極上のジビエと名産品集結バーガーを食する! 鳥取県・八頭町、若桜町の“聖地”を楽しむ贅沢な時間
鳥取県・八頭(やず)町、若桜(わかさ)町の魅力を全身で感じるバイク旅今回の旅の舞台は、鳥取県の八頭町、若桜町。ジビエにフルーツ、そしてたくさんの特産品に恵まれた山間の町を、バイクに乗って堪能する極上の時間を過ごしました。連載「ごきげんロードトリップ」は、旅へのほのかな期待を抱くあなたを「ごきげん」にする旅のイメージを提案します。
- バイク愛いっぱいの道の駅!?レンタルバイクで巡るフルーツの里
- 「命を無駄にしない」という思いが生む日本一の肉質。若桜町だからこその鹿肉を堪能
- 歴史ある町を歩いて昔を懐かしみ、昭和の駄菓子をオトナ買い
- バイク乗りの聖地でもあり、地域コミュニティの拠点でもある隼駅
- 因幡の白兎だけじゃない!八頭町の兎スポットでもうひとつの兎伝説を追う
- 仏様も神様も受け入れる懐の深さ。平和の象徴だった八頭の白兎
- ご当地限定のグルメが満載!地元の恵みぎっしりのバーガーと賞味期限10分の絶品パンケーキ
- 現地へ足を運ぶといいことあるかも!?
JAF会員対象特別キャンペーン - 鳥取県・八頭町、若桜町の魅力たっぷり! ご当地名産品プレゼントに必要なキーワードはこれ!
- 鳥取県・八頭町、若桜町ドライブガイド
バイク愛いっぱいの道の駅!?
レンタルバイクで巡るフルーツの里
国道29号から望める富枝採石場跡。そびえ立つ石壁は、ライディング中にじっくりと眺められないのが残念なほどダイナミックな景観だ。
バイク乗りは、突端と聖地が大好物だ。そして鳥取県八頭郡八頭町にある若桜鉄道・隼(はやぶさ)駅は、バイク乗りの聖地である。この駅は、偶然にもスズキ・ハヤブサという人気ビッグバイクと同名ということで注目が集まり、例年、ハヤブサ乗りたちが集う「隼駅まつり」が開催されている。2023年8月には第13回が行われ、2,300台のハヤブサと2,600人ものライダーが集結した。
聖地とまで呼ばれる地には、断じて行くべきである。しかもバイクで……と思いつつ、首都圏に住む身で鳥取までの自走は、時間的な制約が大きい。うーむと悩んでいたが、現代的かつスマートな解決策を見つけてしまった。隼駅近隣にある「道の駅はっとう」で、奇跡的にレンタルバイクのサービスが行われていたのだ。
これだ! 長旅こそが身上のバイク乗りとしては若干気が引ける面はあるものの、公共交通機関を乗り継いで「道の駅はっとう」を訪れた。出迎えてくれたのは、バイク愛と地元愛に満ちあふれる副駅長の山村俊太さんだ。
「道の駅はっとう」は敷地内に「八東フルーツ総合センター」が設けられており、旬のみずみずしい地元産のフルーツを購入できる……のだが、その一隅になぜかバイク用品も展示・販売されている。山村さんのバイク愛が高じてのことだ。言葉は悪いが、生粋の「バイクばか」。愛すべき人物なのである。
「道の駅でのレンタルバイクは、全国的にも珍しいと思います。ウチのレンタルバイクは、地元の方たちに支持されているんですよ」と山村さん。リターンライダーが試しに乗ってみたり、車両購入前の試乗といった用途でレンタルされることが多いのだそうだ。今回は、僕の旅アイテムとして活躍してもらおう。
さっそく体慣らし程度に、「道の駅はっとう」からわずか3分の「はっとうフルーツ観光園」に出向き、りんご狩りを楽しんだ。レンタルしたカワサキ・エストレヤは、懐かしきキャブレター搭載モデルだった。きっちりと整備されており、走りはすこぶる快調。キャブ車ならではのパンチが心地よい。そしてりんごはうまい。これは間違いなくごきげんな旅になる……!
