構成=ダズ/文=高橋アキラ(モータージャーナリスト)

時代を席巻! 俺たちのステーションワゴンブーム

サニーカリフォルニア 、グロリアワゴン、レガシィツーリングワゴン、USアコードワゴンなど、記憶に残る32台
高橋アキラ

かつて時代を席巻したステーションワゴンブームをご存じだろうか? 多くのクルマ好きを魅了してきたが、ブームの終焉後、今ではごくわずかな車種に限られてしまったのが、国産ステーションワゴンだ。始まりは1970年代あたり。商用バンから乗用へと進化。積載能力に長けた乗用車としてアクティブなユーザーやファミリーに人気を博していった。時にはアウトドアに目覚め、時にはハイパワーに走り、高級感を追い求めたものもある。あの時代、ステーションワゴンはカッコ良かったのだ。今回は、モータージャーナリスト・高橋アキラさんに当時を振り返りながら、解説してもらおう。

目次

商用バンから乗用ワゴンへ。仕事グルマからの脱却

レオーネ 4WDエステートバン/レオーネ ツーリングワゴン/サニーカリフォルニア/ブルーバード ADワゴン/カリーナ サーフ

1970年代頃から、ぼちぼちと「ステーションワゴン」なる形のクルマが出てきた。1960年代の日本は高度経済成長期で、一般庶民が生活に豊かさを求めていた時代だ。当時のアメリカは、一般庶民でも広い家に住み、ガレージの前にはバスケットゴールがあり、そして庭にはプールのある生活がTVドラマで描かれ放送されていた。それを見た日本人は大いに憧れたのだ。

その米国の庶民的ファミリーがクルマで出かけるときには「ステーションワゴン」が使われ、夫婦二人と子供たち、そしてペットのゴールデンレトリバーやシェパードなど大型犬を乗せて、ドライブに出かける光景もしばしばブラウン管(*)に流れる。
*TVモニターのこと

実際の70年代のアメリカは混迷・迷走の時代とも言われ、ベトナム戦争、オイルショック、ウォーターゲート事件といろんなことが起きた時代でもありTVドラマで表現されるような雰囲気ではなかったが、日本で放送される米国TVドラマの世界は平和で、豊かな生活を送る姿を自身に重ね合わせ、夢を見たものだ。

そうした時代背景のなか、当時の日本車は目指せアメ車!的なベンチマークもあり、アメリカ車を意識したモデルは多かった。だから、ステーションワゴンにも食指を動かすことは当然の流れだろうが、既存の商用バンとは一線を画し、乗用車のような乗り心地や装備を持たせたステーションワゴンが開発されていく。

カーメーカーはひとつの車台からいろんなボディを造ることで、利益効率を求めるが、ステーションワゴンはその典型だ。バンは商用ニーズとして後席後端に積載スペースが必要な要件から誕生したが、ワゴンは乗用からの派生モデルとして誕生。だからバンのように見えるが、乗り心地や内装は乗用車と変わらないというのをウリにしていた。

1980年前後、アメリカの自動車文化に影響を受けた人には、ボディのサイドパネルに木目のデザインを使ったモデルが刺さった。車名に「カリフォルニア」や「サーフ」といったアメリカを連想させる用語も採用され、商用バンとの違いを明確にアピールしていった。

これがヒットを生み、その後も各社からさまざまなコンセプトを持って開発されるステーションワゴンが誕生してくるのだ。

筆者タカハシもアメリカのホームドラマに影響され、ステーションワゴンはお気に入りの部類だった。まだステーションワゴンが珍しい頃、中古車のトヨタ・カリーナバンを購入し、エンジンをコロナ マークⅡ 2000GSSに搭載していた18R-G型2.0Lに換装するオリジナルワゴンを創作した。

もともと1.6LのSOHCエンジン(2T型)に4速MT、シングルキャプだったが、2.0LのDOHCになり5速MTウェーバーツインキャブになる。エンジンは重く、ホットロッドスタイルに変化。ファイナル・ギア比はバンなのでローギアード。だから加速がめちゃくちゃ速い。エンジンパワーも凄い!

