恐怖体験イメージ
イラスト=北原功士

体験者が語る! 本当にあった怪奇談2024

怪談、怪奇談、不思議な話…すべて、実際に体験したJAF会員から寄せられた話です。

2023年に本サイトで公開され、反響が大きかった「本当にあった怪奇談」の第2弾。 JAF会員から寄せられた「本当にあった、体験した怪奇な話」から、50本を一挙掲載! さらに、怪談界をけん引する怪談・オカルト研究家の吉田悠軌氏にすべてのエピソードを精読していただき、特に気になる”特選怪奇談”について、語っていただきました。

目次

車での恐怖体験

人形を抱く少女

1.こんな時間に?

夜中23時ごろに車で帰宅中のこと。幼稚園の前を通過したときに、斜めの横道に三輪車に乗った幼児を発見した。危険を感じ徐行で通過したが、時間も時間なのに気づいて停車し、確認に戻った。だが、幼児も三輪車も見当たらなかった。(東京都・40歳代・男性)

2.その人の正体は

北海道でのドライブ中、山奥で道路工事の警備員に停止を命じられたが、その後発進してバックミラーを見たら、警備員の姿がなかった。(青森県・60歳代・男性)

3.車内に響く声

某県の山道を走行中のこと。 膝から血を流し、頭を抱え込んで倒れている女性が見えた。窓を閉め切っていたのに、車内に女性の「痛い、痛い」という声が大音量で聞こえた。突然のことに驚き、停車して降りようとしたが、あまりに不自然な状況に恐怖を覚え、急いで下山し、最寄りの消防署で説明。消防署の方は「よくあるんだよね…」と言いつつも、救急車を現地に向かわせてくれたが、30分後に救急隊員の方から「誰もいないし、血痕等の痕跡もありませんでしたが、女性物のカーディガンが落ちていました」と連絡が入った。その日は震えが止まらず眠れなかったし、その後3年間はその場所を通ることができなかった。今でもそこを通るときはドキドキするし、暗くなったらは絶対通らないようにしている。(茨城県・50歳代・男性)

4.危ないと思ったから…

運転免許の路上教習中に、中央分離帯におじいさんが立っていたのでスピードを緩めて通過したら、教官には見えていなかったらしく「なんでスピード落としたの?」と聞かれた。(愛知県・40歳代・男性)

5.今も見ている

今から40年ほど前、飲食店の駐車場に車を停めていたとき、誰もいないはずなのにルームミラーに女性の顔がはっきり写っていて、じっとこちらを見ていました。(愛知県・60歳代・男性)

6.この道は

カーナビなどがない時代、初めて訪れた場所にもかかわらず、走行中に右折した先にある自販機の種類とか、どんな建物があるかなどの景色が頭に浮かび、その通りの景色に遭遇したことがあります。(新潟県・60歳代・男性)

7.助手席にあったもの

車の助手席の座面の真ん中に、大きな水滴があった。窓やサンルーフは開いておらず、洗車もしていないし、ペットポトル等の水も持ち込んでいない。その一度きりで、今でもなぜかわからない。(福井県・60歳代・男性)

8.ロードサービス隊の出番です

出かける前日に、バッテリーが上がりエンジンがかからなくなる夢をみた。まさにその場所で「夢に見た場所だな」と思ったら、本当にそこでバッテリーが上がりエンジンがかからなくなったのでJAFを呼びました。(兵庫県・50歳代・男性)

9.あおり運転、ダメ、絶対

夜中に脇道のない山中の一本道を走っていたら、突然後ろからクラクションであおられた。車を道路の端に寄せてやり過ごそうとしたが、いつまで経っても後ろから車は来ない。再発進をして走っていたら、また同じように煽られたので、車を止めて待っていたが、やはりなにも来なかった。(神奈川県・60歳代・男性)

