JAFロードサービスカー図鑑

レッカー車は、さまざまな救援に対応可能なJAFロードサービスカーの主力車種!

File No.1 レッカー車

2024.04.09

構成=ダズ/レポート&動画=吉川賢一/写真=渡部竜征

2024.04.09

構成=ダズ/レポート&動画=吉川賢一/写真=渡部竜征

パンクや落輪、バッテリー上がりなど、クルマに関するトラブルからドライバーを救援するJAF(一般社団法人日本自動車連盟)。60年以上の実績と高い品質を誇るロードサービスを行うユーザー団体だ。JAF会員ならではの充実した会員優待も魅力。二輪車のライダーや、クルマのドライバーにとって心強い味方だ。ロードサービスカーといえばレッカー車が代表的だが、JAFには、他にもさまざまなタイプのロードサービスカーがある。そんなJAFのロードサービスカーを詳しく紹介していこう。

ロードサービスカーは救援内容に応じた多彩な車種が揃う

今回の撮影場所は、東京都多摩市にあるJAF中央研修センター。JAFに入社したロードサービス隊員が技術を習得したり、新型車両の構造について学ぶ技術研修を行うほか、JAF独自のイベント会場としても使用されている。そこに、東京地区に配備されているさまざまなロードサービスカーを揃え、ロードサービス隊員に車両の特徴を説明してもらった。

ブルーとホワイトの2トーンカラーで彩られたこれらのロードサービスカーは、作業工具やカラーコーン、三角表示板、ジャッキなどを車載しており、パンク修理やバッテリー上がり、キー閉じ込みなどの基本的な救援作業はどの車両でも可能とのこと。ただ、それぞれのロードサービスカーでなければできない救援作業があるため、内容によって使い分けているそうだ。

タイプ別JAFロードサービスカー5台の集合写真

左から、軽作業用サービスカー(バンタイプ)、EV充電サービスカー、レッカー車、バイクを積載可能な多目的車、車積載車。どのサービスカーであってもパンク修理やバッテリー上がり、キー閉じ込みなどの救援作業が可能

JAFロードサービスカーの中心的存在! 故障車を安全に運ぶレッカー車

JAFのレッカー車最大の特徴は、後ろ側にある黄色の巨大なレッカーブーム。レッカーブームの操作は、車両後方の左右にある5つのレバーで行う。安全確保のため、通常は歩道側となる左側のレバーで操作するが、状況によっては右側のレバーでも行う。レッカー対象車両の車高やサイズに合うように、レッカーブームの位置や角度を調整することで、安全かつ丁寧な操作をすることができる。

レッカー車のフロント7:3外観写真

JAFロードサービスカーの主役といえばこのレッカー車。スカイブルー、ホワイト、イエローを組み合わせた印象的なボディカラーは、作業中に追突されないよう、視認性の良さも考慮されている

レッカー車のリア7:3外観写真

車両後部に設置された黄色いブームがレッカー装置

レッカー車の正面外観写真

レッカー車の真横外観写真

レッカー車の真後外観写真

現場での応急処置に対応できるよう、想定される工具や装備を満載

車両各所に設置されている収納ボックスには、パンク救援作業などで使用するコンプレッサーとエアタンク、石鹸水、エアゲージ、軽作業用の工具類などが積まれている。レッカー車での救援時は、対象車両はボディが破損していたり、エアバッグが展開していたり、タイヤが外れていたりと、さまざまな状況にあるため、現場での応急処置にも対応できるよう、想定される工具はほぼ用意しているとのこと。

また、レッカー対象車両が四輪駆動車などの場合は、ドリーという台車を用いてレッカー作業を行う。コンパクトカーでも四輪駆動の場合もあるため、駆動方式を判断する際は、必ずクルマを下から覗いて確認する。

荷台に積まれている小型タイヤは、四輪駆動車を移動する際に使用するドリー(台車)

