モータースポーツコラム

23年は飛躍の年に…。名門から新興チームまでF1コンストラクターズ選手権6~10位の足跡をおさらい!

2023.02.21

文=柴田久仁夫/写真=桜井淳雄、レッドブルコンテンツプール

2023.02.21

文=柴田久仁夫/写真=桜井淳雄、レッドブルコンテンツプール

いよいよ始まる2023年シーズンのF1! 車両規定の変更でチーム間の差が少なくなり、上位チームだけでなく中団以下のチームも、順位を一つでも上げようと激しいバトルを繰り広げている。そんな6~10位のコンストラクター(F1に参戦するチームのこと)を改めておさらい。過去を知ることで2023年シーズンがさらに楽しめるはずだ。

1~5位までは下記ウェブページでお楽しみください。

セナ、シューマッハもいた…! F1開幕前に上位5チームの「歴史とこれから」をおさらい!

アルファロメオ

F1界を手堅く生きる中団チームの古豪

前身は1993年からF1に参戦しているスイスのF1コンストラクター「ザウバー・モータースポーツAG」。2019年から「アルファロメオ・レーシング」に名称変更した。

ザウバー時代はライコネン、マッサ、クビサ、小林可夢偉、ペレス、ベッテル、ルクレールなど、それまで実績のない新人ドライバーを起用し、才能を花開かせたことから、創設者ペーター・ザウバーは「F1界の名伯楽」とも称された。

一方でチーム運営は堅実そのもので、メルセデス、フェラーリ、BMW、そして今回のアルファロメオと、世界中の名だたる自動車メーカーと提携。2006~2009年のBMW時代だけはチームを売却したが、その後買い戻し、プライベーターとして生き残り続ける稀有(けう)な存在だ。

ザウバー時代から手堅いマシン作りで知られ、2001年には選手権4位の最高位を記録、ボッタスの加入した2022年も6位と健闘した。ただしアルファロメオとの提携は今年いっぱいで終了、2024年から再びザウバーとして参戦し、2026年からはアウディのワークスチームとなることが発表された。

アストンマーティン

ベテランのアロンソを迎え一層の飛躍を遂げられるか

2021年から「アストンマーティン」のブランド名で参戦しているが、元々はエディ・ジョーダンが1991年に創設した「ジョーダンGP」が母体。

チームはその後MF1レーシング、スパイカーF1、フォース・インディア、レーシング・ポイント、そして現在のアストンマーティンと目まぐるしくオーナーと名称変更を繰り返したが、本拠地は英国シルバーストンサーキットから変わっていない。フォース・インディア時代までは万年金欠チームだったが、限られた低予算で高い戦闘力のマシンを作ることで有名だった。

2014年に加入したペレスはほぼ毎年表彰台を獲得し、2019年にレーシング・ポイントに名称変更、翌年にはついに初優勝を果たし選手権4位に躍進した。2019年以降はカナダ人実業家ローレンス・ストロールがオーナーとなり、資金面も一気に改善。アストンマーティンとしての初年度2021年には、世界チャンピオンのベッテルを迎えた。しかし過渡期にあるチームは期待したほどのマシンを作れず、2年連続7位と低迷。ベッテルは引退を表明した。

今季からはアロンソがベッテルの跡を継ぐが、ワンマンオーナーのローレンスとの軋轢(あつれき)が不安材料となりそうだ。

ハースF1チーム

参戦7年目を迎える新興チーム。新人コンビ→ベテランコンビで安定感アップなるか

唯一のアメリカ国籍チーム。ジーン・ハースが創設した工作機械会社「ハース・オートメーション」の知名度を上げるために、2016年にF1参戦を果たした。

当初からフェラーリと技術提携しており、マシン戦闘力は決して低くなく、初年度から複数回の入賞を達成。3年目の2018年にはグロージャン、マグヌッセン両ドライバーの健闘もあって、選手権5位の成績を残す。

しかし創設以来の資金不足の状況は改善されず、2021年にはドライバーがシューマッハ、マゼピンの新人コンビに代わったことも影響し、9位、9位、10位と低迷。昨年はロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシア人のマゼピンを放出し、ベテランのマグヌッセンが復帰。フェラーリF1-75に酷似したマシンの戦闘力も高く、7位まで順位を戻した。

全10チーム中最も歴史が浅く、過去7シーズンで0勝。表彰台も獲得できていない。とはいえ2023年からはアメリカのデジタル決済サービス大手「マネーグラム」とタイトルスポンサー契約を結び、マシン開発も加速されそう。創設以来、小松礼雄エンジニアがシュタイナー代表の右腕として、レース現場の指揮を執っているチームでもある。

アルファタウリ

日本人ドライバー角田裕毅の活躍に期待!

角田選手

現役唯一の日本人ドライバー、角田裕毅(写真)の在籍するチーム。イタリア・ファエンツァを本拠とし、前身の「ミナルディ」をレッドブルグループが買収。2006年から「スクーデリア・トロ・ロッソ」として参戦し、レッドブルのジュニアチーム的存在として、ベッテル、リカルド、サインツ、フェルスタッペン、ガスリーなど、多くの有力ドライバーがここから巣立っていった。

2020年にレッドブル傘下のファッションブランド「アルファタウリ」に名称変更した。ミナルディ時代はほぼ万年最下位、トロ・ロッソになっても弱小の悲哀を味わってきたが、2008年にはベッテルが雨のモンツァでチームに初優勝をプレゼント。アルファタウリ初年度の2020年には、ガスリーがチーム通算2勝目を挙げた。

レッドブルとの共同開発体制、ホンダとの緊密な関係もあって、チーム力は近年着実に上がっている。2022年は開発の失敗で9位に沈んだが、車体規約が落ち着いた今季は復調が期待できる。新加入のデ・フリースと角田とのチームメイトバトルにも注目したい。

ウィリアムズ

長年の成績不振にあえぐ名門チーム

1977年の創設以来、ドライバーズ7回、コンストラクターズ9回のタイトルを獲得してきたF1を代表する名門チーム。アラン・ジョーンズ、ケケ・ロズベルグ、ナイジェル・マンセル、アラン・プロスト、デーモン・ヒル、ジャック・ビルヌーブといった錚々(そうそう)たるドライバーが、ウィリアムズでチャンピオンになった。

しかし、BMWとの資本提携を解消した2005年からチームは長い低迷状態に突入。2012年スペインGPでマルドナードが優勝して以来10シーズン未勝利が続き、直近5年で最下位4回と、かつての常勝チームの面影はない。

2020年にはウィリアムズ創業家がチームをアメリカの投資企業に売却、この年は創設以来初のノーポイントに終わり、まさにどん底の一年だった。さらに翌年には、フランク・ウィリアムズも世を去った。

それでも同年就任したヨースト・カピートによって、チーム力も徐々に上向いてきた。昨年末にはカピートが突然離脱したが、後任には戦略責任者としてメルセデス8連覇に貢献したジェームズ・ボウルズが新代表に。さらなる飛躍が期待できそうだ。

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