湖畔に佇む車中泊車両
編集=伴 隆之

キャンピングカーよりも気軽!? 自動車販売店で買える「車中泊モデル」3選

シエンタ、NV200、デリカD:5がベース! ディーラーのアフターサービスで安心
伴 隆之

キャンピングカーほど本格的な装備は必要ないけれど、快適に車中泊できるクルマが欲しい人におすすめなのが、自動車販売店で購入できる「車中泊モデル」です。トヨタ・シエンタ、日産NV200バネット、三菱デリカD:5をベースにした3台の車中泊カーを取り上げ、それぞれの装備や使い勝手、価格を紹介します。

目次

本格キャンピングカーではなく気軽に車中泊したい人におすすめ

青空と草原をバックにルーフテントを広げて駐車するデリカD:5 D:POP

自動車メーカーの新車などを扱う自動車販売店には、独自に「車中泊モデル」を販売しているところがあります。

キャンピングカーや車中泊カーが欲しいという人のなかには、「キャンピングカー専門店が近くにない」「知識もないので専門店だとハードルが高そう」などの理由で躊躇している人も多いのではないでしょうか?

そんな人におすすめなのが自動車販売店取り扱いモデル。自動車販売店が扱うことのメリットは車検・点検・メンテナンスなどのサービスが普通車同様、気軽に受けられることに加え、走行機能以外にも架装部など車両全体の相談がしやすいことが挙げられます。

ただし、自動車販売店取り扱いモデルの多くは、サブバッテリーなどの電装システムや水まわりといった本格キャンピングカー装備を搭載しておらず、ベッドと家具のみという車中泊に特化しているモデルがほとんど。

本格装備を取り扱わない理由としては、自動車メーカーとの出資や特約店契約などの条件があり、パーツや架装部分などの強度や補償といった要件に加え、架装部分が補償の対象外となるものも多いから。

でも「車中泊のためのベッドだけで充分」といった要望であれば、安心感や安全性の高い自動車販売店モデルは検討するに十分値すると思います。そこで、今回は自動車販売店で買える車中泊モデルを3台紹介していこうと思います。

【トヨタ・シエンタ ジュノ】乗車定員を2人にし、大空間をゲット

トヨタ シエンタ ジュノの車両外観(フロント斜めショット)

TOYOTA SIENTA JUNO/全長4260×全幅1695×全高1695mm(2WD)/乗車定員2人

トヨタ・レクサスの直系カスタマイズブランドであるモデリスタと共同開発し、2025年8月に登場したコンプリートカーが「シエンタ ジュノ」。ベース車である現行型のシエンタは2022年8月にデビューし、近年ではコンパクトミニバン(5ナンバー)のベストセラーモデルとなっています。

乗車定員2人乗りとし広大なリアスペースを確保したシエンタ ジュノのバックドア開口状態

乗車定員を2人と割り切り、フロントシート後部に広大な空間を創出

ジュノの最大の特徴はシエンタの乗車定員である7人または5人から2人乗りへ変更されていること。また、登録ナンバーも乗用5ナンバーではなく小型貨物4ナンバーになっています。

ジュノの魅力はやはり広大なリア空間。2/3列シートを廃した空間には、標準装備の専用フロアと専用サイドトリムが架装され、木の温もりが感じられる部屋のような雰囲気。

また、フロアとサイドトリムに設けられている「ジュノロック」と呼ばれる凹凸のスライド式ロック機構により、オプションで用意される5タイプの家具モジュールが工具も必要なく着脱できます。ほかにも天井には6か所に専用インテリアランプも標準搭載しており、昼夜問わず快適な仕様です。

個別購入ができる家具モジュール

シエンタ ジュノ用の家具モジュール3種(左からクッションモジュール、ベースモジュール、ベースモジュールラージ)

(左から)クッションモジュール、ベースモジュール、ベースモジュールラージは専用フロアに取り付けて使用。また、クッションモジュールはベースモジュールの上部にセットもできる

シエンタ ジュノ用のテーブル類(左:専用サイドトリムにかけるワークテーブル / 右:サイド固定のサイドテーブル)

ワークテーブルは左右に設置される専用サイドトリムの上部に引っかけるだけ。サイドテーブルのみジュノロック後に付属のノブ付きボルトで固定。どの家具モジュールも工具の必要はなし

ユーザーの使い方を想定し、「チル」「リフレッシュ」「フォーカス」「コンフォート」といった4タイプの家具モジュールパッケージオプションを用意するほか、単体でも販売しているため、自分だけの組み合わせで作り上げられるのも大きな魅力。

ほかにも車内の雰囲気にマッチするシートカバーや、AC100V・1500Wアクセサリーコンセントなどオプションも用意し、車内での時間をより快適に過ごせます。もちろん後部で過ごす際は移動中ではなく、駐車時のみに限られています。