ボディも真っ黄色にオールペイントし、ホイールはメッキのディッシュタイプを履かせ、ホットロッドスタイルでカッコいいと自己満足していたが、ベースは商用車で、乗り心地はすこぶる悪かった記憶がある。

スバル・レオーネ 4WDエステートバン(1972年)

スバル・レオーネ 4WDエステートバン(1972年)
初代レオーネは商用車のエステートバンに4WDを設定。ジープタイプではない量産の4WD車として注目された。エンジンは1.4Lの水平対向4気筒。

スバル・レオーネ ツーリングワゴン(1981年)

スバル・レオーネ ツーリングワゴン(1981年)
2代目レオーネのマイナーチェンジ時にスバル初の乗用ステーションワゴンとして登場。

マツダ・サバンナ スポーツワゴン(1972年)

マツダ・サバンナ スポーツワゴン(1972年)
1971年に10A型ロータリーエンジンを搭載したサバンナ。当初はセダンとクーペのみだったが、翌年1972年にはワゴンが登場。ロータリーエンジンを積んだワゴンとしてマニア垂涎のモデル。

マツダ・サバンナ スポーツワゴン(1972年)

マツダ・サバンナ スポーツワゴン(1972年)

日産・サニーカリフォルニア 1400SGL(1979年)

日産・サニーカリフォルニア 1400SGL(1979年)
アメリカ西海岸のライフスタイルを想像させる、お洒落で若々しいイメージを持つスタイリッシュなワゴン。ウッディサイドパネルもオプションで用意されていた。

日産・サニーカリフォルニア 1400SGL(1979年)の内装

日産・サニーカリフォルニア 1400SGL(1979年)の内装

日産・ブルーバード ADワゴン 1800GS(1982年)

日産・ブルーバード ADワゴン 1800GS(1982年)
サニーカリフォルニアと同じく1979年に登場した6代目ブルーバードのADワゴン。ADはAdvance(先進性)、Adventure(冒険、おもしろい経験)を意味する。

日産・ブルーバード ADワゴン 1800GS(1982年)の内装

日産・ブルーバード ADワゴン 1800GS(1982年)の内装

トヨタ・カリーナ サーフ(1982年)

トヨタ・カリーナ サーフ(1982年)
1982年、3代目A60系カリーナにラインアップされたステーションワゴン。カリーナクーペと同じフロントデザインがスポーティだった。

トヨタ・カリーナ サーフ(1982年)の内装

トヨタ・カリーナ サーフ(1982年)の内装

レジャーやカスタムなど、若者世代の遊びグルマとして人気に

スプリンター カリブ/グロリアワゴン/マークⅡワゴン/クラウン ステーションワゴン

80年代はステーションワゴンの存在が定着し、一定数の人気も得られ、さまざまな商品が誕生してきた。代表的なのは実用性を重視したワゴン系とアメリカ車を意識した豪華なワゴン系の2系統だ。

実用領域に力を入れたモデルがスバル・レオーネ、後にレガシィへと続くシリーズだ。そもそもレオーネ4WDエステートバンの誕生は、東北電力の送電線保守部門からの要望で、降雪期でも安定して走行できるクルマが求められたことが始まりで、実用領域の性能を根底に持っていた。そのレオーネエステートバンが進化し、80年代後半に発売されたレガシィツーリングワゴンは、大ヒットとなった。

一方で、トヨタはスプリンター カリブを発売する。カリブは、野生のトナカイを指す北米先住民の言葉が由来ということもあってか、カナダやアラスカがイメージされ、4WDモデルであったことから、アウトドアでの実用領域で人気を博した。80年代中頃にはオートキャンプブームが日本に巻き起こり、4WDのステーションワゴンは人気を得た。

かのアウトドアブランド「パタゴニア」の創業者イヴォン・シュイナード氏は、ビジネスでの成功を収めた後も、このカリブを愛車として長く乗っていたのだ。本人は「これ以上の要求は不要だ」とクルマに求める性能は十分であると言っていたのだ。

シュイナード氏はサーフィンをするときも、シーカヤックで海に出るときも、山に入るときもいつもカリブに荷物を乗せて冒険をしていた。その後はスバルに乗り換えている。

一方でトヨタは高級車クラウンでも早い時期からステーションワゴンを発売している。若き日のタカハシも6代目のクラウンワゴン(エステートではない)を中古で購入し、オートキャンプ取材をしていた記憶がある。

当時としては高級な内外装にプラスして荷室が広い実用性を持つことが魅力で、その大きさに魅力を感じていたものだ。またクラウンは、同時にバンも併売していて抜かりない。そのバンとの大きな違いは、ワゴンには3列目のシートがあって7人乗りであることだ。床下に格納される3列目シートに、乗員は真後ろを向いて乗る。もちろん車酔い必至のレイアウトである。

