誕生60周年を迎えるトヨタスポーツ800、 『ヨタハチ』をみんなでお祝い!
トヨタスポーツ800還暦祭九州大会レポート1960年代を代表する名車の一つであり、今なお多くの愛好家を持つトヨタスポーツ800、通称『ヨタハチ』。1965年の発売開始から2025年で60年目を迎えるということで、去る24年10月27日、熊本県において同車のオーナー有志による記念イベントが行われた。
快晴の秋空のもと、18台のヨタハチが集結!
参加メンバー全員での記念写真。天気もポカポカ陽気のツーリング日和!
ヨタハチ長寿祈祷を行なう阿蘇神社まで、30分ほどの道のりをのんびりツーリング
阿蘇神社宮司によるヨタハチ長寿祈願。熊本地震による完全倒壊から7年をかけ、23年に」完全復旧した楼門(写真左方向)の姿も印象的だった
祈祷後は門前町商店街へと移動。たくさんのヨタハチの姿に驚きの表情を見せる観光客の姿も
今回のイベント参加者たちを歓迎してくれた、地元の阿蘇高校・総合ビジネス科のみなさん。門前町商店街の方々との交流は、5年前に行われた「トヨタスポーツ800誕生55年祭」の時から続けられている
全長3.54m超、全幅も1.5m以下というコンパクトなサイズだけに、18台を並べても近寄り難い威圧感は全く無し(笑)。ヨタハチを詳しく知らない観光客からも「可愛い!」という声が多く聞かれた
今回の還暦祭イベントは九州、関東など地域を超えたヨタハチ愛好家たちの協力により実現したもの。前日はあいにくの雨模様で、天候の動向が心配されたが、ミーティング当日は朝から真っ青な快晴に。集合場所となった熊本県の瀬の本レストハウスには九州各県はもとより長野、千葉など遠征組も含め、18台が顔を揃えた。
ここでは石川県から駆けつけたトヨタスポーツ800オーナーズ協議会、杉山氏からの挨拶や記念の集合写真を撮影。その後、60周年の長寿祈願を行うため、阿蘇市一の宮町の阿蘇神社へと出発した。独特の空冷2気筒サウンドを奏でながら軽やかに走るヨタハチの車列はどこかユーモラスで、道中すれ違う車の中から手を振る人の姿も。阿蘇神社では特別に参道に車が並べられ、ヨタハチの長寿と参加メンバーの交通安全を願う祈祷が取り行われた。
長寿祈願を終えた後は最終目的地として神社に隣接した門前町商店街へと移動。イベントに同行した欧州のヴィンテージカーたちも交えた車両展示の時間が設けられ、歩行者天国となった商店街前はちょっとした旧車ショーのような賑わいを見せていた。
トヨタスポーツ800誕生60周年の記念イベントは今回の九州を皮切りに25年4月の奈良、5月の東京をはじめ、愛知、福島、北海道の各地でも行われる予定とのことだ。
イベントに参加したヨタハチオーナーを紹介!
構造がシンプルだから自分で面倒を見られます
昭和40年式/小桝さん(佐賀県)
42年式車は自宅内ガレージで整備中とのことで、今日は40年式車で参加
今回の還暦祭では全体の進行役を務めた小桝さん。最初期型となる40年式モデルは20年前に購入。コツコツと手直しを行い、7年ほど前に現在の状態まで仕上げたとのこと。基本はオリジナルを保ちつつ、車体前後にヤマハSR400用のパフォーマンスダンパーを装着。ハンドリングや車体の安定性が大幅に向上したとのこと。
苦労以上に、楽しさの方が大きいです!
昭和44年式/前田さん(大分県)
オーナーの前田さん(右)。今日はお友達の工藤さんと参加
ヨタハチのミーティングには初めて参加したという前田さん。たまたま通りかかった中古車販売店でヨタハチと出会い、所有歴は4年。「性能は‟そこそこ”だし、消耗部品の確保など苦労も多いけど楽しい車。できる限り長く乗り続けたいですね」とコメント。
アメ車もイイけどヨタハチもイイ!
昭和40年式/長谷川さん(長野県)
遠路、長野県から参加した長谷川さん。希少なマグネシウムホイールも自慢
ヴィンテージカーが大好きな長谷川さん。5年前、所有していた1937年式フォードのレストアを依頼していた修理工場で偶然ヨタハチと遭遇。売却先が決まりかけていた車両だったが、無理を言って譲り受けたという。他にも1957年式のフォード・サンダーバードも所有している。
エンジンをオーバーホール。絶好調です!
