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大地震、津波、台風、ゲリラ豪雨、落雷、大雪…。いざという時に命を守る車の防災

災害発生時の対処法と防災用品を紹介!

2023.09.01

文=津島 孝

2023.09.01

文=津島 孝

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

地震による道路の陥没や崖崩れ、台風やゲリラ豪雨による水没、大雪による長時間の立ち往生など、災害による被害のニュースは季節を問わず流れてくる。いつどこで自分が被災するかわからない。そんな災害から大切な命を守るために、運転時における災害発生への対処法をぜひ知っておこう。

~巨大地震編~ まずは慌てず安全に車を止め情報収集!

地震による道路損壊のイメージ画像

車を運転中に地震が発生した場合、おおむね「震度4で揺れに気づき、震度5強で運転が困難になる」(国土交通省静岡国道事務所)といわれている。大きな揺れを感じたら、急ブレーキなどの操作は避け、まずは慌てず安全に車を道路の左側に止める。なるべく揺れが収まるまで車内で待機し、スマホやラジオなどで情報を入手して次の行動を。

「大きな揺れだ! 道路左側に停止」イラスト

車を運転中に大地震が起こったときは、周囲の安全を確認して減速。発生直後は周囲の車が地震に気づかないことがあるので、慌てて「自分だけ速度を落とす」とかえって危ない。周囲の状況を確かめながらハザードランプを点滅させ、できるだけ安全な方法で道路の左側に車を止める。

「揺れが収まるまで車内で情報収集」イラスト

車を停止させても、いきなり車外に飛び出すのは危険。後続車と接触したり、建物からの落下物があるかもしれない。危険がなければそのまま車内に待機。適切な行動をとるために、ラジオやテレビ、スマホで地震情報や道路情報をチェックする。

「徒歩避難の際は車内にキーを置いておく!」イラスト

発災後は、できるだけ運転しない。津波などの二次災害のおそれがあり、運転を続けるときは、道路の陥没や崖崩れ、火災などに注意。夜間は停電で周囲が暗く、信号機が作動していないこともある。歩行者の飛び出しに気を付ける。やむを得ず車を道路上に置き、徒歩で避難するときは、エンジンを止め、サイドブレーキをかけ、窓を閉める。ドアはロックせず、緊急車両や救援車両が通行するときに移動させられるように、車内にキーを置いておく。

巨大地震発生時の対処法は、こちらもチェック!


~津波編~ 海岸や川から離れ、とにかく高い所へ避難!

津波のイメージ画像

大地震後に沿岸部で発生しやすい津波。津波による被害を避けるには、とにかく高台に逃げること。海岸や河川付近では、避難指示や津波警報を待たずに移動する。周囲に高台がなければ、3階建て以上の建物を見つけ避難。津波は想像以上に早く、速度が落ちる陸地でも時速約40㎞(国土交通省四国地方整備局)のため、車だからと大丈夫という油断は禁物。

「津波警報だ! 高い所へ逃げろ」イラスト

車を運転中に地震による強い揺れがあり、「津波警報」が発表されたら、いち早く海岸や川から離れ、可能な限り高い場所へ避難する。たとえ揺れを感じなくても、津波警報があれば直ちに避難を開始する。避難場所まで距離がある場合や、すぐに避難しないと危険な場合は、そのまま車で安全な場所まで避難。

「なるべく車を使わない」イラスト

警報が発表された後に避難する際は、地震による道路の損壊や交通状況の悪化、さらに渋滞による避難の遅れなども予想されるため、基本的に車を使用しない。最寄りの津波避難場所や津波避難ビル、高台などへ徒歩で避難。津波の危険がある場所には、避難経路や避難ビルを示す津波標識が設置されている。ただし、高齢者や子どもと一緒など、車を使わないと避難が難しい場合は車で避難。

「信号機が作動していないかも」イラスト

津波から避難するためやむを得ず車を使用するときは、道路の損壊、道路上の障害物などに注意しながら運転する。とくに夜間は注意が必要。地震の影響で信号機が作動していないことや、歩行者の道路への飛び出しなど、あらゆる危険を想定する。

津波発生時の対処法は、こちらもチェック!


