感動のさぬきうどんに絶景カフェ、憧れのレトロドライブインまで。瀬戸内海満喫の旅
3年に一度のアートの祭典、瀬戸内国際芸術祭2025から始まる香川県さぬき市・東かがわ市を爽快ドライブつくづく、知らない道を走るのが好きだ。次々と目に飛び込んでくる知らない風景にドキドキワクワク! 美しい山並みに、きらめく青い海。見慣れない植生に、知らないスーパーに、なじみのない地名の青看板。ああ楽しい!
今回のドライブは、「瀬戸内国際芸術祭」で盛り上がる瀬戸内海は小豆島と、夏会期の会場となるさぬき市、東かがわ市へ。豊かな人生には、アートとグルメと大自然が必要だから。
見るだけじゃない! 中に入って全身で満喫
「瀬戸内国際芸術祭」で体感できるアート
●抱擁・小豆島(ワン・ウェンチー)
2010年から、3年に一度開催されている「瀬戸内国際芸術祭」。古来、多様な文化をはぐくんだ豊かな場所だった瀬戸内は、効率化や均質化の流れを受け、人口が減少し活力を失っていたそう。その島々をアートの力で元気にしたいという思いから、「海の復権」をテーマに今日まで取り組んでいるのだとか。
この芸術祭は、「春会期・4月18日~5月25日」「夏会期・8月1日~8月31日」「秋会期・10月3日~11月9日」と日程を分けて開催されています。今回は、すべての会期で楽しむことのできる展示を見に小豆島へ。
最初に向かったのは、「迷路のまち」地区にある、一軒家を改造し真っ白な洞窟に仕立て上げた「迷路のまち~変幻自在の路地空間~」。靴を脱いで上がり込み、家じゅうを探検することができます。一歩入るとそこに広がるのはまったくの異世界。古い家屋がところどころ部分的に残されており、かえって現実と夢の交じり合ったような違和感が胸に去来しました。
古い家屋の中は、まるで巨大かまくら。結構な傾斜がありスリルも楽しめます。私のなかの子供心が大喜び!
一室だけガラス張りになっていて、どうやら絵師が住んでいる模様。たくさんの鬼の絵、転がる一升瓶……江戸川乱歩の部屋的不穏さ。不穏って、アートですよね
柱や電灯が残されているのが、「おばあちゃんちが吞まれてしまった」感を醸す。楽しさと怖さが隣り合った未体験のインスタレーション!
迷路のまちからクルマで20分ほど伝法川沿いの道をさかのぼり、肥土山地区へ。このあたりにも作品が点在。元農協の古い倉庫に入ってみると、ギラギラな黄金の異世界「黄金の海に消えた船」が! 倉庫の外ののどかさと、ギャップがすごいんです。
制作チームの方がいらっしゃったのでお話を聞いたところ、制作には実に5か月もの月日が費やされたのだそう。怪しく目からビームを放つ人形や、天井すれすれで存在感を放つ龍の迫力に度肝を抜かれました。
中央には豪奢なシャンデリア。壁一面をぎっしりと覆う黄金のものたち。周囲にはぐるりと水が張られ、スモークや謎の香りの演出も
2体の人形が、眼光を放っています。人形の両腕は日本刀。飾られた肖像画は、顔が帆船の貴族や、顔がマグロの貴族などなど
さらに上流へとクルマを走らせると、棚田の広がる風光明媚な山あいの村が。そのなかに突如として現れる巨大な球体!
なんとも不思議な光景ですが、すべてが竹でできているせいか不思議と周りの緑と調和しています。作品に至るまでの棚田の間の道も、自然豊かで楽しいお散歩気分。ちょうど水門が開けられて、棚田に水が入るところを見ることができました。
のどかな棚田の風景の中に、大きな丸い物体。完全な人工物なのに、美しくなじんでいます
スロープも壁も屋根も、すべてが竹! スロープを進むワクワク感、これは巨大なエンターテインメントでもありますね
球体の中は広くて開放的。靴を脱いで上がると、青竹踏みの要領で足裏のツボがほぐれます。あんまり気持ちいいのでごろんと一休み。竹越しの空、青空だったら木漏れ日も楽しめそう
●抱擁・小豆島(ワン・ウェンチー)
●瀬戸内国際芸術祭2025(夏会期/8月1日~8月31日、秋会期/10月3日~11月9日)
大串半島「時の納屋」から
瀬戸内のおいしい食事と多島美を堪能!
