2024年秋のモータースポーツ観戦はじめの一歩|モータースポーツコラム
文=柴田久仁夫

モータースポーツ界のオリンピック「FIA MOTORSPORT GAMES」開催! 日本代表の活躍は…!?

2024年は82か国が参加し10月23~27日にスペインで開催!

フォーミュラからラリー、ドリフト、カート、そしてeスポーツまで、2024年は26のカテゴリーに82か国の代表選手が参加した「FIA MOTORSPORT GAMES 2024(エフアイエー・モータースポーツ・ゲームス)」が、10月23~27日までスペインで開催された。各国の代表選手が金・銀・銅のメダルを争う世界的なモータースポーツの祭典として、日本代表選手は6カテゴリーに参加。果たして結果は……?

目次

金メダルを争うモータースポーツ版オリンピック!

FIA モータースポーツゲームスは、世界各国のモータースポーツ統括団体(ASN)から選出された選手たちが、フォーミュラやGT、ラリー、ドリフト、カート、Eスポーツなど、さまざまなカテゴリーにおいて国別対抗で競う「モータースポーツ界のオリンピック」だ。2019年にイタリア、2022年にフランスで開催され、3回目の今回はスペイン。今後は、2年に一度の定期開催が決まっている。

スペイン大会はMotoGPが行われることでも有名なスペイン・バレンシア州のリカルド・トルモ・サーキットなど複数の会場で、10月23日から27日まで開催された。26に増えたカテゴリーに、82か国から646名もの選手が参加した過去最大規模の大会となった。延べ4万9000人が来場した今大会では、主催国スペインが圧倒的な強さを発揮。金・銀・銅メダルを6個ずつ計18個獲得して、ぶっちぎりで優勝国となった。ドイツ、そして前回優勝国のイタリアが3つの金メダルで並んだが、銀・銅メダルの獲得数に勝ったドイツが2位に入った。

参加82か国中、少なくとも1個のメダルを獲得した国は26か国。そのうち12か国は初メダル獲得で、優勝国のスペインを含む7か国が初の金メダルを獲得した。

閉会式で壇上に上がった2024年優勝国のスペインチーム

全26カテゴリーで争われた2024年は、金・銀・銅をそれぞれ6個、計18個ものメダルを獲得したスペインチームが圧勝。2位はドイツ、前回優勝国のイタリアが3位という結果に終わった

2024年はJAFが日本代表選手を率いてエントリー

FIA モータースポーツゲームス2024では、F4、GT、ドリフトなど6つのカテゴリーに日本代表選手が参戦した。ちなみに過去2大会では、JAFは個人エントリーした日本人選手の事務的なサポートのみを行ってきた。それが今回初めて、日本のモータースポーツ統括団体として代表選手を率いてエントリーし、世界の舞台に挑んだ。出場カテゴリーと選手は以下の通り。

・F4:森山冬星(もりやま・とうせい)
・GT:脇阪薫一(わきさか・しげかず)、他1名
・ドリフト:多田康治(ただ・こうじ)
・カートスプリントシニア:土橋皇太(つちはし・こうた)
・カートスプリントジュニア:澤田龍征(さわだ・りゅうせい)
・EスポーツGT:武藤壮汰(むとう・そうた)

メダルを狙える実力者揃いの日本代表だったが……

2024年の日本代表選手は、実兄の脇阪寿一選手と組んで1,000km耐久レースで総合優勝の経験もあるGTの脇阪薫一選手をはじめ、ドリフトではD1ライツでシリーズ2位を射止めた多田選手などの実力者が参戦。またF4には、プライベーターチームでの参戦ながらトップチームと互角に競り合う若手の森山選手も参戦するなど、2019年に行われた第1回イタリア大会での金メダル1個を上回る好成績が期待された。

しかし脇阪選手は、予選8番手から決勝7位に終わる。一方のドリフトの多田選手は1,000馬力のトヨタGR86を駆り、初出場ながら全32台が参加した予選で総合3番手に付け決勝トーナメントに進んだ。しかし準決勝で敗れ5位、惜しくもメダル獲得とはならなかった。F4の森山選手は、初めてのコースを初めてのマシンとタイヤでの走行にもかかわらず健闘したが、惜しくも総合5位。また、カートスプリントジュニアの澤田選手が9位と、各カテゴリーでトップ10の結果は出すものの、なかなかメダルに届かない。そんななか、最後まで魅せたのがEスポーツの武藤選手だった。

ドリフトに参戦した多田選手の走行シーン

ドリフトでは初出場ながら予選総合3位につけた多田選手だったが、準決勝で敗れ5位に終わった

F4に参戦した森山選手とチームクルー

F4には若手の森山選手が参戦。今シーズンはトップチームに肉薄する結果を出しているが、惜しくも5位に終わる

カートスプリントジュニアに参戦した澤田選手

カートスプリントジュニアに参戦した澤田選手は9位でフィニッシュ。優勝したのは7番手からスタートしたホルヘ・エドガー選手(イギリス)

カートスプリントシニアに参戦した土橋選手

カートスプリントシニアに参戦した土橋選手は、決勝のオープニングラップで追突され30位。予選好調だっただけに悔しい結果となった

Eスポーツの武藤選手もあと一歩メダルに届かず!

武藤選手はF1に参戦するウイリアムズのEスポーツ部門『ウイリアムズeスポーツ』に、アジア人で唯一所属する。2022年には、国内最大のEモータースポーツのプロシリーズ『SUZUKA e-Sports Challenge Race(SeCR)』の初代チャンピオンにも輝いた実力者だ。今年8月に行われた本大会の日本代表を決める選考レースでは、ポールポジションからスタートするとライバルたちに10秒以上の差をつけた独走状態で、代表の座を射止めた。

今回のEスポーツGTは全57選手が参加し、地元バレンシアのリカルド・トルモ・サーキットが戦いの舞台に設定された。19選手ずつ3グループに分けられた予選で、武藤選手は第2グループに登場。最速タイムをたたき出したブラジル人選手の0.125秒落ちの2位で決勝レースに進出した。決勝でも終始上位争いを繰り広げたものの、国内予選ではコンスタントに出せていた1分34秒台のラップタイムになかなか届かない。上位3台にジリジリと差を広げられ、最後は5番手のチリ人選手に1秒以内まで迫られたが、辛くも4位で逃げ切った。

EスポーツGTに参戦した武藤選手

日本国内では圧倒的な速さを見せメダルの期待が高かったEスポーツGTの武藤選手だが、決勝では一歩およばず4位

今回参加した82か国の中で、26か国が少なくとも1個のメダルを獲得。しかし残念ながら日本は、その中に入ることができなかった。世界各国のレベルが確実に底上げされていることを、痛感させられた大会となった。また同時に、国別の代表選手がメダルを懸けて争う、モータースポーツ版のオリンピックと言えるFIAモータースポーツゲームスの魅力と可能性を感じた大会だった。

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