|JAFロードサービスカー図鑑 File No.5 EV充電対応サービスカー
構成=ダズ/レポート&動画=吉川賢一/写真=渡部竜征

レッカー車でバイクのけん引が可能! JAFが開発した日本初の二輪アタッチメント

File No.6 二輪アタッチメント

JAFには、クルマのみならず、バイクのトラブルにもしっかりと対応できるよう、ロードサービスカーをはじめ、さまざまな装備が用意されている。今回は、レッカー車でバイクのけん引が可能な「二輪アタッチメント」について、詳しく紹介しよう。レッカー車でバイクをけん引できるアタッチメントの開発は日本初!

目次

JAFが開発した国内初となるアタッチメント!

二輪アタッチメントは、バイクがトラブルで動けなくなった場合に、レッカー車でけん引搬送するための取り付け器具(アタッチメント)だ。これまでJAFでは、「エンジンがかからない」、「バッテリー不良で動けない」、「タイヤがパンクした」などのバイクのトラブルには、車積載車や多目的サービスカーを用いて、荷台に載せて搬送していたが、バイクを積載可能なロードサービスカーは数に限りがあることから、需要が高まっているバイクの救援対応が難しい場合もあった。そこでロードサービスカーの中核で台数の多いレッカー車を使って、バイクのけん引搬送にフレキシブルに対応できるよう、二輪アタッチメントを開発。これにより、バイクをけん引できるロードサービスカーが2022年1月時点で523台となり、運用前に比べ約2.5倍となった。

二輪アタッチメントでのバイクのけん引写真

レッカー車でバイクのけん引が可能となったことで、二輪のけん引可能車両が約2.5倍に増えた

二輪アタッチメントを搭載したレッカー車

二輪アタッチメントを搭載したレッカー車

二輪アタッチメントでバイクをけん引した状態

二輪アタッチメントでバイクをけん引した状態

原付から1300ccの大型バイク程度までけん引が可能

二輪アタッチメントは、レッカー車の荷台部分に分割された状態で搭載されており、救援現場で組み立てを行う。レッカー車の一部分のように見えるが、濃いオレンジ色で塗られているのが、二輪アタッチメントの主要パーツになる。荷台にコンパクトに収納されているので、クルマのレッカー作業の邪魔にはならず、大半のレッカー車にはこの二輪アタッチメントが装備されている。ちなみに、この二輪アタッチメントは、原付(50cc)から1300ccの大型バイク程度までけん引が可能だ。

二輪アタッチメントの主要パーツ

レッカー車の荷台左右に装備している小さなタイヤもアタッチメントとして使用する

レッカー車の荷台左右に装備している小さなタイヤもアタッチメントとして使用する

故障したバイクの前輪を載せるための台座となる「スタンドベース」

故障したバイクの前輪を載せるための台座となる「スタンドベース」

バイクの後輪を載せるための「バケット(パイロン右側のオレンジ色のパーツ)」

バイクの後輪を載せるための「バケット(パイロン右側のオレンジ色のパーツ)」

スタンドベースとバケットとをつなぐ「連結バー」

アタッチメントのスタンドベースとバケットとをつなぐ「連結バー」

バイクの前輪を載せる「スタンド」。サービスカーの収納箱に格納されている

バイクの前輪を載せる「スタンド」。サービスカーの収納箱に格納されている

二輪アタッチメントの主なパーツ。これらを組み合わせてバイクのけん引を行う

二輪アタッチメントの主なパーツ。これらを組み合わせてバイクのけん引を行う

バイクを汚したり傷つけないよう慎重に作業

では、二輪アタッチメントを取り付ける作業過程を紹介しよう。はじめに、バイクの前輪を固定するためのスタンドとスタンドベースを、レッカー装置(レッカーアーム先端部分)に取り付ける。スタンドには複数の調整穴があり、故障したバイクの前輪サイズに合わせて調整が可能。調整したスタンドは、スタンドベースに装着してレッカー装置に取り付ける。

バイクの前輪をスタンドに載せるためのスロープが用意できたら、前輪が真っすぐにはまるよう、慎重にバイクを動かして載せていく。前輪をスタンドに載せた後、バイクが動かないよう専用器具などでバイクの前輪ブレーキをかけてから、前輪をスタンドに固定する。この時、お客さまのバイクを汚してしまうことがないように、バイクに触れる際には、手袋を着け替えて作業している。

迅速かつ丁寧な積み込み作業はおよそ20分で終了!