石畳のスロープを上がるにつれ、堀部安嗣氏による建築「時の納屋」の向こうに海が広がっていく
小豆島に別れを告げて、四国本土はさぬき市にやってきました。島と本土を結ぶフェリーはクルマごと乗りこめるので行き来が気軽。船旅も楽しめてお得なので、島へと足を延ばすのはおすすめです。
さて、瀬戸内海に突き出した大串半島は、自然公園が広がる美しい岬。海と瀬戸内の多島美を見渡せる丘に、昨年「時の納屋」というカフェがオープンしました。所長の満濃(まんのう)さんにお話をお聞きしたところ、かつてこの場所には、コンクリート建築の温泉施設があったり、海側を柵がぐるりと取り囲んでいたりしたそう。せっかくの自然の美しさを損なうようなことはやめようと、自然との共生と原風景の継承をコンセプトとしたカフェ「時の納屋」はできたのだとか。
カフェでは地元の新鮮素材を生かした料理を、香川の工芸品を用いて提供。テーブルや椅子は、地元の家具職人がつくったもの。きれいな海を眺めながら、心を尽くしたもてなしの数々に心打たれました。「この場所にふさわしい料理を自分たちの手で作りたい」という、その覚悟が料理や空間、もてなしのひとつひとつに表れていることが伝わってきました。いい仕事には覚悟がある、と胸がじんわり熱くなりました。
限定10食の「樽のおにぎりランチ」(1,300円)。丸みの愛らしい樽は香川県の伝統工芸品「讃岐桶樽」。瀬戸内の塩の自家製塩麹で作られた、シンプルで優しい玉子焼き。塩をふって焼いただけの地元の野菜など、素材の旨さが光ります
すばらしい景色を見ながら、地の食材を味わえる幸せランチ
眺望をじゃましないよう、窓も枠ごとしまえるシステム。自然と一体化したような店内からの景観がすばらしい。天井の「挟み梁」も素敵
地元でとれる柑橘「なつみ」や和三盆を使ったおしゃれな「スイーツプレート」(1,500円)と「すももソーダ」(600円)。見目麗しい、おいしいスイーツたちにほれぼれ
海老ときのこがゴロゴロ、クリーミィで旨みたっぷりの「きのこと海老のドリア」(1,000円)。ほか、「牛すじカレー」「クロックムッシュ」なども楽しめます
●時の納屋/さぬき市小田2671‐75 Tel. 087-884-6010
https://sanuki-sa.jp/tokinonaya/
平賀源内の育った地で
その多才ぶりに改めてたまげる
平賀源内に西洋画の技法を教わった絵師・小田野直武が描いた『解体新書』の挿絵。なんとこちらでは現物を見ることができる
NHK大河ドラマ『べらぼう』で天才ぶりを発揮していた平賀源内。「平賀源内記念館」を訪れて初めて、さぬき市が故郷だと知りました。
エレキテルで有名ですが、そのほかにも博物学者、エンジニア、文士として大活躍だった源内。博物学研究などのために全国各地を歩いていることから、館内は「歩く」をコンセプトに源内の足跡をたどっています。うれしいのがこの記念館、本物だらけなこと! まさか解体新書やエレキテルの現物を見られるとは思いませんでした。原画とプリントの迫力がまったく違うように、本物とレプリカの感動はまったく違いました。
「瀬戸内国際芸術祭2025」夏会期には、こちらの記念館でやんツーさんの作品が、近隣の平賀源内旧邸で、筧康明さんの作品が展示されるそうです。
右が源内製造とされるエレキテルの現物。ピリッとするのを患者の患部に当てると、ちょっと感電して麻痺するから痛みがなくなったように感じたのだそう。左の鮮やかなものはレプリカで、本物は東京都の郵政博物館に収蔵されています
レバーを回して摩擦で発電させるエレキテル体験。蛍光灯を近づけると小さな電光が! 実はエジソンよりも先に電気を実用化していたという、すごい源内さん
記念館の事務局長・高畠功さんが楽しい解説をしてくれました。団体旅行のみなさんにはガイドについてくれることも
源内さんの生まれ育った地区、源内通り沿いに建つ
●平賀源内記念館/さぬき市志度587−1 Tel. 087-894-1684
(入館料:一般500円)【JAF優待】
記念館から源内通りを少し歩いたところにある、国の登録有形文化財「平賀源内旧邸」。文久2(1862)年に建て替えられ、当時のまま保存。中には遺品陳列館、薬草園があります
100種にも及ぶさまざまな薬草。それぞれに名前と効用が書いてあって勉強になります。ドクダミなどは有名ですが、ザクロや南天などもなん薬用植物なんですね
●平賀源内旧邸/さぬき市志度46−1 Tel. 087-894-5513
(入館無料)
さぬきの味を堪能できる「釜抜きうどん」
出てきた瞬間にすするべし!