セドリック・グロリアのステーションワゴンはアメリカを追いかけている。アメ車の多くにラインアップされていた木目のサイドパネルをセド・グロにも採用。さらにベンチシートにコラムATという組み合わせはまさにアメ車で、そのインパクトは大きい。

じつは後年、筆者タカハシはY30型グロリアワゴンを1998年に購入している。Y30型は1983年に発売され、99年まで発売された息の長いモデルだった。ただ、セダンは98年当時、すでにY31型へとフルモデルチェンジをし、ワゴンのみ受注生産として生き残っていたのだ。

当時のディーラーマンからはステージアかプリメーラワゴンを勧められた記憶がある。当たり前だが、当時の売れ筋人気モデルだ。それなのに、面倒くさい受注生産のグロリアワゴンをオーダーしたので「変わり者」に見られたに違いない。

注文から半年後、納車されたグロリアワゴンは、グリーンメタリックボディの純正色で、木目のパネルは選んでいない。木目のトレンドは終わっていると決めつけていたからだ。タイヤは「BFグッドリッチ」のホワイトレターでクレーガー風の5スポークを履かせていた。もちろん、ベンチシートにコラムAT仕様で、リヤダンパーにコニーのエアダンパーを入れてホットロッドにしていた。学生時代のカリーナから、なんら変化しない嗜好・性癖だ。

もちろん用途はサーフ&スノーがメイン。ベンチシートだから彼女を助手席ではなく、センターに座らせ肩を抱きながらドライブするアメリカン・グラフィティを目指した……。

ワゴン車は、遊び道具を簡単に搭載でき、とくにスキー板、サーフボードを室内に車載できたことが魅力的だった。これ見よがしにルーフに載せることもはやっていたものの、当時は排気ガスの汚れもあり、マテリアル的にはよろしくなかったのだ。道具を大切にするオレらしい……。

トヨタ・スプリンターカリブ AV-2(1982年)

トヨタ・スプリンターカリブ AV-2(1982年)
一般の乗用車感覚で使える4WD車として登場したパートタイム式4WDのカリブ。アクティブなユーザーに人気だった。

トヨタ・スプリンターカリブ AV-2(1982年)

トヨタ・スプリンターカリブ AV-2(1982年)

日産・グロリアワゴン V20E SGL(1985年)

日産・グロリアワゴン V20E SGL(1985年)
今なお多くのファンを持つ1983年登場のY30型セドリック、グロリアワゴン。後継のY31型が販売終了となる1999年まで、ワゴンとバンは併売された。

トヨタ・マークⅡワゴン 2000LG(1985年)

トヨタ・マークⅡワゴン 2000LG(1985年)
1984年11月にセダン系より3か月遅れで登場した5代目マークⅡワゴン及びバン。シンプルなスタイリングはカスタムベースとしても人気に。

トヨタ・クラウン ステーションワゴン ロイヤルサルーン(1987年)

トヨタ・クラウン ステーションワゴン ロイヤルサルーン(1987年)
初代からステーションワゴンを設定していたクラウン。こちらは8代目となる130系。高級車だが、カスタムのベース車としても人気だった。

スバル・レガシィツーリングワゴン(1989年)

スバル・レガシィツーリングワゴン(1989年)
スバルが初めて世界をターゲットに据えたクルマがこの初代レガシィ。1989年に登場し、ハイパワーで、4WDで、ステーションワゴンという新たなジャンルを確立した。

スポーツカーに勝るとも劣らない走りのワゴンが一世を風靡

インプレッサ スポーツワゴン/ステージア/レグナム/カルディナetc.

90年代に近づくと世の中バブル景気だ。実用性を求めたワゴン、高級路線のワゴンという潮流があるなか、パフォーマンスを求めるニーズが発生してくる。ステーションワゴンでもスポーツカー並みのダイナミック性能と大パワーを求める声が出てくるのだ。

話は戻るが、筆者タカハシもバブル景気のおかげなのか80年代後半にクラウンワゴンからボルボ・エステートへと乗り替えている。740エステートはターボ付きで、ワインディング走行も楽しんだ記憶がある。が、ラジエターのトラブルはよく起きたらしく、スキー場へ向かう途中オーバーヒートし、雪降る中ウォーターポンプのベルトを車載工具だけで外し、乗せてた彼女に嫌な顔をされたことを思い出す(今の妻ではない)。

日産・ステージアにはGT-Rと同じRB26型エンジンを搭載したモデルが誕生し、パワー競争は過熱する。三菱はギャランのステーションワゴン版としてレグナムVR-4が、スバル・レガシィツーリングワゴンに対向すべくデビューする。