10.小さな女の子

私は路線バス運転者です。たまに不思議なことに遭遇します。とある病院が終点となるルートを実走中、終点近くで誰もいないはずの車内から「すみません!」という女性の声が。こちらが「はい。何でしょう?」と返事をしても何も返ってきません。あるわけがありません。誰もいないのですから。ああ出たなと思いましたが、不思議と怖くはなかったです。その後、2度同じ体験をしました。また、会社の休憩所に自動販売機がありますが、そこの横に人形を抱いた小さな女の子がちょこんと座っているのを何人も見ています。気にしない人には笑い話ですが、夜に休憩所で一人になった時はさすがに怖いものがあります。
(広島県・50歳代・男性)

11.警告の声

一人で細い道を乗用車で走行していたら、ほかにだれも乗っていないのに突然耳元で「危ない」とささやかれた。とっさにブレーキを踏んだら、道路から人が飛び出してきた。ブレーキをかけていなければ事故になるタイミングでした。(三重県・60歳代・男性)

12.カリカリ…カリカリ…

某県をドライブした、フロントエンジンあたりからカリカリと引っ掻くような音が時折聴こえるようになった。ボンネットに猫でも紛れ込んだかと思って探しても見つからない。車検時に聞いても何も異常はないと言われる。そんなものかと思い、しばらく放置していたが、だんだんと音が強くなってきたように感じていた。ある日、眠気覚ましの飴玉をうっかりシート下に落とした。拾おうとして探したが見つからず、諦めた。妙な音はそれから聞こえなくなった。(神奈川県・30歳代・男性)

13.深夜の笑い声

真夜中に友人5人であるダムにドライブに行った。駐車場からダムのほうを見ると、ダムの上で小学生ぐらいの女の子2人が笑い声を上げて走っていたのを全員が目撃した。急いでそこに行ってみたが、誰もいなかったし、ダムの上で隠れる所もなかった。(宮城県・60歳代・男性)

14.奇妙なルームミラー

自分しか運転しない車のルームミラーが、乗るたびに違う方向にずれていた。1週間ほど同じ現象が続いた。原因はわからないまま。(佐賀県・30歳代・女性)

15.アメリカの砂漠で

アメリカを旅行中の夜、砂漠の中の一本道を走っていたら、上空をものすごいスピードで飛行するUFOに遭遇した。目で見たら星に見えるが、カメラのズームレンズでアップにするとひし形で周りの大気が歪んだような飛行物体だった。真っ暗な砂漠の中で他に車がいなかったので、車ごと連れ去られるのではないかと怖かった。(千葉県・50歳代・男性)

目撃したものは…

16.未確認浮遊物体

夜、彼女の家の近くで車を停めたとき、ぐにゃぐにゃした物体が電信柱の高さに浮遊していた。何かと思い追いかけると、森の中に逃げ込んでいったので、怖くて追いかけることをやめた。(静岡県・60歳代・男性)

17.飛行機の後方に

夕方、車で空港の横を走行中に、ちょうど旅客機が離陸しているところに遭遇。しばらく並走する形になり、なんとなく気にかけていると、突然旅客機のすぐ後方に白色に輝く光の玉が現れ、その光が10秒ほど飛行機の後方を追跡するようについて行ったかと思うと、急に垂直に上昇してあっという間に見えなくなりました。尋常ではないスピードでした。(福岡県・70歳代・男性)

18.燃える紙のようなもの

紙のようなものが燃えながら目の前にフラフラと落ちてきたことがあった。その日は十数キロ離れた場所に隕石が落ちたとの報道があったので、その残りカスかもしれないと思った。(兵庫県・60歳代・男性)

19.死骸の正体は

小学生の頃、通学路でランドセルと同じくらいの大きさのカエルのような生き物の死骸を見つけた、学校に着いてから皆に話しても信じてもらえませんでした。しかし、自分より10分くらい後に登校してきたクラスメートも自分と同じことを言っていたため、朝礼の後に数人で抜け出して見に行くことになりました。2人が見た場所に行くと、何の痕跡もなく死骸は消えていました。見に行ったクラスメートからは2人で話を合わせたと思われましたが、まったくそんなことありません。(群馬県・30歳代・男性)