使い方で選べるパッケージオプション

シエンタ ジュノのモジュールパッケージ「Chill(チル)」展開時の室内インテリア

Chill(チル)
サイドテーブル1個、ベースモジュール1個、ベースモジュールラージ1個、クッションモジュール2個のセット(16万5000円)。読書したり、コーヒーを飲んだりとくつろぎの空間。

ベースモジュール4個を配置してフルフラット化を実現した「Refresh(リフレッシュ)」展開状態

Refresh (リフレッシュ)
ベースモジュール4個(22万円)をセカンドシートがあったフロア部分にセットするだけで荷室のフロアと同じ高さになり、フルフラット状態で横になれる。

ちなみに荷室幅は最も短いところで727mm、荷室床の長さは1755mm。大人2人で寝袋をセットして就寝するとなると、もう少し幅に余裕がほしいところ。

ワークテーブルとモジュールを組み合わせて車内書斎化した「Focus(フォーカス)」スタイル

Focus (フォーカス)
ワークテーブル1個、ベースモジュールラージ1個、ベースモジュール2個、クッションモジュール2個のセット(23万1000円)。ベースモジュール2個を重ねたものとベースモジュール1個の高さが同じで、テーブルはサイズも余裕があり耐荷重は10kg。車内が仕事部屋になり、ワーケーションも可能。もちろんくつろぎ部屋にも最適。

サイドテーブル2個とベースモジュールを配置し足を伸ばせる「Comfort(コンフォート)」スタイル

Comfort (コンフォート)
サイドテーブル2個、ベースモジュールラージ1個、ベースモジュール4個のセット(33万円)。ベースモジュールでフロアとの段差をなくすことで足を伸ばしてくつろげ、フロアに置きたくないものはサイドテーブルやベースモジュールラージを利用。サイドテーブルの耐荷重は5kgで、取り付け場所も穴の位置により自由に決められるのもポイント。

■標準装備 
専用フロア/専用サイドトリム/専用インテリアライト(6灯)/フロアマット/専用エンブレム
■価格:371万3600円〜
モデリスタウェブサイト  

【日産NV200バネット MYROOM】優れたセカンドシートでリビングも就寝も楽に展開

日産NV200バネット MYROOMの車両外観(サイドショット)

NISSAN NV200 VANETTE MYROOM/全長4410×全幅1695×全高1870mm/乗車定員5人

「部屋ごと出かけて憩うクルマ」をコンセプトに製作されたMYROOMシリーズ。第1弾は2024年8月にキャラバンをベースに発売。そして第2弾となるのが、今回紹介するNV200バネットをベースにしたモデルで、同年12月にデビューしています。

木目調ルーフパネルと温かみのある照明に包まれたNV200バネット MYROOMの室内空間

2025年12月の一部改良で耐湿性に優れるアルミシート製断熱材をルーフ、スライドドア、バックドアにオプションで用意

移動時のドライブモード(左)とソファーのようにくつろげるリビングモード(右)に可変するNV200バネット MYROOMの「2 in 1シート」

「2 in 1シート」は移動時(左)では背もたれ・座面が硬めに設計。反転させると(右)背もたれや座面が移動時よりも柔らかく作られ、ソファのようにくつろげる

注目すべきはセカンドシートに採用された「2 in 1シート」。シートの表面と裏面で硬さの異なるクッションパッド構造にしており、移動時のドライブモードでは適度な硬さを確保しつつ、リビングモードなど後部座席側に反転させて使う場面では柔らかなソファーのような座り心地を実現。

2枚のベッドマットとシートで隙間なくフラットに展開されたNV200バネット MYROOMのベッド空間

ベッド展開時は適度な硬さで寝心地もいい。ベッドサイズは長さ1840×幅1200mm。ベッド下のクリアランスは高さが258mmで収納スペースとしても活躍

また、ベッドモードも適度な硬さにより体の沈み込みを抑え快適な寝心地となっています。シート展開は力も必要なく簡単に行え、5:5の分割可倒式のため片側のみでの展開も可能。

飾り板付き調光式LEDダウンライト(左)と荷室左右の木目キャビネットに備わる小物入れ・収納スペース(右)

飾り板付きの調光式LEDダウンライトに加え、左右にLEDライン間接照明も搭載。荷室左右にあるキャビネットには小物入れも装備

木目パネルに埋め込まれたAC100V電源ソケットとポータブルバッテリー用電源入力端子

アクセサリーソケットやポータブルバッテリー用電源入力端子も標準で備わる

インテリアは明るいベージュを軸に木目をふんだんに使うことで、温かみのある空間に。また、飾り板付きの調光式LEDダウンライトやLED間接照明も備わり、夜間の雰囲気も抜群。

スライドテーブルと対面シートでくつろげるNV200バネット MYROOMのリビングモード

セカンドシートと荷室マットで対面リビングモードに展開できるほか、セカンドシートに2人並んで足をマットに投げ出してくつろぐこともできる。脱着式のスライドテーブルは好みの位置にセットが可能