~台風編~ 増水による川の氾濫や土砂災害などに注意!

台風による河川の増水イメージ画像

台風が接近すると、大雨による視界の悪化や強風による車体のふらつき、横転などの危険が増し、交通にも大きな影響を及ぼす。接近時は外出を避けるのが原則だが、どうしても運転するときは速度を落として安全に配慮し、増水した河川の近くや冠水した道路の走行はとにかく避ける。台風の直後は山崩れなどの土砂災害が起こることがあるので注意。

「危険を感じたら運転は避ける」イラスト

勢力が強い台風が接近すると、大雨、暴風、高波などで広い範囲に被害が及ぶ。しかし台風は前もって接近がわかるので、被害を最小限に抑えることができる。できるだけ車の運転は控えたいが、やむを得ず運転するときは、気象情報や災害情報を要チェック。

「最も安全な経路を選ぶ」イラスト

大雨のなかでは視界が悪く、スリップ事故も起こりやすい。停電による信号機の作動停止や道路の損壊などの可能性もある。突発的なアクシデントにも即座に対応できる速度で走り、より安全な経路を選ぶ。

「水害の危険があれば回避」イラスト

車を駐車する場合は、河川の氾濫や洪水などの危険がないかをよく確かめる。普段から「ハザードマップ」を見て、想定される危険や避難ルートを確かめておく。水害の危険がある場所は、できるだけ通らない。

台風で発生する災害① ~突風~

「強い風が吹くと車はふらつく」イラスト

秒速20mを超える強い風が吹くと車の走行は困難で、スリップやふらつきによる事故も起こりやすい。さらに風速が増すと駐車中の車が横転することもある。都心部の高層ビル街では、とくに風の勢いが強まる。可能であれば屋内の駐車場に避難。山の谷間にかかった橋や高速道路のトンネルの出入り口は突風が吹きやすい場所。通行するときは速度を落とし、風にあおられても対処できるように。

台風で発生する災害② ~土砂災害~

「崖のひび割れ! 異変に注意」イラスト

「土砂災害警戒情報」に注意。大量の雨で地盤が緩み、土砂崩れや崖崩れなどが発生しやすくなるので、危険を感じる道路は走らないのが鉄則。土砂災害は山間部に多いイメージだが、住宅地でも発生することがあり、傾斜地や法面(のりめん)付近は危険度が増す。崖崩れや地滑りは、崖のひび割れ、小石の落下、崖から水が噴き出す、地鳴りがするなどの前兆現象がある。

台風で発生する災害③ ~飛来物~

「屋内の駐車場に避難」イラスト

走行中に飛来物が当たり、窓ガラスが割れるなどの事故が起こる危険がある。風速が秒速20mを超えると、折れた街路樹の枝や、屋根瓦が飛んでくることがある。できるだけ運転しないのはもちろん、可能であれば車を屋内の駐車場へ移動させる。

台風発生時の対処法は、こちらもチェック!


~ゲリラ豪雨編~ 冠水した街中の走行は危険がいっぱい!

ゲリラ豪雨による視界不良のイメージ画像

短時間に猛烈な雨を降らすゲリラ豪雨。1時間に50㎜を超えるような豪雨は、ワイパーを最速にしても対向車や通行人が見えにくい。速度を落として、スリップにも注意する。経験のない雨量に危険や恐怖を感じたら、安全な場所に一時避難。小降りになるまで待機しよう。雨水が集中するアンダーパスなどは冠水の危険性があるため、なるべく避けよう。