レンタルバイクの手続き対応をしてくださった山村さんとは、バイク好きという共通項でいきなり話が盛り上がる。お互い「バイク趣味ばっかりはどうしようもないですね……」と、顔を見合わせて苦笑い。
レンタルバイクのコンディションは絶好調。ヘルメットをかぶると、体がむき出しの乗り物に乗ることを強く意識し、身が引き締まる。バイク旅が始まるという高揚感と、絶対に無事に帰ろうという気持ちが入り交じる。
●道の駅はっとう・八東フルーツ総合センター/鳥取県八頭郡八頭町徳丸625 ☎0858-84-3870
http://www.hatto-fruits.com/
【JAF優待】
「八東フルーツ総合センター」へ足を踏み入れると地元産のフルーツが並び、甘~い香りが。近隣の「はっとうフルーツ観光園」では果物狩りを楽しめる。
8月下旬から11月中旬にかけて、りんごを始め、梨、ぶどう、栗などの果物狩りが堪能できる。りんごと梨は園内で食べ放題だ。
●はっとうフルーツ観光園/鳥取県八頭郡八頭町徳丸745 ☎0858-84-6030
(りんご狩り・時間無制限食べ放題大人1名800円)※開催期間はお問い合わせください。
「命を無駄にしない」という思いが生む日本一の肉質。
若桜町だからこその鹿肉を堪能
バイクはその土地にグッと近付くことができる乗り物だ。車は基本的に閉じた空間だし、徒歩や自転車は究極の開放感が得られるものの、移動にツラさと重みが伴う。その点、バイクはエンジンの力を借りてラクに移動できる。そして何よりも完全なオープンエアだから、土地の空気に溶け込むことができる。
250cc単気筒エンジンの歯切れのよい排気音を楽しみながら15分ほど走り、「鹿ヘレステーキ」のノボリを見かけて吸い込まれるように立ち寄ってしまったのは、「キッチンふる~る」だ。ドアを開けると、地元の方たちの笑い声、ジューッというお肉の焼ける音、そして香ばしい香り。もう他に何もいらない……わけがない! さっそく「鹿ヘレステーキ定食」を注文した。
これがもう、信じられないぐらいうまい! 「ジビエ」はフランス語で狩った野生の鳥獣やその肉を表す言葉だが、そんなワイルドさを感じさせないほど上質で上品、臭みなどゼロ以下だ。柔らかな鹿肉の食感と深みのある味わいが、地元産コシヒカリの甘味と重なって、お箸と笑いが止まらない。
かわいい鹿さんは大好きだが、増えすぎて困ったことになっているのも理解している。「キッチンふる~る」で供される鹿肉は、若桜町の獣肉解体処理施設「わかさ29工房」のもの。「命を無駄にしない」という思いのもと、狩りの直後から極めて丁寧な下処理が施されている。「日本一の肉質」とも言われる若桜の鹿肉は、愛のある処理技術の賜物だ。
首都圏の一流レストランにも提供されているというハイレベルな鹿肉を、たった900円の定食でいただけるのだから、若桜町はスゴイ。猟師の皆さん、「わかさ29工房」の皆さん、「キッチンふる~る」の皆さん、そして鹿さんに感謝しながらも、自分でも驚くほどの勢いで瞬く間に平らげてしまった。
上質な鹿のフィレ肉を豪快かつ贅沢に頬張れる「鹿ヘレステーキ定食」は、なんと900円。この味をこの値段でいただけるのは、地域産の鹿だからこそ。ふっくら炊き上げられた地元産コシヒカリとの相性もバツグン。
若桜町役場のすぐそば。風情にあふれた町並みの中にある「ふる~る」。グルメはもちろん、地元の方たちとの交流も楽しめる店。
●キッチンふる~る/鳥取県八頭郡若桜町若桜799-10☎0858-71-0262
歴史ある町を歩いて昔を懐かしみ、
昭和の駄菓子をオトナ買い
自分には懐古趣味などない、と思っている。新しいモノ好きだし、目線はいつだって未来に向けていたい。甘い過去を振り返っているばかりでは、何も始まらないとも思っている。
しかし、ふとした瞬間に昔情緒に触れると、やはり胸の奥底からジュワッと染み出してくるものがある。バイクを止めて若桜町をそぞろ歩く。蔵通り、カリヤ通りで江戸時代の景観を再建した趣深い白壁の蔵を眺めていると、懐かしさが込み上げる。江戸時代に生きたわけでも、蔵がある生活をしたわけでもないのに、「昔はよかったよなぁ……」と素朴に思う。
DNAに刻み込まれた郷愁に、抗うことはできないのだ。だったら、ここは全力で懐かしさに浸ったほうがシアワセである。思いのままに、昭和おもちゃ館に飛び込んだ。なにしろ店先にはキューピー人形やサトちゃん、そして飛び出し坊やが並んでいるのだ。昭和44年生まれ、行きます!
