神出鬼没! ヒャダインの適当旅

ベトナム・ホイアンで老婆の手漕ぎボートに翻弄! ヒャダイン危機一髪

シーフード&クルージング&おしゃれカフェ…非日常を求めるならホイアンへ

ヒャダイン
2024.04.14

文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

2024.04.14

文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

2024年の年明けにベトナム・ホイアンへ行ったヒャダインさん。美しい街並みとシーフードが楽しめる観光地、ホイアンでも行き当たりばったりでいつもの適当旅のペースをキープ。ノリで乗ったココナッツボートでのアドベンチャー体験を語ります。

2024年初海外はベトナム第3の都市ホイアンへ

年始にベトナムに行ってきました。理由は「行ったことないから」。ただそれだけ。どこに行こうかと練ったところ、一番人気のホーチミンシティはどうやら大都会、ということでモチベーションが上がらず、二番人気のハノイは寒いからいやだ。そうなったら中間にある三番目に人気のダナン、そして近隣のホイアンに行くことにしました。気の合う友人と行ったのですが、宿以外はノープラン。2024年も適当旅です。

適当に入ったカジノで旅の食事代を稼げるくらい勝ったり、適当に入ったナイトマーケットで食べたエビがとてもおいしかったり、やはり予定を決めないで動くと予定不調和がたくさんでいいものですね。

シーフードを食べるヒャダインさん

イカもエビも貝もたくさんついて一人2,000円弱。安い

客引きに誘われ怪し気なクルージングへ

さて、今回の適当旅のハイライトは「ココナッツボート」。人が3人乗ったらいっぱいになる円形のボートでのクルージングのお話です。経緯を説明しますと、まず我々はダナンの隣にあるホイアン、という街じゅうがテーマパークのような美しい街に着きました。「日本橋」と呼ばれる橋があったり、おしゃれなカフェがたくさんあったりと本当に楽しい街で誰にでもおすすめできる場所です。

ホイアンの日本橋周辺

ランタンが美しい

さてそんな観光地を歩いていたらカタコトの日本語と英語でおじさんが客引きをしてきます。パンフレットを持って「ボートに乗らないか」と。普段だったら客引きはガン無視して進むのですが、まあ特にやることもなかったので話を聞いてみることに。するとココナッツボートというおかしな形をしたボートで川をクルージングする、というなにやら楽しそうなツアー。しかし値段を聞いてみたら日本円にして一人3,000円、と高い。まあ日本だとしたら安いんだけど。で、ベトナムって値切り文化なんですよね。スマホの計算機を起動させて精一杯の交渉。なんと半額になりました。なんじゃそりゃ。とにかく交渉成立。さあボートに乗ろうか、と待っていたら「ボートがある場所までモーターボートで送って行く」とのこと。あ、ここから乗るんじゃないんだ。そう思いながらモーターボートに乗船。すると違う女性が「モーターボートは別料金なの」とまた交通費を請求。「おお、東南アジア……」と感心しつつもここでもハイパー値引き交渉。半額以下に値引いて出航。ちなみに何分かかるかは聞いていませんでした。

ホイアンで乗ったモーターボート

モーターボートからの風景。快適でした

老女と丸いボートに乗って川をどんぶらこ♪

市街地から離れて15分、両脇にはなにもない状態になっても全然着かない。え、どういうこと。もしかして値切ったから変なところに連れて行かれるのかしら。財布取り上げられてムチでぶたれるのかしら。そんな悪い想像をしながらけたたましいモーター音に揺られて30分。なにもないところにちょこんと丸いボートと日焼けした老人一人。どうやらここらしい。恐る恐る飛び乗ったらいきなりオールを渡される友人。「漕げ」とのこと。ちなみに老人は老女でまったく英語が通じない。ベトナムで有名なノンラーと呼ばれる笠のような帽子を渡されて被って出発。私は特に何も役割がないから呑気なもんです。