バイクの前輪は、固定バンドでスタンドベースおよびレッカー装置にしっかりと固定。その後、後輪を載せるバケットに小径タイヤを取り付け、後輪をバケットに固定する。ホイールなどに傷が付かないよう、ウエスなどを使用して丁寧に養生。

次に、バケットと前輪のスタンドベースの間に連結バーを取り付ける。連結バーの長さは、バイクのホイールベースに応じて調節が可能。この連結バーも脱落がないよう、スタンドベースおよびバケットにしっかりと固定。最後に、固定バンドに緩みがないか、バンドやチェーンが地面と干渉していないかなどを指差し確認。ここまでの作業は20分程度だ。

二輪アタッチメントによるバイクのけん引作業-その1

けん引するバイクの前輪サイズに合わせ前輪を固定するスタンドを組み上げる

けん引するバイクの前輪サイズに合わせ前輪を固定するスタンドを組み上げる

組み上げたスタンドをスタンドベースに固定しレッカー装置の先端に取り付ける

組み上げたスタンドをスタンドベースに固定しレッカー装置の先端に取り付ける

スロープを使い前輪がスタンドに固定されるまでバイクを真っすぐに載せていく

スロープを使い前輪がスタンドに固定されるまでバイクを真っすぐに載せていく

二輪アタッチメントによるバイクのけん引作業-その2

作業中にバイクが動かないようフロントブレーキのレバーを固定しておく

作業中にバイクが動かないようフロントブレーキのレバーを固定しておく

固定バンドで前輪を固定し、前輪を浮かせて後輪を載せるための準備を行う

固定バンドで前輪を固定し、前輪を浮かせて後輪を載せるための準備を行う

後輪を載せるバケットに小径タイヤを取り付け、後輪をバケットへ載せていく

後輪を載せるバケットに小径タイヤを取り付け、後輪をバケットへ載せていく

二輪アタッチメントによるバイクのけん引作業-その3

連結バーでスタンドベースとバケットを連結。連結バーも脱落しないよう固定する

連結バーでスタンドベースとバケットを連結。連結バーも脱落しないよう固定する

路面と干渉しないよう、バケットの高さを調整

路面と干渉しないよう、バケットの高さを調整

固定バンドなどを使用して後輪をバケットへしっかりと固定する

固定バンドなどを使用して後輪をバケットへしっかりと固定する

二輪アタッチメントを使用したバイクのけん引状態

二輪アタッチメントを使用したバイクのけん引状態。作業はおよそ20分で完了した

二輪車アタッチメントの詳細は、こちらの動画をチェック!

バイクもクルマも安心してお任せください!

JAF神奈川支部 神奈川西ロードサービス隊 緑基地の平戸翔二郎 隊員

JAF神奈川支部 神奈川西ロードサービス隊 緑基地の平戸翔二郎 隊員

「お客さまの大切なバイクを指定場所まで安全かつ速やかにお運びします。万が一、バイクでトラブルに遭遇してしまった場合には、JAFまでご連絡いただければと思います」と平戸隊員。普段から訓練を重ねている平戸隊員の迅速で丁寧な作業を見ると、トラブルの際に愛車を安心して任せられる頼もしさを感じた。トラブルが起きないことが一番だが、万が一の際には、JAFに連絡を!

<次回予告>
次回は10月9日公開予定。
地震や豪雨、豪雪などの災害時に被災地で支援を行う「災害支援車」を紹介!

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