2025年の全日本ジムカーナは若手の台頭により例年になく混戦のチャンピオン争い!
モータースポーツの入門にも最適! ジムカーナの魅力と2025年の展望を紹介2025年の全日本ジムカーナ選手権は、若手ドライバーの台頭と2ペダル車の活躍が話題。AT限定免許でも参戦可能なクラスの登場や、GRヤリス、アルピーヌA110Rなど注目マシンの激突、そして混戦のチャンピオン争いなど、見どころ満載のシーズンを徹底解説。
入門から全日本までさまざまなレベルで競うタイムトライアル競技
ミニサーキットでは、コース幅のある所にパイロンを置いて、そこを軸として一周する360度ターンや、スラローム区間などが設定され、ジムカーナ特有のテクニックでタイムを競う構成になっている。ちなみにラリーの世界でも活躍中のGRヤリスは全日本ジムカーナでも注目を集める一台。津川信次選手をはじめ、全日本ジムカーナを代表するドライバーたちがそのステアリングを握っている
ジムカーナは舗装されたコースを1台ずつ走るタイムトライアル競技だ。全国各地で開催され、モータースポーツ入門にも最適なカテゴリーとして知られている。ある程度のスペースがあれば開催できる同じ入門競技のオートテストに比べ、ジムカーナはミニサーキットやスキー場の駐車場といった場所で行われることが多いので、オートテストよりも速度域が高く、走行時間も1~2分と長いため、よりスポーツ性が高まる。
パイロンなどを使ってその日限りのコースがレイアウトされるのが特徴で、ミニサーキットを走る場合も逆走にしたり、コース上にパイロンを置いてスラローム区間を設定するなど、ジムカーナならではの工夫が施される。通常は2回走行して速かった方のタイムで順位を競う。
全国8地区に分かれてJAF地方ジムカーナ選手権が開催されているが、全国から強豪が集う全日本ジムカーナ選手権がその最高峰に位置しており、今年も全国8会場を舞台としたシリーズが開催されている。
スキー場の駐車場のような広大なスペースに、パイロンを置いて自由自在にコースを設定するフルパイロンジムカーナ形式の競技会もよく行われている。特に関東地区にこのタイプのコースが多いため、全日本でフルパイロンジムカーナが行われると、関東の選手が活躍することもある
モータースポーツの競技車両というと、内張りが剝がされて、ガチガチにロールケージを組んだ車両というイメージを思い浮かべる人も多いかもしれないが、ジムカーナ車両はこの通り、至ってノーマルだ。本格的に始めるなら、競技用のブレーキ&サスペンション、フルバケットシートは欲しいところだが、街乗りするクルマで十分に参加できる
AT限定免許でも参戦可能! 出場マシンも実に多彩
スーパーGTでシリーズチャンピオンを獲得するなどレーシングドライバーとして知られる山野哲也選手は、全日本ジムカーナでも長く活躍しており、実に24回もチャンピオンを獲得している。常に最新モデルをチョイスしてきた山野選手は、今年はアルピーヌA110RでPE1クラスに参戦。2ペダル+電動式パーキングブレーキ車によるジムカーナの魅力をアピールしている
2025年の全日本ジムカーナ選手権は全9クラスで行われているが、中でも注目はAT車を対象としたPE2クラス。かつてはモータースポーツをやるならMT車というのが常識だったが、AT車両が圧倒的なシェアを誇る現在に対応すべく、AT限定免許でも参戦できるクラスが全日本ジムカーナでも数年前から設定されているのだ。またPE1クラスは電気式駐車ブレーキが装着された車両を対象とするクラス。ジムカーナの必須テクニックとも言えるサイドブレーキターンが使えないこのクラスでは、全日本ジムカーナのスタードライバー山野哲也選手が2ペダルのアルピーヌA110Rを駆り、新たなジムカーナドライビングに挑戦中だ。
一方、ノーマル車両に近いナンバー付き車両を対象としたPNクラスは、排気量、駆動方式により4クラスに分かれ、ロードスター、GR86/BRZ、GRヤリスといった国内の最新スポーツモデルを軸とした熱いバトルが各クラスで展開されている。
また、改造車を対象としたBCクラスは3クラスに分かれているが、こちらは古い車両がまだまだ元気で、全日本ジムカーナの歴史を作ってきた名機たちが最新の改造マシンと激しく競い合っている。
初優勝者が続出!? 20代の若手も注目選手が目白押し!