レグナムVR-4の武器はアクティブ・ヨー・コントロール(AYC)だ。三菱・ランサーエボリューションで培ったコーナリングノウハウを搭載していたのだ。AYCは、旋回速度を上げる技術で、今風に言えば左右トルクベクタリングということになる。が、当時は機械式LSDでの制御であり、制御アクチュエーターのアルゴリズムはモデルベース開発(MBD)で作られていた。後に、この技術は現在の三菱のアイデンティティとなるS-AWCへと進化している。

走破性能が高いと評価されていたスバルは、水平対向エンジンという独特のエンジンレイアウトを持ち、その性能の高さを証明するために「世界最速のワゴンへ挑戦」をしている。現在でもスーパーGTで活躍するEJ20型ターボエンジンを搭載したレガシィツーリングワゴンは、アメリカのソルトフラッツと呼ばれるボンネビル・スピードウェイで最速を記録した。

各社ハイパフォーマンスなステーションワゴンを発売しているが、なかでも脅威的な速さを誇ったのはトヨタ・カルディナだった。驚異的ではなく脅威と書いたのは、1997年に登場した2代目カルディナのスポーツグレード「GT-T」が、スポーツカーにとっても脅威となる存在だったからだ。当時人気だったセリカGT-FOURと同じ3S-GTEエンジンを搭載。260馬力のシングルターボと4WDの組み合わせは、スポーツカーに負けず劣らずの速さを見せた。

スバル・インプレッサ スポーツワゴン(1992年)

スバル・インプレッサ スポーツワゴン(1992年)
コンパクトな走りのワゴンとして登場。セダンのみだったスポーツモデルWRXは1993年にワゴンを追加。2Lターボ&AWDで220馬力を実現し、それ以降年々進化していった。

スバル・インプレッサ スポーツワゴン グラベルEX(1995年)

スバル・インプレッサ スポーツワゴン グラベルEX(1995年)
1995年に追加されたグラベルEXは、車高を上げ、バンパーガード、ルーフレール、背面タイヤを装備したクロカンスタイル。エンジンはWRXと同じ2Lターボだった。

スバル・レガシィツーリングワゴン GT B-spec(1993年)

スバル・レガシィツーリングワゴン GT B-spec(1993年)
BG型と呼ばれる2代目。ツインターボを搭載するなどパワフルなワゴンとして人気。アメリカのボンネビル・スピードウェイで時速249.981kmの世界最速ワゴン記録を達成。

スバル・レガシィツーリングワゴン 世界最速記録挑戦(1993年)

スバル・レガシィツーリングワゴン 世界最速記録挑戦(1993年)

日産・ステージア RS FOUR V(1996年)

日産・ステージア RS FOUR V(1996年)
「プレステージ・ツーリングワゴン」をコンセプトに1996年にデビューしたステージア。上位グレードのRS FOURには2.5L直列6気筒ターボを積み235馬力を実現。

日産・ステージア オーテックバージョン 260RS(1997年)

日産・ステージア オーテックバージョン 260RS(1997年)
1997年10月にはR33スカイラインGT-Rのエンジン、ドライブトレーンなどを流用した260RSが登場。280馬力のハイパワーワゴンとして注目された。

三菱・レグナム VR-4(1996年)

三菱・レグナム VR-4(1996年)
ギャランのワゴン版として1996年に登場。V6 2.5Lツインターボを搭載する「VR-4」は280馬力を発揮し、ランエボにも搭載された駆動制御システムAYCも採用。

三菱・レグナム スーパーVR-4(1998年)

三菱・レグナム スーパーVR-4(1998年)
VR-4をベースに、専用大型エアロ、ラリーアート製スポーツマフラー、レカロ製フルバケットシートなどを装備した特別仕様車「スーパーVR-4」。

トヨタ・カルディナ 2.0GT-T(1997年)

トヨタ・カルディナ 2.0GT-T(1997年)
2代目となるカルディナはスポーツ性を高め、ハイパワー化を図る。2Lツインカムターボを搭載したGT-Tは260馬力を発生。スイッチでシフト操作が可能なステアマチックも搭載。

マツダ・アテンザスポーツワゴン 23S(2002年)

マツダ・アテンザスポーツワゴン 23S(2002年)
スポーツ、セダン、スポーツワゴンの3タイプで2002年5月に登場。スポーティで洗練されたデザインのワゴンは人気が高く、また、178 馬力を発生する2.3Lにより走りも楽しめた。同年9月に5速MTモデルも登場。

