ムツゴロウ、鯉料理、ちゃんぽん麺、バルーンフェスタ! 見どころ満載佐賀ドライブ
佐賀県、佐賀市・小城(おぎ)市。佐賀のレアグルメを発見佐賀平野に位置する佐賀市、小城市をドライブで駆け巡った11月のごきげんロードトリップ。思っていた以上に広大だった佐賀平野、秋にはたくさんの気球が空に浮かぶダイナミックな大地と、日本有数の干潟を擁する有明の海。地元の人は何もないと謙遜するけれど、そこは他では出会うことのできないユニークなスポットとグルメの宝庫でした。
ドライブの初めに、動く鉄橋、筑後川昇開橋を見て興奮する
青空に映える筑後川昇開橋。むき出しの赤い鉄骨が、かっこいい●筑後川昇開橋/佐賀市諸富町為重地先 Tel.0944-87-9919 https://www.shoukaikyou.com/
佐賀平野は意外に広い。空港からクルマで走り出すと、広大な田園風景が広がっていた。遠くに山並みも見えるが、地平線をなだらかに縁どっているだけで、秋空がどこまでも続いている。今回佐賀にやって来たのは、ズバリ干潟を体感するためである。ムツゴロウにも会ってみたいし、干潟の海がどんな感じか実際に味わってみたいと考えている。
最初に訪れたのは橋だった。といっても普通の橋ではない。船の航行に合わせて上下する動く橋だ。最近、ユニークな土木構造物を見るのが好きになった。風光明媚(ふうこうめいび)な自然だけでなく、人間が造ったダイナミックなものに、心揺さぶられることがある。造形の美しさや構造の奇抜さに引かれるのだ。この筑後川昇開橋は、中央部がエレベーターのように上下に動くというのだからワクワクするではないか。
筑後川昇開橋は、昭和10(1935)年に鉄道橋として建設された。昭和62(1987)年の国鉄佐賀線廃止に伴って撤去が検討されたが、地元の保存運動が実り、平成8(1996)年に遊歩道として再生した。今では現存する国内最古の昇開式可動橋として国の重要文化財に指定されているそうだ。
船は通っていなかったけれど、操作員の方が橋を動かしてみせてくれた。可動桁は長さ約24m、重さ48tもある。そんな巨大な橋桁がじわじわ昇っていく。子供の頃ミニカーといえば工作車両ばかり集めていた身には、メカニカルなかっこよさが痺(しび)れる。鉄塔の高さは30mもあるそうだ。一見そんなに高く持ち上げる必要はなさそうに見えたが、それは潮が引いているからだそうで、潮が満ちたときのことを考慮するとこのぐらいの高さは必要らしい。いやあ、いいものを見た。
筑後川は福岡県と佐賀県の県境を流れ有明海に注ぐ。干満の差が大きく、最大で約6mも海面が上下するという
48tの可動桁が上下する。大きな機械がじわじわ動くのを見るのは、どうして楽しいのだろう。なんだか秘密基地に似た匂いがするのだ
佐賀インターナショナルバルーンフェスタの熱気伝わるミュージアムへ
バルーンの形状と浮遊する仕組みを副館長の中野信英さんから説明していただいた
佐賀市でもっとも熱いイベントといえば、佐賀インターナショナルバルーンフェスタをおいて他にない。1982年から毎年開催され、今では観客動員90万人を超える(2023年実績)超ビッグイベントになった。
きっとファンタスティックな光景なのだろう。せめてその魅力の一端でも味わおうと佐賀市内にある佐賀バルーンミュージアムに立ち寄った。大スクリーンで見るスーパーハイビジョンシアターのほか、気球の歴史や、浮かぶ仕組み、国内外の大会の様子など面白い展示が充実している。
それにしても、なぜ佐賀市でバルーンフェスタが開かれるようになったのか。副館長の中野さんによれば、まず障害物の少ない広大な平野があり、いろいろな角度から風が吹く理想的な環境だったこと、そして地元の農家の人たちの理解があったことが大きな理由だとか。稲刈り後の田んぼに競技のターゲットを設置したり、気球が着陸することもあり、地元の協力なしで実現は不可能なのだ。