本場の「釜抜きうどん」(750円)を発祥のお店で!
さぬきの方々には常識でも、埼玉に住まう私にとっては見たことも聞いたこともない「釜抜きうどん」。釜から直接うどんを器に上げ、水に締めずに出すというもの。こうすると麺はよりもちもちで、だし醤油がよくなじむんですって。このうどんが生まれたのが、この「麺工房 六車(むぐるま)」さんです。
もともとは食事を提供しない完全な製麺所で、先代が突然倒れてしまったことからサラリーマンを辞めて急遽後を継いだのが現在のご主人、六車さん。先代の味に近づけるべく、常連さんから「もっとこう」「こうじゃない」と意見をもらうための小さな食堂を開いたのだそう。試行錯誤のすえに今の味にたどり着き、人気を得て食堂の面積を広げたのが今の「六車」さん。一口にさぬきうどんといっても、作り方は店によってそれぞれなのだとか。六車さんは、通常5、6分のこね時間を35分にすることで、冷水で締めなくてもつるつるの食感を実現したそうです。
驚くことに、その日の湿度などから、練り・茹での時間は毎日調整しているのだとか。いつも同じように作っても、もちもち感やコシがいつも通りになるとは限らない。舌の肥えた香川の人々に、自分の味が認められるか? そんな気持ちで日々おいしいうどんを生み出しているのです。
いただいた釜抜きうどんの、なんともちもちでおいしいことでしょう。だし醤油と卵とネギと鰹節が絡み合う、極上のハーモニー! 2玉分の1人前をあっという間に完食してしまいました。
練り上げ鍛えた生地を小分けにする、六車さん。小分けにしたものを丸めた生地は、ぽわんぽわんの、もちんもちん。幸せをビジュアル化したらきっとこういう感じ……
今も製麺がメインで販売事業が6割とのこと。昔、近所の人に釜から直接麺を分けてあげたところから生まれた「釜抜きうどん」。商標登録しているので、通販で「釜抜きうどん」を買えるのはここだけ!
大きな釜にたっぷりのお湯で麺を躍らせます。ベースの茹で時間は決まっているけれど、毎日麺の具合を見ながら変えているのだそう。これぞ職人技!
