原付はどう変わる? 125cc時代の新基準と最新モデル・免許の未来
新基準原付の登場で「50cc原チャリ」はどうなる?2025年に導入された「新基準原付」を受け、2026年には各社から新車が発表された。原付は50ccから125cc時代へ。排ガス規制を背景に登場した新制度の仕組みや対象車、各メーカーの新モデル、さらに免許制度や電動化の流れなど、今後の原付の動向を分かりやすく解説する。
新基準原付とは?【おさらい】
2025年4月、従来の原付基準に新たな基準が加わった。
・エンジンの総排気量が50cc~125cc以下
・かつ、最高出力が4kW以下
この基準が導入された背景は、同11月に施行された排ガス規制がある。従来の50ccではこの基準をクリアすることが難しく、採算を見込める車両を作るには125ccまで排気量を上げて、しかも出力を下げる必要があった。
新基準原付の詳細については以前執筆した記事、2025年春に登場! 普通免許でも運転できる125ccバイク「一般原付」のルールとは?で紹介しているのでご一読いただきたい。
新基準原付の新車がジャパンモビリティーショー2025で発表
2025年10月30~11月9日、東京・有明のビッグサイトで開催された「ジャパンモビリティーショー2025」では、国産車の新基準原付が展示されていた。
ホンダは、新たに発売する新基準原付をライトシリーズと区分けして下記の4車種を出展した。
・スーパーカブ110 Lite
・スーパーカブ110 プロ Lite
・クロスカブ110 Lite
・ディオ110 Lite
ホンダ スーパーカブ110 Lite
ホンダ ディオ110 Lite
エンジンの総排気量はいずれも110ccクラス。従来の車種と比べ取り回しは変わらないが、最高トルクが上がって、よりスムーズな加速ができるという。一方、価格は4割ほど上がり、カブシリーズLiteは税込み34万1,000円。ディオLiteは23万9,800円で発売されている。
スズキは、原付免許で乗れる車種は現存しない。かつてアドレスV50やレッツなどの旧基準50ccスクーターが存在したが、昨年11月に行われた排ガス規制の影響によって販売終了している。
しかし、新たな取り組みとして、別基準の車両を発表した。「(e)-PO」という参考出品車であるが、ペダルによる電動アシストと充電式バイクを合体した新しいジャンルの一般原動機付自転車(原付1種)である。車体はまるで電動アシスト自転車のようで、フレームの中央を折りたたむことにより、クルマへの積載も可能である。
スズキ (e)-PO
新基準原付は東京モーターサイクルショー2026でも発表
2026年3月27~29日に開催された東京モーターサイクルショー2026で、ヤマハは、原付免許で運転できる新基準原付車を発表した。
ヤマハ JOG ONE
新基準原付制度の発足から約1年後、ヤマハからJOG ONE(ジョグ・ワン)が発売された。従来の50cc原付の面影を残しつつ、新基準125ccにリメイクされた待望の新規格車。車両重量95kgの軽さとコンパクトな車体が相まって、軽快な移動を可能にしている。価格は税込み25万9,600円。
香港に本社を置く「YADEA」は、電動バイク「POLTA」を発売している。その他、電動自転車、電動キックボードなどの開発・製造をしているこの会社は、世界最大の電動二輪モビリティーブランドである。
日本の原付免許区分に対応していて、バッテリーは48V・24Ahリチウムイオン電池で、定格出力は500W、充電時間は5~6時間。グリーンミントカラーをしたレトロなコンパクトボディーで、操作性に優れている。税込み21万7,800円。
YADEA POLTA
カワサキは、かつて旧基準のスポーツバイク「AR50」などを生産していたが、当初からスクーターのラインアップがなく、今後も新原付基準に対応した生産は行わないとのこと。
動力や免許はどうなる? 原付の今後を大予想!
現在、街中を走っている一般原動機付自転車の種類は、内燃機関であるガソリン車とモーターを使った電動バイクが混在して過度期にあるといってもよい。
今後どう展開していくか予測は難しいが、唯一「原付免許」で乗れる原動機付自転車の将来を模索してみた。この際、免許が必要でない電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車や、ペダル付き原動機付自転車は対象外とする。
・動力源について…クルマと同様に、ガソリン車が減り電気を動力原とするEV車の拡大が予想される。両方を合わせ持つハイブリッド車への移行はないが、ますます深刻化する環境問題の影響からガソリン車は徐々に減少すると思われる。既に、ホンダからは「ICON e:」、ヤマハからは「JOG E」が発売されており、電動化に向けて開発は進んでいる。
・モビリティーとして…新基準原付の開発に伴い、原付車は車体の設計が見直されて安全性や快適性の高い乗り物に変身した。1クラス上のモビリティーとして大いに需要が見込まれる。一方、電動キックボードなどの特定小型原動機付自転車についても、市場は拡大すると予想されるが、免許が不要であることから交通事故が増えやすい傾向もある。利用者の交通ルール徹底に向け、有効な対策が求められているが、新たな移動手段が可能になるモビリティーとして期待される。
・免許区分について…現行では、普通自動二輪免許の限定条件として、二段階右折が不要で最高時速60kmの小型二輪車(総排気量125cc以下、または定格出力1.00kw以下)が存在する。新基準原付の需要が進めば、新基準原付でも最高時速60kmへの引き上げや二段階右折の廃止などが認められるよう、新たな区分ができるかもしれない。ただし、現行法下ではこれらの行為は違反である。誤解がないようにしてほしい。
以上、希望的な観測も込めた見解のため、賛否両論はあると思う。ともあれ、原付免許で乗れる新基準原付は、将来の新しい“原チャリ”モビリティーとして多いに期待したい。
【原付コラム】三ない運動とは? 思い出の50ccガソリンエンジン
16歳になれば誰でも取れる原付免許。しかし、私が免許を取った時代は「三ない運動」の渦中にあった。この「三ない運動」とは、1970年代後半から1990年代にかけて高等学校PTA連合会の主導により安全教育の一環として行われていた。
高校生に対しては、
1.バイクの免許を取らせない
2.バイクに乗らせない
3.バイクを買わせない
という、今思い返せば理不尽な教育が支配する時代であった。
当時、学校や親に内緒で免許を取り、バイトしてバイクを買い、あげくの果てに交通事故を起こしてしまう高校生が増えると、バイクに目覚めた我々にはとても肩身の狭い環境であった。私も例外ではなく、東京上野のバイク街で中古の50cc原付(スズキOR50E、通称マメタン)を買いに行った。
事故こそ起こさなかったが、慣れないギア操作(5速リターン式)でクラッチがうまく操作できずに、フロントタイヤをポンポン跳ね上げながら帰宅した思い出がある。
長 信一
ちょう・しんいち 1962年生まれ。1983年、都内の自動車教習所に入社し、学科や実技の指導員に。24歳のとき、全種類の運転免許証を完全取得。教習生への親身な指導をモットーに普通免許、自動二輪免許、第二種免許など数多くの合格者を送り出した。現在は自動車運転免許研究所の所長として運転免許関連の書籍を執筆。その数、実に200冊以上。
2026年3月には最新刊「これだけで合格! 普通免許 要点整理&問題集」(成美堂出版)を出版。
https://www.seibidoshuppan.co.jp/product/9784415241340
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