詳しく見れば見るほど、実際のバルーンフェスタを見に行きたくて仕方がなくなってくる。夜間に光るバルーンが多数係留されるラ・モンゴルフィエ・ノクチューンというイベントも見ごたえがありそう。ミュージアムを出る頃には、すっかりファンになっていた。
操縦の疑似体験ができるフライトシミュレーターにハマる。風は高度によって速さも向きも違い、思ったように飛んでくれない。しかも突如風向きが変わったりする。難しいけど、何度もチャレンジしたくなる面白さ
ミュージアム内はカラフルで、いるだけで楽しくなるスペースだ。雨の日でも楽しめるとあって子供連れにも人気だそう●佐賀バルーンミュージアム/佐賀市松原2−2−27 Tel.0952-40-7114 入館料500円 https://www.sibf.jp/museum/ 【JAF優待】
佐賀のご当地グルメ「シシリアンライス」の上品な味に感動
浪漫座風シシリアンライス(1,000円)●レストラン&カフェ浪漫座/佐賀市柳町2−9 佐賀市歴史民俗館 旧古賀銀行内 Tel.0952-24-4883 https://www.romanza.jp/index.html
佐賀のご当地グルメにシシリアンライスなるものがあると聞いて興味が湧いた。牛バラをタマネギとともに焼き肉のタレで炒め、野菜とともにライスにのっけて食べるのだそう。それがなぜシシリアン?
佐賀市歴史民俗館にあるカフェ「浪漫座」で食べられるというので、寄ってみる。明治期に設立された旧古賀銀行の建物を復元した重厚な館内に入ると、演奏会も行われるという広いホールにカフェテーブルが並んでいた。
さっそくシシリアンライスを注文しつつ、名前の由来を尋ねる。
もともとはこの付近の喫茶店で生まれた“まかない飯”が発祥だそうだ。シシリアンの名は、当時映画『ゴッドファーザー』が大流行していたためシチリアにあやかったとも、トマトの赤、ライスの白、野菜の緑でイタリアっぽいからとも、隣の長崎県のトルコライスに対抗して、トルコの隣シリアの名を借用したとも言われ、諸説入り乱れて正確なところはわからないらしい。
「浪漫座」のシシリアンライスは、牛バラでなく国産牛のローストビーフをのせているところに工夫があって、上品な味わい。建物の雰囲気にぴったりだった。
バジルとコールスローのドレッシングをかけていただく。野菜もたっぷりとれてヘルシー。上質なローストビーフはリピートしたくなるおいしさ
「浪漫座」は、明治18(1885)年に設立された旧古賀銀行の建物内で営業中。れんがのタイル張りのレトロな雰囲気が「浪漫座」の名にふさわしい
ムツゴロウに会いに芦刈海岸の干潟へ行ったら大変なことに!
ムツゴロウのほか、シオマネキやトビハゼなどが見られる●海遊ふれあいパーク 干潟体験場/小城市芦刈町永田3033-1 Tel.0952-37-6129(小城市 商工観光課) https://ogicamp.rsvsys.jp/
有明海に行くなら、ムツゴロウに会わずにおれまい。私はひとりでも水族館に出かけるぐらい、海の生き物を見るのが好きで、今回、ムツゴロウを生で見るべく「海遊ふれあいパーク」にやってきた。手軽に干潟体験ができるスポットだそうで、岸から数十m先の水面まで、一面灰色の泥に覆われていた。よく見ると、そこここに小さな生き物が顔を出している。スタッフの方によると、見えているのは大半がシオマネキ(片方のハサミが大きいカニ)で、ところどころにムツゴロウもいるという。ムツゴロウは真冬以外はいつでも見られるそうだ。
あらかじめ用意しておいた水着に着替え、干潟へ足を踏み入れる。泥の表面がつるつる滑って転びそうだ。と思ったら、突然深くなって体の重みで足がズブズブ沈み込んだ。一気に股まで沈んでしまい慌てた。やばい。足がなかなか抜けない。やっとの思いで抜いても、次の一歩がまたズブズブ沈んでしまう。おおお、大ピンチ!