昭和40年式/平川さん(熊本県)
全塗装されたレッドの車体に13インチのアルミホイールが映える
所有歴30年以上というベテランの平川さん。購入当時はそれなりに傷みが激しかった個体だが、全塗装やエンジンのオーバーホールなどを経て、現在は素晴らしいコンディションに保たれている。維持していく上での苦労はやはり、交換部品類の確保とのこと。
ペースさえ守れば長距離走行も楽勝です!
昭和44年式/黒川さん(岡山県)
岡山・倉敷から阿蘇まで約500kmの道のりを余裕で走破!
15年前に手に入れた44年式モデルで岡山から参加した黒川さん。純正サイズのバイアスタイヤは入手が困難ということで、同一外径を守るべくホイールを社外品に交換。この車とは別にもう一台、40年式モデルも所有。メンテナンスはすべて自分で行なっている。
自分流のアレンジを楽しんでいます
昭和40年式/江川さん(福岡県)
鮮やかなグリーンの車体色は、前オーナーの所有時に全塗装されたもの
福岡から参加した江川さん。ヨタハチ所有歴は13年ほどで、そのうち半年間はレストアや各部の整備のため工場に入庫していたとのこと。ブラックメタリックカラーのルーフパネルやアルミホイールなど、純正の持ち味を保ちつつ、自分流のアレンジを加えている。
現代の技術を注入したスーパーヨタハチ!
昭和43年式/山口さん(佐賀県)
見た目はヨタハチ、エンジンはDOHCターボ!
この日、参加したメンバーたちからの注目を一手に集めていたのが山口さんの愛車。エンジンルームに収まるのは800ccの空冷2気筒ならぬ、1000ccの4気筒DOHCターボ! しかもエアコン付きの快適仕様。車体周りもフルレストア状態の美しい仕上がりを見せていた。
父娘揃ってヨタハチのファン!
昭和44年式/さえさん(佐賀県)
こんな素敵な女性が乗っていたら、注目度も倍増(笑)!
ライトブルーのヨタハチを軽快に走らせていたのは、先に紹介した1000ccターボを積んだイエローのヨタハチオーナー、山口さんの愛娘、さえさん(写真右)。「父がクルマ好きで、家にはマニュアル車しか無かったので私も自然と慣れました」とコメント。ちなみにこの車は山口さんがその昔、22歳の時に手に入れた最初のヨタハチとのこと。
所有歴は47年。これからも走り続けます
昭和42年式/Nさん(長崎県)
「維持して行く上での最大のネックはサビですね」とNさん
47年に渡りヨタハチにこだわり続けて来たNさん。その過程ではブレーキの動作不良やエンジンストールなど、様々なトラブルを経験。それでも手放そうと思ったことは一度も無く、5年前にはレストアも実施。まだまだ十分現役と言えるコンディションに保たれていた。
本日の遠来賞。なんと千葉県からのご参加!
昭和42年式/荒木さん(千葉県)
久しぶりの九州・阿蘇のドライブを楽しんでいた荒木さん
今から52年前、カローラで走った時に見たやまなみハイウエイから阿蘇近郊への景色の素晴らしさが忘れられず、イベントへの参加も兼ねて久しぶりに九州を訪れた荒木さん。もう1台、所有歴50年というヨタハチは現在工場で修理中。今回の参加者には荒木さんのように複数台のヨタハチを所有する方が多く見られた。
1960年代生まれの旧車ながら日頃からの手入れの良さもあり、道中のトラブルはゼロ。メンバー間のスムースな連携や、最終目的地となった阿蘇門前町商店街の方々のあたたかいサポートのもとで行われたヨタハチ還暦祭・九州大会は大成功!来年5箇所での開催が計画されている各地での大会も、きっと素晴らしいものとなるはずだ。
高橋陽介
たかはし・ようすけ 雑誌・ウェブを中心に執筆をしている自動車専門のフリーライター。子供の頃からの車好きが高じ、九州ローカルのカー雑誌出版社の編集を経て、フリーに。新車情報はもちろん、カスタムやチューニング、レース、旧車などあらゆるジャンルに精通。自身の愛車遍歴はスポーツカーに偏りがち。現愛車は98年式の996型ポルシェ911カレラ。