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2025年春に登場! 普通免許でも運転できる125ccバイク「一般原付」のルールとは?

最高速度や自動車税など、新基準原付の仕組みをQ&Aで解説
長 信一

2025年4月から、一般原動機付自転車の車両に新たな規格が追加されます。あまりなじみのない一般原動機付自転車という言葉ですが、2023年7月に特定小型原動機付自転車(いわゆる電動キックボード等の特定小型原付)という枠組みが新たに始まったことから、従来の原動機付自転車(原付)については、一般原動機付自転車(一般原付)に改称されました。今回、自動車運転免許研究所の長信一先生が、この一般原付の新基準と、運転に必要なルールについて説明します。

目次

「一般原付」で追加された新たな基準とその理由

この一般原付の新規格ですが、

・エンジンの総排気量が50㏄超125cc以下、かつ最高出力が4.0kW以下の二輪のもの

ということで、「普通自動車免許で運転できる125ccバイクがとうとう認められた」と思う方も多いと思います。

排気量としてはその通りではあるものの、従来の125㏄以下のバイクと異なるところもあります。後半の文面に着目してください。「かつ」とは条件が2つあるという意味で、そこでは「最高出力が4.0kW以下」と制限されています。

最高出力とは、エンジンまたは電気の出力の最大値を「kW」という単位で表したものです。この4.0kW以下という数値は、実は従来の原付とほぼ同等の出力なので、排気量が125cc以下であっても同一のカテゴリーに追加されています。

このような規格が追加された経緯は、大気環境保全や国際基準調和を目的として、排出ガスの基準が強化されたことにあります。排出ガスは、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の3種類を測定していて、これらが保安基準の数値内であるのが条件です。

ところが、従来の50ccのガソリンエンジンでは燃焼温度が低く、排気ガスを浄化する触媒を温めるのに時間がかかるため、コスト面も含め、十分な排出ガスの規定値をクリアするのが困難になります。そこで触媒が温まる時間を短くするために、一般原付の排気量を125cc以下に引き上げることで、基準をクリアさせたわけです。

時速何kmまでOK? 二人乗りはできる? 自動車税は必要?

これにより新たに125ccエンジンのバイクが一般原付として追加されることになりますが、新しい制度なのでさまざまな疑問が交わされています。そこで、法的な基準についてQ&A方式でご説明しましょう。

① 何歳から運転できるの? : 16歳以上です。
② 小型二輪免許は必要なの? : 必要ありません。原付免許で運転できます。
③ 二人乗りはできるの? : 一般原付ではできません。
④ 法定速度は時速何km? : 時速30kmです。時速60kmではありません。
⑤ ヘルメットは必要なの? : 一般原付ですのでかぶる義務があります。
⑥ 二段階右折するの? : 指定された交差点を右折するときは、二段階の方法で右折します。
⑦ 普通自動車の原付特約保険に入れるの? :入れます。別名ファミリーバイク特約ともいい、125cc以下までなら可能です。
⑧ 税金はいくら? : 軽自動車税がかかります。原付1種の区分なので年額2000円です。

もう「50ccの原付」には乗れないの?

ところで、従来の原付にはどんな規格や車種があったのでしょうか。

・エンジンの総排気量が50cc以下、または定格出力が0.60kW以下の二輪のもの(三輪のスクーターも含む)

メーカーで販売していた原付バイクの例

従来の規格で販売されていた一般原付の例

これらは、現在お手持ちの普通免許や自動二輪免許、そして原付免許をお持ちの方であれば、だれでも運転することができます。

また、国内の二輪車メーカーでは実際の車両は見当たらないものの、以下の規格も一般原付として定義されています。

・エンジンの総排気量が20cc以下、または定格出力が0.25kw以下の三輪以上のもの

エンジンの排気量が50cc以下の車両は、残念ながら2025年11月以降は生産が終了すると考えられています。そのため、新車での購入ができなくなります。しかし、現在市場に出回っている車両は継続して運転することができます。どうしても50ccの車両がほしい方は、引き続き中古などで購入することも可能です。

新たな基準の125cc車両については、2025年3月時点ではまだ販売されていないため、具体的な紹介はできませんが、もうすぐ各メーカーから、新基準に対応した一般原付が発売される予定です。時代を先取りした新時代のバイク。早く乗ってみたいものですね。

自転車? それともバイク? 最近見かける「モペット」とは?

ペダル付きの電動バイクをご存じでしょうか。「モペット」や「フル電動自転車」と呼ばれ、電動アシスト自転車のようにも見えるものの、ペダルを漕がずに太いタイヤでスイスイ走ってます。最近そんな車両をよく見かけます。

実は2024年11月、この車両は電動アシスト自転車の基準を満たさない場合、一般原付か自動車扱いになると明確に分類されました。もともと「電動バイク」として運転するには原付免許か二輪免許等が必要でしたが、その点がきちんと周知されました。もちろんペダルを漕いでいても運転免許証は必要です。

ほかにも当然ながら、一般原付や自動車に該当する場合は乗車用ヘルメットの着用は義務。ナンバープレートを付けて最高速度は30㎞。方向指示器やブレーキランプなどは保安基準に適合したものを装備しなければなりません。自賠責保険に加入し、歩道走行は禁止などなど、「バイク」としてのルールを守らなければなりません。

長 信一

ちょう・しんいち 1962年生まれ。1983年、都内の自動車教習所に入社し、学科や実技の指導員に。24歳のとき、全種類の運転免許証を完全取得。教習生への親身な指導をモットーに普通免許、自動二輪免許、第二種免許など数多くの合格者を送り出した。現在は自動車運転免許研究所の所長として運転免許関連の書籍を執筆。その数、実に200冊以上。

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