店内には、懐かしさの嵐が吹き荒れていて、めまいがしそうだった。小さな買い物カゴをむんずと掴み、「うわコレ懐かしい!」「うわコレ食べたことある!」と叫びながら、駄菓子やおもちゃをバッタバッタと投げ込む54歳なのである。
お財布を気にせずオトナ買いできる自分も喜ばしかったが、それ以上にうれしかったのは、お母さんと手をつないでやってきた地元キッズふたりが、ニコニコと駄菓子を選んでいたことだ。
時にはお母さんに「それはダメ」などとたしなめられながらも、めくるめく駄菓子ワールドに目を輝かせるキッズたち。買い物カゴにボンボン駄菓子を放り込む僕。平成末期または令和生まれの君たちと昭和44年生まれの僕の間に、温かい連帯感が生まれた……と思うのは、おじさんの身勝手な妄想だろう。
●昭和おもちゃ館/鳥取県八頭郡若桜町若桜430 ☎0858-71-0003
駄菓子をはじめ、懐かしのおもちゃが盛りだくさん。無心で遊んだあの頃が蘇る。が、お財布の中身はそれなりに大人。ここは全力でオトナ買い……しても、1,000円以下(笑)。
どれもこれも、40年以上前に買いあさったものばかり。改めて食べてみると、めちゃくちゃおいしいワケじゃないものの、胸に迫ってくるものがある。
若桜鉄道は、八頭町と若桜町を結ぶ19.2㎞のかわいらしい鉄道。平日の昼間は1~2時間に1本程度の運行で、巡り会えるとうれしくなるレアキャラだ。
バイク乗りの聖地でもあり、
地域コミュニティの拠点でもある隼駅
交通量も信号も少ない国道482号を、シングルエンジンのバイクでトコトコと駆ける。スロットルレバーを回すと、タタタッと軽快な加速感が味わえる。これだけでもおなかいっぱいな満足感なのに、めざすは若桜鉄道・若桜線の隼駅なのである。
スズキのビッグバイク、ハヤブサと同名であるがゆえに、ハヤブサ乗りが集まり、バイク乗りの聖地ともされる駅だ。乗っているのはカワサキだが、聖地に近付くと思えばたまらないものがある。
国道を外れてほどなくして到着した隼駅は、想像以上のレトロ感だった。隼という名称にもまして、駅そのものが魅力に満ちあふれているのだ。駅舎とプラットホームは昭和4(1929)年に建設されたもので、僕よりも40歳も先輩だ。平成20(2008)年には国の登録有形文化財に指定されており、質素でありながら趣のある佇まいは、古き良き時代をそのまま感じられる。
趣深い駅舎に、感激もひとしお。
●隼駅/鳥取県八頭郡八頭町見槻中立縄175-2
隼駅には隼フォトスタンドが設置されており、ライダーがスマホなどで自由に記念撮影できる。バイクのハンドルが付いた可動式スタンドで、ガラガラ押しているだけでもライディング気分!? 使ったらきちんと元に戻そう。
バイクで隼駅前にいる、というだけでも感動的なところにきて、この素晴らしい駅舎である。風格さえ感じる外壁の板張りを眺められるだけでも、「ごちそうさまでした!」と言わざるを得ない。と、見れば駅前には「HOME8823(ホームハヤブサ)」の看板を掲げる小さなレストランが。「ごちそうさまでした!」と言ったそばから「いただきます!」を言うべく、扉を開けた。
オシャレなエクステリアとインテリアにちょっと身構えるが、メニューに並ぶのは、唐揚げ定食やトンテキ定食、特製カレーなどなど、なじみ深い庶民的な食事ばかりで、ホッとする。
オーダーしたのはコロッケ、メンチカツ、エビフライが並ぶミックスフライ定食。気取らず飾らず、舌に馴染みのある味は、なんとなく実家に帰ってきたかのよう。ガツガツと食べてしまう。店長の竹内和明さんは、「そんな気持ちで食べてもらえるのが一番です。ウチは地域の台所ですから」と笑う。
