AIが車の接近を光で教える、多機能カーブミラーが本稼働へ
交通安全日本一の街づくりをめざす静岡県藤枝市は2023年1月、市内の交差点に国内で初めて「多機能カーブミラー」を設置すると発表した。
AIが車両の接近を検知、光ってドライバーに伝える
多機能カーブミラーとは、交差点に接近する車やバイクをAI(人工知能)連動のセンサーカメラで認識し、鏡の外周に取り付けたLED(発光ダイオード)を点灯させるシステム。夜間でも車両の接近に気付きやすく、衝突リスクのある車両に減速や一時停止を促すことで、出会い頭事故を防止する。
画面左上の矢印の上に多機能カーブミラーがある。左方向から車両が接近した場合は鏡面下部の左の方向表示(三角マーク)が、右方向なら右が点滅。両方向から車両が近づくと、左右が高速で点滅する(写真提供=藤枝市 他も同様)。
鏡面下部には車両が接近する方向を点滅して示すLED表示(三角形のマーク)があり、車両が来ている方向も判断できる。
藤枝市は2022年2月9日から28日までの20日間で実証実験を行い、多機能カーブミラーの効果を検証。設置前に比べて交差点を通過する車両が減速するなどの効果が得られたことで、本稼働が決まった。当面は人身事故が多い市内4か所の交差点に順次設置するが、今後は検証を進め「大きな効果が得られれば、増設を検討する」(同市交通安全・地域安全課)としている。
自転車や歩行者の存在を教える「検知式光るポール」の実証実験もスタート
藤枝市に設置された検知式光るポール。
自転車や歩行者が接近するとポール(囲んだ部分)が発光し、周囲に確認を促す。
また、同市は自転車や歩行者が関わる交差点事故を防ぐ「検知式光るポール」の実証実験も始めた。夕方や夜間に交差点を横断しようとする自転車や歩行者をセンサーが検知すると、ポールに内蔵されたLEDが発光。周囲の車両にその存在を知らせ、安全確認を促す。センサーが入ったポールを使う実証実験は、国内初の取り組みだ。
市内2か所の交差点で、2023年2月16日から21日に実証実験を行った。自転車やクルマの交差点への進入速度、一時停止や左右確認の有無などを調査し、効果や課題を検証する。