特集

注目すると面白い! 歴代国産車のアイデア装備18選。なかには珍装備も!?

進化し続けるクルマ。装備の多様化が始まったのは1980年代。往年の車好きには復活を望むものも!?

2023.12.18

文=渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/イラスト=綿谷 寛

2023.12.18

文=渡辺 陽一郎(カーライフジャーナリスト)/イラスト=綿谷 寛

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

「時速100㎞を超えると鳴り出す速度警報音」や「愛車精神あふれる土禁仕様車」と聞いて「懐かしい!」と思う方も多いことだろう。若い世代にとっては珍装備だったり、珍文化だったりするかも知れないが、だからこそ注目すると面白い。時代とともに生まれては消えたさまざまな自動車装備。中高年のノスタルジーをかき立て、若い世代には新鮮な、バブルの香り漂うアイデア装備をご紹介。

※JAF Mate 2021年1月号「懐かしいクルマの装備図鑑」を再構成して掲載しています。

バブル景気が促したアイデア装備の誕生!

クルマにはさまざまな装備が採用されている。そのなかには、商品化されながら、長続きせずに消え去った品目もある。過去を振り返ると、1950~60年代のクルマは、エンジンやサスペンションなど基本的な機能を進化させていた。それが70年代の排出ガス規制を克服して80年代に入ると、自動車の装備の多様化が始まった。バブル経済に向けた好景気が、さまざまなアイデア装備の誕生を促した面もあった。

最も多彩に発展したのがミラーだ。後方を確認するためのミラーは20年頃に採用されてからほとんど変化していなかったが、80年に登場した日産レパードのフェンダーミラーには、雨滴を除去する電動ワイパーが装着された。88年には6代目マークⅡが、ドアミラーの鏡面ではなくサイドウインドーにワイパーとウォッシャーを設置している。ただしこれらのワイパーは視界を遮り、視認性が悪化するという声もあった。撥水(はっすい)剤が出たこともあり、短命に終わった。

今ではドアミラーの代わりに小さなカメラを装着して、その映像をインパネの左右に配置されたモニター画面に映す方式もあるが、後続車との距離は従来のミラーのほうがわかりやすい。カメラを使った最新のデジタルミラーも、将来の「懐かしい装備」に含まれる可能性がある。

その一方で使いやすい懐かしい装備もある。三角窓は少し開けておくと、車内の空気を車外へ効率良く吐き出す。コロナ禍で重要になった換気を行ううえでは有効な装備だ。スペアタイヤは大きくて重いからパンク修理剤に変わったが、タイヤが引き裂かれるバーストが生じたときは修理剤では役に立たず、スペアタイヤが必要だ。

また昔のメッキバンパーは高級車の証(あかし)だったが、今のミニバンを見ると、エアロパーツと併せて大型メッキグリルが装着されている。「高級車はメッキで輝く」という感性の本質は、あまり変わっていない。つまり懐かしい装備には新しさもあり、今は復活を待っているのかもしれない。

クラシカルな上品装備

フロントドアに装着した三角窓の写真

三角窓
エアコンがない時代、これで効率的に換気ができた。1970年代にはほぼ絶滅したが、60代以上の車好きにはファンが多く、復活を望む声も。

写真上はメッキバンパーのアップ、写真下は衝撃吸収ゴムが付いたメッキバンパー

メッキバンパー
1970年代にほぼ姿を消した装備。長い間メッキ一色(上)だったが、補修等を考慮し、一部に衝撃を吸収するゴムなどを使ったものもあった(下)。

写真左にフェンダーミラーのアップ、写真右にフェンダーミラー付き自動車

フェンダーミラー
バックミラーのなかで、フェンダーパネルに装着されたのがフェンダーミラー。欧米では、1960年代により見やすいドアミラーが主流になったが、日本では83年まで規制でドアミラーは認められなかった。視線移動の少なさや車両感覚のつかみやすさなど、フェンダーミラーにもメリットがあり、多くのタクシーでは今もフェンダーミラーが採用されている。最近では、ホンダeのように小型カメラで撮影した映像を、車内のモニターで確認する「ミラーレスタイプ」も出てきている。

フロントドアに付けられたドアミラーの写真

ドアミラー

ミラーレスタイプのカメラ部分のアップと取り付け位置の説明写真

ホンダeのミラーレス(カメラ型)