こだわりの麺はつるつるで、もちもち。だし醤油をくるくるーっと2周かけたらいただきます! 茹で上がった瞬間が一番おいしい釜抜きうどん、ぞぞぞーっと一気にすすり上げる幸せ。1人前2玉が基本なのだそう。さすがのうどん県です
うどんを提供した瞬間にお客さんがトイレに立ったりした場合は、うどんを取り替えるほど、徹底した商品管理を行っていると聞いてびっくり! 「どの店もそうやと思いますよ」とご主人。さぬきうどんのレベルの高さを思わせます
●麺工房 六車 /東かがわ市湊6‐1 Tel. 0879-25-2051
https://www.udon.ne.jp/
江戸の豪商の贅沢感そのままに
讃州井筒屋敷で和三盆菓子作り
ワークショップでつくった型抜き和三盆
香川県の東端に位置する東かがわ市引田(ひけた)は、古くから陸海両方の交通の要として栄えていました。江戸時代には宿屋や料亭、商家が数多く軒を連ね、今でも地域を代表する豪商・佐野家の邸宅が「讃州井筒屋敷」として観光客に人気です。
迷路のように広がるお屋敷の中は、探検しがいのある美しい設えや装飾品がいっぱい。個人的には古い照明がどの部屋も大変かわいらしく、見どころのひとつとしてぜひ推したい。ドキドキするような角度の階段を上って、屋根裏に行けたりもします。屋根裏の柱に見惚れながら、旧家の立派な設えに唸りました。
敷地内には蔵を改装したショップが並び、体験ワークショップなども開かれています。「瀬戸内国際芸術祭2025」の夏会期には、プラスチックゴミで大漁旗を表現する作品「積層される情報」(沼田侑香)がこちらに展示予定。東京藝術大学と香川大学のまちづくりプロジェクトの一環で、引田一帯でさまざまな作品を見ることができます。
「讃岐和三盆の型抜き体験」に挑戦 (料金750円~、約12個分。要予約)。保護者と一緒なら未就学児でもOKだそう。和三盆に霧吹きで少し水を加え、よく混ぜているところ
混ぜたものを型に押し込みます。こんもり入れて、ぎゅーっと! はみ出た分をゴムベラで削いだら……
さかさまにして、型の端を麺棒でコンコンコン! 緻密な模様でパカッと出てくる快感。美しい! できたてはまだ水分が残っているせいか、口に入れるとしゅわ~と溶けて優しい甘さが広がります
母屋から見える日本庭園が美しい。豪商の風流な生活を疑似体験です
かわいい電灯! 部屋ごとに違うデザインを楽しめるのがまた、たまりません。そして立派な梁や鴨居。豪商の日本家屋は上から下まで見どころたっぷり
●讃州井筒屋敷/東かがわ市引田2163 Tel. 0879-23-8550
(入場無料。母屋のみ入館料300円)【JAF優待】
引田のまちの路地では、江戸時代の情緒を今も感じることができ、さぞ栄えていたのだろうなあという見事なお屋敷が並びます。昔のままの細い路地、運転は風情を感じながらゆっくりと
ハマチ養殖発祥の場で出会う感動丼
刺身の中でハマチが一番好きになりました!
脂ののったハマチがたっぷりの「ハマチ丼定食」(1,000円)。新鮮そのものの幸せ丼!
引田のまちからほど近いところにある安戸池(あどいけ)は、ハマチの養殖発祥の地。その池のほとりに、「ワーサン亭」はあります。ワーサンて何? 養殖を成功させた人のあだ名だったりして……なんて考えながら駐車場に入ったら、銅像が立っていました。まさに1928年にハマチ養殖事業に着手した、ワーサンこと野網和三郎(のあみ・わさぶろう)さんでした。
ワーサン亭は2階が食堂になっていて、新鮮なハマチをあれこれ食べられます。 優しくて気前のいいお店の方たちと、きれいな安戸池の景色が最高! 気軽に通える食堂といった雰囲気で、地元の方が次々とお食事にやってきました。
訪れた4月は、水温の暖かい愛媛のハマチが登場。8月後半~1月中旬になると、ここから沖合に少し行ったところで育てた香川のハマチが食べられます。以前はこの安戸池で養殖されていましたが、今は海水温の上昇により、少し沖合で育てているのだとか。
とくに11月初旬~1月中旬に出る「ひけた鰤(ぶり)」は絶品で、これを1年楽しみに待っているお客さんもいるそうです。11月に来てみたい!