それでムツゴロウはといえば、近づく前に穴の中に隠れてしまい、遠目にしか見ることができなかった。あのかわいい顔をアップで見たかったのに残念。というか、その前になかなか泥から脱出できないぞ。干潟おそるべし。結局ムツゴロウは、なんとか陸にあがってから、カメラのズームで見たのであった。
近くで観察できたのはトビハゼとシオマネキ。トビハゼは体をずりずり引きずっているかと思うと、急にピョコンと飛ぶのがかわいい。シオマネキは片方のハサミが大きなカニで、こちらを警戒してハサミを振り上げていた
干潟の泥は、足が沈む沈む。思わずうろたえてしまった。いっそ腹ばいになって進めば面白かったのでは? と後で思い付く。他ではなかなかできない体験だった
海遊ふれあいパークは、ムツゴロウの姿を模したトイレがトレードマーク
あっさり味がくせになる
有明海の海苔がのった特製ちゃんぽん
麺の上に焙煎した海苔がのった、香味干し海苔と玉子入り特製ちゃんぽん(1,260円)。香ばしい海苔の風味が昆布だしのスープとよく合い、さっぱりとした味わいに仕上がっている
ちゃんぽんと言えば長崎が本場だが、佐賀市の中心部から海へ向かって走る県道沿いの「お食事処 丸徳」では、佐賀ならではのちゃんぽんが食べられる。その名も「特製ちゃんぽん(香味干し海苔と玉子)」。香味干しとは、有明海で取れた佐賀海苔を、そのままの状態で乾燥し焙煎したもの。海苔本来の香りと味が楽しめると代表の田中徳晃さんが教えてくれた。海苔がふんわり香って、食べる前から幸福な気持ちになる。
「九州のちゃんぽんは豚骨ベースでこってりしてるんですが、うちはさらに羅臼昆布でだしをとっているので、あっさりした味が特徴です」。田中さんの言葉どおり、昆布だしと海苔の香ばしさが利いた野菜たっぷりのヘルシーな味わい。見た目はこってりなのに重たすぎずうまい。これは和風ちゃんぽんとでも呼べばいいのだろうか。
「お食事処 丸徳」は創業47年。先代が体を壊したのをきっかけに店を始めたという。そのせいか田中家の栄養管理は徹底している。子供時代、徳晃さんはジュースやお菓子を食べさせてもらえなかったそうだ。当時はつらかったが、おかげで丈夫な体に育ち、今は自分の子供にも同じ方針を貫くようになった。「まあ、こっそり食べてますけどね。こっそり食べるお菓子がうまいんですよ」と笑う。そんな徳晃さんは、店の裏の道場で格闘技を教えている。キックボクシングやフルコンタクト空手、柔術などなんでもこなすそうだ。体のためにはいいものを食べることが大切。そんな田中家の哲学が、店のメニューにも貫かれているのだ。
一番人気のかつ丼(980円)は、佐賀海苔を食べて育ったニワトリの卵を使い、極秘のレシピで作る。粘り気の強い卵のおかげで、ふわふわとろとろのかつ丼になる。卵の濃さが際立って実にうまい。お客さんからも、丸徳のかつ丼は他と違うと評判だ
●お食事処 丸徳/佐賀市川副町小々森124−5 Tel.0952-45-6860 https://marutoku-saga.com/
名水百選にも選ばれた清水の滝で、おごそかな気持ちに
滝の落差は75mあり、垂直な岩壁に美しくかかっている●清水の滝/小城市小城町松尾 Tel.0952-72-2840(宝地院)
全国名水百選に選ばれた清水川の上流にかかる清水(きよみず)の滝は、小城市の山あいにあって、駐車場から木立ちの中の遊歩道を歩いてすぐ。訪れたときは、ちょうど白衣をまとった数人の男性が滝に打たれる修行の最中だった。沢の水に手を入れてみるとかなり冷たい。相当寒いんじゃないかと思いつつも、滝に打たれていない自分は涼しい空気が気持ちよかった。なんだかちょっと申し訳ない気分だ。
清水の滝は姿がいい。まるで削ったかのような平らな岩壁にまっすぐかかっている。滝にはそばにいて怖くなってくる滝と、ホッとする滝があるが、この滝は明らかに後者だった。すがすがしい雰囲気があり、霊場になるのもわかる気がした。
階段を少し上がると清水観音宝地院のお堂があった。本堂前の肥前狛犬(こまいぬ)がかわいい。肥前の国独特の狛犬で、シンプルな姿が特徴だ
清水観音への道。濃い緑に囲まれて、気持ちがいい。滝までは数分の距離なので、気軽に歩いていける