役目を終えた? 装備

写真左に自動車に搭載したスペアタイヤ、写真中央にテンパータイヤ、写真右にパンク修理材と修理中のタイヤ

スペアタイヤ
昔は装着タイヤと同じものが車に積まれていたが、スペースや重量等の問題から、多くが応急用のテンパータイヤ(中)に変わり、最近はタイヤでなく、パンク修理剤(右)を積む車が増加中。

フロントタイヤに装着した泥除けの写真

泥除け(マッドガード)
車種や地域で違いはあるが、舗装路が多い現在では不要に。ドレスアップで付ける人もいるが、耐久性が低く装着車は減少している。

霧の中で黄色いフォグランプが光っている写真

黄色いフォグランプ
雨や霧での視認性は黄色が高く、以前は主流だったが、見た目が明るく、ライトと色が統一できるといった点から、最近は白が人気。

バブルが生んだ装備

リアウインドーに装着した左右に開閉するカーテンの写真

電動リニアモーターカーテン
後席のカーテンにリニアモーター機構を採用。シフトをR(リバース)に入れると、カーテンが開いた。写真は1988年初代日産セドリック・グロリアシーマ。

後部座席のリアトレイに設置したクールボックの写真

クールボックス
後席リヤトレイに設置された装備。缶ジュースを5本冷やすことができた。1987年日産セドリック・グロリアにオプション設定。

ゴールドに輝くキーの写真

18Kオプションキー
バブル最盛期の1989年に発売された高級車、日産インフィニティQ45にオプション設定された18Kゴールドのキー。価格は52万円!

雨対策のアイデア装備

運転席ドアを開けた側面の専用ポケットに収納された黄色い傘の写真

アンブレラポケット
1986年日産パルサーに採用された「傘入れ」。運転席ドア後方のボディの厚みを利用し、専用傘を収納するアイデアだった。高級車のロールスロイスにも採用例あり。

ワイパーが装着されたドアミラーの写真

ドアミラーワイパー
雨天時に見やすくするため、1988年日産セドリック・グロリアシーマに装備された(世界初)。その8年前にはレパードにフェンダーミラータイプがあった。

サイドウインドーに小型のワイパーが装着されている写真

サイドウィンドウワイパー
トヨタはドアミラーではなくサイドウインドーの水滴を払拭するワイパーを開発。1988年マークⅡに装備された(世界初)。

表面に水滴の付いたドアミラーの写真

超音波雨滴除去ミラー
トヨタは超音波で鏡面を振動させ、水滴を弾き飛ばす方式も開発。1989年高級車セルシオに装備(世界初)。ヒーターで霜も除去できた。

走りや見た目重視の装備

7つのメーターを連装したハンドル周りの写真

6連・7連メーター
速度やエンジン回転数に加え、油圧や電圧など、多くのメーターを装備するのがスポーツカーの証。写真は1998年式日産スカイライン。

リトラクタブルヘッドライトを展開した使用時の写真

リトラクタブルヘッドライト
ライトを格納することで空気抵抗を減少させ、スポーティなデザインにすることができた。写真は1985年式ホンダ・プレリュード。

TURBOの文字が反転で書かれているフロント部分と文字の拡大写真

鏡文字
反転された文字が前車のミラーに映ると正像になり、ターボ(TURBO)付きであることをアピール。写真は1980年式日産スカイライン。

復活してほしい! ワクワク装備

跳ね上げ式のドアを上げた状態の2車種の写真

跳ね上げ式ドア
スーパーカー世代には憧れの的だった、ガルウイングドアに代表される跳ね上げ式ドア。国産車では1990年代初頭、トヨタ・セラやマツダ・AZ-1などが採用。スペースが狭い場所でも乗り降りしやすい。

ルーフ部分が持ち上がり、装着したシートがテント状に開いた写真

オートフリートップ
1995年から販売されたマツダ・ボンゴフレンディに装備された。キャンピングカーのポップアップ式テントと同じように、屋根が持ち上がり、そこに大人2人が寝ることができるため、車中泊に最適。

さらに、こんな装備や用品もありました!!

多くの斬新な装備が生まれた昭和末期から平成初期。装備以外にも、懐かしいカー用品がたくさんありました。バブル時代を象徴する“ヒカリモノ”から、クルマ愛があふれるグッズまで、マンガで紹介します。

若い頃のクルマの自慢話をする父とそれを聞く娘のマンガ

渡辺陽一郎

わたなべ・よういちろう 新車の試乗記から、クルマ購入ガイドまで、ユーザー目線に立った解説がわかりやすいカーライフ・ジャーナリスト。

この記事のキーワード
この記事をシェア

この記事はいかがでしたか?

関連する記事Related Articles