もっと知りたいお直し活用術
リペア、リメイクをもっと活用して、今あるお気に入りを大切に快適さを追求するライフスタイルのひとつとして、すっかり定着した感がある断捨離やミニマリズムのブーム。その極意は、ただ単にモノを捨てる・減らすのではなく、自分にとって本当に大事なものを選択すること。それは資源を大切にし、サステナブルな生活への取り組みを意識することにつながります。 質の良さにこだわって選んだアイテムや、思い入れのある愛用品など、今あるお気に入りのモノは大切に。衣料品や靴など服飾品は、ダメージやフィット感が気になってきたら、プロの手によるリペアを施したり、リメイクしたりして、もう一度輝かせることもできます。大切なモノと長くお付き合いをするために、もっと上手に活用したい“お直し”の世界に注目しました。
“ダメージをお直し”して、お気に入り復活!!
(画像提供=靴専科)
〈靴専科〉におまかせ!! 靴の寿命を延ばすリペア
デザインも履き心地もピタリとフィットするお気に入りの靴、ついついヘビーローテーションしたくなるものです。気づいたら劣化が進んで、泣く泣くお役御免に……という経験、ありませんか? 適切にお直しの手を加えることで、靴の寿命は大きく変わります。大切な靴を長持ちさせるためのリペアのポイントやタイミングについて、靴や鞄など革製品の修理で定評のある〈靴専科〉に伺いました。
「リフト」は、靴のかかとの接地面に付いている、ゴムなどで形成されたパーツのこと(靴専科)
〈靴専科〉で最も多くオーダーされるサービスは、「リフト交換」、続いて「ハーフソール修理」。体重がかかる靴底のパーツは傷みが気になる部分です。
とくに梅雨どきに向けて、摩耗して滑りやすくなりがちなソールはケアしておきたいところ。〈靴専科〉では、ハーフソールのリペア、そして靴底全体のオールソールのリペアをおすすめしています。
ハーフソール(滑り止め補強)
すり減りやすい靴のハーフソール(靴底の前半分)、そのまま履き続けると、滑りやすくなるのはもちろん、靴の寿命もどんどん短くなってしまいます。ダメージが軽いうちに、靴底部分に新しいゴムを貼り、補強をしておくのが得策です。また、新品のうちに靴底にゴムを貼るのも、靴の寿命を大幅に延ばすために有効なメンテナンス方法です。最初から平坦で滑りやすい靴底の場合も、ここを補強しておくと安心。歩きやすさは格段にアップします。
左はbefore、右はafter。靴底面(前半分)を整え、新しいゴムを接着、靴底の形に合わせて削って仕上げもしっかり、自然な見た目に(靴専科)
オールソール交換
靴底全体がすり減ってしまったケースでも、新品同様に甦らせることができます。用途に合わせて、お好みの素材に変えることも可能。〈靴専科〉では、熟練した職人が一つひとつ丁寧に手作業で靴底修理にあたり、元のデザインや履き心地を損なうことなくリペアできます。
写真左は摩耗したレザーソールを同様の素材でオールソール交換した例。写真右はラバー素材に変えてオールソール交換した例(靴専科)
〈ビック・ママ〉の意外な得意技
プロのクリーニングでスニーカーもピカピカに!!
〈ビック・ママ〉といえば洋服のお直し専門のイメージですが、実はそれ以外にもさまざまなおすすめのサービスがあり、スニーカーのクリーニングもそのひとつ。イタリア製のスニーカーウオッシュ専用マシーンを使用し、職人が手作業で洗浄します。スニーカーの素材や形状、コンディションに合わせて最適な洗浄方法がとられるので、ハイブランドのスニーカーや、ヘビーローテーションした大切なスニーカーも安心して任せることができます。
イタリアから取り寄せた専用のマシーンを使用し、汚れを丁寧に取り除きます(ビック・ママ)
“サイズをお直し”するのがオシャレのポイント
ネットショッピングで一目ぼれして購入したもののサイズがいまひとつフィットしない洋服や、体形の変化でサイズアウトしてしまったお気に入りの洋服。どんなに素敵なデザインでも、サイズが合っていなければなんだか残念な印象に……。また、流行の変化とともに古くさい印象になってしまうケースも。少しでも気になる部分があると、質の良い洋服でもクローゼットの隅で眠ったままになってしまいがちです。そのときの自分やトレンドに合ったサイズにアジャストさせるのはオシャレの基本であり、少し手を加えるだけでも新たな魅力を得て着心地も格段にアップします。お直しのポイントを、成功事例とともに〈ビック・ママ〉にアドバイスしていただきました!!
(左)〈ビック・ママ〉ではフィッティングサービス(有料)が利用可能(アトレ秋葉原店を除く)。フィッティングルームで体形や要望に合わせてピン打ちし、納得のいく長さ、形に調整していきます (右)各店舗の作業スペースには豊富なカラーのミシン糸がスタンバイ
パンツの裾上げ
デザインや色味は気に入っているのに、履いてみたら長さが合わないというパンツの悩みの解決例です。数cmの差でも、裾丈はオシャレに見えるか否かの重要なポイントのひとつ。適正な長さにお直しするとスタイル良く見えるようになり、印象アップ!!