「若い世代がどんどん流出してしまう町を、自分たちの手で何とかしたい」という思いから、仲間たちとともに2014年、「HOME8823」をオープンした。「食を中心に、地域の人たちが気軽に集えるスペースにしたい」と、2階にはキッズスペースを用意。この日もキッズ連れの若いお母さんたちが楽しげに2階に上がっていく姿が見られた。
がっつりと地域に密着しながらも、隼駅を訪れるバイク乗りたちも温かく受け入れてくれる。扉に貼られていた多数のバイク関連ステッカーが、店全体にしっくりと溶け込んでいた。
地域の盛り上げにひと役もふた役も買っている「HOME8823」。
各種お食事には、地元産の野菜がふんだんに用いられている。ミックスフライ定食は、鳥取県産らっきょうが刻み込まれたタルタルソースも味のアクセントに(ミックスフライ定食/1,000円)。
●HOME8823/鳥取県八頭郡八頭町見槻中176-4 ☎0858-71-0291
https://home8823.com
【JAF優待】
因幡の白兎だけじゃない!
八頭町の兎スポットでもうひとつの兎伝説を追う
地方では、駅が重要な役割を果たしていることが多い。若桜鉄道・若桜線とJR西日本・因美(いんび)線が乗り入れている郡家(こおげ)駅もそのひとつだ。八頭町の玄関口であり、人々の交流スペースであり、地域の情報発信スポットでもある。
大正8(1919)年に開業した歴史ある駅だが、2015年、駅舎とコミュニティスペースが一体化した「ぷらっとぴあ・やず」として生まれ変わった。
その駅前には、かわいいウサギの石像が置かれ、「神ウサギ」と銘打たれている。因幡の白兎がモチーフなら、舞台は海岸だったはずだ。なぜ山間の駅前に、ウサギの石像が──?
「ぷらっとぴあ・やず」で調査した結果、八頭町には昔から白兎伝説が残されているそうだ。八頭・池田の中山に降り立った天照大神を、白兎が道案内したのだとか。以降、白兎は「導きの神」として地域で崇められてきたとのこと。
白兎を祀ってきた八頭の白兎(はくと)神社だが、大正3(1914)年、合祀令により廃社となってしまった。しかし地域の白兎信仰は厚く、紆余曲折を経て社殿を同町の成田山青龍寺に移築。真言宗の青龍寺は、本堂内に神社の社殿を有する珍しいお寺になったのだとか。
白兎が取り持った、お寺と神社の融合。これは非常に興味深い。「ぷらっとぴあ・やず」でひとしきり白兎について学んだ後は、白兎神社を経由して青龍寺に向かうことにした。
駅としてだけではなく、地域の歴史を学べる場として、人が集まる場として機能している「ぷらっとぴあ・やず」。
うま~く自分の位置を合わせれば兎になれる“映えスポット”は、特に女性からの人気が高いのだとか。
●ぷらっとぴあ・やず/鳥取県八頭郡八頭町郡家648-6 ☎0858-72-6007
https://yazukanko.jp/buy/tokusan/puratopia-yazu/
【JAF優待】
仏様も神様も受け入れる懐の深さ。
平和の象徴だった八頭の白兎
郡家駅のすぐ裏手、私都(きさいち)川沿いに広がる田んぼの中に、白兎神社はある。出迎えてくれるのは鳥居と小さな社、兎の石像、そして鎮守の森だけだ。こぢんまりとしていて、開放的。壮大の時の流れが、角という角をそぎ落としている。厳かというよりまろやかな親しみを感じる、いかにも地域の神様が宿る地だ。
当地では白兎伝説の盛り上げに力を入れているが、白兎神社に足を運ぶと、長きにわたって地域に愛され続けているからこその活動なのだ、とわかる。無理な粉飾はまったくなく、ありのままの姿でそこにあり続ける信仰。八百万の神は、日本人の骨格のようなものだ。