美しい海と空と緑を眺めながら、おいしいハマチに舌鼓
「ハマチ刺身ダブル盛り」(1,400円)。右の2切れは背側のわりあい歯ごたえがあるところ、真ん中4切れは腹側の脂ののった箇所。左の3切れはその中間。どの部位もおいしいハマチパラダイスです
こんな旗を掲げて養殖場を回っているのでしょうか。こちらでは「ハマチかま煮つけ」もおすすめ
この地の利点を見抜き、ハマチ養殖事業を手掛けた、偉大なるワーサン。おいしいハマチをありがとう、ワーサン
1階部分は特産品販売所、2階が食堂になっています。気軽な雰囲気で、絶品ハマチ!
●ワーサン亭/東かがわ市引田4373 Tel. 0879-33-2800
https://saltlake-hiketa.co.jp/wa-san/
「ワーサン亭」の隣には、市内の小中学生がみんな遠足で来るという「体験学習館 マーレリッコ」が。こちらは誰のあだなでもなく、イタリア語で「豊かな海」という意味なのだそう。
マーレリッコでは、ハマチやタイがいる生け簀で釣りや餌やり体験が可能です。釣り体験では、中には何十匹も釣るベテランもいるとのこと。初心者にはサポートをしていただけるそうです。
取材日はまだ水温が低く、餌を投げても食べてくれないハマチたち……。夏にかけて元気になってきて、餌を投げると生け簀全体が水しぶきに覆われるほどの迫力だとか(餌やり体験:200円)
いろいろとお話を聞かせてくれた、ひけた鰤に目のない六車庄一さん。「我が家でもひけた鰤を買うのが正月の楽しみ。本当においしいんです!」 た、食べたい~!
●体験学習館マーレリッコ/東かがわ市引田4373 Tel.0879-33-2929
(入館料:一般100円)【JAF優待】
四国巡礼結願の大窪寺で
お遍路さんに思いを馳せる
ワーサン亭から1時間ほど山のほうへとドライブして行くと、四国八十八か所お遍路旅の最終地である大窪寺(おおくぼじ)にたどり着きます。たどり着くといっても私はここしかお参りしていないので、「着きます」くらいにしておいたほうがよいでしょうか。なにしろ、八十八寺のすべてを歩くと1,200~1,400㎞もあるというのです。途中、歩いているお遍路さんを見かけて「本当に歩いてるの……?」という凄みを感じました。
徳島県の県境に近い矢筈山(やはずやま)の中腹にある大窪寺は、唐から帰国した弘法大師が奥の院にある岩窟で修法を行い、お堂を建立したという歴史を持ちます。薬師如来坐像を本尊とし、錫杖(しゃくじょう)を納めて結願(けちがん)の地と定めたのが由来。奥の院がある女体山は本堂の西側にそそり立ち、その景観は大窪寺をより一層厳かに見せています。大窪寺は早くから女性の入山が認められた場所として栄えていたそうです。
右はクルマで結願したご夫婦。左はスイスからの方で、7週間歩き続けたそう! 仏教徒なのかと思いきや、そうではなくただ歩いて文化的体験をしたかったとのこと。「このあとは九州に行って温泉に入ります」と、日本語がご堪能でした
お線香を買ってお香炉へ
大きいわらじに、たくさんのわらじが結び付けてある。長い巡礼の旅を無事に終えられたことへの感謝が込められているのでしょう
緑豊かで景観もすばらしい。お遍路さんの姿が一層、霊場・大窪寺のありがたみを増してくれました
●医王山 遍照光院 大窪寺/さぬき市多和兼割96 Tel.0879-56-2278
https://88shikokuhenro.jp/88ookuboji/
憧れのレトロドライブイン
大川オアシスへ
アールの美しい設え、鎖で垂らされたペンダントライト、まるい革張りのシート……昭和レトロのかわいいデザインがたまらない
今回、小豆島から、東かがわ市、さぬき市を走ってきて、豊かな自然、受け継がれてきた文化、人の努力と覚悟で生まれたおいしいものに触れることができました。旅の締めくくりは、行ってみたかった昭和のドライブイン「大川オアシス」。ここで海を見ながら、クリームソーダを飲んでみたいと思っていたのです。