20.そこに、いた

以前住んでいたマンションでのこと。当時2歳の息子がリビングルームでクルクル回りながら踊っていたのでビデオで撮影。撮ったものを確認すると、息子の後ろに白いスカートをはいた白い足が映っていた。(神奈川県・40歳代・女性)

21.大きい犬も、小さい犬も、私に吠える

20年前に夫の実家に行ったときのこと。リビングに茶色の小さな犬がいて、私を見るとすぐにソファーの後ろに隠れました。義母に「犬を飼い始めたのですか?」と聞くと「飼っていないよ」との返事。後日、私が道を歩いていると、多くの散歩中の犬が私を見ながら牙をむいて吠え、後退(あとずさ)りするのです。飼い主がリードを引っ張って止めてくれましたが、大きい犬も小さな犬も、そして庭にいる犬も塀越しに私に吠えかかりました。それまで犬に吠えられたことのなかった私は不安になり、高野山で修行をしたという方に相談にいったところ「犬ではなく、悪意のあるモノ(名前は忘れてしまいました)が憑いている」ということで、お祓いをしてくれました。「今後そういうものが見えない方がいいか?」と聞かれたので「見たくない」と答えると、「今後見えないように」してくれました。(高知県・60歳代・女性)

22.朝の食卓に現れた

明るい朝日の中で、テレビのニュースを見ながら家族と朝食中、突然、食卓の脇に白い霧状の人のような形の物が現れたことがあります。現れていた時間は数秒間、上のほうから消えて行きました。家族も見たので幻視ではありません。見たのはその一度限りです。(静岡県・70歳代・男性)

23.本当に怖いのは…

私がまだ5~6歳の頃、真夜中になぜかふと目が覚めて、目を開けていると、隣で寝ていた父の布団の上あたりに、白い服を着た髪の長い女性が、宙に浮いた状態で立ったまま窓の外を見つめていました。時間にして10秒ほどだったと思います。私は体がまったく動かず、声も出せないでいると、その女性はすーっと窓の外のほうへ消えていきました。翌朝、そのことを母に伝えたところ「多分その人、お父さんと昔付き合いがあった(父が一方的に好意を寄せていた)女性だと思う。生き霊じゃないかなぁ」と、何のためらいもなく教えてくれました。これが、私が人生で唯一経験した不思議な体験です。(愛知県・30歳代・女性)

24.黒い影が動く

5mほどの幅の道路で、最初は並んだ電信柱の影と思っていた黒いものが、1本だけ影が伸びてきて道路の端と端につながり、最後には反対側から縮んでいき、なくなりました。5~6m程のヘビが横断したかのような現象ですが、この辺にはそんなに大きなヘビはいないはず。(青森県・70歳代・男性)

25.テニスボールくらいの

自宅で昼間にテレビを見ていたら、天井近くにテニスボールぐらいの、白くまわりが毛羽だったようなものが浮いていた。それは見られるのを待っていたかのように、私の頭の上のほうに動いて通り過ぎた。振り返ると何もなかった。(滋賀県・70歳代・男性)

26.あの日見たものは

子供の頃、夜に母の実家から帰る道すがら、100mほど右側の山すそに沿って、無数の赤ちょうちんが見えた。周りは静かで、お祭りではなさそうだった。母に「あれ何?」と問うと、「狐の嫁入りだわ」と母は答えた。あれから、五十数年、母はとっくに亡くなったが、ふとした機会に姉にそのことを話すと、「ああ、あの時二人はなにを言っているのかと思った」とのこと。あの時姉も一緒にいたが、姉にはそんな赤ちょうちんは見えていなかった。(愛知県・60歳代・女性)

