何でも飲み込む巨大マシン! 木材や廃材を資源へ変える27t超の破砕モンスターの正体とは?
【特車図鑑】世の中を支える唯一無二の特殊な乗り物たち
建設現場や災害現場、そして輸送の最前線などで人知れず活躍する特殊車両たち。特別な作業のために開発されているだけに、その機能も形状も、どれも常識を超えたものばかり。今回の特車図鑑は、巨大な木材や根株、建設系廃棄物などを豪快に飲み込み、次々と細かく破砕していく巨大マシン。
その正体は、ドイツのDoppstadt(ドップシュタット)社が開発した自走型破砕機「INVENTHOR 6.2K(インベンター6.2ケイ)」。クローラーで自ら移動し、低速で回転する巨大ローターが圧倒的な力で対象物を噛み砕く。今回は、その驚異のメカニズムと実力に迫る。
ドイツ生まれの巨大破砕機「インベンター6.2K」とは!?
全長約7.7m×全幅2.5m、重量約27tという巨体を誇る自走型破砕機「インベンター6.2K」。車体下部には現場内を自力で移動するためのクローラーを備え、巨大な投入口や破砕ローター、排出用ベルトコンベアなどを一体化。大量の木材や廃材を効率よく処理するための機能を、この一台に凝縮している
各種工事現場や被災地などから出る木材や金属、プラスチック、繊維といった廃材を、処理しやすいサイズへと変える破砕機。その中でも世界中で多くのシェアを持ち、高い評価を得ているメーカーがドップシュタット社。
1965年、当時の旧東ドイツでドップシュタット兄弟が農作業の効率化を目指して製作した各種機械をルーツに発展。今回取り上げる、低速回転式の破砕ドラムを採用したクローラーを備えた自走型モデルをはじめ、数多くの破砕機を開発・生産している。現在、日本国内ではドップシュタット社製の破砕機がトータルで150台以上稼働している。
木の根から粗大ごみまで! 何でも飲み込む破砕力
大きく開いた投入口へ、重機を使って上方から大量の木材を投入。投入された材料は内部の破砕ローターへと送られ、次々と豪快に破砕されていく
インベンター6.2Kの特徴は、その圧倒的な破砕力。基本的には木材用だが、FRPを含むプラスチックや繊維なども強力にサイズダウンできる。木材に関しては、板や角材に代表される一般的な建築資材のみならず、掘り起こした根株や丸太、林業作業で発生する不要な枝や端材など、木質素材であれば幅広く対応。しかも、一般的な破砕機は1時間当たり10t程度の処理能力にとどまるなか、最大35tもの処理能力を誇るなど、その性能も圧倒的だ。
巨大ローターが生み出す驚異のパワー
巨大な木材を噛み砕く、インベンター6.2Kの破砕刃。ローターには分厚く頑丈な鋼鉄製の回転刃が装着され、車体側の固定刃との間に材料を挟み込むことで強力な剪断力を発生させる。摩耗した場合は刃だけを交換できる構造で、過酷な連続作業にも対応する
破砕機には方式の違いによって「圧縮式」「剪断(せんだん)式」「衝撃式」の3タイプがあり、インベンター6.2Kは剪断式。対象物を処理槽に投入すると、内部で回転するドラムに取り付けられた刃が、車体側に装着された固定刃と噛み合うように動き、巨大なハサミのように対象物を破砕する。刃は分厚い爪のような形状で、摩耗した場合は固定ボルトを外して交換可能。ドラムが毎分30回転という低速で回転するのも大きな特徴だ。高速回転式では刃の摩耗や故障につながりやすい金属類も、低速回転なら発見・除去しやすく、巻き込む前に運転を停止しやすいというメリットがある。
27t超の巨体が自ら動く! クローラー式を採用
インベンター6.2Kの自走や各種操作は、付属のリモコンから行うことが可能。オペレーターが機体の外から周囲の状況を直接確認しながら操作できるため、巨大な車体でも位置を細かく調整しやすい。重量約27tの巨体が、手元のリモコン操作に合わせてゆっくりと動く姿は圧巻だ
クローラーやタイヤを備えた独特のスタイルもインベンター6.2Kの特徴だ。一般的に破砕機はトラックなどで牽引し、現場に据え付けて使用するケースが多いが、その場合、現場内で簡単に移動できないというデメリットもある。
一方、自走可能なクローラー付きなら現場内を自由に動けるため、その都度、作業しやすい位置へ移動させることが可能。とはいえ最高速度は時速3kmほどで、公道走行は不可。あくまでも現場での作業性を高めるための装備である。タイヤではなくクローラーを採用する理由は、接地面積を広く取ることで27tにも及ぶ重量を分散し、軟弱な路面などでの走破性を高めるためだ。
砕いた先にも役目がある! 廃棄物を再び資源へ
現在、国内にあるDoppstadt製破砕機は約150台。そのうちインベンター6.2Kは10台程度、さらに大型の上位機種となるインベンター9も20台程度が稼働し、日々大量の木材を処理している。
しかし、ここで生まれた処理材は単なるゴミではない。立派な資源として、木質バイオマス発電用燃料や家畜の飼料、堆肥原料など、木質素材ならではの特性を生かして再利用されている。また、破砕による減容化によって保管スペースを有効活用できるほか、混入した金属を取り除くことでリサイクル率の向上にも貢献する。破砕機の投入口は、単なる廃材処理の入り口ではなく、「資源再生への入り口」でもあるのだ。
