頬杖をついて柔らかい表情を見せる片岡千之助さんのインタビューカット
取材・文=瀬尾水穂/撮影=秋倉康介/スタイリング=庄 将司/ヘア&メイク=丸谷美樹

歌舞伎界の若きスター・片岡千之助、休日は俳優仲間と愛車アウディで箱根ドライブ

愛車選びの決め手は、加速度の思い出

歌舞伎役者として国内外に活躍の場を広げる一方、歌舞伎以外にも映像や舞台作品に積極的に出演し、表現者としての研鑽を積んでいる片岡千之助さん。この冬は劇団☆新感線の代表作、いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』に出演が決定。自身も驚いたという役どころについて、そして愛車アウディでのドライブや、気の置けない友人と楽しむ休日の過ごし方を伺いました。

目次

愛車はアウディ
「丸みのあるフォルムに色気を感じます」

壁に手を掛ける片岡千之助さん

扉に手を掛ける片岡千之助さん

ーーご家族やご友人と素敵な時間を過ごされている様子をInstagramで拝見しました。普段の休日はどんなふうに過ごされていますか?

基本的には、ひとりで家の近くを歩いています(笑)。知り合いのお店へ立ち寄ったり、ご飯を食べに行ったり。時間に余裕があるときは、友達と予定を立てて遠出することもあります。箱根にも家があるので、そこへドライブがてら遊びに行くことが多いですね。

ーー千之助さんの運転で?

そうですね。都内から2時間弱程度で行けるので、それぐらいの距離であれば苦にならず、運転しやすいです。

ーードライブ自体、お好きですか?

好きです。クルマに乗ることは子供の頃から慣れ親しんできました。父(片岡孝太郎さん)にはよくドライブも兼ねていろんなところへ遊びに連れて行ってもらいましたし、稽古場への送迎は母がしてくれていたので、家族と過ごす時間にはいつもクルマがありましたね。自立した今では、ある種のプライベートスペースといった感じです。

ーー現在、どんなクルマに乗られていますか?

アウディです。BMW、ベンツと並ぶドイツ車ですが、僕の中で色気を感じられたクルマと言いますか……いい意味でキメすぎていない、丸みのあるフォルムが好きなんです。エンジンがかかるのも早いので、ほかの車種よりもアウディを運転しているときが心地いいです。

ーーそこまでアウディに惚れ込んだきっかけがあったのでしょうか。

幼い頃から長い時間を共に過ごし、父のような存在でもあった写真家・田原桂一さんの愛車がアウディだったんです。たしかS8(エスエイト)だったかな。加速の感じが僕の体の記憶に残っていて。じつは最初のクルマをBMWにするかアウディにするか悩んだのですが、最終的な決め手はそこだったように思います。

ーー今は舞台稽古でお忙しいかと思いますが、最近の休日の思い出を教えてください。

夏の話になってしまいますが、僕の運転で友人たちと川に行きました。川で遊び、バーベキューをして、楽しかったですね。お酒を楽しみたい日は電車やタクシーを使いますので、車で出かけたときは「とことん遊ぶぞ!」というモードに自然となります。家に招いたりしてちょくちょく会うのは、俳優仲間の坂東龍汰くん。友人には恵まれているなと思います。

あとは……、マリ(マリウス葉)かな。残念ながら、彼とはしばらく会えていないんです。少し前になってしまいますが、2人でランチして、「ピクサーの世界展」へ行きました。マリとは誕生日が近いんですよ。僕も彼も2000年の3月生まれ。お互い、話し出すととても長くなるタイプなので、昼から会って、ディナーの時間まで一緒に過ごすこともありました(笑)。

箱根ドライブにマリンスポーツ
「意外といろいろ経験しています(笑)」

机に頬をつく片岡千之助さん

光の差し込む窓辺で、凛々しく佇む片岡千之助さん

ーーもしも休日ができたら、行きたいところは?

映画を観に行きたいです! 今なら『オデュッセイア』。クリストファー・ノーラン監督の作品が好きなんです。あとは海ですね。今年の夏は海に行けなかったことが心残りで……(笑)。ひと夏に一度は行きたいのですが、気づけば秋になってしまいました。泳いだり、サーフィンしたり。昔はウィンドサーフィンをしたこともあるんです。

ーー意外とアクティブなんですね!

意外といろいろ経験しています(笑)。「海が好きだ」って話をするだけでも意外な顔をされるんですよ。それは僕が色白だからでしょうか? 単に日焼けしづらいタイプなんです(笑)。家にこもって、友達とオンラインゲームすることもありますよ。極めている仲間が多いので、なかなか追いつかないんですけど(笑)。次の舞台『髑髏城の七人 LAST STAND』で共演する木村了さんともチラッとゲームの話をしたので、ゲーム仲間が増えるかもしれません!