27.朝が来て、理解した

中学生のとき、仲間4人と徹夜して試験勉強をしていたら、前の家の屋根に白いものが立っているのを全員で見ました。明け方近く、その家が騒がしくなり、その家のおばあちゃんが亡くなっていました。(長崎県・60歳代・男性)

28.姉ちゃん

小学生のときの話。2階の長姉の部屋に、二番目の姉と私の二人で「姉ちゃん、晩ご飯だよ~」と呼びに入ると、薄暗く豆球がついた部屋の中に、こたつから顔だけ出した状態の長姉がいました。階段から降りると、長姉は台所で料理の手伝いをしていました。(大分県・50歳代・男性)

29.それはゼリーのような

ある大きな川の上流にある町の旅館に一人で泊まったとき、深夜、人の形をしたゼリーのような半透明のものがふすまの前に立っていた。見たとたん総毛立ち、体は金縛りにあったようになりまったく動けなくなった。翌朝、宿の人にこの話をしたら、昔川の氾濫で人が亡くなっている、とのことでした。(千葉県・70歳代・男性)

30.「あの人、なんだかおかしくない?」

小学校5年のとき、友達3人とお墓の横の公園で遊んでいたら、変な人がいた。「あの人、なんだかおかしくない?」と友達に聞いたら「頭がなくない?」と言われた。1分ぐらい3人で見ていたが、本当に頭がなかったので、急いで逃げた。(東京都・40歳代・男性)

31.僕にも見せて

深夜0時頃、電気を消した真っ暗な部屋で、ベットの中で携帯ゲームをしていて、ふと顔を上げると見ず知らずの男の子が画面をのぞいていた。驚いていると、その子も顔を上げて目が合った。次の瞬間、まばたきしている間にいなくなっていた。(大阪府・40歳代・女性)

不思議な出来事

32.後ろにいたのは

深夜11時頃、一人で遅い夕食を食べていたとき、背筋がゾクッとしたかと思ったら荒い「ハーハー」という息遣いが2回、すぐ後ろで聞こえた。後ろを振り返って見ても誰もいなかった。(広島県・60歳代・男性)

33.嫌な感触がした

夕方、自転車で信号待ちしていたとき、首回りに何かネチネチした感じがしたので触ってみたらスライムのようなものが、手についた感じがした。(三重県・60歳代・男性)

34.対観光客特化型能力

初めて行った北海道旅行のとあるお土産屋さん。そこの男性店主さんが「僕は観光客がどこから来たかわかる」と言うので半信半疑で当ててもらったら、本当に県だけでなく市まで当てられてびっくりしました。お土産を買って帰りました。(愛知県・40歳代・男性)

35.夏休みの友達

小学4年生の夏休みの夜、テレビを見ていたら、肩を叩かれ女の子の声で「おもしろい?」と聞かれた。その後も「おかしいね」「フフフ」という同じ女の子の声が何度か耳元で聞こえたが、その年の夏で終わった。(福島県・50歳代・男性)

36.目撃者は一人

父の葬儀の後、親族が父の思い出を語り合っていたとき、何げなく見ていた花入れの松の枝がお辞儀をした。枝が前に少し倒れ、そのあと元に戻ったのを見てびっくりし、周囲の人にそのことを伝えたが、誰一人見ていなかった。(香川県・60歳代・男性)

37.シンクロニシティ

私が怪獣のフィギュアを購入し、箱を開封した時点でフィギュアの首が取れていたら、知っている人間が必ず亡くなります。過去に3人亡くなりました。(高知県・40歳代・男性)

38.猫の行き先

ずいぶん昔、まだ猫の室内飼いが普通でなかった頃のこと。早朝に、かわいがっていた猫が外から血まみれで帰って来る夢を見て飛び起きましたが、その日からその猫は帰ってきませんでした。(京都府・60歳代・女性)