だまされたと思って食べてほしい、先入観を覆す奇跡の鯉料理
鯉のあらい(2~3人前)鯉こく付き (4,620円)
●鯉しげ/小城市小城町松尾2261 Tel.0952-72-2008 https://www.koishige.net/
鯉料理と聞くと、生臭いのでは? という思い込みが私にはあった。ところが、清水の滝にほど近い鯉料理の店「鯉しげ」で鯉のあらいを一口食べたら、想像を超えた爽やかな味わいに驚いたのである。まったく臭みがないのだ。秘伝の酢味噌のフルーティーな甘みがあいまって、まるでデザートでも食べているかのよう。店主の江里口大さんが「鯉というと食わず嫌いな人が多いですが、だまされたと思って一度食べに来てほしい」と語る。その訳がよくわかった。
小城の鯉は、清水川の清冽(せいれつ)な水質のおかげで臭みのなさが特徴だ。「鯉しげ」では、もともと臭みのない養殖の鯉を、流水のいけすでさらに20日間さらし(餌をやらず臭みを徹底的に落とす)、清水で入念に洗ったうえで、薄造りにするのだという。その際、川魚特有の小骨をしっかりと断ち切るのが肝心だとのこと。おかげで口に含んでも小骨が残っているとは思えないなめらかさだ。とても食べやすい。
同時にいただいた鯉こくは、あらいに使わない部位をすべて煮込んだ濃厚なスープが特徴。こってりとした厚みのなかに、深い味が染みている。鯉こくというと、一般には味噌煮のイメージがあるが、スープそのものを味わってほしいと江里口さん。
穏やかな口調のなかに、味への絶大な自信が感じられた。150年続いている小城の鯉料理の伝統を次世代に伝えていく、そんな江里口さんの情熱が、完成度の高い味をつくりだしているのだ。私の鯉に対する先入観はすっかり覆された。
鯉は小骨が多いため、それをしっかり断ち切る包丁さばきが求められる。「鯉しげ」のあらいには、小骨の存在はまったく感じられない
「鯉しげ」2代目店主の江里口大さん。小城市の清水の滝周辺に点在する鯉料理店のなかでは「うちはまだペーペーです」と語るが、それでも43年の伝統がある
先代が考案した秘伝の酢味噌は、フルーツのような甘みが爽やか。それでいて鯉と絶妙に合うのが不思議
鯉こくは、あらいに使わない骨や内臓などすべてを煮込む。初めて鯉を食べたという若いお客さんが、「こんなに臭みがないとは思いませんでした」と驚いたそう
店の裏手には清水川の流水を利用したいけすがあり、ここで20日間餌を与えずにさらし、鯉の身を引き締める
村岡総本舗 羊羹資料館で甘味をいただきひと休み
「村岡総本舗 羊羹資料館」は入館無料でお茶と羊羹のサービスが受けられる。試食の小城羊羹・特製切り羊羹(900円)は羊羹資料館隣にある店舗で購入可能
清水の滝から清水川を下って平地に出るあたり、須賀神社の向かいには、歴史をそのまま体現したかのような重厚な建物があって目を引く。「村岡総本舗 羊羹(ようかん)資料館」である。村岡総本舗は創業126年の和菓子の老舗だ。
村岡由隆副社長に話を伺ったところ、佐賀は羊羹の消費量が全国平均を大きく上回っているそうで、小城市だけで17軒の羊羹屋が存在しているという。
伝統製法の小城羊羹を一口いただいてみると、控えめながら、ぎゅっと詰まった甘みがおいしい。子供の頃は羊羹の良さがわからなかったが、今はわかる。甘さとともにぐっと体に力がたまる気がするのだ。伝統製法の切り羊羹は空気に触れると「しゃる」のだそうで、「しゃる」とは水分が飛ぶことで表面にシャリシャリとした食感が出ることをいう。たしかに見た目にも表面に砂糖の結晶が浮き出し、そこだけ違った味わいになり、ひと切れで二度楽しめた。
村岡副社長によると、賞味期間が長い羊羹は携帯食・保存食として優れているため、明治から昭和にかけて佐世保の海軍や久留米の陸軍等の軍隊で重宝されたという。そのほか周囲に炭鉱も多く疲れた際に甘いものが求められたことや、かつてこの一帯で小豆やインゲン豆が多く作られていたことなどにより、羊羹は小城の名産となったのだそう
羊羹資料館には、歴史に関するパネルや、羊羹作りに使用した昔ながらの道具などが展示されている
●村岡総本舗 羊羹資料館/小城市小城町861 Tel.0952-72-2131 http://www.m-youkansiryoukan.jp/index.html