ジャケットのデザイン変更
なんとなく野暮ったい印象になってしまったミリタリージャケットを、流行りのショート丈として着こなしたい……そんなリメイクのリクエストもOK!! ショート丈にしたことで、すっきりと軽やかでスタイリッシュな印象に。パンツにもスカートにも合わせられるデザインになり、着こなしの幅が広がります。
その他、古いデザインのワンピースをスカートにリメイク、襟付きのコートをノーカラーにデザイン変更なども可能。ニットの穴あき補修、洋服の染め直しも相談できます。洋服のお直し以外に、アクセサリーのサイズ直しや新品磨き、カーテンのリサイズも!!
(画像提供=ビック・ママ)
靴や鞄を長持ちさせるメンテナンスの秘訣
日頃のメンテナンスも、モノの寿命を大きく左右するもの。大切なモノは、あらかじめ汚れ防止の対策ができる加工サービスを活用しましょう。とくに梅雨どきに気をつけたい点、家庭でできるメンテナンスのポイントを、〈靴専科〉に聞いてみました。
撥水(はっすい)加工
雨に濡れて革表面にシミができたり、バッグの持ち手に皮脂汚れによる黒ずみが生じたりと、徐々に蓄積されていく汚れ。〈靴専科〉の撥水加工は、そんなシミや汚れから大切な革製品をしっかり守る加工サービスです。あらかじめ撥水加工をしておくことで、水や汚れがつきにくくなり、また、ついた汚れも落としやすくなります。
撥水加工した靴のイメージ。革・合皮製品の靴やバッグの他、ジャケット、ベルト、財布にも加工可能(靴専科)
家庭でできる、靴のカビ・臭い・汚れ防止ケア
一日履いた靴の内部は、汗などによる湿気がこもった状態になっています。脱いだら陰干しをして、湿気を放出させることが、カビや臭いの防止策として有効です。〈靴専科〉がおすすめするケアの手順を参考に!!
①靴の表面が濡れている、または汚れが付いている場合は、乾いた布で拭き取ります。
②古着など不要になった布にアルコール除菌スプレーを噴霧し、靴の内側を拭き取ります。汚れがつきやすいつま先やかかとの内側部分はとくに念入りに。つま先の先端は指が届きにくいので、古い歯ブラシなどの先端に布を巻き付けて利用しましょう。
③キッチンペーパーに除菌スプレーを噴霧したものを靴の中に入れて、風通しのよい日陰で干します。※キッチンペーパーを詰め込み過ぎると靴の型崩れの原因になるため要注意。
④一日干した後は、シューズキーパーを入れて保管するのが理想。型崩れを防ぐことができ、靴が傷みにくくなります。
靴の保管方法にも秘訣あり
靴を保管する下駄箱の棚は汚れがたまり、カビが発生しやすい環境といえます。定期的に、アルコール除菌スプレーを噴霧した古布などで下駄箱の棚を拭き、清潔に保ちましょう。また、通気性も重要なポイント。棚板に靴をそのまま置かず、突っ張り棒を設置し、そこに靴のかかとを乗せて空気の通り道を作るように配置するのもおすすめです。
靴を購入したときの箱に保管するのはNG。通気性が悪く、カビや臭いが発生する原因となってしまいます。どうしても箱に入れて保管したい場合は上部や側面に通気のための穴を複数あけておくなど対策を。
お気に入りのアイテムが生まれ変わる、簡単リメイク
捨てるには忍びない、大好きな色柄の生地の服や、思い出の子供服などなど。リメイクして、身近なアイテムとしてもう一度活躍させましょう。手芸専門店の〈トーカイ〉に、ミシンを使わずに楽しく簡単にリメイクしたケースを紹介していただきました。
ブラウスをエコバッグにリメイク!!
Before
After(トーカイ)
薄手のブラウスをエコバッグにリメイク。余った部分の生地で、髪を束ねるときに使えるシュシュとミニ巾着を作り、ほとんど無駄なく活用できました。エコバッグの作り方レシピは、〈トーカイ〉で販売中の「コンビニエコバッグ」を参考に。名前の通り、コンビニなどでちょっと買い物するときにピッタリな小さめサイズですが、底が広がるタイプでお弁当を入れても傾くことなく使い勝手抜群です。
今回のアイテムは、布用接着剤で作製しました。貼り付けたい部分に塗って、アイロンをあてるだけで出来上がり。洗濯もOKで、縫うより強い接着力のため、ミシンがなくても気軽にリメイクが楽しめます。
接着剤で生地の両端を合わせるだけでも作ることができますが、切り口が外に出ていると、使っている最中に生地の裁ち目からほつれてしまう可能性があります。せっかくのお気に入りのお洋服をリメイクするなら長く使える丈夫なものを作りたいですよね。
そこで、生地の切り口が隠れてほつれる心配のない「袋縫い」を応用したテクニックもご紹介します。
①生地を外表に合わせ、生地の端から0.5㎝のところに薄く接着剤を塗り、貼り合わせます(※縫い代が1㎝の場合)。貼り合わせたら、貼り合わせた部分に折り目を付けます。
②重なっていた生地を開き、出来上がり線に沿って生地の表側に接着剤を薄く塗り、①で作った折り目部分で畳みながら貼り合わせます。
③貼り合わせた部分を開くと、生地の切り口が隠れた状態できれいに仕上がります。
「ミシンや裁縫はちょっと苦手……」という方でも、折り紙感覚で楽しく作ることができるリメイク術です。捨てるのがもったいないお洋服がある方はぜひチャレンジしてみてください。
(画像提供=トーカイ)