カーブの先にドライブインが姿を現した瞬間に感じたのは、「今って令和ですよね⁉」という改めての驚き。 タイムスリップしたかのような懐かしい雰囲気を発するこちらが、今回のドライブの最終地点です。
ドキドキしながら建物の中に入ってみると、1階のレストランでは窓に広がる青い海と水色の内装がマッチして、シティー・ポップが流れていそうなおしゃれな雰囲気。お客さんたちは、昔から通っているであろう地元の方々と、このかわいらしさに惹かれてやってきた若い女性たちが大半でした。
みなさん、色鮮やかでおいしそうなクリームソーダやパフェと一緒に、この空間を撮影しています。映えに映えた一枚、SNSに載せるんでしょうか。
大川オアシスは、四国初のドライブインとして1964(昭和39)年に開業。オーナーの本村佳子さんによると、当時全国に1,000ほどあったドライブインは、現在は10分の1ほどにまで減っているそう。
これからもこのお店の味わいを守っていきたいですか? と尋ねたところ、「守っていくというより、変える必要がないからねえ」と本村さん。素敵だなあ。そういうことですよね。「いっときはここも廃虚扱いされたものですよ。でも今は老若男女問わずお越しくださいます」。そんな地元の人と旅人が交じり合う喫茶店には、80代の店員さんがてきぱきと指揮を執り、働く姿が。「あやかりたい……」の一言です。
コーヒーにこだわる喫茶店ならではの、おいしい「コーヒーゼリー」(580円)。水色のソーサーがまたかわいい
全体的にまあるいインテリアに和みます。落ち着く空間、近所だったら通いたい
約60年前に建てられた昭和なデザインがなんともノスタルジック。スイーツ以外にも定食の種類が豊富で、しっかりおなかを満たせます
冷たくて懐かしい「クリームソーダ 」(580円)を飲みながら、今回の旅をノートにつづります。頭の中に流れているのは大滝詠一
●大川オアシス/さぬき市津田町鶴羽2326-12 Tel.0879-42-2193
【JAF優待】
今回のドライブ旅、海沿いも、山の中も、気持ちのいい大自然で素晴らしかった! 車窓はもちろん、サイドミラーの中まで最高でした。
そして、それにも増してお会いした方々の笑顔が心に残りました。平賀源内記念館の高畠さんから伝わる源内愛、時の納屋の満濃さんがどれだけ地域を大切に思っているか、麺工房の六車さん、ハマチ事業を手掛ける六車さんから聞いた地域と文化と歴史のこと。大窪寺で出会ったお遍路さんの旅の話と、それを語る笑顔。そして本村さんの、大川オアシスを営む自然体な様子。
またこの地を訪れて、みなさんとお会いしたい。瀬戸内の優しい海と多島美に癒やされながら、豊かな食文化を味わいたい。古くから続く人々の営みと美しい自然が、アートと織り成す新しい景色を見に来たい。そんなことを感じた瀬戸内海満喫旅でした。
今回のごきげんロードマップ
A.瀬戸内国際芸術祭「迷路のまち~変幻自在の路地空間~」 B.瀬戸内国際芸術祭「黄金の海に消えた船」 C.瀬戸内国際芸術祭「抱擁・小豆島」 D.時の納屋 E.平賀源内記念館 F.平賀源内旧邸 G.麺工房 六車 H.讃州井筒屋敷 I.ワーサン亭 J.体験学習館マーレリッコ K.医王山 遍照光院 大窪寺 L.大川オアシス
「ごきげんロードトリップ」掲載自治体のご紹介
※JAF優待の内容や利用方法などの詳細は、記事内の各施設「JAF優待はこちら」をクリックしてください。JAFナビ
からも検索可能です。
※記載のデータは2025年5月現在のもので、料金は大人1名分(税込)です。変わる場合もありますので、お出かけ前にご確認ください。
取材協力=香川県・さぬき市、東かがわ市、瀬戸内国際芸術祭実行委員会事務局
香川県が登場する日本遺産はこちらをチェック
日本遺産とは、文化庁が地域の歴史的魅力や特色を通して、我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定する制度です。
今回訪れた香川県にも日本遺産があります。旅の続きで訪れてみてはいかがでしょうか?