白兎神社の社殿が祀られている成田山青龍寺までは、バイクで約6分。曲がりくねった細道を上ると、爽やかな風が吹き、静かに町を見下ろす青龍寺に到着した。城光寺照進住職の案内で、社殿を見せていただくことになった。
「お寺さんの中に神社の社殿……。どんな形で祀られているのだろう」と思っていると、なんと本堂の不動明王像の真後ろに、そっくりそのまま社殿が収められているではないか! ここにあるのは、仏なのか、神なのか……。思わず言葉を失うと、住職はニコニコしている。
「仏様も神様も、ケンカせずに受け入れる。これが日本の文化なんですよ」と住職。強い信念は、時に激しいぶつかり合いを生む。しかし、両極端に走らず、偏ることなく、中正な立場こそをよしとする考え方は、仏教で言えば「中道」であり、僕たち日本人の遺伝子に深く刻み込まれている。
「世界的に見れば、曖昧でつかみどころがない、と思われるかもしれません。しかし、結果として最も平和な国であるなら、それに越したことはないんですよ」。お寺の中にある神社は、その象徴だ。かつては天照大神を道案内した白兎が、今は平和の先導者のように思えてくる。
鳥居の中央に掲げられた額の文字は、通常使用されている「兎」とは少し違う。この異字体をヒントに伝説が掘り起こされていった。
八頭町に残る伝説では、兎が天照大神を道案内したとのこと。白兎神社のかわいい“狛兎”にお詣りすれば、よい未来に導いてくれるかも……?
●福本白兎神社/鳥取県八頭郡八頭町福本
神社の社殿が祀られているという、全国的にも珍しいお寺。
社殿には「波うさぎ」と呼ばれる、伝説に登場する兎の躍動感ある彫刻も。
仏様と神様が並んで祀られている成田山青龍寺。「それなら人間も仲良く共存できるはず。それが日本人の知恵というものです」と説く住職。興味深い説話を朗らかに聞かせてくれる。
●成田山青龍寺/鳥取県八頭郡八頭町下門尾46☎0858-72-0450
http://www4.plala.or.jp/inaba-naritasan/
成田山青龍寺へと続く細道を、バイクで上り下り。「バイクでよかった……」と胸を撫で下ろしつつ、暮らしの邪魔にならないよう、アクセルレバーを回しすぎないことを心がける。
ご当地限定のグルメが満載!
地元の恵みぎっしりのバーガーと賞味期限10分の絶品パンケーキ
地元産の素材にこだわったYAZUバーガーには、自家製バンズ、庭先鶏の竜田揚げ、エリンギ、白ネギ、自家製ベーコン、トマト、レタス、そして天美卵の目玉焼きが使われている。贅沢で安心な食の極みだ(YAZUバーガー/900円)。
野山を眺めながらのどかなワインディングロードを流していると、忽然と現れる瀟洒(しょうしゃ)なガラス張りの建物。モダンなテイストで、駐車場には車がぎっしり止まっている。一瞬、自分がどこにいるのかわからなくなるほどの別世界だ。
「大江ノ郷リゾート」は、食事やショッピングを心おきなく楽しめる一大施設だ。安全でおいしい天美卵をふんだんに使ったさまざまな料理が楽しめる。
コク、うまみ、濃厚さの三拍子が揃った天美卵は、八頭町の大自然の中でのびのびと健やかに育てられた鶏が生む卵のこと。天美卵を生産している大江ノ郷自然牧場では、鶏に愛を込めて「コッコ」と呼んでいる。コッコを平らな地面で放し飼いにし、天然素材だけを用いた飼料を与え、できるだけ自然に近い形で大切に育てているのだ。
たっぷりの愛情が注がれたコッコたちが生む天美卵が、おいしくないはずがない。賞味期限10分のパンケーキが大人気で、甘いモノ好きおじさんである僕は当然これが目当てだったわけだが、スイーツをよりおいしくいただくために、ちゃんと食事をとりたい。八頭産の8つの食材を重ねた8尽くしの「YAZUバーガー」をオーダーした。
