自転車の信号無視や一時不停止などの違反行為に青切符! 飲酒運転や「ながら運転」にも罰則適用へ
フル電動自転車を原付バイクとして明確化も警察庁は2024年3月5日、道路交通法の一部を改正する法律案を国会に提出した。この改正案には、おもに増加する自転車の事故防止に向けた罰則の整備などが含まれている。
自転車運転中の携帯電話・スマホ使用は6月以下の懲役または10万円以下の罰金に
自転車に乗りながら携帯電話やスマートフォンで会話したり、さらには画面を見ていたりする人を見たことはないだろうか。
こうした車両を運転しながら携帯電話などを使用する行為について、これまで道交法第71条5の5では自動車と原動機付自転車が罰則の対象とされていたが、今回の改正案ではあらたに自転車も対象に追加されている。
これに違反した場合、自転車の運転者も6月以下の懲役または10万円以下の罰金となる可能性がある。
自転車の酒気帯び運転は3年以下の懲役または50万円以下の罰金に
自分が重傷を負ったり死亡したりするだけでなく、周囲にも同様の被害を与える可能性が高まる「飲酒運転」。非常に危険な行為であるとの認識も広まり、自動車では減少傾向にある。
道交法第65条第1項で「何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない」と禁止されている行為ではあるが、これまで自転車を含む軽車両の場合、罰則の対象ではなかった。
今回の改正案では、これまで「~アルコールを保有する状態で車両等(軽車両を除く)を運転した場合~」となっていた条文の但し書き箇所を、「自転車以外の軽車両を除く」としている。
これにより、今後は自転車の飲酒運転についても、3年以下の懲役または50万円以下の罰金(酒気帯び運転の場合)などに該当する可能性が生じてきた。
自転車の検挙件数増加に伴い、信号無視や一時不停止などの違反行為に「青切符」
昨今、自転車対歩行者事故などの自転車関連事故件数が増加傾向にあり、自転車側に何らかの法令違反が認められることから、自転車の検挙件数が増加しているという。
こうした自転車の法令違反を犯罪行為として刑事手続の対象とする、いわゆる「赤切符」については、制度として重すぎることや、自転車の場合は不起訴となることが多く、扱いにくいという声もある。
そのため今回の改正案では、16歳以上の自転車の運転者が、信号無視や一時不停止など一定の違反を行った場合、より簡易的な交通反則通告制度、いわゆる「青切符」を適用することで、取り締まりの合理化を図るのが狙いという。
この青切符に該当する場合、数千円から1万円程度の反則金が課せられる可能性がある。
また、上述の携帯電話を使用しながら自転車に乗る「ながら運転」についても、青切符の対象となる場合がある。
この他、自動車等と自転車等の事故防止のため、車道で十分な間隔がないときは自動車側が安全な速度で通行する、自転車側は道路の左端に寄って通行する、といった義務が創設される見込みだ。
「フル電動自転車」等の運転ルール明確化や仮免許年齢の引き下げも
また、今回提出された改正案では、「原動機に加えてペダルその他の人の力により走行させることができる装置を備えている自動車または原動機付き自転車」(いわゆるフル電動自転車など)の運転ルール明確化や、早生まれの高校生などを対象とした普通仮免許の年齢要件を18歳から17歳6か月へ引き下げるといった内容も含まれている。
今回の改正案は自転車の交通ルール順守をうながす内容が中心となっているが、制度の改正にかかわらず、自転車に乗る際は「車両を運転している」との自覚がより一層大切になっている。