39.何かが私の体内を

米国出張でホテルに泊まった際、寝ているときに金縛りで動けない状態になり、何かが体内を下から上にスキャンするように通り抜けていった。霊に通り抜けされたと感じた。(兵庫県・60歳代・男性)

40.空中から

子供のとき、道を歩いていると急に空中から現れた荒縄が鞭のようにパシッとほっぺたをかすって消えた。(神奈川県・80歳代・男性)

41.そして今も住んでいる

2、3年前から住み始めたアパートで、明らかに自分のではない長い髪の毛が落ちていることが度々ある。自分はショートヘアだし、まだほぼ来客もないし、一応まめに掃除もしているつもり。どこからきたのか……。(岩手県・50歳代・女性)

42.足音が聞こえた

妻と二人で、神社に参拝したときのことです。拝殿で手を合わせていると、後ろから砂利を踏む足音が近づいてきてすぐ後ろで止まりました。「参拝に来た方が後ろに並んで待っているな」と思い、最後に一礼して脇に移動して振り返ったら誰もいませんでした。隣で参拝していた妻も後ろを見ながらこちらにきたので「聞こえた?」と聞くと「誰かいたよね。足音聞こえたよ」と言いました。二人で「不思議だね」と話しながら境内のご神木の大ケヤキを見上げていると、空に龍の形をした雲が流れて行くのが見えました。(埼玉県・60歳代・男性)

43.こっちへおいで

子供の頃、なぜか朝早くふらふらと家から出て行ったことがある。両親が異変に気づき家に戻してくれたので事なきを得た。私は「白い服を着たきれいな印象の女性に手招きされた方向に歩いていた」夢を見ていた記憶があるが、両親曰く「家の外の電信柱に向かってボーッとしていた」そうです。あれは単なる寝ぼけだったのか、それとも何か怪奇現象だったのか……?(神奈川県・60歳代・男性)

44.「あー、また誰もいなくなった…」

幼稚園の頃、昼休みに外に出て遊んでいると、急にあたりが薄暗くなり、さっきまで遊具で遊んでいた友達が一斉にいなくなり、私一人しかそこに存在していないということが毎日のようにあった。意地悪をされて友達が隠れているとかのレベルの人数ではないし、隠れる場所もない。私は皆を探して歩き回るが誰もいなくて、でも不安感はあまりなく「あー、また誰もいなくなった……」という感じで、ふとした瞬間にまた何事もなかったように友達の姿が現れていた。信じてもらえないだろうけど、私一人だけ毎日、異次元に迷い込んでいたのではないかという体験だった。(秋田県・60歳代・女性)

45. お墓参りでのこと

小学生の頃の夏休み、家族で母親の田舎のお墓参りへ行ったときのことです。この地域では卒塔婆の代わりに、和紙にお経を書いた小さな幟(のぼり)が各お墓に立っているのですが、お墓の掃除をしていると墓地の中心から幟が放射状にたなびいてるのに気が付き、一緒に行った父親に伝えるとすぐに帰ることとなりました。その墓地は不思議な形で、すぐ隣に小さな小高い山があり頂上には祠が建っていました。最近の調査で、墓地を含めた一帯が前方後円墳だということがわかり、発掘調査が進んでいるようです。(東京都・60歳代・男性)

46.急激な睡魔に襲われ

日中、急激な睡魔に襲われうたた寝していると、祖父が自宅を出て杖をついて歩いていくも、そのままそこで倒れ、周りにいた人に介抱されて病院に運ばれる……という夢をみました。後に、ちょうどその時刻に実家で祖父が倒れたという連絡が入りました。(東京都・50歳代・女性)