セダンの高級感を備えた、上質なステーションワゴン

セプター ステーションワゴン/ディアマンテワゴン/アコードワゴン/レガシィ ランカスター/クラウンエステート

80年代後半にボルボが英国のツーリングカーレースBTCCにエステートで出場したことなどをきっかけに、プレミアムモデルのステーションワゴンが目立つようになる。釣られるように国産車も90年代に入ると高級なステーションワゴンが増えてくるのだ。

その理由のひとつは、日本メーカーが米国マーケットでの販売を大きく意識するようになり、ステーションワゴンは大柄なボディタイプに変わっていく。かつてパフォーマンスを求めた国内のマーケットニーズから米国を意識した上質や高級といった路線に変化していく。

アメリカを意識すれば、大排気量の余裕あるエンジンを搭載しつつも、峠を攻めるためではなく、ゆとりある走りを目指しゴージャスな移動を狙ったものに変わる。

もちろん、クラウンエステートのように国内専用モデルでも、高級なクラウンにはエステートが似合うとばかりに、セダンと同等の装備、乗り心地を提供する。ハンドルを握って走り出すとセダンとの違いがわからないほど高い静粛性が保たれ、また内装の豪華さにも引けを取らない仕様になっているのだ。

スバルはアメリカのスノーベルトと呼ばれる降雪エリアで人気が高まり、販売のディーラー整備も成功したことから、人気が上昇していく。車両も北米を意識したモデルへと徐々に変わり、ボディサイズも大型化し始めていくのだ。

ホンダも同様で、アメリカ市場を意識したアコードワゴンは「USアコード」という俗称で呼ばれ、北米でも日本でも人気となった。

いずれも北米マーケットの影響があるため、ハンドリングやパワーを重視というより、余裕ある移動を目指したモデルたちだった。

90年代中頃、アメ車好きの筆者タカハシは2代目レガシィツーリングワゴンを購入している。USアコードも魅力的で、どっちを買うか真剣に悩んだことを思い出すが、スバルのスノーベルトでの販売活況というニュースを見て決めたことを思い出す。見た目のアメ車感から内面までアメリカに侵食されているかのようだ。

雪ならスバルだ! という実績は北米でも高く評価され、自身のスキー絶頂期は、冬の北海道までフェリーで移動し、全道のスキー場巡りをしたこともあった。圧雪された雪道であれば「滑る」ことを味わったことがない。圧雪されていない場所でも少しの雪であれば除雪車のようにラッセル走行できる走破力には驚いたものだ。

トヨタ・セプター ステーションワゴン 3.0G(1992年)

トヨタ・セプター ステーションワゴン 3.0G(1992年)
V6 3Lエンジンを積み、ゆとりのある3ナンバーボディが魅力だった本格的FF高級ワゴン。日本で開発され、生産はアメリカのTMM社が行っていた。

三菱・ディアマンテワゴン(1993年)

三菱・ディアマンテワゴン(1993年)
豪州三菱自動車から「シグマ コンビ」を輸入し1993年から発売。ゆとりある車内、本革シート、V6 3Lエンジンなど高級ステーションワゴンにふさわしい装備が充実していた。

ホンダ・アコードワゴン SiR(1996年)

ホンダ・アコードワゴン SiR(1996年)
HAM(ホンダ・オブ・アメリカ・マニファクチャリング)で生産されたアコードワゴン。洗練されたデザイン、優れた安全性や先進の環境対応などで世界的に人気を得た。

スバル・レガシィ ランカスター(1998年)

スバル・レガシィ ランカスター(1998年)
アウトドアでの走破性をレガシィに加味した上質な4WDワゴンとして登場したランカスター。1999年には世界初のステレオ画像認識を用いたドライバー支援システムADAを搭載。

トヨタ・クラウンエステート アスリートV(1999年)

トヨタ・クラウンエステート アスリートV(1999年)
1999年に約12年ぶりにモデルチェンジしたクラウンのワゴン。内外観ともに上質感あふれる作りでプレミアムなワゴンとして人気を得た。ワゴンの需要減少により2007年6月に生産終了。

なぜミニバンに負けたのか? ステーションワゴンブームの終焉

ばかっ速いワゴン、ゴージャスなワゴンなど、ステーションワゴンのスタイルは実用性も高く、何にでも対応する器用さが魅力だと思う。筆者は現在もBMWツーリングを愛車にしており、ステーションワゴン好きは一種の性癖だ。

