特集

ストップ! 車両盗難。専門家がすすめる盗難対策とセキュリティーグッズ

被害多発!車の盗難・車上ねらいの最新手口 【後編】

2022.10.24

監修=千葉県警察本部 生活安全部 生活安全総務課/構成=ダズ/イラスト=オゼキ イサム

2022.10.24

監修=千葉県警察本部 生活安全部 生活安全総務課/構成=ダズ/イラスト=オゼキ イサム

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一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会 グッドオアシスキャンペーン

クルマを持つ人なら他人事ではない車両盗難・車上ねらいの被害。この企画では、大切な愛車を守るために知っておきたいことを、専門家から学んでいきます。被害の現状やその手口について専門家に聞いた前編に続き、後編では具体的な盗難対策についてさらに深掘りしていきます。

前回から引き続き、千葉県警察本部 生活安全部 生活安全総務課の横田秀俊さんと、カスタム&カーライフ情報誌『スタイルワゴン』の元編集長・小林 章さんの解説とともに、まず行うべき防犯対策、そして最新の対策方法とセキュリティグッズをご紹介します。

短時間でも必ず施錠! 一瞬の油断で被害続出

横田秀俊(以下、横田):まず行うべきことは、クルマから離れるときには必ず窓を閉めて、鍵をかけるということ。「当たり前でしょ?」と思われるかもしれませんが、意外と鍵の閉め忘れで被害に遭われるケースが多いのです。それから、窓越しに見える場所に貴重品を置かないこと。2022年7月までに起きた906件の車上ねらいにおいて、特に被害が多かったのが財布とバッグ。財布が約300件、バッグが約200件盗まれています。

泥棒や窃盗団からしてみれば、車内の見える場所に財布やバッグが置きっぱなしのクルマは、当然ターゲットになるわけです。逆に車内に盗むものがなければ、被害に遭うリスクも下がります。「いつ被害に遭うかわからない」という意識を常に持っていただくことが大事です。

車を施錠する様子

「すぐ戻るから大丈夫!」という油断が禁物。短時間であってもクルマを降りるときは窓を閉めて、必ず施錠を。

助手席に置きっぱなしにされた財布やバッグ

助手席に置きっぱなしにされた財布やバッグの被害が特に多い。窓越しに見える場所への放置は厳禁。

自宅駐車場こそ対策必須! 照明設置で”窃盗しづらさ”アピール

小林章(以下、小林):今回お話をお伺いして、自宅駐車場での被害の多さに正直驚きました。自宅だけでなく、外出先でクルマを停めておくこともあると思いますので、そういった場合も含めて、駐車場での防犯対策を教えてください。

横田:まず、自宅駐車場での具体的な対策としては、照明やセンサーライトの設置。それからクルマカバーをかけて車種が特定されないようにすること。予算的に少々かかりますが、防犯カメラも効果的です。犯人からすれば、目立つ場所での窃盗はやはり避けると思います。

また外出先の駐車場では、死角がなく見通しの良い場所を選ぶのがポイントです。深夜であれば、照明が設置されていて明るい駐車場が◎。とはいえ、これらすべての対策をしても、愛車を確実に守れるかというと、そうではありません。ただいくつかの対策を講じることで、確実に盗難のリスクを下げることができます。

買ったばかりの新車が車両盗難に遭った場合、そのままの状態で戻ってくることは極めて低いです。何かしらいじられている可能性が高く、傷が残ったりナンバーが外されていることもあります。そうなると当然、そのクルマに乗り続けたいとは思えませんよね。まずは「車両盗難に遭うかもしれない」という危機感を常に持っていただくことが重要です。その上で必要な対策を講じてください。

車上ねらいでおきがちな大型駐車場

車上ねらいで多いのが、大型駐車場での連続発生。見通しがよく、死角にならない場所へ停めることも対策のひとつ。

クルマカバーをかけた車

前編で紹介した通り、盗難被害に遭いやすい車種がある。クルマカバーをかけておけば、車種が特定されにくい。

物理的ロックがもっとも効果的! いま選ぶべきセキュリティグッズ

車両盗難・車上ねらいの現状を踏まえ、愛車を守るためにまず導入したいのが、カー用品店などで購入できるセキュリティグッズです。どんなセキュリティグッズを選べばいいのか? 「A PIT オートバックス東雲」で、カーライフアドバイザーの清水克美さんにおすすめのセキュリティグッズを教えていただきました。

清水克美(以下、清水):ここ最近見直されているのが、ハンドルロックやタイヤロックといった物理的にクルマを動かせなくするタイプ。以前からありましたが、最近の車両盗難手口がデジタル化されたことによって、電子式セキュリティシステムの設置よりも、原始的な方法が有効だと認知されています。実際これらのセキュリティグッズは、クルマを降りるときにロックをかけるなどひと手間かかるのが煩(わずら)わしいとされてきました。

ですが、泥棒や窃盗団からすれば、物理的なロックを外すのはそれなりに苦労するよう。アナログではありますが、物理的なセキュリティのほうが、車両盗難のリスクを下げることができるわけです。もちろん、電子式のセキュリティシステムを使うメリットもあります。それも踏まえて、車両盗難や車上ねらいに効果的なセキュリティグッズをご紹介します。

(1)ハンドルロック

ハンドルをガッチリ固定することで、運転を事実上不可能にします。窓越しに装着されていることがはっきりわかりますので、盗難抑止効果も高いアイテムです。価格も5000円〜1万円程度でお財布に優しいのも人気の理由。