47.床下から響く音

ある地域の現場に配属され、その会社の寮でもあった墓場の横のアパートに入居したときのこと。窓の外には、墓石や五輪塔が見え、線香の匂いもしている部屋でした。引っ越した日に床に布団を敷いて寝ていたら、1階なのに床下からドンドン叩く音がするのです。しばらくすると、玄関のドアノブをガチャガチャする音がして、そのドンドンとガチャガチャが繰り返されるのです。恐ろしくなって逃げ、上司に泣きついて住居を変えてもらいました。後で分かった事ですが、そのアパートの敷地は宅地開発前、土葬の墓地だったとのこと。その後、この部屋に住んだ人も逃げ出していたみたいです。何か月かして、恐怖も若干薄れた頃に、この話に興味を持った友達の女の子を連れて車で近くまで行ったら、急に虚ろな目になって「火葬は嫌だ、土葬がいい…」と、ぼそぼそと言いはじめ、何かが取り憑いたような状態に。急いで現場を離れてしばらくすると、彼女は普通に戻りました。あれから、20年近くたちましたが、近くを通ることがあっても、そのアパート付近には、二度と近づいておりません。100%本当の話です。(三重県・年齢未回答・男性)

48. 冬山、テントの周りで

趣味の登山で、一人で冬山へテント泊に行ったときのこと。夜寝ていたら、テントの周りでアイゼン(靴に装着する金属製の滑り止め)を付けた人が歩き回る足音で目が覚めた。深夜12時くらいだったが「早く出発して山頂に向かう人がいるのか?」と思っていたが、それにしては私のテントの周りをグルグルと歩いているし、ライトの明かりも見えない。気味が悪いと思いながらしばらく様子をうかがっていると、テントの周りをグルグル歩きながら、立ち止まっては水を注ぐような音がしだした。「寝ぼけて人のテントに小便でもしているのか?」と思い、注意してやろうとテントから出ても誰もおらず、テントの周りには水を注いだ跡はおろか、足跡もなかった。周囲には自分以外は誰もいなかったので、いまだにあれは何だったのか不明。その場所は何度も行っている場所だったが、体験したのはその1回だけ。(新潟県・30歳代・男性)

49.宝くじが的中!

夢で見た数字で6桁の数字を選べる宝くじを買ったところ、数字4つとボーナス数字が的中した。あと2つの数字は途中で目が覚めて覚えていなかった。(埼玉県・60歳代・男性)

50.ここに、あるよ

父親が亡くなって、生命保険の請求手続きを行おうとしたときの話。生命保険証券が家中捜しても見当たらず、途方に暮れていた。疲れてウトウトと寝てしまったときに、夢の中で「ここにあるよ」と証券のありかを教えてもらった。(兵庫県・50歳代・男性)

実話怪談の旗手、吉田悠軌の
特選怪奇談!

こんにちは、吉田悠軌です。私はここ20年ほど「実話怪談」の活動を続けております。実話怪談とは、不思議な体験をした人の体験談を取材し、それをまた他の人々に語りなおすという怪談の一ジャンル。作家が考えた創作物ではなく、実際に存在する体験者の話だというのがポイントです。

実話怪談は1990年代に始まった運動ですが、年を追うごとにだんだん知名度が上がり、特にここ数年は他業界からも「怪談ブーム」と呼ばれるほどの大人気に。今では数えきれないほど多くの語り手たちが書籍やイベント、ネット配信にてさまざまな話を披露しています。実話怪談の良さは、誰でもすぐに始められること。自分の体験談、自分が人から聞いた話を発表すれば、あなたもすでに実話怪談の語り手なのです。

こちらに寄せられた「怪奇談」も、まさしく実話怪談そのものです。どれも実際の体験談ならではの怖さとリアリティーがあり、ぜひとも私に取材させてもらいたい話ばかりでした。

特に怖かったのは、2階にいるはずのないお姉さんを見た話(28)。豆球の薄暗がりの中、こたつから姉の顔だけがひょっこりと出ている……。めくれた布団から姉のようで姉でないものの「顔だけ出ている」情景が、まことに不気味で背筋を寒くさせられます。ニセモノの姉は、うつ伏せなのか真正面にこちらを見つめていたのか、その表情はどのようなものだったのか、こたつの中の体はどうなっているのか、いやそもそも体が存在しているのか。いろいろと想像がふくらみます。