香川県・さぬき市、東かがわ市の魅力たっぷり! ご当地名産品プレゼントに必要なキーワードはこれ!
ごきげんロードトリップで登場した香川県・さぬき市、東かがわ市より、とっておきの名産品をプレゼント。応募にあたっては応募フォームにログインし、キーワードの入力が必要です。名産品プレゼントの詳細は、別公開となっている下記リンクにてチェックしてください。
プレゼント応募用キーワード
アート
香川県・さぬき市、東かがわ市ドライブガイド
1.さぬきワイナリー
瀬戸内海を見渡す大串自然公園内にある四国初のワイン工場。温暖な気候が育んだ地元産のぶどうを原料にワイン造りを行っている。イチオシはポリフェノールを豊富に含む「ソヴァジョーヌ・サヴルーズ」。売店では試飲も可能。予約すれば工場の無料見学もできる。
さぬき市小田2671-13
Tel.087-895-1133
さぬきワイナリー
※飲酒運転および20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。飲酒される方はハンドルキーパーの確保や、運転代行を利用してください。
2.旬彩料理 以志や
登録有形文化財認定の老舗旅館「以志や」に併設する割烹。地物を中心に旬の食材を生かした上品な味付けの定食が人気。なかでも「源内御膳」は源内が関わったとされる「衆鱗図(しゅうりんず)」に載っている魚を取り入れた天ぷら定食で、平賀源内記念館のお墨付き!
さぬき市志度599-1
Tel.087-894-0021
旬彩料理 以志や
3.風月堂 志度本店
平賀源内記念館の向かいにあり、「源内焼」「源内もなか」など源内にちなんだ銘菓を取り揃えている老舗和菓子店。さぬきワイナリーの希少な赤ワインを使い、「暮れなずむ瀬戸の風景」を表現したというロールケーキは写真映え抜群。お土産や贈答用におすすめ。
さぬき市志度593
Tel.087-894-1067
風月堂
4.ねこ海レストラン
アオリイカのイカソーメン生産加工日本有数の「安岐水産」が運営するレストラン(営業は土曜のみ)。名物は工場直送の新鮮なイカソーメンが味わえる「あおりいか丼」。天気がいい日はぜひオーシャンビューのテラス席で。「さぬき蛸めし」や総菜も販売している。
さぬき市津田町津田1402−23 安岐水産砂浜海岸側
Tel.0879-42-3037(月~金)
Tel.0879-49-2681(土)
ねこ海レストラン
5.PORTO PIZZA(ポルトピッツァ)
津田のふるさと海岸沿いにあるピザ屋さん。漁業倉庫をリノベーションしたお店で、地元の人や観光客、海水浴客の憩いの場にもなっている。自家製ピッツァは「野菜とサラミ」や「4種のチーズ」など6種類。「アップルカスタード」などデザート系ピッツァもある。
さぬき市津田町津田1325
Tel.0879-49-3371
PORTO PIZZA
6.国民宿舎松琴閣 じゃこ丸パーク津田
瀬戸内海国立公園・津田の松原に位置し、全室オーシャンビューのロケーションと新鮮な海の幸が自慢。多彩な宿泊プランや体験プログラムも魅力で、インドアキャンプや車中泊、手打ちうどん体験やシーカヤック体験など、家族やグループでの思い出作りにぴったり。
さぬき市津田町松原地内
Tel.0879-42-2521
国民宿舎松琴閣 じゃこ丸パーク津田
7.日本ドルフィンセンター
海を仕切ったプールで人懐っこいイルカがお出迎え。餌やりやトレーナー体験など、各種プログラムを通してイルカと触れ合える施設。一番人気はウェットスーツを着て一緒に泳ぐドルフィンスイム。背びれにつかまりプールを一周するときは子供も大人も大興奮!