現在、国内にあるドップシュタット製破砕機は約150台。そのうちインベンター6.2Kは10台程度、さらに大型の上位機種となるインベンター9も20台程度が稼働し、日々大量の木材を処理している。しかし、ここで生まれた処理材は単なるゴミではない。立派な資源として、木質バイオマス発電用燃料や家畜の飼料、堆肥原料など、木質素材ならではの特性を生かして再利用されている。
また、破砕による減容化によって保管スペースを有効活用できるほか、混入した金属を取り除くことでリサイクル率の向上にも貢献する。破砕機の投入口は、単なる廃材処理の入り口ではなく、「資源再生への入り口」でもあるのだ。
【インベンター6.2Kのディメンション】
【インベンター6.2Kの特徴を紹介】
車体後部に搭載されるCAT製C9.3Bディーゼルエンジンは排気量9300cc、最高出力310kW(約421PS)を発揮。独自のVDDを介して、強大なパワーを効率よく破砕ローターへ伝える。また、粉塵の多い現場でも冷却性能を維持できるよう、一定時間ごとにラジエターファンを自動で逆回転させ、付着した粉塵を吹き飛ばす機能も備えている
毎分30回転という低速で作動する重量5tの一軸式破砕ローターには、174mm×40mm×80mmの鋼鉄製台形回転刃を20基搭載。これが車体側の固定刃との間を通過する際に強力な剪断力が発生し、木材や金属、プラスチック、繊維を破砕する。刃の隙間は固定刃側を油圧シリンダーによってミリ単位で動かすことで調整でき、効率の高い破砕を可能にしている。調整は操作パネルから行える
破砕処理された木材は、自動的にベルトコンベアへと送られて排出される。ボディに沿って折り畳める構造となっており、コンパクトに格納可能。さらに、後工程に選別機などを組み合わせることで、破砕から選別までを連続した処理ラインとして構成することもできる
ベルトコンベアの途中には、建築木材などに残ったクギやネジといった鉄系異物を取り除くための磁選機を搭載。強力なマグネットによって、破砕物がベルトコンベアを流れる途中で鉄類を吸着・分離し、処理材への混入を防ぐ。破砕後の材料を資源として再利用するうえでも重要な装備だ
約27tの巨体を支えるため、足まわりには走破性に優れたクローラーを採用。左右を合わせた接地面積は約3.2m²にもなり、広い面で重量を受け止めることで地面への負担を分散する。最高速度は約3km/hと低速ながら現場内を自走でき、傾斜も15度程度まで対応。公道は走行できないため、現場間の移動には低床トレーラーを使用する
機体側面には、各種設定や破砕作業の操作に使用するタッチスクリーン式の操作パネルを配置。画面を見ながら直感的に操作できるほか、付属のリモコンを使えば機体から離れた場所から操作することも可能だ。リモコン背面にはマグネットが備わり、機体の金属部分に貼り付けておけるのも便利なポイント
大量の木材などを受け入れる大きな投入口。可動式のホッパーは角度を調整でき、投入した材料を自重によって破砕ローターへと送り込む仕組みだ。投入幅は3.3m以上と広く、大型の重機を使った材料投入にも対応。大量の木材を効率よく破砕部へ送り込むことで、スムーズな連続作業を可能にしている
【インベンター6.2Kのスペック(クローラー仕様)】
●全長×全幅×全高:11516mm×2500mm×3353mm(全高は作業時) ●重量:約27500kg ●エンジン:CAT C9.3B ●排気量:9300cc ●最高出力:310kW/421PS ●燃料タンク:425L ●破砕ローター長:2200mm ●ローター径:600mmまたは800mm ●ローター回転数:マイナス2~30rpm ●投入口幅:3374mm
重機女子オペレーター Kaoriさんが語るインベンター6.2Kの魅力
重機のイメージが変わる! 資源を生み出す一台
ドップシュタット社の自走式破砕機は、建設現場やリサイクル現場で発生する木くずや廃材などを、その場で破砕できる機械。大型の機械でありながら自走できるため、現場内の移動も可能で、作業効率の向上にもつながります。
日本を代表する大手建機メーカーの大型破砕機を使った経験がある私から見ても、インベンター6.2Kは、一般廃棄物など幅広い対象物を効率よく処理できて魅力的です。こうした「素材を再利用できる形に変える機械」は、とても新鮮に感じました。
日本では大雨や地震などの災害によって、被災地で発生した災害廃棄物の処理が課題となるケースもあります。そうした現場でも活用できる可能性があるのではないかと感じます。重機は現場で掘る、運ぶ、整えるだけじゃない。資源を循環させる役割も担っている。そんな建設機械の新たな可能性を感じさせてくれる一台です。
重機女子オペレーター Kaoriさん(株式会社KSK 代表)
親方として現場で作業を行うKaoriさんは、重機が好きすぎて自ら会社を設立。「ユンボの楽しさを伝えたい!」という思いから、テレビ出演やイベントでの講演のほか、建設業界で働く女性たちが集まるコミュニティサイトなども運営している。
●Instagram:@kao.ksk
●公式LINE(建設業に関わる女性限定):@925dxxzs
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