「視界が悪化、ライトを点けろ!」イラスト

運転中にゲリラ豪雨(ゲリラ雷雨)に遭遇すると、降りそそぐ雨粒によって視界が悪くなり、前方の車や歩行者が見えにくくなる。JAFが行ったユーザーテスト でも、豪雨の中では前方の車のブレーキランプなどの確認が遅れがちになることがわかっている。降雨で見えにくいと感じたらヘッドライトを点灯。速度を抑えて不測の事態に対応できる余裕を持つ。

「停車時はブレーキランプを点灯」イラスト

視界不良は後続車も同じ。道路左側に停車するときは、ブレーキを踏み続けブレーキランプを点灯させて後続車に存在を知らせる。また、大雨とともに雹(ひょう)や土砂崩れの危険もある。トンネルの出口や橋の上は、強風や突風の危険があるので速度を落とす。

ゲリラ豪雨発生時の対処法は、こちらもチェック!

ゲリラ豪雨で発生する災害 ~道路冠水、内水氾濫~

浸水した市街地を走る車の画像

冠水した市街地では、水深がどのくらいかもわからないほか、マンホールや側溝が見えず落輪することもあるため、なるべく走行は避けよう。

冠水した道路では、どこに何があるかわからない!

ゲリラ豪雨が発生すると、低い土地では道路冠水の可能性がある。立体交差の下をくぐるアンダーパスやすり鉢状に窪んだ道路では、たまった水の水位がわかりづらく、車が水没するケースも多い。こうした場所はできるだけ迂回。特に周囲が暗く、水位が判断しにくい夜間は決して無理をしない。

下水道や側溝の処理能力を超えると雨水があふれ、平坦な市街地の道路では「内水氾濫」となる。わずかな水位でも、道路に水がたまると蓋のない側溝は見えにくく、マンホールがどこにあるかもわからない。うっかり車で進入すると危険だ。

「水深60㎝でも危険!」イラスト

冠水した道路を走るとエンジンに水が入り、立ち往生の危険がある。マフラーからの浸水も、エンジン停止の原因になる。JAFでは、セダンとSUVを使って冠水路走行のテスト を実施。いずれも深さ30cmなら時速30㎞で走行できたが、深さ60㎝ではセダンは時速10㎞でもエンジンルームに水が入って走行できず、SUVは時速10㎞なら走れたが時速30㎞で走行不能になった。

車が水没してしまったら、どうする?

「忘れるな! 脱出用ハンマー」イラスト

状況によるが、車は水没してもすぐに沈まないので、その間に脱出する。窓が水面より上にあれば、窓を開けて車外へ出る。水没した車内では、ドアを開けて脱出するのは困難。水圧の影響で、水深60㎝では通常の約5倍の力が必要になることがJAFのテスト で判明している(セダンの運転席ドアでの場合)。スライドドアなら水位が高くても開きそうだが、水深60㎝では外から開けることができない。水没の危険に備えて、窓ガラスを割る脱出用ハンマーなどを車内に常備しておきたい。

ハンマーなどがない場合は、車内の水面が胸のあたりまで上がるのを待ち、車内と外の水位の差が小さくなってからドアを開ける。車内に水が入ると焦るが、落ち着くのが肝心。開きそうになったら、大きく息を吸い込み、足に力を込めて一気に押し開ける。

水没してしまったときの対処法は、こちらもチェック!


~落雷編~ 安全に停車して雷雲が通り過ぎるまで待機!

落雷のイメージ画像

雷の電圧は数千万から1億ボルトといわれ(関西電力)、落雷は大きな被害をもたらす。車に落雷があっても、電気はタイヤを通って地面に流れるので車内は比較的安全だが、激しい雷雨は恐怖すら感じることがあり、安全を確保できないときは無理をしないで車を止め、雷雲の通過を待つ。雷鳴、雷光を見たら、早めの対処が肝心だ。