墓地の幟が放射状にたなびいていた話(45)は、小さな怪現象ながらもその裏に巨大な背景を予感させます。墓地の下は大きな古墳であり、中心から四方八方に風が吹くことがある。そんな時は、なにか悪いことが起こるのでしょう。すぐに帰ろうと言った父親は、この地にまつわる秘密をいろいろと知っていたのかもしれません。

怪獣のフィギュアの首がとれていると知人が亡くなる話(37)は、なんとも意味不明ですがその不条理さこそがいい。なぜそんなことが起こるかの因果関係はいっさい不明だが、とにかくそんなことが起こってしまったのだから仕方ない。説明などできなくてもいい、というより説明できないし無理に説明しないほうが怪談として面白い。ひたすら「あったこと」について生々しく語るのが実話怪談の醍醐味なのです。

5~6m程の黒いヘビのようなものが横切った話(24)もまた、正体不明だからこその怖さがある。実体験はミステリー小説とは違います。怪現象の正体や原因などは最後まで解明されないことが多いし、怪談にとってはそれが逆に効果的です。また黒いものを「最初は並んだ電信柱の影と思っていた」という体験者さんの細やかな視点もグッド。こうしたディテールを描写してくれると実話ならではのリアリティーがぐっと高まります。

細やかさでいうなら、父の葬儀で松の枝がお辞儀をした話(36)。怪現象については小さなことしか起きませんが、「花入れの松の枝が前に少し倒れ、そのあと元に戻った」というディテールが素晴らしい。むしろ些細な怪現象だからこそ、それをじっと見つめる精密描写が静かな抒情を漂わせる。この時、体験者さんの前では親族が亡き父の思い出を語り合っていた。その向こうで松の枝が少し倒れ、元に戻った。それを一人だけで見ていた体験者さんは、父が死んでも魂は残っているのだと感じたことでしょう。実話怪談とは、そうした想いを伝えるのに最も適したジャンルなのです。

それと好対照なのが、山道を走行中に奇妙な女を見かけた話(3)。実話を劇的に見せるための、フリからオチへの構成がうまい。膝から血を流して頭を抱えている女、「痛い、痛い」という声が大音量で車内に響いたこと、「よくあるんだよね……」という消防隊員の言葉が恐怖のボルテージを高めていく。そして現地にカーディガンだけが落ちていたというオチのおぞましさ。この部分は創作では思い付けない、まさに実話ならではの凄みです。また、その山道を通らなくなったことに言及して話を終えるラストも効果的。実体験談から外れず(創作を加えず)、しかし物語として上手に語る技量もまた、実話怪談では大切になります。

皆さんの怪談が素晴らしくて、ついつい熱く長ったらしく解説してしまい……申し訳ありません。他のお話も怖く面白く読ませてもらいました。これを機会に、皆さんが実話怪談というジャンルにもっともっと親しんでいただけたら幸いです。

吉田悠軌

よしだ・ゆうき 1980年、 東京生まれ。現代オカルト文化、特に「怪談」についての調査と研究を行っている。人々の不思議な体験談を取材する「実話怪談」については2005年より活動開始。これまで数千話を収集しつつ、再構成した実話怪談を語りと執筆により発表し続けている。
怪談サークルとうもろこしの会会長。『月刊ムー』に連載中。オカルトスポット探訪マガジン『怪処』編集長。
著作は『教養としての最恐怪談』(ワン・パブリッシング)、『ジャパン・ホラーの現在地』(集英社)、『現代怪談考』(晶文社)、『一生忘れない怖い話の語り方』(KADOKAWA)、『オカルト探偵ヨシダの実話怪談』(岩崎書店)、『一行怪談』(PHP研究所)、『禁足地巡礼』(扶桑社) など。『怪事件奇聞録』(竹書房)が8月29日に刊行予定。

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