4割以上のドライバーが守らない「危険なルール違反」の実態

JAFが「信号機のない横断歩道での一時停止状況」2025年版を公開

歩行者が信号機のない横断歩道を渡ろうとしているとき、クルマはきちんと一時停止していますか?

JAFが毎年実施している「信号機のない横断歩道での一時停止状況」全国調査の2025年版結果が発表された。交通安全の基本であるこのルール、果たして守られているのだろうか。

目次

調査概要

・調査期間:2025年8月6日~8月28日(平日10時~16時)
・調査対象:全国94か所(各都道府県2か所)、信号機のない横断歩道
・調査台数:6,226台
・調査方法:歩行者が渡ろうとする意思を示した際の車の挙動を観察

全国平均の一時停止率は過去最高を更新

調査は各都道府県で2か所ずつ、全国で合計94か所の信号機が設置されていない横断歩道で実施。歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は6,226台中3,528台(56.7%)と過去最高になった。前年の調査時と比べて3.7ポイント増加したものの、いまだに4割以上のクルマが止まっていないという実態も明るみに出た。

全国平均一時停止率推移グラフ(2016~2025年)

信号機のない横断歩道における全国平均一時停止率推移グラフ(2016~2025年)。2025年は56.7%と過去最高

※グラフはJAFのデータに基づき編集部作成

信号機のない横断歩道におけるクルマの一時停止率は長野県がトップに

下の表は一時停止するクルマの割合を都道府県別で示したもの。36都道府県で停止率が上昇する傾向が見られた。また、上昇率が最も大きかったのは岩手県で、前年より10.1ポイント上昇した。

都道府県 2024年(%) 2025年(%) 変動値(%)
北海道 34.1 38.1 4
青森 59.9 50.4 -9.5
岩手 57.1 67.2 10.1
宮城 70.3 62.1 -8.2
福島 74.8 74.5 -0.3
秋田 54.3 55.1 0.8
山形 58 55.8 -2.2
新潟 56.2 57 0.8
長野 87 88.2 1.2
茨城 43.7 44.2 0.5
栃木 63.9 67.8 3.9
群馬 58.8 59.8 1
埼玉 50.8 47.9 -2.9
千葉 49.2 48.4 -0.8
東京 42.4 44.2 1.8
神奈川 61.7 62.8 1.1
山梨 64.1 65.3 1.2
富山 59.7 60.9 1.2
石川 68.4 70.3 1.9
福井 37.4 35.8 -1.6
岐阜 74.4 78 3.6
静岡 65.8 67.2 1.4
愛知 47.6 48.9 1.3
三重 64.8 66.4 1.6
滋賀 71.2 72.9 1.7
京都 52.4 53.6 1.2
大阪 40.4 35.5 -4.9
兵庫 66.1 67.9 1.8
奈良 62.3 64.3 2
和歌山 39.8 41.5 1.7
鳥取 61 62.6 1.6
島根 57.3 58.9 1.6
岡山 64.2 66.9 2.7
広島 59.4 61.6 2.2
山口 33.7 34.3 0.6
徳島 44.8 46.1 1.3
香川 45.7 46 0.3
愛媛 65.8 66.7 0.9
高知 53.9 54.8 0.9
福岡 74.3 77.7 3.4
佐賀 47.2 50.6 3.4
長崎 49.1 50.6 1.5
熊本 74.1 77.4 3.3
大分 41.5 38.6 -2.9
宮崎 73.4 76.5 3.1
鹿児島 50.1 53.2 3.1
沖縄 41 36.9 -4.1

一時停止率上位5県

1. 長野県: 88.2%
2. 岐阜県: 78.0%
3. 熊本県: 77.4%
4. 福岡県: 77.7%
5. 宮崎県: 76.5%

上昇率上位5県

1.岩手県: +10.1ポイント(57.1→67.2)
2.栃木県: +3.9ポイント(63.9→67.8)
3.岐阜県: +3.6ポイント(74.4→78.0)
4.福岡県: +3.4ポイント(74.3→77.7)
5.佐賀県: +3.4ポイント(47.2→50.6)

横断歩道は「歩行者優先」、歩行者もドライバーへの意思表示を

道路交通法では「横断歩道における歩行者優先 」を定めている。車両が横断歩道を通過するとき、横断しようとする歩行者がいる場合には横断歩道の直前で一時停止し、その通行を妨げないようにしなければならない。「横断しようとする歩行者がいないことが明らかな場合」を除き、横断歩道の手前で停止できるようあらかじめ速度を落とすこともドライバーの責務である。また、車両は、横断歩道の手前30m以内で追い越し・追い抜きは禁止されていることにも注意が必要だ。

一方で、歩行者側も信号機のない横断歩道を渡るときは、ドライバーに横断する意思を表示し、無理な横断をしないという心掛けが大切だ。

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