ーー最近は、何か体を動かされていますか?

今度の舞台に向けて2、3か月前からジムに通い、パーソナルトレーニングを受けています。

ーー劇団☆新感線の舞台は「普段とは違う筋肉を使う」と聞いたことがあります。

歌舞伎のお稽古は続けてきているので体幹はあると思いますが、やはり動きのスピード感がケタ違いですね。でも「連獅子」のような体力を使う演目を経験してきたと思えば、多少はベースができているのかなと。

歌舞伎に比べて衣装も軽量化されていますし、軽ければ軽いほど「相当動くことを前提としているんだな」と思います(笑)。今のところは筋肉痛も出ていませんが、公演数も多いので、疲労を溜め込まないようにしていかねばと思っております。

憧れだった劇団☆新感線
でも「不思議とホームのように感じる」理由とは

優雅にソファに腰を掛ける片岡千之助さん

壁際に佇む片岡千之助さん

ーー新感線の舞台には初出演となりますが、ご覧になったことはありましたか?

(松本)幸四郎のお兄さん、(尾上)松也のお兄さんがご出演されてきましたので、小さいときから拝見していました。「自分もいつかは」と夢見ながらも、まさか『髑髏城の七人』に呼んでいただけるとは想像もしていませんでした。お声がけいただき、とてもうれしかったです。

ーーどういったところに憧れを抱かれていたのでしょうか。

シンプルですが、とにかくカッコいいところですね。立ちまわりも含めて。物語もわかりやすいですし、面白い。本当に子供の頃から観ていたので、自分が受けた感動や刺激を、今度は届ける側になるんだと考えると、素直にワクワクしてきます。

ーー『髑髏城の七人』は何度も上演されている人気シリーズですが、過去の公演もご覧になっていますか?

初めて観たのは、小栗旬さん主演の『髑髏城の七人』Season花でした。IHIステージアラウンド東京での公演だったので、アトラクションのような演出にもビックリしましたね。役者の皆さんもステージを所狭しと走り回っていて、ものすごい熱気を感じました。

ーー今回の東京公演は、歌舞伎座と目と鼻の先にある新橋演舞場で上演されます。

僕自身、演舞場に立つのが久々なんですよ。15年ぶりぐらいになるのかな? 歌舞伎座の建て替えのときに、演舞場で祖父(15代目片岡仁左衛門)と『連獅子』を踊ったんです。11歳のとき、小学6年生でした。舞台に立った回数よりも客席から観た回数のほうが圧倒的に多いですが、なじみ深い劇場です。

ーー改めて、オファーを受けた瞬間の気持ちを教えてください。

「兵庫役です」と言われて、すごく驚きました。兵庫は、熱血系キャラと言いますか、野武士集団“関八州荒武者隊”の頭目として、めちゃくちゃ暴れ回る“かぶき者”。歌舞伎で女形も演じている自分のキャラクター性とは真逆のような役で、出演を知った友人たちからも驚かれています(笑)。

ーーお稽古も、慣れ親しんだものとはだいぶ異なりますか?

それが、歌舞伎の稽古に近いものがあると感じていたところなんです。形から入って、そこに気持ちを乗せていく。この方法は歌舞伎の先輩方に習ってきたような感覚にとても近く、どちらかというとホーム感がありますね。演出のいのうえ(ひでのり)さんが「こういうトーンで、このキーの高さでセリフを言ってください」というところまで細かく指導してくださるのでとてもありがたいです。

ーー声の高さまで!

その声を出すために、普段とはまったく違う喉の使い方をしていて。初めての刺激に、新しい自分が開発されているような感覚です。今は役を離れて、普段どおりの地声で話しているつもりなのですが、響き方がこれまでと違う気がしています。まるで細胞が活性化し続けているような(笑)。ここからさらに掘り下げていくことができれば、祖父に近い声も出せるのではないか、そうしたら「助六」のような荒事にも挑戦できるのではないかと、新たな夢も芽生えつつあります。

ーーご家族からの反応はいかがでしたか?

兵庫のビジュアル写真を祖父に見せたら、すごく興奮した様子で「これは五郎(曽我五郎時致)みたいなもんやな?」と言ってくれたんです。あれはうれしかったなぁ。祖父はもちろん、父もとても喜んで、2人とも「揉まれてきなさい」と言ってくれました。叔母の片岡サチは宝塚歌劇団出身なのですが、「新感線には私も出演したかった。うらやましい!」と。

身内からの多大なる期待も背負っておりますが(笑)、最後は自分自身が心から楽しんで、僕らしい兵庫を見つけたいと思っています。かぶき者の役を歌舞伎役者が演じるなんて、洒落が効いていますよね。見得をするシーンもあるし、そこは僕にしか出せないアドバンテージになるのではと思っています。

ーー共演者の皆さんもフレッシュな顔ぶれが揃っています。過去に共演経験などある方はいらっしゃいましたか?