さぬき市津田町鶴羽1520-130
Tel.0879-23-7623
日本ドルフィンセンター
8.高松自動車道 津田の松原サービスエリア(上り・下り)
津田の松原SA(上下線)でしか食べられないご当地バーガー「さぬき肉うどんバーガー」は肉うどんの味わいを片手で味わえる逸品! 「骨付鳥コロッケ」や「オリーブ牛メンチカツ」もテイクアウトOK。お土産はお米とともに炊き上げる「まるごと骨付鳥メシ」が大人気。
上り:さぬき市津田町鶴羽935-5
Tel.0879-42-1777
下り:さぬき市津田町鶴羽939-1
Tel.0879-42-0880
高松自動車道 津田の松原SA
10.産直カフェ 五名(ごみょう)ふるさとの家
地産地建がコンセプトのカフェ。建物には五名産のヒノキを使用。地元で捕獲されたイノシシやシカの肉を使ったジビエ料理が自慢で、予約すればジビエBBQも楽しめる。併設の産直コーナーには畑直送のとれたて新鮮野菜や総菜がずらり。人気なので早い者勝ち!
東かがわ市五名1400
Tel.0879-29-2832
産直カフェ 五名ふるさとの家
11.瀬戸内リゾート ベッセルおおち
瀬戸内海に面した小高い丘の上にある絶景リゾート。宿泊施設はホテル棟、グランピングテント、コテージの3種類で、一部客室はペット同伴OK。温泉(日帰り利用可)や宿泊者限定のプライベートビーチなど滞在中の楽しみも多彩。美しい夕焼けもお見逃しなく!
東かがわ市馬篠1200
Tel.0879-26-1126
瀬戸内リゾート ベッセルおおち
12.とらまるパペットランド
とらまる公園の一角にある日本で唯一の人形劇テーマパーク。「人形劇場とらまる座」「とらまる人形劇ミュージアム」「ミニチュア児遊館」の3館から成る複合施設で、舞台作品鑑賞や実際にパペットに触れて遊べる実演体験など、子供も大人も一日たっぷり楽しめる。
東かがわ市西村1155
Tel.0879-25-0055
とらまるパペットランド
13.巴堂 本店
昭和2年創業の老舗和菓子屋さん。看板商品は郷土銘菓「ぶどう餅」。小豆あん入りの蒸し菓子で、名の由来は見た目が似ている「葡萄」ではなく「武道」。戦国時代、武士に差し入れしたのが始まりなのだとか。しろとり動物園とのコラボ商品「白とら丸」も要チェック!
東かがわ市三本松1152-7
Tel.0879-25-3115
巴堂
14.白鳥(しろとり)神社
日本武尊(やまとたけるのみこと)の霊が白鳥となって舞い降りたといわれる神社。「いい風が吹いて、物事がよく回りますように」と約2,000個の風車が並ぶ回廊は圧巻。境内には標高3.6mの日本一低い山といわれる「御山(みやま)」があり、登れば登山証明書を発行してくれる。
東かがわ市松原69
Tel.0879-25-3922
白鳥神社
15.しろとり動物園
「動物たちが自由すぎる」と話題の動物園。放し飼いで園内を気ままに闊歩する動物(一部)がすぐそばに。なでたり餌をあげたり触れ合えるのが魅力だ。園のスターは国内でも希少なホワイトタイガー。カワウソとの握手会やヘビとの撮影会などイベントも大好評!
東かがわ市松原2111
Tel.0879-25-0998
しろとり動物園
16.カフェ・ヌーベルポスト
昭和7年建築の旧引田郵便局を改装したカフェ。八角形の窓が特徴的なレンガ造りの建物で、店内も往時の面影が残るレトロな雰囲気。ホットサンドやチーズケーキのほか、名物喫茶「カフェ・ド・カンパーニュ」(2023年閉店)の元マスターが作るカレーは絶品。
東かがわ市引田2253
Tel.0879-33-3202
カフェ・ヌーベルポスト
17.ばいこう堂 本店
自社製造の「さぬき和三盆糖」を使ったお菓子を販売。店頭には霰(あられ)をイメージした真ん丸の「銘菓 霰糖」をはじめ、季節のモチーフを型押しした繊細で美しい干菓子が並ぶ。伝統の手作り製法でしか出せない優しい甘さと雪のような口どけ。感動の一口を楽しんで。
東かがわ市引田大川140-4
Tel.0120-33-6218
ばいこう堂
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