「黒い雲や冷たい風は落雷の前兆」イラスト

落雷を回避するには、運転前の情報収集が大切。通過地点や目的地周辺の雷の発生状況は、スマホの気象予報アプリなどでチェックする。雷鳴や雷光によって、雷雲の接近がわかる。黒く大きな雲が見えたり、ゴロゴロと鳴る音が聞こえたり、稲光が見えたりしたら、すでに落雷の危険区域。それまでとは違う「冷たい風」が吹いたときも、雷雲接近の可能性がある。

「車内の金属部分は感電の危険」イラスト

車体に雷が落ちても、電気は車の外周からタイヤを伝って地面に流れるため、車内は比較的安全な場所。しかし、ごくまれに車内の金属部分に触れていると感電のおそれがある。落雷が怖い人は、雷雲が通り過ぎるまで安全な場所で待機。

雹が降ってきたら、どうすればいい?

「屋根のある駐車場に避難」イラスト

雷注意報が発表されると、天候の急変とともに雹(ひょう)が降ることがある。雹は固い氷の塊なので、車体にヘコミやキズを作る。車体に被害が及ぶ前に、できるだけ早く屋内駐車場や地下駐車場へ避難したい。激しい降雹に危険を感じたら、運転の断念もやむを得ない。周囲の交通状況を考慮しながら減速し、道路の左側に寄せて停車。

落雷および降雹の対処法は、こちらもチェック!


~大雪編~ 長時間の立ち往生も念頭に十分な準備を!

大雪の中の走行イメージ画像

降雪地帯では天気予報を常に確認し、余裕のあるスケジュールで行動するのが鉄則。雪道は速度を抑えて走らなければならないし、通行止めや迂回を指示されることもあるからだ。ほかの車の立ち往生によって、大規模な渋滞に巻き込まれるかもしれない。そんな緊急事態に備えて防災グッズを準備し、燃料を満タンにしておくことも重要だ。

「地吹雪だ! 安全な場所へ避難」イラスト

猛烈な地吹雪や大雪でホワイトアウトになると、玉突き事故などが多発し、渋滞の原因になる。周囲の見通しが悪いときは、最寄りの商業施設の駐車場など、安全な場所に車を止め、天候の回復を待つ。近くに避難できる場所がなければ、周囲の安全を確認しながら道路の左側に停車。ハザードランプを点滅し、後続車に存在を知らせる。

「身動きが取れない! 救援要請」イラスト

冬用タイヤやチェーンなどを準備し、スタック対策を万全にしても、雪道では身動きがとれなくなることがある。走行不能になったら、直ちにJAFに救援(#8139)を依頼。状況によっては警察へ通報。むやみに車外に出ず、できるだけ車内で救援を待つ。

「死の危険! マフラー周辺を除雪」イラスト

降雪時は通行止めや大渋滞に巻き込まれることがある。吹雪のなかで停車すると、数分で車全体が雪で覆われてしまうこともある。マフラーの排気口が雪でふさがれると排気ガスが車内に入り、一酸化炭素中毒の危険が高まるので、マフラー周辺の定期的な除雪は必須。ときどき風下側のウインドーを1㎝ほど開けて車内を換気する。

「燃料は満タン、バッテリーは満充電」イラスト

降雪地帯を走るときは、天気予報などを事前に確認。たとえ大雪の予報がなくても、できるだけ燃料を満タンにしておく。EV(電気自動車)も満充電が基本。オートエアコンを作動させると、EVは大幅に電力を消費することがJAFのテスト でも判明している。

雪道の立ち往生は長時間に及ぶため十分な備えを!