分厚い。そして、うまい。しっかりとした噛み応えのある庭先鶏の竜田揚げを中心に、地元農家さんとの強力なタッグによって詰め込まれた数々の具材が、ワイルドにして繊細な味のシンフォニーを奏でる。がっつり頬張ると、自然の豊かさが弾けた。
2017年に開催された「とっとりバーガーフェスタ」では、全国各地から集まったご当地バーガーの中から見事にグランプリを受賞。ベストクオリティ賞も獲得した実力派だ。堂々たるYAZUバーガーが腹の中に収まったかと思うと、満腹と満足が押し寄せてくる。
しかし、スイーツは別腹だ。いよいよ待ちに待ったパンケーキの登場である。「どうぞ」とテーブルに置かれた瞬間、プルルンと揺れる。揺れるパンケーキなど見たことがない。ひとくち頬張る。「……んっ! んんっ!?」。衝撃が走る。ふわふわどころの話じゃない。とろっとろだ。「柔らかいパンケーキ」の概念を越えた、別次元の柔らかさ。
自然な甘味とコクを舌の上に残して、じゅわっと溶けていくパンケーキ。シアワセでしかない……。天美卵だけで焼き上げられているからこそ成し得た芸術だ。ひとくちひとくちが愛おしくて、もったいない。賞味期限10分は伊達ではなかった。
じっくりゆっくり味わって、食べ終わった後は若干の放心状態になった。期待以上の驚きに、スタンディングオベーションしたくなる。おじさんすら感動させるパンケーキ。老若男女、誰が食べても心がプルルンと揺さぶられるはずだ。自然の恵みと地域への愛が生み出したパンケーキなのだから。
テーブルに置かれた瞬間のフルフルッという揺れ方からして、他のパンケーキとは一線を画す(大江ノ郷パンケーキ2枚重ね/968円、セットブレンドコーヒー/418円)。
天美卵の力だけでパンケーキはかくも柔らかく、かくもコク深く、かくもおいしくなるものかと感動を覚える逸品。
天美卵ならではのハリとコシのあるメレンゲが、厳選素材の生地をふんわり膨らませる。濃厚なのに、くどさとは無縁な自然の甘味。
華やぎのある大江ノ郷テラスでいただくと、おいしさとありがたさがさらに増す。リピーター続出、行列も納得の、ここだけ、今だけの贅沢な楽しみ。
●大江ノ郷自然牧場/鳥取県八頭郡八頭町橋本877 ☎0570-077-505
https://www.oenosato.com/
【JAF優待】
ありのままの姿で残っている
清く正しきニッポンのふるさと
●若桜橋/八頭郡若桜町若桜
バイクで走ったからこそ、このエリアの魅力が体に染み込んだ。製材所から漂う木の香り。川は陽光にきらめき、犬がワオワオと吠えている。町中を走る清らかな用水路のせせらぎ。にこやかに話しかけてくる地元の方たち。山影にストンと夕日が落ちると、淡く長く続く夕焼け。
レンタルバイクを返却しに行くとき、地域の防災スピーカーから「ふるさと」が聞こえてきた。兎を追い、小鮒を釣った日本の原風景が、ここには今も残されている。
残そうとして残ったのではなく、ごく自然に、ありのままに残ったのだと思う。バイク乗りのためだけの場所じゃない。誰にとっても、ここは聖地だ。
今回のごきげんロードマップ
A.道の駅はっとう/B.はっとうフルーツ観光園/C.キッチンふる~る/D.蔵通り・カリヤ通り/E.昭和おもちゃ館/F.隼駅/G.HOME8823/H.ぷらっとぴあ やず/I.福本白兎神社/J.成田山青龍寺/K.大江ノ郷自然牧場/L.若桜橋
「ごきげんロードトリップ」掲載自治体のご紹介
JAF Mate Onlineに掲載していないドライブコースやおすすめスポットなども掲載!
現地へ足を運ぶといいことあるかも!?
