自動車交通トピックス 高速道路の深夜割引見直し
文=津島 孝

ETC深夜割引が22時~翌5時までに走行した距離のみ割引対象に! さらに上限も!?

2025年3月末頃から運用スタート予定

高速道路の深夜割引は、深夜の特定の時間帯に高速道路を利用することで受けられるサービス。割引率30%とお得だが、来年から割引が適用される時間帯などが見直される予定だ。割引率や利用時間は、どう変わるのか? より快適に利用する方法は……?

目次

料金所付近の混雑や渋滞の緩和も見直しの目的

NEXCO東日本、中日本、西日本の3社は7月12日、「高速道路の深夜割引の見直し」について、開始時期を2025年3月末頃と発表した。

現行の深夜割引の割引率は30%。割引対象時間は0時~4時までで、この時間内に少しでも対象区間を走れば割引対象になる。しかし、近年はこの割引を目的に時間調整をする車両が増え、料金所付近などで発生する混雑や渋滞が問題になっていた。今回の見直しは、こういった問題を是正する狙いもある。

割引対象時間は22時~翌5時までに拡大

見直し後の割引率に変更はないが、割引対象時間が「22時~翌5時」に変わる。さらに、「この7時間に走行した距離のみが割引対象になる」のが、現行制度との大きな違いだ。そうなると22時~翌5時に「なるべく距離を稼ごう」と考え、スピードを出してしまうドライバーがいるかもしれない。そこで割引が適用される走行距離(割引対象距離)にも上限が設定される。

夜間の高速道路

割引対象時間は従来の「0時~4時」から「22時~翌5時」までと大幅に拡大されたが、割引対象となるのは、この7時間に走行した距離のみとなるのが大きな変更点

無謀な運転を抑止するため割引上限が設定される

普通自動車や軽自動車の割引対象距離は、利用時間1時間あたり100km+5 km、大型車以上の貨物自動車などは1時間当たり90 km +5 kmが上限。4時間を超えると、走行時間から休憩時間の30分を除外して計算される。

つまり、割引対象時間内に普通自動車で4時間30分走行した場合は「4時間30分×10 km=472.5 km」。ここから休憩時間30分の走行距離「0.5時間×105 km=52.5 km」を差し引く。すると上限距離は「472.5 km-52.5 km=420 km」となり、420 kmを超えた分は割引が受けられない。スピードを出して距離を稼ごうとしても割引適用外になるので、速度超過など無謀な運転を抑止できるわけだ。なお、「+5 km」とは速度計の誤差を考慮して設定されたもの。「休憩時間30分」は厚生労働省が定める「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に基づき、4時間運転したら30分は休憩するという考え方を採用している。

●深夜割引見直し後の上限距離の計算例(無謀な運転の抑止策)

深夜割引見直し後の上限距離の計算例(図)

見直し後は走行距離に応じて割引率が高くなる

見直し後は実質的に割引が縮小されるが、その代わりに「長距離逓減(ていげん)制」が拡充される。いわゆる長距離割引で、現行制度の100 km~で25%、200 km以降で一律30%の割引から、400 km以上で40%、600 km以上で45%、800 km以上で50%が割り引かれる。今後5年間は1000 kmを超える分を特別に割引対象にする「激変緩和措置」も実施。運送業者などの急激な負担増を防ぐ方針だ。

割引計算は、料金所や本線上のETC無線アンテナなどで得た通過記録をもとに算出される。通行料金はいったん正規料金が課金され、後日にETCマイレージサービスやETCコーポレートカードなどを使って割引額が還元される。

●見直し後の長距離逓減制の拡充

長距離逓減制の拡充の説明図

見直し後は割引時間内に走行した距離によって割引率が変更となる。走行距離が800kmを超えると割引率が50%に

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