今年、全日本ジムカーナに彗星(すいせい)のごとく現れた大型新人、藤井裕斗選手。5月末~6月頭に行われた全日本初開催の一戦となった赤門ラウンドでは、急勾配のバンクが待ち受けるコーナーを見事に攻略、開幕戦に次ぐ2勝目を獲得するなど、全日本1年目とは思えないスピードを披露している
7月最終週までに、すでに6戦が開催されている2025年の全日本ジムカーナ選手権。そのうち第4戦赤門自動車テストコース(宮城県)、第6戦奥伊吹モーターパーク(滋賀県)と全日本初開催の大会が2回行われたのは、2025年の大きなポイントのひとつ。各選手とも過去のデータのない、いわばイコールコンディションで臨んだこの2戦では、赤門でこの大会が全日本デビュー戦だった山口栄一選手(GRヤリス)がいきなり優勝。奥伊吹でも3名のドライバーが今季初優勝を飾るなど、意外性に富んだ大会となった。
いくつかのクラスでは20代の若手の台頭も目立ち、PN2クラスでは藤井裕斗選手(ロードスター)が開幕戦で全日本デビューウィンを達成。その後も2勝を挙げ、いきなり中心選手に躍り出た。BC1クラスでは、大学生の伊藤眞央選手(インテグラ・タイプR)が第5戦で全日本初優勝。同じ20代の石澤一哉選手(インテグラ・タイプR)もこのクラスの開幕戦で全日本を初めて制するなど、20代ドライバーの速さが際立つシーズンとなっている。
2025年は全クラスでチャンピオン未確定の大混戦!
PN3クラスは2025年からGR86に乗り換えたユウ選手(写真)が第6戦までに3勝を獲得。これをFRマイスターとして知られる川北忠選手のロードスターRFが追いかける展開。来年からクラス分けが変わり、この2台は別々のクラスになることから、GR86 vs ロードスターRFのラスト2戦のバトルは見逃せない
終盤戦を待たずに、夏の間にシリーズチャンピオンが確定することも珍しくない全日本ジムカーナ選手権だが、2025年は第6戦までにチャンピオンを決めたドライバーはゼロ。例年にない混戦のシリーズとなっている。
第7戦ハイランドパークみかわ(愛媛県)がパイロンのみでコースが設定されるフルパイロンコースであるのに対して、最終戦鈴鹿サーキット南コース(三重県)がレーシングカートコースにパイロンをアレンジするという対照的な性格を持つ2戦が控えるだけに、それぞれのコースにマシンとドライビングをしっかり合わせ込まないと勝機は巡ってこない。
第7戦の結果次第では、全9クラスのチャンピオン決定戦が最終戦に持ち込まれる可能性もあるだけに、どのクラスも目が離せない状況だが、トップの2台が互いに勝ち星を取り合って白熱のバトルを見せているPN3、BC2、BC3の3クラスは特に注目したいクラス。同日開催のスーパー耐久への参戦を優先させたため2戦を欠場し、いまだランキング2位に控える山野哲也選手(アルピーヌA110R)が残り2戦を制してタイトルを守れるかというPE1クラスの動向も、大きな注目を集めている。
毎回、コンマ秒差のバトルを展開しているBC2クラスのチャンピオン争いも最終戦までもつれそうだ。開幕3連勝を飾った広瀬献選手(写真左)のS2000が一気にタイトルを決めるかと思われたが、ロータス・エキシージの若林拳人選手(写真右)が第6戦奥伊吹を制して3連勝、勝ち星で並んだ。2WD最速の座を巡る熱い走りからも目が離せない
大会のトリを務めるBC3クラスは、全日本ジムカーナ期待の若手、奥井優介選手(写真右)が、昨年PN4クラスを制したGRヤリスを改造車に仕立て直して今季から参入。当初は苦戦が予想されたが、全日本ジムカーナを代表するドライバーの一人、菱井将文選手(写真左)と、ともに3勝ずつを分け合って互角の勝負に持ち込んでいる。2台のGRヤリスによる全日本最速マシン決定戦の行方も注目される
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