大雪は道路交通状況が悪化するため、救援に時間がかかる。そのため、最低でも車内で一晩を過ごせる程度の防災グッズを用意しておきたい。防寒対策のブランケット(毛布)、水、食料、携帯トイレなどは必須。除雪に備えて手袋や軍手があるといい。

大雪に備えた車載防災グッズ

・防寒具(ブランケットや寝袋、厚手のコートなど)
・長靴またはスノーシューズ(除雪作業に使用。折りたためるタイプもある)
・使い捨てカイロ(1人あたり最低2~3個を用意)
・バスタオル(スタックしたときのために、古いバスタオルがあるといい)
・雑巾(車内の結露を拭き取るなど)
・手袋または軍手(除雪時に使用。防寒にも役立つ)
・スノーブラシ(フロントガラスなどの雪を取り除く)
・スコップ(雪かき用にコンパクトなものでもOK)
・LEDランタン(照明だけでなく、夜間の徒歩避難に必須。ヘッドライトでもOK)
・飲料水(24時間の車内待機で、1人あたり2~3ℓ程度)
・軽食(チョコレートやクッキーなどエネルギー補給になる食べ物)
・使い捨てマスク(乾燥を防ぎ、感染症を予防する)
・携帯トイレ(小便用は多めに用意。大便用があると安心)

防災プロデューサー・永田宏和のワンポイント・アドバイス①

大雪の車中滞在では保温と休息を意識しましょう

寒冷地の車中滞在は、短時間でも低体温症で命を落とす危険があります。手軽な防寒用品としては「エマージェンシーブランケット」がおすすめです。銀紙のような薄いシートですが、とても保温性が高くコンパクトなため車載用に最適です。車内で休息をとるときは、シートの隙間や段差を埋めシートをある程度フラットにできる「クッション」や、「毛布」が役立ちます。雪道での立ち往生は救援が遅れがちです。普段から二重三重の防寒対策を考えておきましょう。

大雪発生時の対処法は、こちらもチェック!


~噴火編~ 1㎜以上の降灰時はなるべく運転を控える!

火山噴火のイメージ画像

噴火による災害は噴石の落下や火砕流が知られているが、運転を含めた日常生活に大きな影響を及ぼすのが火山灰だ。降灰時は路面が滑りやすくなり、ブレーキもききにくくなる。センターラインや横断歩道が見えづらく、運転は危険。不要不急の外出は控えよう。また、エンジンルームに火山灰が入ると、エンジン不調の原因になることもある。

「1㎜以上の降灰時は 運転しない」イラスト

噴火による災害で、運転を含めた日常生活に大きな影響を及ぼすのが、広範囲に降る「火山灰」だ。火山灰が積もると道路標示などが見にくくなるほか、スリップなどの原因にもなる。そのため、気象庁の「降灰(こうはい)予報」では、積もる厚さによって「少量(0.1㎜未満)」「やや多量(0.1㎜以上~1㎜未満)」「多量(1㎜以上)」の3段階に分類。「やや多量」で徐行運転、「多量」ならば車の運転は控えるようにと案内している。

「灰は滑りやすいため速度抑える」イラスト

火山灰が0.5㎜の厚さで積もれば、センターラインや横断歩道が見えにくくなり、路面は滑りやすくなる。スリップ事故も増えるので注意。積もった火山灰で電線が切れて停電が起こり、信号機や踏切が作動していないこともある。周囲の見通しが悪いときは、昼間でもヘッドライトを点灯し、徐行する。

「視界不良にはウォッシャー液」イラスト

火山灰には硬いガラス質の物質が含まれるので、火山灰を拭き取るつもりでワイパーを作動させるとフロントガラスを傷つけてしまう。走行時はウインドーウォッシャー液で火山灰を洗い流しながらワイパーを作動させる。また、火山灰がエンジンルーム内に入ると、エアフィルターなどが汚れ、フィルターの交換が必要になることもあるほか、エンジン不調の原因ともなるため、運転後はエンジンほか各部の点検もしておこう。

噴火発生時の対処法は、こちらもチェック!

災害による車の損傷は車両保険で補償される?