荷台に積まれている小型タイヤは、四輪駆動車を移動する際に使用するドリー(台車)

作業性を考え車両後方の左右に設置されているレッカーブームの操作レバー

作業性を考え車両後方の左右両側に設置されているレッカーブームの操作レバー

救援対象車がパンクしている場合に備えてエアタンクも搭載

救援対象車がパンクしている場合に備えてエアタンクも搭載

燃料切れを起こした救援対象車に給油するための燃料タンク(携行缶)

燃料切れを起こした救援対象車に給油するための燃料タンク(携行缶)

救援対象車のタイヤを固定するためのベルト類

救援対象車のタイヤを固定するためのベルト類

軽作業用工具などの救援グッズは一式備えている

軽作業用工具などの救援グッズは一式備えている

後方へ向かって照射する後方照射用ランプ

後方へ向かって照射する後方照射用ランプ

夜間作業でも救援作業が行えるよう大型照明も搭載

夜間作業でも救援作業が行えるよう大型照明も搭載

作業中は蛍光板を点灯し、後方からの追突事故を防ぐ

作業中は蛍光板を点灯し、後方からの追突事故を未然に防ぐ

「迅速かつ丁寧」に行われるレッカー作業

では、レッカー作業の手順について、JAF東京支部 港基地の髙山隊員に説明してもらおう。
―― 髙山隊員
まずは救援対象車を入念に確認し、前述したように、ドリーが必要になる四輪駆動車なのか、駆動輪を浮かせれば転がすことができる二輪駆動車なのか、を見極めます。その上で、前輪駆動車の場合は救援対象車の4~5mほど前にレッカー車を止め、レッカー車を後退させて位置を合わせます。

レッカー車の位置が決まったら、レッカーブームを伸ばして、救援対象車のタイヤをレッカーブームに確実に固定します。固定できたらタイヤをゆっくりと浮かせ、最後に、救援対象車のサイドブレーキを解除しシフトをニュートラルに入れて、レッカー移動を開始します。

作業時間はおよそ15分程度。JAF髙山隊員によると、重要なのは「迅速かつ丁寧な作業」だそう。作業場所は交通が多い道路や、高速道路の路肩という危険な状況も多いため、速やかに作業を進める必要があるとのこと。

JAF東京支部 東東京ロードサービス隊港基地の髙山真樹隊員

車両概要やレッカー作業の手順などを説明していただいたJAF東京支部 東東京ロードサービス隊港基地の髙山真樹隊員

レッカー作業風景

作業①:救援対象車の4~5mほど前にレッカー車を止めて位置合わせをする

作業①:救援対象車の4~5mほど前にレッカー車を止めて位置合わせをする

作業②:レッカーブームを救援対象車の前輪に当たるまで伸ばす

作業②:レッカーブームを救援対象車の前輪に当たるまで伸ばす

作業③:金具を組み合わせ、救援対象車の前輪をレッカーブームに載せる

作業③:金具を組み合わせ、救援対象車の前輪をレッカーブームに載せる

作業④:安全確認をしながらゆっくりと前輪を浮かせ、ベルトで固定する

作業④:安全確認をしながらゆっくりと前輪を浮かせ、ベルトで固定する

迅速・丁寧なレッカー作業の詳細はこちらの動画をチェック!

災害時には「災害救援車両」としても活動するというJAFのレッカー車。取材させていただいたJAF髙山隊員は、「クルマに異常が発生し動けなくなってしまった場合には、自分で何とかしようと考えず、ぜひともJAFを頼っていただきたい。道路上は非常に危険な場所ですので、安全な場所に避難して、救援を待ってください」とのこと。

<次回予告>
次回は5月9日(木)公開予定。
JAFサービスカーの中でも機動力が高い「軽作業用サービスカー」を紹介します!

この記事のキーワード
この記事をシェア

この記事はいかがでしたか?

関連する記事Related Articles