JAF会員対象特別キャンペーン
2023年12月12日(火)~2024年1月31日(水)まで、「ぷらっとぴあ・やず」窓口にてJAF会員証を提示し「JAF Mate Onlineを見た」とお伝えいただいた方に、八頭町観光協会✕JAFコラボ缶バッジを1個プレゼントいたします。
※会員本人のみ
※なくなり次第終了
※JAF優待の内容や利用方法などの詳細は、記事内の各施設「JAF優待」をクリックしてください。JAFナビ
からも検索可能です。
※記載のデータは2023年11月現在のもので、料金は大人1名分(税込)です。変わる場合もありますので、お出かけ前にご確認ください。
※新型コロナウイルスなどの影響により、掲載の内容が変更・中止となる場合がございます。事前にご確認のうえ、ご利用ください。
取材協力=鳥取県・八頭町、若桜町
鳥取県・八頭町、若桜町の魅力たっぷり! ご当地名産品プレゼントに必要なキーワードはこれ!
ごきげんロードトリップで登場した鳥取県・八頭町、若桜町よりとっておきの名産品をプレゼント。応募にあたっては応募フォームにログインしてキーワードの入力が必要です。名産品プレゼントの詳細は、別公開となっている下記リンクにてチェックしてください。
プレゼント応募用キーワード
うさぎ
鳥取県・八頭町、若桜町ドライブガイド
1.やずミニSL博物館「やずぽっぽ」
船岡竹林公園内にある、国内初のミニ蒸気機関車(SL)博物館。常時18車両を展示し、実際に石炭を燃やして走行も可能。土日・祝日のみ開催される乗車体験は親子連れで大賑わい! ※冬季(12~2月)休業 鳥取県八頭郡八頭町西谷564−1 ☎0858-71-0032 やずミニSL博物館「やずぽっぽ」
2.徳丸どんど
徳丸駅から徒歩約8分。八東川の中にできた、全国的にも珍しい自然滝。水流によって浸食されてできた段差に、水が“どんどん”と音を立てて流れ込む様が名の由来。少し上流の鉄橋を電車が通過する瞬間がシャッターチャンス! 鳥取県八頭郡八頭町徳丸 ☎0858-72-6007(八頭町観光協会)
3.宿坊光澤寺(こうたくじ)
1日1組限定の宿坊。写経や瞑想をしたり、本堂深夜バー(写真)で住職と語り合ったり、過ごし方は思いのまま。「仏様の前だから遠慮は要りません」。一人でもグループでも宿泊可。心のリセットに訪れるリピーターも多い。
鳥取県八頭郡八頭町南398 ☎0858-84-1650
宿坊光澤寺
4.鍛冶屋(かじや)温泉
八東地域福祉センター内の日帰り温泉施設。小高い丘の上に建ち、大浴場からは四季折々の山景色を一望。湯は効能豊かな硫酸塩・炭酸水素塩泉で、眺望とともにゆっくり浸ればリラックス効果も抜群。休憩室も完備する。 鳥取県八頭郡八頭町東593-1 ☎0858-84-2210 鍛冶屋温泉
5.太田酒造場
1909(明治42)年創業。若桜町の旧街道に蔵を構え、日本酒「辨天娘(べんてんむすめ)」を製造。こだわりの地元産酒米・水でつくった純米酒だからこそ、飲むなら米の旨味が引き出されるお燗がおすすめ。店頭で購入できる。 鳥取県八頭郡若桜町若桜1223-2 ☎0858-82-0611 太田酒造場
6.もりのひと
八頭町にある天然酵母のパン屋さん。小麦は国産100%、鳥取の森の恵みを取り入れ、フルーツの自家製酵母でふくらませる、安心材料にこだわったパン作り。人気№1は「クロワッサン」。パンのおかわり自由がうれしいランチもあり! 八頭郡八頭町門尾148-2 ☎0858-71-0860 もりのひと
7.わかさ氷ノ山(ひょうのせん)キャンパーズヴィレッジ
国定公園の一角・氷ノ山の中腹にあるキャンプ場。夏は涼しく、壮大な山並みのパノラマビューが魅力。2023年春のリニューアルで、サイト拡張やドッグラン新設、Wi-Fi完備など快適度がさらにアップ! ※冬季(11月中旬~4月下旬)休業 鳥取県八頭郡若桜町舂米(つくよね)635-1 ☎070-2161-3315 わかさ氷ノ山キャンパーズヴィレッジ