須賀神社の頂上から見た小城市街
羊羹資料館の向かいに、強烈な階段の上に建つ神社を見つけ、上ってみた。須賀神社といって、看板によれば、鎌倉時代に勧請(かんじょう)された祇園社だそう。階段はかなりの急勾配でへとへとになったが、てっぺんでふり返ると小城市の街並みが広く見渡せた。
ラムほし柿ソフトクリームは、軽さと深みが一緒になったおいしさ
ラムほし柿ソフト(450円)。ラムといってもアルコール分は飛んでいるので、クルマの運転に問題なし
実は私は、甘いものはだいたい何でも好きという隠れスイーツ男子ならぬスイーツおじさんである。佐賀市唯一の道の駅「大和(やまと)」では、「ラムほし柿ソフト」なるおいしいソフトクリームが食べられると聞き、楽しみにしていた。ラムなしの「ほし柿ソフト」もあり、ついでだからそっちも買って食べ比べた。柿の甘さが濃厚な「ほし柿ソフト」に比べ、「ラムほし柿ソフト」のほうは甘さ控えめで、大人の味。そうそう、このぐらいが自分にはちょうどいい。かんきつ系やイチゴほど酸味がなく、りんごやメロンほど濃すぎない柔らかな柿の味わいは、フルーツ系のソフトクリームのなかではピカイチではないだろうか。隠れスイーツおじさんとしては、とても気に入ったのである。
店頭には道の駅大和の名物の柿が並ぶ。ほし柿や柿の加工品、冷凍のほし柿などさまざまな柿商品がそろう
●道の駅大和/佐賀市大和町梅野805 Tel.0952-64-2296 https://www.soyokazekan.com/ 【JAF優待】
有明海で取れる貴重な『前海(まえうみ)もの』に初挑戦
見たことのない品が並ぶ。有明海料理会席(11,000円、奉仕料別)
有明海料理というものがあるらしい。ウェブで検索してみると、ムツゴロウの甘露煮など他では見たことのない珍味がたくさん出てきた。いったいどんな味なのか。「旅館あけぼの」で会席料理をいただくことにした。
今右衛門の器に盛り付けられたたくさんの料理が目の前に並び、豪勢さに圧倒される。
がん漬け、わらすぼ唐揚げ、ムツゴロウの甘露煮、くちぞこの煮付け、海茸(うみたけ)の粕漬け……。女将(おかみ)の音成洋子さんがひとつひとつ丁寧に説明してくださるのだが、どれも聞いたことがない。
がん漬けはシオマネキをまるごとつぶして味をつけたもので、シャリシャリして辛い味付けがごはんに合いそうだ。わらすぼは、目が退化したハゼの一種で外見がエイリアンに似ていると言われ、少々不気味なのだが、食べてみると噛み応えがあってうまみが染み出してきた。ムツゴロウの甘露煮は、かわいい姿を思い浮かべると後ろめたいが、骨ごと食べられて甘辛くておいしい。くちぞこはいわゆる舌平目で、いくらでも食べられそうな淡泊な味わい。海茸は干潟の貝で、こりこりとした食感とふんわりとした甘さが絶品。こんなユニークな郷土料理があったとは、今までまったく知らなかった。
音成さんによると、かつてはあげまき、めかじゃ、いそぎんちゃくなどもっと多くの食材が取れたのだが、今は有明産のものだけで御膳をつくるのは難しくなってきたそう。多様な食が失われるのは残念な話だ。これらの食材もいつ失われるかわからない。そう思いながら、惜しむように味わった。
旅館あけぼのの女将、音成さんは、前海ものと呼ばれる有明海料理について、魚介類の生態まで交えながら、詳細に説明してくれた。
街の一角に隠れ家のようにある●旅館あけぼの/佐賀市中の小路3-10 Tel.0952-24-8181 https://akebono-saga.jp/
佐賀というと、何もないところなどと言われたりするが、ほんの少し走っただけでも多くの見どころがあった。考えてみれば、有明海という日本屈指の干潟を擁しているのだから、特別ユニークな土地と言っても過言ではないのだ。
もちろん佐賀市・小城市の魅力は干潟だけじゃない。どこへ行っても、知らないことやものに出会った。見るだけで気分の上がる土木遺産があったり、バルーンフェスタがこんなに熱いイベントだとは知らなかったし、謎の名前を持つまかないメシ、先入観を覆す鯉料理などなど。知れば知るほど、もっと何かあるんじゃないか、そんな期待が湧き上がってくる。
