文=津島 孝

高速道路のETC専用化が増えている! 2030年度頃には全線でETC専用になる!?

非ETC車で間違って侵入したらどうする?

高速道路で「ETC専用料金所」の設置が進んでいる。ETC専用化はキャッシュレス化や混雑緩和などのメリットがあり、都市部は2025年度、地方部は2030年度をめどに、おおむねすべての料金所で設置が完了する予定だ。ETC専用化とする理由や、非ETC車が間違って高速道路へ進入したときの対処法とは?

目次

都市部では2025年度までに8~9割がETC専用に!

NEXCO東日本関東支社は、2023年9月21日から首都圏中央連絡自動車道(圏央道)坂戸インターチェンジ(IC)を「ETC専用料金所」として運用を開始すると発表した。これ以降、ETCを搭載していない車両は坂戸ICを利用できない。高速道路のETC専用化は今後も拡大し、2025年度中にも首都高が約160か所、NEXCO東日本90か所、中日本80か所、西日本70か所、阪神高速110か所を予定。

ETC専用料金所を増やす目的は、キャッシュレス化やタッチレス化の推進にある。道路がすいている時間帯や経路の割引などで柔軟な料金設定が容易で、混雑緩和が図れるなど利用者のメリットも多い。管理や運用面でのコスト削減も期待できる。
国土交通省(国交省)と高速道路会社6社(NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本、首都高速道路、阪神高速道路、本州四国連絡高速道路)は、2020年12月に「ETC専用化等のロードマップ」を公表。都市部は2025年度、地方部は2030年度をめどに、ほぼすべての料金所でETC専用化を完了させる計画を示した。つまり近い将来、ETCは高速道路を走るときに必須になる。

国交省および高速道路6社によるETC専用化の予定

エリア 運営 料金所数 ※1 2025年度まで 2030年度頃
首都圏 首都高速 181 160か所程度(約9割) 全線ETC専用化
NEXCO東日本 125 90か所程度(約7~8割)※2
NEXCO中日本 22 20か所適度(約8割)
中京圏 NEXCO中日本 71 60か所程度(約8割)
近畿圏 阪神高速 144 110か所程度(約8割)
NEXCO西日本 94 70か所程度(約7~8割)
地方部 NEXCO3社・本四高速 883 運用状況や各地域の特性等を考慮しつつ順次拡大
  • ※1 2020年12月1日現在の既存料金所のうちETC専用運用されていない課金料金所数
    ※2 料金所の構造や交通量が多く、並行又は接続する一般道を含めた渋滞等の課題がある路線(第三京浜・横浜新道・横浜横須賀道路・京葉道路・東関東道)の料金所については、引き続き検討
    出展=国土交通省(2020年12月17日発表資料より)

 ETC専用の首都高速霞が関入り口

都市部ではあと2年後の2025年度までに約7~8割がETC専用化となる見込み。非ETC車で高速道路を利用する際は注意が必要。

非ETC車で間違って専用ゲートに入ってしまったら?

国交省の調査によると、ETC利用率は2022年6月の時点で約94.4%に達している。料金所をスムーズに通過できるのはもちろん、時間帯や曜日によって料金の割引サービスが受けられるのが普及率アップにつながった。しかし、利用率が上昇してもETCを使っていない車はある。もしもETCが専用化された高速道路にETCを設置していない車で入ってしまったら、どう対処すればよいのか? 高速道路各社では、非ETC車が間違って高速道路に進入した場合、「ETC/サポート」あるいは「サポート」と表示されているレーンを通行するように呼びかけている。サポートレーンとは、現金での支払いを希望する車が誤って進入したときなど、トラブルの際に利用する場所のことだ。

UターンやバックはNG! サポートレーンで指示に従う

サポートレーンで一旦停止し、設置されているインターホンで係員に連絡を取り、その後の指示を受ける。通常は通行券の発行、あるいは利用後に料金を支払う「後払い」などの対策が取られるので心配はいらない。危険なのでUターンやバックは禁物。焦る気持ちを抑えて、落ち着いた行動を心がける。ETCカードの挿し忘れや機材故障もあるので、運転前に確認する習慣を身につけてほしい。

専用ゲートに設けられたサポートレーンのイメージ図

ETCを設置していない車で間違ってETC専用ゲートに入ってしまった場合は、慌ててUターンやバックするのは危険なのでNG。「ETC/サポート」または「サポート」と表示されたレーンが設定されているので、そこに進み係員の指示に従うようにしよう(画像=NEXCO中日本)。

国交省では、サポートレーンで非ETC車のナンバーをカメラで撮影し、事後に徴収する対策を検討中。また、あらかじめ一定のデポジットを預託することでETCカードを持っていなくても有料道路を利用できる「ETCパーソナルカード」の利用条件も見直す。ETCのより使いやすい環境を整え、さらなる普及を後押しする考えだ。

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