災害時、車中泊避難の際の注意点とは?
冬季の降雪地域では一酸化炭素中毒にも要注意2024年1月1日に発生した能登半島地震では、今もなお避難生活が続いている。中には寒空の下、自動車への避難を余儀なくされている方もいる。本記事では、JAF Mate 2020年4月号特集「災害と車中泊」より、こうした車中泊避難の際の注意点を抜粋する。
車中泊避難におけるリスクの認識を
過去の災害でも「車が一番安全だと思った」「プライバシーの問題から」等、さまざまな理由から車中泊避難が行われたが、下記に挙げるようなリスクへの知識と予防がなければ、車中泊避難は命にかかわるということを十分に理解しておきたい。
- ※ 高齢者や妊婦は車中泊を行わないこと
トイレの場所
トイレを我慢せずに水分を摂取することはとても重要。定期的に体を動かすことにもつながるので、安全にトイレを使える駐車場所かどうかを確認しよう。
エコノミークラス症候群
血栓を防ぐため、座った状態でつま先を引き寄せて数秒キープしたり、伸ばした状態で体重をかけたりと、少し負荷をかけた運動を。着圧ソックスも有効。
車内での就寝
きちんと睡眠できるよう、段差に毛布を置く、隙間に荷物を詰めるなどして、車内をなるべくフラットに。
一酸化炭素中毒への対策
雪でマフラーが埋まったり、狭い場所でエンジンをかけ続けたりすると排ガスが車内に入り込み、最悪の場合は一酸化炭素(CO)中毒で死に至る。COは無色無臭のため、気づかないうちに濃度が高まることがある。必ずエンジンを切り、空調以外の冷暖房を。
車中泊避難で役立つ、車に備えておきたいもの
着圧ソックス(ふくらはぎ圧16hPa/足首圧24hPaの圧力値を満たした車中泊対策用)、手回しラジオ、懐中電灯(ヘッドライトがよい)、軍手、レインポンチョ、ウェットティッシュ、タオルや歯ブラシなどの洗面用具、寝袋、毛布、携帯トイレ、使い捨てカイロ(冬期、体に貼るタイプ)、虫よけスプレー(夏季)など。
なるべく避けたい冬の車中泊避難と、避難生活の改善に求められるもの
筆者は以前、北海道の北見市で行われた「厳冬期避難所展開・宿泊演習」に取材を兼ねて参加したことがある。1月下旬の夜間、気温マイナス11度の下、3時間車内で過ごしたが、狭く身動きのとりにくい車内では、ドアと体が接する部分から直に冷気が伝わり、1時間もすると足元から寒気を感じてきて、とても耐え難い状態だった。
演習時はあらかじめ防寒着を着こんでおり、毛布なども準備されていたが、冬季は最低限、普段から車内に毛布やカイロ、保温性のあるシート類を備えておく必要を感じた。
コンテナ型トイレ
キッチンカー
ダンボールベッド
簡易的な足湯
また、この演習では避難所の改善も目的とされており、「排せつ」「食事」「睡眠」の3つが重要との考えから、清潔なコンテナ型トイレや、多様なメニューを提供するキッチンカー、男女別シェルターとダンボールベッドを備えた就寝スペースが設置されていた。また、冬季ならではの対応として、ダンボールとビニール袋で簡易的な足湯を提供する試みも行われていた。
こうした普段からの備えも、いざという時の避難生活を左右するのだろう。