2枚のベッドマットとセカンドシートで展開するベッドは2人旅に最適で、荷室左右に備わるキャビネット間に橋渡しにして利用するテーブルはサイズが大きく、好きな位置にスライドできるなど、使い勝手が高いものとなっています。

1人でゆったり使うもよし、2人で気ままな車中泊旅にでるもよし、普段使いにもさまざまな使い方ができる“マルチに活躍”できる一台。

■標準装備 
2 in 1シート/木目調フロア/木目調ルーフパネル/木目調サイドトリム/AC100V出力コンセント/ポータブルバッテリー用電源入力端子など
■価格:484万3300円〜
日産自動車ウェブサイト
 

【西尾張三菱自動車販売 デリカD:5 D:POP】ポップアップルーフにより快適な車上泊を堪能

西尾張三菱自動車販売 デリカD:5 D:POPのポップアップルーフ展開時(フロント斜め)

MITSUBISHI DELICA D:5 D:POP/全長4800×全幅1815×全高1990mm/乗車定員7人または8人/就寝定員2人

1977年に創業し、三菱自動車の特約販売店としての歴史を持つ西尾張三菱自動車販売。同社は2010年よりオリジナル車中泊カーやキャンピングカーの製作・販売を開始しており、キャンピングカー業界でも名の知れた存在。ユーザーサポートが充実しており、「ONLY ONEの頼られるお店」として人気を博しています。

ポップアップルーフを立ち上げたデリカD:5 D:POPのサイドビュー

全高は純正の1875mmにプラス115mmへと抑えられているのもポイントで、一般的な立体駐車場にも対応可能

「デリカD:5 D:POP」はモデル名からもわかるとおり、ベース車はデリカD:5。ミニバンとして唯一のリブボーン・フレームを搭載した強固なボディに加え、2026年の一部改良により車両運動統合制御システム「S-AWC」を新たに採用し走行性能を高めています。

そんなヘビーデューティミニバンに快適車中泊が可能となるポップアップルーフを搭載することで、ルーフ内に2人が就寝できる仕様になっています。

車内に展開されたオプションのフロアベッドキット「D:BED」

家族で旅するのであれば、D:POPにオプションのD:BEDがあれば4人就寝が可能。D:BEDのサイズは長さ1800×幅1160mm

車中泊をより快適にするオプションも豊富。カップル利用ではなく家族4人で就寝したい人に向けて、フロアに展開する「D:BED」キットや室内をより広く使うことができる運転席・助手席の回転シート、ダイネットテーブルや折りたたみテーブルも販売。さらに、FFヒーターや電装システムの装着についても対応している点も見逃せません。

フロント回転シートとダイネットテーブルによる対面レイアウト(左)とシート背もたれの折りたたみテーブル(右)

オプションのフロント回転シートとダイネットテーブルがあれば、対面でくつろげる。フロントシート背もたれ後部に取り付ける折りたたみテーブルも便利

バックドア開口部に装着された車種専用設計の防虫ネット(モスキートネット)

スライドドア・バックドアに装着できる防虫ネットは車種専用設計で取り付けも簡単

■標準装備 
ポップアップルーフ
■価格:594万円〜
西尾張三菱自動車販売ウェブサイト

アフターサービスが充実し、購入後の安心感も高いのがディーラーならでは

ガレージでバックドアを開けたシエンタ ジュノと着脱可能な家具モジュール群

キャンピングカーを購入した人のなかには、「店舗までが遠くてメンテナンスなどで預けるのが大変」「電話対応だけだと不安……」などの声を聞くこともたまにあります。

自動車販売店の魅力は手厚い補償やアフターサービスなどの安心感。本格的な装備は必要なく、普段使いのクルマにベッドやちょっとした家具があれば満足という人なら自動車販売店モデルを選ぶのもありだと思います。

車中泊はもちろん、旅先や遊び先での休憩時に車内で快適に過ごせるほか、車内で足を伸ばして寝られるということは、災害時でも短期間の簡易シェルター的にも使えます。今回紹介した3モデル以外にも自動車販売店で取り扱っている車中泊カーはあるので、いろいろとチェックしてみるのもおすすめです。

伴 隆之

ばん たかゆき 自動車専門誌の編集者を経て、その後独立。2年ほどカリフォルニアに住んでいたこともあり、アウトドアと旅が趣味。ニュージーランドでのキャンピングカー旅が特に好きで南北計4回ほど走破。旅やキャンピングカーを中心にライフスタイル誌などに執筆している。愛車は1967年式イノチェンティ・ランブレッタに加え、日産エルグランドをベースに自身で製作した車中泊カー。現在はキャンピングカー専門誌にて全国のRVパークを紹介する連載も担当中。

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