ボートの上でVサインをするヒャダインさん

誰も写真撮ってくれる余裕ないから自撮りオンリーでした

老婆の力強い漕ぎと、なぜか漕がされている友人のオールによってどんどん進むココナッツボートは、ココナッツ畑の中に入っていきます。しかしその道はお世辞にも観光用に整備された正式な道、とは言い難く、明らかに野良の道。そして他の観光客がまったくいません。普通こういうのって人気アトラクションだから他の人もいるじゃん。大丈夫かいな、とは思いつつ逆に観光では行けないだろう野性味あふれるジャングルを進む進む。

ジャングルのアーチ

ジャングルのアーチ、感動でした

迫りくる尿意と悪路の果てに見えた風景とは……

途中、他の船が止めてあって道が塞がれていたんですが、老婆が飛び乗ってロープを外し、我々二人も一生懸命押して方向を変えてなんとか道を確保。なんだよこの道! RPGだったらレベル上がらないと通れない道じゃねえか。しかしなぜか高まるチーム感。老婆との一体感が出てきたところで我々二人に異変。「トイレに行きたい」。モーターボートに乗って30分。そしてココナッツボートに乗って30分。尿意が限界を迎えてきました。しかし当然トイレがあるわけもなく我慢一択です。

そうして誰もいない野生ルートを進んでいたら、遠くのほうからなぜかEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)が聞こえる。なんかパーティーでもやってるのかな、と思っていたら音がどんどん近づいてきます。するとボートが曲がり道を抜けるといきなりたくさんのココナッツボートと観光客が! 突然メインストリートに合流したんです。そこには若々しい漕ぎ手が歌を歌ったりしながら快活に漕いでいる姿が。お客さんは誰一人漕いでいない。手に豆を作りながら漕いでいた私の友人はきっと現地人だと思われていたのでしょう。そしてメインストリートを進むこと5分。たまり場みたいな終点に到着すると爆音でPSY(サイ)の「カンナムスタイル」が流れる中、ココナッツボートが超高速でスピン! 遊園地のコーヒーカップの5倍速くらい。

ココナッツボートが浮かぶ川

さながらパーティー会場

ボートでスピンのお誘いにはきっぱりNO!

すると一人の若者がココナッツボートで近づいてきて「スピンするか?」と提案。老婆も行ってきなよ、とすすめるんですが我々の尿意がスピンに耐えられるわけもない。失禁確定なので食い気味にお断り。帰路につくことに。しかし私はあることに気が付いた。漕ぎ手の若者が奥のほうで川に向かって立ち小便をしているではないか! ありなのか! 老婆とともにメインストリートを外れてまたジャングルへと戻っていく途中Google翻訳でコミュニケーションを取ることにしました。「他の人が行かないようなジャングルに連れて行ってくれてありがとうございます」。すると老婆は照れたようにニッコリ。よしいいぞ。次。「私たちの尿意が限界です。川に放尿していいですか?」。すると老婆は一転、鬼の形相で「NO」にあたるベトナム語を放ちプイ。俺、ベトナム語わからないけど、多分NOだってことくらいわかるよ。そうだよね。とても失礼なこと言っちゃったよね、ごめん老婆。若干気まずさが漂っていたら突然老婆が手を出せ、的なアクション。言われるがまま出したらなんと植物の皮で作った民芸品をプレゼント! かわいい! やさしい!

土産でもらった民芸品

見事に薔薇の花

かくして尿意に悶えながらもモーターボートの近くまで到着。すると老婆、おもむろにボートにあった毛布をペロンとめくる。するとそこには他のお客さんが置いたと思われるチップが。あ、そうね。さっきの民芸品もそういうことよね。とても貴重な経験させていただいたのは事実なので少し多めにチップを払ったらまた老婆はにっこり。んもう現金なんだから。

そして老婆とお別れをしてモーターボートに乗り込み、ホテルへ直行してもらい我々は無事尿意から解放されました。それにしても適当に決めたからこそ非日常なツアーに参加できてとても満足でした。教訓。海外ではトイレは行けるときに行け。

ホイアンのカフェでお茶を飲むヒャダインさん

カフェもおしゃれでした、ホイアン

ヒャダイン

音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。さまざまなアーティストに楽曲提供を行い、自身もタレントとして活動。「musicるTV」「久保みねヒャダこじらせナイト」「サウナを愛でたい」「おはよう朝日です」などテレビのレギュラー多数。

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