何より、広大な田園と遠浅の海を眺めながら走るドライブは、心を伸びやかにしてくれた。
できれば次はバルーンフェスタの時期に来て、広大な平野の空いっぱいに浮かぶ気球を眺めてから旅をスタートさせたい。それはきっと空の広さをめいっぱい実感できる佐賀ならではの旅になるはずだ。
今回のごきげんロードマップ
A.筑後川昇開橋/B.佐賀バルーンミュージアム/C.レストラン&カフェ浪漫座/D.海遊ふれあいパーク/E.お食事処 丸徳/F.清水の滝/G.鯉しげ/H.村岡総本舗 羊羹資料館/I.道の駅 大和/J.旅館あけぼの
「ごきげんロードトリップ」掲載自治体のご紹介
JAF Mate Onlineに掲載していないドライブコースやおすすめスポットなども掲載!
※JAF優待の内容や利用方法などの詳細は、記事内の各施設「JAF優待はこちら」をクリックしてください。JAFナビ
からも検索可能です。
※記載のデータは2024年10月現在のもので、料金は大人1名分(税込)です。変わる場合もありますので、お出かけ前にご確認ください。
取材協力=佐賀県、佐賀市・小城市
佐賀県、佐賀市・小城市の魅力たっぷり! ご当地名産品プレゼントに必要なキーワードはこれ!
ごきげんロードトリップで登場した佐賀県、佐賀市・小城市より、とっておきの名産品をプレゼント。応募にあたっては応募フォームにログインし、キーワードの入力が必要です。名産品プレゼントの詳細は、別公開となっている下記リンクにてチェックしてください。
プレゼント応募用キーワード
ムツゴロウ
佐賀県、佐賀市・小城市ドライブガイド
2.佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館
幕末から明治にかけて活躍し「日本赤十字社の父」と呼ばれる佐野常民の功績と三重津海軍所跡の歴史を学び体感できる展示施設。原寸大で再現された三重津海軍所の立体模型や大型スクリーンの4K映像は大迫力!
佐賀市川副町早津江津446-1
Tel.0952-34-9455
佐野常民と三重津海軍所跡の歴史館
3.シチメンソウ群生地
有明海の一部に自生するシチメンソウは、ヒユ科の一年草で世界的にも珍しい塩生植物。10月末~11月にかけて有明海沿岸を真っ紅に染め上げるシチメンソウは「海の紅葉」と呼ばれ晩秋の風物詩となっている。
佐賀市東与賀町下古賀
Tel.0952-45-1022(佐賀市東与賀支所)
5.ホテルニューオータニ佐賀
佐賀城跡のお濠と楠の青葉が織りなす風情ある景観に囲まれ、優雅な旅のひと時を過ごせるシティホテル。市の中心部に位置し、水郷柳川や吉野ヶ里遺跡、陶都有田の窯元めぐりなど観光の拠点として絶好のロケーションだ。
佐賀市与賀町1-2
Tel.0952-23-1111
ホテルニューオータニ佐賀
6.竹下製菓
九州のご当地アイスといえば竹下製菓の『ブラックモンブラン』! バニラアイスをチョコとクッキークランチで贅沢に覆ったザックザク食感がたまらない。佐賀市内にある「グリルタケシタ」では『ブラックモンブランソフト』が味わえる。
「グリルタケシタ」佐賀市駅前中央1-164 アパホテル佐賀駅南口1F
Tel.0952-25-3811
竹下製菓
7.からつバーガー さくら号
鉄道車両を改造した黄色の店舗が目じるし。駐車場にクルマを停めるとスタッフがオーダーを取りに来てくれるシステムだ。ハンバーグ、ハム、卵、チーズなど贅沢な具材と濃厚で甘辛いソースがマッチするスペシャルバーガーが絶品。
小城市三日月町長神田988
Tel.0952-73-4264
8.焼肉 森山 本店
佐賀産の特上和牛を育てる森山牧場による直営レストラン。厳選された森山牛がボリューム満点&熱々で提供される鉄板メニューや自分で焼く網焼きメニューなどがリーズナブルに楽しめるとあって大人気。
小城市三日月町長神田1038-5
Tel.0952-73-8030
9.ドライブイン一平
地元はもちろん県外からも多くのデカ盛り好きが訪れ賑わう有名店。看板メニューは大盛りカツカレー。サクサクの揚げたてカツにじっくり煮込まれたポークカレーが豪快に盛り付けられ、お皿からあふれるほど!