無界屋蘭兵衛役の塩野瑛久さんは、大河ドラマ『光る君へ』で僕のお父さん役だったんです。同じくWキャストで蘭兵衛を演じる藤岡真威人くんとも今年の春、とあるお仕事でご一緒しており、お二方ともにご縁を感じました。天魔王役の早乙女友貴さんとはプライベートで行く場所が一緒で、ご挨拶をさせていただいたことがあります。極楽太夫役の柚香光さんは花組時代から一方的に舞台を拝見しておりましたので、カッコいい男役のイメージが強くて。美しい花魁の柚香さんと向き合っていることに、まだ少し慣れません(笑)。

ーー お稽古期間を含めると、7か月間一つの作品に向き合うことになります。この経験も初めてではないでしょうか?

そうですね。きっとどこかで行き詰まることもあると思いますが、それも含めて、長い期間演じさせていただけることをメリットと捉えて、存分に堪能していきたいです。

ーー行き詰まったときの息抜きに、軽いドライブなど良さそうですね。

本当は稽古に入る前、箱根へ遊びに行く予定を立てていたのですが、不安定な天候が続いていたのでリスケになっちゃったんです。東京公演が終わったあたりで行けたらいいですね。

ーー東京公演の千秋楽は12月25日。夏の予定が、真冬のドライブになりますね。

確かに! でも温泉で体を温めるには、ちょうどいい季節かもしれません(笑)。

机に頬杖をつく片岡千之助さん

【片岡千之助さんのお気に入りお出かけグッズ】

最近、一眼レフのデジタルカメラを持って出歩くようになりました。スマホでも十分いい写真が撮れますが、あえて大きなカメラを持ち歩き、ファインダーを覗くというところに意味を感じていて。どこかへドライブに行くことになって、いつもと少し違う景色を見ることができそうなときは、なるべく持って行くようにしています。風景以外に人も撮りますよ。友人に「ちょっと、その窓辺に立って」なんて指示を出したりして。フィルムカメラも使ってみたいので、ゆくゆくは勉強していきたいと思っています。

【片岡千之助さんがドライブで聴きたい5曲】

  • デュア・リパ「Training Season」…イントロからメインパートに入る転調がお気に入り。
  • ベリンダ・カーライル「Leave a Light On」…切ない歌詞と、ポップな曲調のギャップが好きです。
  • マイケル・ジャクソン「Wanna Be Startin' Somethin'」…ライトにも聴こえるけれどパッションもある。運転中でも心の中で踊っています(笑)。
  • RADWIMPS「スパークル」…カラオケで歌のうまい友人が歌っているのを聴いて、改めて「いい曲だな!」と。リリース当時よりも今のほうが胸に響いています。
  • B’z「消えない虹」…雨、風、虹と自然のワードが多く、ふと空を見上げたくなる。昔から自分に寄り添ってくれている一曲です。

(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)

JAF会員限定 片岡千之助さん直筆サインプレゼント

直筆サインを持つ片岡千之助さん

片岡千之助さん直筆の「休日、どこ行く?」特製サイン色紙を、抽選で3名様にプレゼントします。
・プレゼント内容:片岡千之助さん特製サイン色紙

・当選者数:3名(発表は発送をもって代えさせていただきます)

・応募締切:2026年11月23日

片岡千之助

かたおか・せんのすけ 2000年3月1日、東京都生まれ。歌舞伎役者、俳優。
4歳の時に歌舞伎座で初舞台を踏み、2012年より自主公演「千之会」を主催。2017年にはペニンシュラ・パリにて歌舞伎舞踊を披露。2023年に映画『メンドウな人々』で初主演を務めるなど多岐にわたり活躍している。歌舞伎公演以外の近年の主な出演作は、舞台『ハムレット』、映画『爆弾』、大河ドラマ『光る君へ』、ドラマ『ストレンジー伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話ー』など。
https://sennosuke.jp

【information】

2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演
いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』
東京:11月14日(土)~12月25日(金) 新橋演舞場
長野:2027年1月21日(木)~1月24日(日) ホクト文化ホール
金沢:2027年2月8日(月)~2月14日(日) 金沢歌劇座
大阪:2027年2月25日(木)~3月11日(木) フェスティバルホール
https://www.vi-shinkansen.co.jp/dokuro2026

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