(2)タイヤロック

ハンドルロック同様、タイヤを固定することでクルマを物理的に動けなくします。わずか数秒で取り付けられますので、そのひと手間を大事にしてもらえたらと思います。価格は1万円前後のものが多くなっています。

(3)ダミーセキュリティ

LED発光で、泥棒に警戒心を抱かせるダミーセキュリティ。ソーラー電池タイプで、価格も2000円前後のものが多いので手軽に導入できるアイテム。単体ではなく、ほかのセキュリティと併用して使ってほしいです。

(4)リレーアタック対策ポーチ

スマートキーから発信される微弱な電波を遮断する専用ポーチ。持ち歩くのにオシャレなタイプも各種揃っています。

(5)ナンバープレート盗難防止ボルト

密かに増えているのがナンバープレートの盗難。海外への転売が多いようです。専用レンチでなければ外せないボルトに交換することで、盗難を防止します。

(6)ホイールロックナット

車種によって4〜6本で固定するホイールナットを、1本だけ専用ソケットでないと外せないロックナットに交換。通常のホイールナットはレンチなどで取り外せても、ロックナットだけは外せないので、大切なホイールを守ることができます。

(7)電子式セキュリティシステム

さまざまなセンサーを駆使して異常を周囲に知らせる電子式セキュリティ。目的や用途によっていろいろなタイプがありますが、異常を検知すると警報で威嚇するタイプの需要が高いです。A PITでは、店頭在庫がなく注文受注となっております。

(8)GPS追跡装置

車両盗難に遭ったときに、リアルタイムで位置情報を追跡できるGPS追跡装置。管理会社と契約し、駐車中のクルマが移動したことをスマホにお知らせするシステムなどがあります。また、最近はクラウド保存型のドライブレコーダーが登場。クルマの衝撃などを感知すると、映像を録画・保存し、登録したスマホに通知し、映像を確認できます。

(9)ウインドーフィルム

車上ねらいの多くは、窓越しに財布やバッグなど獲物を確認したうえで狙います。車内の荷物が見えないよう、ウインドーフィルムで目隠しするのも防犯対策のひとつです。

(10)クルマカバー

車種が特定されないようにクルマ全体を覆ってしまうクルマカバー。乗り降りの度にカバーをかけたり外したりするのは少々面倒ですが、そのひと手間が大事です。


取材協力=A PIT オートバックス東雲
東京都江東区東雲2丁目7-20 TEL:03-3528-0357

もしも車両盗難・車上ねらいに遭ったら? 速やかに110番通報を

自宅駐車場の防犯対策を強化して、セキュリティグッズもしっかり揃えたら、車両盗難や車上ねらいのリスクを下げられることは間違いありません。しかし、100%愛車を守れる確証がないのも現実です。もし自分が被害に遭ってしまったら……。ショックで頭の中が真っ白になっても、速やかに現状を理解して適切な行動をとらなければいけません。車両盗難や車上ねらいに遭ったらどうすればいいのか? 自動車保険を取り扱う東京海上日動火災保険の担当者に話を伺いました。

まずは110番通報してください。警察による現場確認後、発行してもらう受理番号が必要になります。併せて、加入している保険会社への連絡をお願いします。自動車保険は、契約内容によって補償の内容が変わってきますが、車両盗難や車上ねらいを補償するのが「車両保険」になります。

事故などが起きた場合に、自分のクルマの修理にかかる費用を補填してくれるのが車両保険だと認識されている方がほとんどだと思いますが、車両盗難や車上ねらいによるクルマの被害も補償することができます。

もし車両盗難に遭い、盗まれたクルマが出てこなかった場合に支払われる保険金は、契約時に決める基準価値によって異なります。クルマの車種や年式、グレード、乗っている期間など。

また保険金が支払われるまでに少々時間がかかる場合も。一概に数週間程度とは言えませんし、事実関係の調査に時間がかかるケースもあるのが車両盗難です。車上ねらいに関してですが、窓ガラスが割られた等の被害は車両保険で対応致しますが、盗まれたものに関しては別扱いになります。盗品などは『車内携行品補償特約』を、自動車保険の契約に付帯していただくことで補償することが可能になりますが、同特約の補償対象には制限があります。盗難された全ての物が補償対象になるわけではありませんので、補償内容は契約時に確認することをおすすめします。

取材協力=東京海上日動

実際に車両盗難に遭った被害者の話によると、警察への通報から現場検証などには半日近くもの時間を要したそう。被害者が心身ともに疲弊したのはいうまでもありません。車両盗難や車上ねらいは、クルマを所有していれば誰にでも起こり得る可能性があります。まずは一人ひとりが危機感を持ち、被害のリスクを下げる防犯対策を講じることが大切です。また自動車保険の契約内容も、この機会に確認しておくとよいでしょう。


前後編にわたって、車両盗難・車上ねらい被害の現状やその手口、そして盗難対策やおすすめのグッズについて、多くの専門家にお話を伺ってきました。

鍵と窓の確認や照明やカメラの設置、そしてクルマへの物理的な防犯アイテムの導入……。こうして聞くと、膨大な量の盗難防止策を講じなければいけないようにも思えます。しかし、大切な愛車が盗まれてしまうショックを考えれば、グッズの購入や駐車場の改良も大きな出費ではないのではないでしょうか。

お手頃なグッズの導入や保険の見直しなど、まずは簡単なところから。大切な愛車を守るため、少しずつ対策を講じていきましょう。

車両盗難・車上ねらいから愛車を守れ 【前編】も、ご覧ください。

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