小城市三日月町久米1484-3
Tel.0952-72-6037
10.小柳酒造
文化年間(1804~1817年)創業、『高砂』の銘柄で知られる老舗の造り酒屋。貴重な文化遺産として母屋や仕込み蔵など13棟が国登録有形文化財に指定されている。事前に予約すれば、伝統が息づく酒蔵での見学や試飲も可能。
小城市小城町903
Tel.0952-73-2003
小柳酒造
11.須賀神社
標高約90mの城山に鎮座する須賀神社。急勾配が続く153段の石段を上りきると、本殿からは小城の城下町や眼前を流れる祇園川が一望のもと。さらに登山道を進んだ先の千葉城址は公園として整備され、展望や散策を楽しめる。
小城市小城町松尾3594
Tel.0952-72-7115
12.天山酒造
天山山系の名水を酒造りに生かす、歴史ある蔵元。銘酒『天山』をはじめ人気ブランドの日本酒を世界に送り出している。酒蔵や竪型水車は国登録有形文化財に指定。蔵見学(要予約)や撮影スポットでの記念撮影も楽しめる。
※土日曜祝日休
小城市小城町岩蔵1520
Tel.0952-73-3141
天山酒造
13.友桝(ともます)飲料
明治35年、小城市の小さなラムネ屋から始まり、今もおいしく遊び心に満ちた清涼飲料水を開発し続ける友桝飲料。工場見学はもちろん、ラベル作り体験やドリンク試飲などを楽しく学ぶことができる。
小城市小城町岩蔵2575-3
Tel.0952-72-5588
友桝飲料
14.白玉饅頭 元祖吉野屋
明治15年の創業時から秘伝の製法を守り、添加物・保存料不使用で作られる白玉饅頭。もちもちの皮に上品な甘さのあんこの絶妙な味わいを、出来たてで! 併設の和カフェでは川上峡の美しい景観を眺めつつパフェやぜんざいが楽しめる。
佐賀市大和町梅野173
Tel.0952-62-0235
白玉饅頭 元祖吉野屋
15.佐賀市徐福長寿館・薬用植物園
秦の始皇帝の命を受け不老不死の仙薬を求め渡来したという徐福の伝説が残る地で、その歴史ロマンや薬草にまつわる知識に触れられる施設。500種5万本の薬草木が植えられた園内では健康をテーマに講座やイベントも開催されている。
佐賀市金立町金立1197-166
Tel.0952-98-0696
佐賀市徐福長寿館・薬用植物園
16.古湯温泉ONCRI/おんくり
古来「美人の湯」と名高い古湯温泉。その源泉は泉温38℃ほどで、ゆっくり浸かれる「ぬる湯」が楽しめる湯治リゾートとして人気。天山を望む野趣豊かな露天風呂をはじめ、男女合わせて15種類の天然温泉を日帰り入浴でも楽しめる。
佐賀市富士町古湯556
Tel.0952-51-8111
古湯温泉ONCRI/おんくり
17.北山(ほくざん)キャンプ場
北部九州最大級の全79サイトを有し、オートサイト、ペット同伴や直火OKのサイトなど多様なスタイルのキャンプが楽しめる。新設のシャワー棟やサニタリー棟など設備も充実! 近接するレイクサイド北山は親子で遊べるアクティビティが満載。
佐賀市富士町関屋52-1
Tel.0952-56-3315
北山キャンプ場