検知機能付赤外線カメラ、超音波式雨滴除去デバイス… オートモーティブワールドで見た注目の先進技術5選
カーボンニュートラルに向けたクルマを取り巻く最先端技術が集結2025年1月22日~24日の3日間、東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2025」。国内をはじめ海外のIT先進企業も数多く参加する、自動車の最先端技術が見られるイベントだ。今回はその会場で気になった5つの先端技術を紹介しよう。
日本未発表のBYDのコンパクトBEV「シーガル」も展示
「オートモーティブワールド」は、カーボンニュートラルをはじめ、自動運転、コネクティッドカー、電動化などクルマの先端テーマの最新技術が一堂に介するイベントで、年3回開催されている。今回、東京ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド2025」では、日本の企業だけでなく台湾、中国、インドといったIT先進国の約1,800社という企業が技術相談・商談の場として出展していた。また最新技術だけでなく、まだ日本には正式導入されていないBYDのコンパクトBEV「シーガル」が展示され注目を集めていた。
国内外 約1,800社がブースを出展。自動運転やSDV(Software Defined Vehicle:ソフトウェアによって機能や性能をアップデート可能な自動車)、電動化など最先端の技術が展示されていたほか、日本未導入のBYDのコンパクトBEVの展示にも注目が集まった
オートモーティブワールドで見た注目の先進技術
夜間の検知能力を向上させるコーンズの赤外線カメラ
まずはコーンズの「検知機能付赤外線カメラ」だ。先進の運転支援技術を搭載したクルマにはさまざまな電子デバイスが搭載されている。なかでもカメラは人やクルマを認知したり、白線を認知したりするのに優れており、すでに多くの車種が搭載している。
コーンズは暗い場所でも人やモノを検知できる「検知機能付赤外線カメラ」を出展。すでに搭載されているカメラの可視画像と赤外線カメラの遠赤外線画像を融合させることで、夜間や悪天候下での高い検知機能を発揮できるのだ。ドライバーが見落とししやすい夜間走行の安全性を向上させてくれるアイテムと言えるだろう。
すでに採用されているカメラと組み合わせることで、夜間の人や物の検知性能が格段にアップする検知機能付赤外線カメラ。夜間の交通事故の減少に大きく貢献しそうだ
雨天時の視界を確保してくれる超音波式雨滴除去デバイス
2つめは、村田製作所の「超音波式雨滴除去デバイス」。自動運転や先進の運転支援システムが普及し、悪天候時のセンシングカメラの視界をクリアに保つことが重要になっている。そこで村田製作所は、クルマに搭載されたカメラの最外層レンズのみを超音波振動させて水滴を瞬時し除去するデバイスを開発。加湿器の原理を応用した技術で、スイッチを入れると一瞬でカメラに付いた水滴な除去され、クリアな視界がキープされる。
また村田製作所は、前後の車間距離などを測る際に採用されるミリ波レーダーを車内の子供置き去り検知やシートベルトリマインダーなどに利用することも提案している。ミリ波レーダーはボディに装着されるケースが多かったが、これからは車内の人や物の検知に使用されるケースも増えそうだ。
雨天時にバックカメラの映像が水滴によってよく見えないというケースは多い。この超音波式雨滴除去デバイスがあれば、そういったストレスから解放される
黒い液晶調光フィルムは2年後に発売のレクサスに搭載予定
「スマートウィンドウ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「スマートウィンドウ」とはスイッチのON/OFFで、瞬間的に透明/不透明を切り替えることができる液晶調光フィルムのこと。飛行機やトヨタハリアーのガラスルーフに採用されている技術だ。
従来の「液晶調光フィルム」はONにすると白くなっていたが、TOPPANと東海エレクトロにクスが開発した「液晶調光フィルム」は黒くすることが可能。しかも全体だけでなく、部分的に黒くすること可能で、よりプライバシーが守られるようになる。
センチュリーSUVにはリアウインドウを白く曇らせる「デジタルカーテン」がすでに搭載されている。今回出展された黒い液晶調光フィルムの技術は、2年後に発売予定のレクサスに搭載される予定となっている。
すでに白く曇らせる技術は採用されている。この黒くする技術は2年後に市販される高級車に搭載されることが決まっている
スマホでエンジン始動をロックできるアルコールインターロック
4つ目は飲酒運転による悲しい事故を防ぐための技術だ。セイコーソリューションズ株式会社の「アルコールインターロック」は、市販のアルコールチェッカーとスマートフォンのアプリを介して管理者と接続し、アルコールチェッカーの結果によってエンジンの始動をロックできるというもの。
ドアの施錠・解錠だけでなく、エンジンの始動をロックすることで確実に飲酒運転を防止できる。さらに専用のスマホアプリで、キーの解錠・施錠ができる「デジタルキー」も展示。鍵の受け渡しや管理が不要になり、駐車場から直接利用・返却が可能となる点も便利。
飲酒運転による事故を減らすために役立つアルコールインターロック。キーの解錠・施錠に加え、エンジンの始動もできなくなるダブルチェックとなっている
高齢者に寄り添うドライブレコーダー×チャットGPT
最後は、JVCケンウッドが出展していた「ドライブレコーダー×チャットGPT」。高齢者が長く安全に運転できる未来を目指して開発された技術だ。通信型ドライブレコーダーのセンサーやADASを活用した高齢者の運転挙動に特化した運転支援機能に加え、チャットGPTなどの最新技術や他のIoT機器を組み合わせて、高齢者に寄り添うバディのように積極的な運転支援を行う。まるで会話を楽しむかのような感覚で、パーソナライズ性の高い運転支援サービスを追求している。
デジタル技術をバックボーンとしながらも、提供されるサービスは実にアナログというのが非常に興味深い。
ドライブレコーダーにチャットGPTの機能を内蔵し、高齢ドライバーがより長く運転できるようにケアしてくれる。高齢化社会の日本には重要なアイテムかも