8.わかさ氷ノ山スキー場
氷ノ山の地形を生かした斜度の異なる5コースで、初心者から上級者まで楽しめるスキー&スノーボードゲレンデ。パウダースノーの雪質と、西日本では珍しい樹氷が見られることから「西の蔵王」とも呼ばれている。※冬季限定営業 鳥取県八頭郡若桜町舂米 ☎0858-82-1111 わかさ氷ノ山スキー場
9.道の駅 若桜 桜ん坊
地元の新鮮野菜はもちろん、特産品がずらり。地元老舗和菓子店とコラボした最中ソフトをはじめスイーツ類も豊富で、食堂ではジビエ料理(鹿カレー)も味わえる道の駅。裏手は鉄道ファンに人気の若桜駅で、SL走行実施日は道の駅からもその姿を見ることができる。 鳥取県八頭郡若桜町若桜983-2 ☎0858-76-5760 道の駅 若桜 桜ん坊
10.若桜駅
現在も硬券切符を使用している若桜鉄道。その終着駅が国登録有形文化財の若桜駅だ。レトロな木造駅舎で、手動式転車台や給水塔など今なお残る国鉄時代のSL設備は見応え十分。「SL体験運転」が好評で、毎回全国から予約殺到! 鳥取県八頭郡若桜町若桜 ☎0858-82-0919 若桜駅
11.若桜革工房 Dear Deer(ディアディア)
バッグや財布、名刺入れなど、革小物製品を手作り・販売する革工房。「地元で駆除された鹿の命を無駄にしたくない」と、店主によって生まれ変わった鹿革製品は柔らかな肌触りと軽さが特徴。牛革ほか、爬虫類等各種皮革でもオーダー可能。 鳥取県八頭郡若桜町若桜979-1 ☎0858-82-0875 若桜革工房 Dear Deer
12.若桜ゆはら温泉ふれあいの湯
氷ノ山の麓に佇む町営の日帰り温泉施設。湯はアルカリ性単純温泉で、浴後はさっぱり・ぽかぽかに。町民だけでなく、登山客やスキーヤーの利用も多く、ジェットバス・ジャグジー付きのお風呂がレジャー疲れを癒やしてくれる。 鳥取県八頭郡若桜町大字湯原627 ☎0858-82-1177
13.URUWASHI JAPANESETEA
店主セレクトの上品で香り高い日本茶と、和スイーツを楽しめるお店。ティースタンドでは店主が目の前で丁寧に淹れてくれるお茶を堪能。特に「抹茶ラテ」が女性に人気。テイクアウト・予約もでき、自宅用に茶葉も購入もできる。 鳥取県八頭郡若桜町若桜379 ☎070-2361-0369 URUWASHI JAPANESETEA
14.諸鹿(もろが)渓谷
溶岩流でできた岩や「諸鹿七滝」と称される奇観が10kmほど続く諸鹿渓谷。原生林に包まれ、秋には紅葉狩りの人で賑わう。七滝のうち、滝好きに定評のある大鹿滝、出合滝、雲龍滝は必見。山道が整備されアプローチもしやすい。 鳥取県八頭郡若桜町諸鹿 ☎0858-82-2237(若桜町観光協会)
15.氷ノ山自然ふれあい館 響の森
中国山地で大山についで2番目に高い氷ノ山。そのブナの森を再現した直径23m、高さ10mの展示室「森のジオラマ」が一番の見どころ。生息動物の剥製なども展示され、リアルに登った気分で氷ノ山を学ぶことができる。 鳥取県八頭郡若桜町舂米635-175 ☎0858-82-1620 氷ノ山自然ふれあい館 響の森
16.不動院岩屋堂
天然の岩窟内にすっぽりおさまった御堂は圧巻! 建立は南北朝時代とされ、貴重な修験道寺院建築として国の重要文化財に指定。三朝町の国宝・三徳山三佛寺投入(なげいれ)堂などとともに日本三大投入堂に数えられる。 鳥取県八頭郡若桜町岩屋堂 ☎0858-82-2237(若桜町観光協会)
17.若桜鬼ヶ城跡
鎌倉時代に築かれたとされる、鶴尾山の若桜鬼ヶ城。山頂には当時の石垣や、一国一城令による破城の跡など貴重な遺構が残り、国の史跡にも指定されている。「なぜここに築城したのか」その理由がわかる眺望もお楽しみに! 鳥取県八頭郡若桜町若桜 ☎0858-82-2237(若桜町観光協会)