自動車保険のイメージ画像

地震、津波、噴火は補償対象外となる場合が多い

車両保険は一般型とエコノミー型の2種類から選べる。一般型は補償範囲が広く、エコノミー型は補償範囲が限定されているが、その代わり保険料が抑えられる。どちらの保険も、ほとんどの自然災害は補償の対象になる。
具体的には、台風、洪水、ゲリラ豪雨、竜巻、雹、大雪、落雷、高潮などは、基本的に一般型もエコノミー型も補償対象。一方で、地震、津波、噴火は、一般型もエコノミー型も補償されないケースが多い。ただし、特約を付けることで対処できる場合もあり、加入している保険会社のプランによって適用の当否は異なる。たとえ自然災害でも、保険で車を修理したら等級がダウンして翌年は保険料が上がるので詳細を確認しておこう。


いざという時のために車に積んでおきたい防災グッズ

防災グッズのイメージ画像

災害発生時に救援を待つため、車内には短期間を生き延びるための防災グッズを準備しておきたい。飲料、食料、携帯トイレは最低でも1泊×乗員分。乳児やペットを乗せることが多ければ、その状況に合わせた準備もしておこう。

防災プロデューサー・永田宏和のワンポイント・アドバイス②

車載用防災グッズは一晩を過ごせる備えを!

いきなり災害に遭遇したとき、準備がないとパニック状態に陥るかもしれません。逆に一晩を安全に過ごせる防災グッズを車載しておけば、少しは落ち着けます。「冷静になる」という意味でも車に防災グッズを備えておくのは重要です。できればポータブルバッテリーや発電用ソーラーパネルも備えたいのですが、いきなり大掛かりな備えは必要ありません。まずは1日分の飲料水や保存食を準備し、必要に応じて増やしていきましょう。

車に常備しておきたい防災グッズ

・保存食(ビタミンやミネラルを含んだ栄養補助食品を3食×人数分。長期保存できるもの)
・軽食(チョコレートやクッキーなどエネルギー補給になるもの)
・飲料水(24時間の車内待機で、1人あたり2~3ℓ程度)
・使い捨てカイロ(1人あたり最低2~3個は用意。季節を問わず用意)
・LEDランタン(照明だけでなく、夜間の徒歩避難に必須。ヘッドライトでもOK)
・携帯トイレ(小便用は多めに用意。大便用があると安心)
・トイレットペーパー(長期保管できる防災用も販売されている)
・雨具(薄手のレインコートは防寒着にもなる)
・常用薬(普段服用している薬)
・緊急脱出用ハンマー(水没や車両火災から命を守る)

余裕があれば備えたい防災グッズ

・予備のメガネ(被災時にメガネが破損するおそれがある)
・毛布(夏場でも夜間は冷える。保温用アルミシート、バスタオルでもOK)
・医薬品(消毒用アルコールやばんそうこうなど簡易なもの)
・虫よけスプレー(春から秋にかけての必需品)

防災プロデューサー・永田宏和のワンポイント・アドバイス③

トイレは我慢できない! 1人2~3個の備えを

人は1日に4~5回ほどトイレへ行くといわれます。実際に東日本大震災では、発災後6時間以内にトイレへ行きたくなった人が7割に上りました。一晩の車中泊避難でも1~2回は必ず用を足したくなるので、1人あたり最低2~3個の「携帯トイレ」を用意しましょう。簡単に組み立てられる自立型携帯トイレがあるといいですね。身体を包めるエマージェンシーブランケットと組み合わせればプライバシーも守れ、女性でも使いやすいと思います。

防災グッズの詳細は、こちらもチェック!

永田宏和(ながた・ひろかず)

防災プロデューサー
NPO法人プラス・アーツ理事長
デザイン・クリエイティブセンター神戸センター長

永田宏和氏プロフィール写真

1993年大阪大学大学院修了。2005年、楽しく防災の知識や技が学べる新しい形の防災訓練「イザ!カエルキャラバン!」を開発後、NPO法人プラス・アーツを設立、理事長に就任。現在、全国各地及び、アジア、中南米を中心に世界23か国での防災教育普及に取り組む。東京メトロ、JT、無印良品、NHKなど企業・メディアの防災アドバイザーも数多く務める。

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