ただ、欲張りなぶん、車載量ならミニバンだし、パフォーマンスならスポーツカーに軍配は上がる。さらに近年のSUV・クロスオーバーブームもあり、ステーションワゴンは下火になっている。とはいえ、欧州プレミアムモデルには相変わらず継続してステーションワゴンはラインアップされているわけで、ブームに左右されない頑なさがまた魅力に映る。

周囲を気にする羊的な気質の日本人は、どうしても大きな流れに乗ることが安心となるようで、国産ステーションワゴンは終焉を迎えたといえるのではないだろうか? オレは好きだけど。

いかがだったでしょうか。懐かしさがたまらない国産ステーションワゴンの名車たち。あの頃の思い出がよみがえってきてドキドキするような感覚になりますよね。今では数少ない国産ワゴンですが、その希少さゆえに、今回取り上げた車の中には中古車市場で価格高騰しているモデルもあります。次の愛車にどうですか!?

高橋アキラ

たかはし・あきら モータージャーナリスト、公益社団法人自動車技術会 モータースポーツ部門委員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、日本モータースポーツ記者会会員。やんちゃなチューニング全盛期の自動車専門誌編集者時代を経て、技術解説、試乗レポートなどに長けた真面目なジャーナリストに。Y30グロリアワゴン、マスタングなど愛車遍歴にはマニアックな車も多い。

こんなクルマもありました! 覚えてますか!? 懐かしのステーションワゴン10選

日産・スカイライン ワゴン1800(1979年)

日産・スカイライン ワゴン1800(1979年)
1977年にデビューした5代目スカイライン(C210型)。デビュー当初はセダン、ハードトップ、商用バンのみだったが、1979年には乗用のワゴンが追加された。 

スバル・レオーネ ツーリングワゴン 1.8GTターボ(1984年)

スバル・レオーネ ツーリングワゴン 1.8GTターボ(1984年)
1984年登場の3代目。AWD+ターボに加え、悪路走破性と高速走行時の安定性を両立させるハイトコントロールや、日本初の電子制御4輪エアサスなどを搭載。

日産・スカイライン ステーションワゴン GTパサージュターボ(1986年)

日産・スカイライン ステーションワゴン GTパサージュターボ(1986年)
R31型スカイラインのステーションワゴンは、1986年に登場。ワゴン車で6気筒ターボを積んだのは日本初。2Lで145馬力を実現する“走りのワゴン”だった。

日産・アベニール サリューGTターボ リゾートエクスプレス(1995年)

日産・アベニール サリューGTターボ リゾートエクスプレス(1995年)
1990年登場の小型ワゴン。1995年には210馬力を発生するターボモデルも登場。リゾートエクスプレスはオーテックジャパンが手掛けた特別仕様車。

ホンダ・アコード・ワゴン 2.2i(1991年)

ホンダ・アコード・ワゴン 2.2i(1991年)
コンセプトの立案・設計、開発、生産までをアメリカで行ったアコード初のワゴン。アメリカ生産らしい、5マイルバンパーが特徴。

三菱・リベロ グリーンフィールド(1997年)

三菱・リベロ グリーンフィールド(1997年)
パジェロ、RVR、シャリオに続き、コンパクトなマルチパーパスカーを目指し1992年に登場したリベロ。1997年には前後フォグやグリルガードを搭載したグリーンフィールドを追加。

日産・セフィーロワゴン(1997年)

日産・セフィーロワゴン(1997年)
フォーマルからレジャーまで幅広いシーンにマッチするワゴンとして登場。セダン同様のV型エンジン、リアマルチリンクビームサスペンションの採用などにより優れた乗り心地を実現。

ホンダ・アヴァンシアV(1999年)

ホンダ・アヴァンシアV(1999年)
上質でゆとりある車内と個性的なスタイルを持つ上級ワゴンとして登場。前席から後席へと移動できるウォークスルー機構がワゴンとして珍しく特徴的だった。

トヨタ・アルテッツァジータ(2001年)

トヨタ・アルテッツァジータ(2001年)
プレミアムでコンパクトなFRセダンとして登場したアルテッツァのワゴンモデル。海外では「ISスポーツクロス」としてレクサスブランドで販売されていた。

三菱・ランサーエボリューションワゴン(2005年)

三菱・ランサーエボリューションワゴン(2005年)
ランサーエボリューションⅨの卓越した運動性能とワゴンならではのユーティリティを融合させた高性能4WDスポーツワゴン。2006年にはさらにチューニングを高めたMRも登場。

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